ざっきばやしはなあるき  

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美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

三体シリーズ読了

2023-06-02 19:17:29 | 
 遅まきながら中国の作家、劉慈欣の長編SF小説を読み終えた。もちろん日本語版(翻訳:大森望)である。本が分厚いのと、中国のSFという精神的ハードルが高かったので、存在を知ってから「どうしようか」と考えた。でも各方面での評判も良いという噂やその逆の批評などもあり、気になったので自分で確かめるしかないと思い読んでみた。

 登場人物のほとんどが当然のごとく中国人ということで、人名の中国語読みと日本語読みがごちゃごちゃして最初は取っ付きにくかった。わんみゃお、るおじーなど中国読みで馴染めた人物や、ようぶんけつ、ちょうぎなど日本語読みしちゃった人物などあかちゃかごちゃごちゃ入り混じったまま読んだ。

 読み進むと、バーチャルゲームの三体世界に入っていくシーンが出てきて「あれれ?そっち系の話か?」とドン引きしはじめてしまったが、金払ってるんだからこの1冊だけは読み終えないともったいない!と思い、がむばつて読んだ。

 がむばつてしまった結果、1冊読み終わるともう、すぐに次巻を手に入れて続きを読みたくなった。そんなことを繰り返しているうちに関連書籍を含めて7冊を読み終えていた。巻が進むにしたがってどんどん大風呂敷が広がって行く。どこまで広がるんだと半分呆れながら楽しく読んだ。

 ゾッとしたシーンは、ハッブル望遠鏡で刷毛を観測した時と、オーストラリア騒動。自分も地球に生きているからこそゾッとするわけで、逆に広大な宇宙を舞台に縦横無尽に話が広がりすぎるともう何が起こっても遠い出来事になってしまう。

 「三体0(ゼロ) 球状閃電」は三体とはほとんど関係ない話だが、三体に登場する丁儀(ディンイー)が活躍する物語っていうだけで、三体0という名称が付いてしまった。これはこれで面白かったけれど、読まなくても大勢に影響はない。

 「三体X 観想之宙」は三体ファンの宝樹(バオシュー)という人が勝手に書いた物語。それを劉慈欣が公認して出版されたもの。筒城灯士郎の「ビアンカ・オーバーステップ」みたいなもんかな。

 だから三体Xの内容は、すべてが劉慈欣の考えていたシナリオどおりではないのだろうが、三体を読んできた読者にとって、痒い所に手が届くような物語になっている。三体Ⅲの登場人物である雲天明(ユン・ティエンミン)のその後のことや、劉慈欣が三体シリーズで描かなかった三体人の姿などが、劉慈欣が広げた大風呂敷を軽々と突き破って大穴を開けたまま大胆に赤裸々に勝手気ままに描かれていて面白い。浮かれすぎてちょっとファンタジーが始まっちゃっているけれど、それも含めて楽しく壮大な話に仕上がっている。これを読めばもう元祖三体Ⅳは無くてもいいんじゃないかな。あったらあったでまたややこしいけど。


・三体 (著者:劉慈欣)


・三体Ⅱ 黒暗森林 上(著者:劉慈欣)


・三体Ⅱ 黒暗森林 下(著者:劉慈欣)


・三体Ⅲ 死神永生 上(著者:劉慈欣)


・三体Ⅲ 死神永生 下(著者:劉慈欣)


・三体0 球状閃電(著者:劉慈欣)


・三体X 観想之宙(著者:宝樹)



 近頃の私が本を読むタイミングは、職場の休憩時間が多い。でも分厚い単行本を職場に持っていくのは難儀だ。というわけでAmazonのKindle版電子書籍をスマホKindleアプリで読んだ。読み終わるまで5か月かかって7冊で12,870円。

 電子書籍なら老眼気味でも、文字の大きさを変えられるので読みやすいし、薄暗い場所でも負けない。電子版はやや割引されているというのはありがたいが、読み終えても古本として売却できないし、中古の電子版もないところが玉に瑕。角が折れてて黄ばんだ安い中古の電子書籍って無いかねぇ?

 「これ面白かったよ」「ホント、貸して」「うんいいよ」みたいなこともスマホではできない。専用リーダー端末なら家族で回し読みくらいはできるけど、専用端末を持ち歩くのも面倒なので私は持っていない。

 電子書籍はAmazonのKindleアプリと、ヨドバシカメラのDolyアプリを使っている。ヨドバシのポイントが余っている時はDoly版を買ったりする。定額サービスは使ってない。

 電子書籍はもし各社のサービスが終了したらパァになってしまうようだ。サービスが終了したらアプリだってそのうち無くなるだろうし、専用端末だって壊れたら買い替えできなくなる。そうなると以前買った本を読み返すこともできない。そんなリスクもある電子書籍だが、たしかに便利ではある。ダウンロード音楽.mp3のように、どこで購入してもさまざまな環境で読み続けられるような規格の統一が一刻も早く実現してほしいと思う。






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