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ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

猫まみれ

2011-06-11 23:45:58 | 美術[な]
「猫まみれ ようこそ猫の迷宮へ」@笠間日動美術館

 震災後、ひさびさの笠間。狭い道路のあちこちが継ぎはぎだらけ、マンホールがちょっと盛り上がっていてクルマが跳ねる。そのたびにドライブレコーダーがピピッと鳴って録画を始めてしまう。美術館は入り口付近の敷石がずれていたりする程度で、大きな被害はなかったようだ。入り口の彫刻がひとつ倒れたが損傷には至らなかったとのこと。

 「猫まみれ」という踏んだり蹴ったりニャ~ゴなタイトルの展覧会。猫好きの「招き猫亭」夫妻が40年に渡って蒐集した猫作品を展示。どうやらこれは山形美術館の企画であるらしい。浮世絵時代の擬人化された猫から現代に至るまでのさまざまな平面、立体の猫たち。リアルな猫もいれば奇々怪々な猫もいる。これのどこが猫やねんという猫もいる。せんとくん作者の藪内佐斗司のブロンズや木彫りの猫、顔つきがややせんとくんだったり、首だけ離れていて紐で胴体と結びつけるという変わった作風。前から好きな猫絵の歌川広重 《浅草田甫西の町詣》、高橋弘明 《ジャパニーズ・ボブテイル》、小林清親 《猫と提灯》もあった。これは猫好きには見逃せない。「猫まみれ」の「猫」のロゴが面白い。
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日本画と洋画のはざまで

2010-10-18 00:27:16 | 美術[な]
「特別展 日本画と洋画のはざまで」@山種美術館

 レーシック2周年の検診で両眼とも1.2弱で、特に問題なしと言われて安心して山種へ。するとダビデ君がシャンプーしてもらっていた。


 山種では明治時代からの「日本画」と「洋画」の境界線で揺れるまなざしの作品を展示していた。橋本明治《月庭》がいい感じ。ふたりの女性が、庭で座って月見でもしているのか、青い着物の女性が緑の着物の女性に、口元を扇子で隠してゴショゴショと内緒話。この青と緑の着物のカラーリングが鮮烈で好き。速水御舟の《炎舞》もあるよ。

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奈良の古寺と仏像展

2010-07-07 22:38:09 | 美術[な]
「平城遷都1300年記念 奈良の古寺と仏像 ~會津八一のうたにのせて~」@三井記念美術館
 
 ぐるっとパスで三井記念美術館。奈良の仏像関係の展覧会へ行った。見上げるようなデカい仏像は来ていないが、小金銅仏から一木彫まで、仏像だけでも46点展示。これら仏像や工芸品に、奈良を旅した明治の歌人、會津八一(アイズヤイチ)の歌を絡めて展示している。予想外にボリューム感があって満足気分。奈良好き、仏像好き、仏像ファン、仏像マニア、仏像フェチ、仏像狂などの人にお勧め。

 中でも一番の満足気分は、東大寺の 《五劫思惟阿弥陀如来座像》 奈良に行ったとき見られなかったので来てくれてありがたい。高さ1mぐらい。しかし芸人のネタヘルメットみたいなデカいアフロ頭を見ると、ありがたいよりなによりおもろくて、つい笑ってしまう。どんぐりみたいな螺髪が生い茂りすぎてるが、これで耳はちゃんと出ているからまたおかしい。
 


 もうひとつ、元興寺の 《如意輪観音》 が小さくまとまっていていい感じ。元興寺も行きそびれたのでラッキー。ゴールドな法輪をもてあそぶ左手、微笑を浮かべているように見える口元、チャラチャラしたデコレーションが付いてなくてシンプルな美しさを感じる。まあ、チャラチャラしたのも好きだけど。
 

 このニョイリンさんの真正面に、長谷寺の 《如意輪観音》 が展示してある。こちらの腕は後世に補修されたものだそうで、頬杖をついている指先は頬に触れてない。肘も立て膝から離れているので「頬杖を突くふりをしている」ニョイリンさん。法輪もなくなっちゃっているので表情もやや元気がなさそうに見える。だいたい同じ大きさの2人のニョイリンさんを比べてみるのも面白いかも。
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No Man's Land

2009-12-20 20:38:24 | 美術[な]
「No Man's Land(ノー・マンズ・ランド)創造と破壊」@フランス大使館旧館

 フランス大使館の新館移動に伴い、解体される予定の旧館を一般公開。さまざまなアーティストが旧館の至る所にアートを展開している。東京メトロ日比谷線広尾駅の近所、入場無料で1月31日まで。
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江戸東京ねこづくし

2009-08-15 22:35:49 | 美術[な]
江戸東京ねこづくし@江戸東京博物館

 江戸のネコにまつわる作品展をやっていたので、さりげなく行ってみた。常設展示の傍らの第2企画展示室なので、ボリュームはたいしたものでもない。ネコが出てくる浮世絵やネコ彫刻、化けネコ関係、昔のネコ関連グッズなど、なんだかヤワな展示会である。

 東京都で飼われている犬は65万頭、猫は84万頭、野良猫込み込みで99万頭いるそうだ。1000万人が居る都市だから、猫ももっと居そうな気もしたが、約100万頭の猫は多いといえば多いのかな。犬はペットショップで買う率がいちばん多くて、猫は知人にもらうか、どっかで拾うのが多いようだ。

 いちばんお気に入りの、月岡芳年 風俗三十二相 《うるささう》 (1888年)もあった。

 高橋弘明 《白猫》 (1923年)はネコそのもので、金色の目でまっすぐにこっちを見ている。「うるささう」のネコによく似ている。他の浮世絵も、よく見ると、なぜか、赤い首輪を巻いているものが多い。なんで赤なのだ。流行っていたのだろうか。

 朝倉文夫のねこ彫刻も何点か飾ってあった。

 《死絵 市川団十郎》 では、人間に混じって目頭を押さえて涙ぐむ白い猫がかわゆい。

 夏目漱石の 《吾輩は猫である》 は13年前に初めて読んだ。それまでは、読んだつもりになっていたらしい。そして、吾輩がイメージしていた吾輩は猫であるのネコは、《ながぐつをはいたねこ》 だったのだなぁと、吾輩は今日認識を新たにした。

 そういうわけでミュージアムショップには 《吾輩は猫である》 の文庫も売っていたが、その横に、内田百閒(うちだひゃっけん)の 《贋作吾輩は猫である》 という文庫もあった。1906年、水がめに落ちた漱石の《吾輩は猫》が這いあがったら1943年だったという、《タイムスリップ・ワガハイ・キャット》 みたいな紹介文が書いてある。これは読んだことがないので買ってきた。

 写楽展をやっているので、写楽肉筆画扇面にちなんだ歌舞伎映像を上映していた。「仮名手本忠臣蔵 二段目 桃井館上使の場」 1974年上演の 25分モノクロ映像。どんなものだろうと見ていたが、知らぬ間に寝ていた(;´o`) 興味のある人は9月6日まで1階で無料上映中。
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ネオテニー・ジャパン

2009-05-24 21:11:24 | 美術[な]
「ネオテニー・ジャパン - 高橋コレクション -」@上野の森美術館

 鹿児島県霧島アートの森、札幌芸術の森と巡回してきて、最後の森は上野の森。精神科医の高橋龍太郎氏の1000点を上回る現代美術コレクションの中から、33人のアーティストによる80点を展示する。村上隆、会田誠、山口晃、奈良美智などから、もう少し若い作家の作品まで、あれこれいろいろあった。

 束芋部屋の真ん中に「にっぽんのちっちゃい台所」があった。ちっちゃいからふすまの両脇から、ふたりの人が見ているともう見えない。さわひらきの「elsewhere」は雑貨が歩き出す間抜けなところが面白い。町田久美の異様に変な世界もちょっといい。青山悟のリアルな絵かと思えば刺繍だったりする驚きもいい。池田学の驚異の細密画もやっぱりすごい。

 午後からはトークイベントを拝聴した。そぼ降る雨に包まれたエントランスに椅子を並べて(こんなところでやるんだね)なんか開放的でいいな。高橋龍太郎氏、秋山さやかさん、池田学さん、池田光弘さん、千葉正也さん、名和晃平さんがずらりと並んだ。名和さんはMOTのアーティストトークで見たけど、他の人は初めて見た。脅威の細密画を描く池田学さんはハキハキした清々しい好青年といった感じで予想外だった。←どう思ってたんだ?

 高橋氏は札びらでほっぺたを叩いて作品を買いまくる成金のおっさんではなく、作品を買う割にはアーティストが恐れ多くてやたら話ができないという精神科医のくせに意外とシャイな先生だそうだ。そのせいでなかなか目も合わせてくれないので、若手アーティストが逆に恐縮しまくっているらしい。

 「ネオテニー」は「幼形成熟」で「ウーパールーパー」みたいなものだというようなニュアンスで高橋氏が決めたタイトルだそうだ。以下略

 トークイベントが終わった後、俺の知り合いに似ている笑顔がさわやかな秋山さやかさんの作品解説があった。鹿児島、札幌、上野の自分の行動経路を地図になっている布に縫い付けるという説明だけではなんだかわからなそうな作品の説明をして、縫い付けた毛糸玉やさまざまな素材などを見せてくれた。この毛糸玉なども捨てずに実家に置いてあるそうで、いつかそのうちに家の外まで繭みたいに毛糸玉で覆われてしまうことだろう。大変だぁ。


「草間彌生展」@高橋コレクション日比谷

 ついでながら、オープンしたばかりの高橋コレクション日比谷にも行ってみた。高橋氏がコレクションを始めるきっかけとなったという草間彌生の異なものがにょきにょき生えてる作品などが並べられていた。裸婦像の全身に車輪パスタの形が張り付いている「マカロニガール」ってのがいい。ここは来年の12月末まで期間限定オープンだそうで、そのあとはビル自体なくなるとかいう噂も。
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日本の美術館名品展

2009-04-26 01:04:15 | 美術[な]
「日本の美術館名品展 MUSEUM ISLANDS」@東京都美術館

 美連協25周年記念 公立100館のコレクション 夢の共演。日本中から自慢の逸品が勢ぞろいみたいな雰囲気でちょっと楽しみだった。よく行く美術館で見たヤツが出てくるのもいいけれど、遠方でやたら行けない美術館の名品が見られるのは捨てがたい。
 
 作品には各美術館からのコメントもついていて、それぞれの貸し出し自慢、購入価格自慢、所蔵自慢、当館人気自慢などが書いてあっておもろい。
 
 たとえば高知県立美術館、「シャガール1200点所蔵しています」・・・そんなに持ってやが~るのか。
 
 ピカソの《ドラ・マールの肖像》を購入した徳島県立近代美術館は、購入当初、県民から「オバケのようだ」と揶揄されたとか。まあ、、、たしかに、、、オバケのキュービちゃんではあるが。

 出品作品も、西洋画、日本画、彫刻、版画など多岐にわたる。夢の共演220点、前期後期で多少入れ替わるが、見ごたえは、ありすぎる。


好きな作品

 ・フランソワ・ポンポン 《シロクマ》 群馬県立館林美術館・・・フランソワ・ポンポンという変な名前の作家の大理石彫刻。アバウトな雰囲気のシロクマがほんわかしていていい感じ。他にもポンポンの作品を多数所蔵しているようで、一度行ってみたくなった。

 ・ヴラマンク 《雪》 北九州市立美術館・・・いいな、雰囲気いいな。でも寒そうで、そこには居たくない。

 ・エルンスト 《森》 岡崎市美術博物館・・・フロッタージュ、10円玉でガリガリやった木の幹がオレンジ色に光っている。

 ・ミロ 《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》 福岡市美術館・・・このミロはいいかんじのミロ。

 ・ダリ 《パッラーディオのタリア柱廊》 三重県立美術館・・・縄跳びしましょ!

 ・山本芳翆 《裸婦》 岐阜県美術館・・・薄暗い水辺の地面に横たわる裸婦の姿が浮き上がるように輝いている。ちょっと外人っぽい顔立ちの美しい裸婦像。

 ・中村彝 《カルピスの包み紙のある静物》 茨城県近代美術館・・・カルピスの包み紙を敷いたテーブルの上の静物画。色合いが好き。1923年の作品に既にカルピスなんだもん。

 ・脇田和 《鳥に話す》 高崎市美術館・・・ひょろながい女性と向き合って、7羽のいろんな鳥が上から下に整列している。なんかへんてこな構図が面白い。

 ・狩野芳崖 《伏龍羅漢図》 福井県立美術館・・・羅漢のひざの上でとぐろを巻いてスヤスヤと眠りこける龍がめずらしい。普通、龍ってのは中空をクネクネと我がもの顔に舞っているのがほとんどなのに、なんだこのアンニュイな龍は。

 ・近藤浩一路 《雨期》 山梨県立美術館・・・墨で描かれた田植の風景。田んぼに植えられた苗が作る放射状のラインに映る空の白さが、すごく広漠とした大地を感じさせる。これだいぶ好き。

 ・山口蓬春 《紫陽花》 北海道立近代美術館・・・紫に咲くアジサイと、花よりきれいな花瓶だったりして。

 ・山本丘人 《流水のうた》 東京都現代美術館・・・水の流れの上に浮かぶように咲く花のコントラストがきれい。

 ・高山辰雄 《食べる》 大分県立芸術会館・・・でっかいどんぶりに顔をうずめるようにして食べている子供の姿がペーソスを誘う。

 ・片岡玉子の面構(つらがまえ)シリーズってのも面白い。徳川家康や足利尊氏の木像を見て、勝手に想像を膨らませて描いた人物画だそうで。


 記念アートトークというのがあって、係りの人が必死に呼び込みをやっていたので始まる直前に入ってみた。生憎の寒い雨のせいか、ところどころ空席も見られた。美術館連絡協議会理事長の酒井忠康氏、読売新聞東京本社編集委員の菅原教夫氏、そして女優の真野響子さんが出ていた。真野さんはさすがに女優だけあって、よく通る声で早口にポンポン喋っていた。ポンポン。面白かったが、開催を知らなかったのでケツカッチンで、後ろ髪をひかれながら中座してしまった。
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ネオ・トロピカリア

2008-12-21 00:13:25 | 美術[な]
「ネオ・トロピカリア | ブラジルの創造力」@東京都現代美術館

 あの「洗面器に顔が挟まって取れない」かのようなマレッペ作品《アコースティック・ヘッド》は無造作に床に置いてあった。素材はやっぱり洗面器だった。

 エリオ・オイチシカの《フィルタープロジェクト》は、迷路のような通路を通って行って、最後にドロリとしたトロピカルジュースを飲んだ。作品の中でそんなもんを飲むことは滅多にない。作品の意図はよくわからないが、ジュースはもっとたらふく飲みたい気分だった。

 ホジェリオ・デガキの油彩は遠目で見ると編み物のように見えて面白い。ヴィッキー》という犬と《カボチャ色の耳をしたウサギ》がいた。

 アナ・マリア・タヴァレスの《通風孔》はアニメーションの映像作品で、永遠に続くような無数のらせん階段の映像が、でかいスクリーンでゆっくりと回っていて、見ていると引き込まれそうな不思議な感じがすごくよかった。

 リジア・パペの作品は、床から天井に向かって細い線が何本も伸びていて、線が交錯した空間が立体状に見えて、きれいだった。

 最後はエルネスト・ネトの《リキッド・フィンガー・タッチ》という巨大なインスタレーションが、3階から地下までの19mの吹き抜け空間に展開している。白い布の中にそば殻の粒が入っているそうだが、布が重みでぶら~りとぶらさがっている下で、観客が横たわって上を見上げる。下から見上げると、腸のような内臓のような布の造形と、重みでぶら下がった丸い布なんか、巨大なタマキンのようだ。あ、そうじゃなくて、巨大なタ●●ンのようだ。とりあえず伏字にしておこう。まあそんな巨大な●マキ●の下でのんびり横たわっていると眠ってしまいそうなアンニュイな午後のタマキンであった。

 そのあとは常設展で、ヤノベケンジの《ロッキング・マンモス》を見た。自分の乗っていたハイエースを分解して組み立てたというハードな立体作品で、マンモスの背中に《M・ザ・ナイト》が跨っていて、なんとなくかっこよかった。
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ナスカ展

2008-02-12 00:12:17 | 美術[な]
ナスカ展@国立科学博物館

 以前やってたときに行きそびれていたので、これ幸いと見てきた。

 目玉商品はナスカ平原上空からの遊覧飛行のバーチャル映像シアター。実際に行ったらこんな感じなのか、という気分が疑似体験できて、これでもう行かなくていいや、ってことにはならないが、浮遊感があってなかなか面白い。地上絵に近づいても、すぐ傍まで行かないと気づけなかった。リアルで見ても、同じようになかなか気づかないのかもしれない。

 発掘された土器などがいろいろと展示されていた。お気に入りは「ピーナツの入った容器を持つサル」いいなこれいいな。頭頂部に注ぎ口が突っ立っていて、顔は丸く凹んでいてロボットみたいだ。Tレックス並みの小さい両手でピーナッツらしきものが入ったお椀を持っているケナゲな姿が笑える。両手は立体的に生えているくせに、両足は胴体下部にちょちょいと線で描いただけというやっつけ仕事なところがまたおもろい。他にもけっこうヒョウキンな土器くんがおおぜいいた。土器にはサル、コンドル、ハチドリ、人間などいろいろな生物が描いてある。それらは地上絵に描かれた生き物とほとんど同じようなヘンテコな特徴を持ったものである。これらを見ると、地上絵は宇宙人じゃなくて地球人が描いたんだなぁと納得できる。宇宙人は地上絵なんて描かなかった。もっと別なことで忙しかったからである。
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第39回 日展

2007-12-04 00:17:24 | 美術[な]
第39回 日展@国立新美術館

 国立新美術館でやってる日展を見た。また巨大作品オンパレードである。彫刻コーナーなどは人物の立体作品が等間隔にぎっしりといくつもいくつも並んでいて、その多くが裸像だったりして、ちょっと異様な雰囲気の空間になっていた。後から知ったが、16時30分以降に入場するとトワイライトチケット300円で見られるんだと。しかし作品数がやたら多いので18時閉館までに見終えるには、それなりの見方をしないときびしいかも。んでも、交通費の気にならない人なら、トワイライト2日間で3時間かければ600円で見るのも可能ということか。なんてこった。

◆中西繁:「雨の舗道」:雨に光る道を傘を指した婦人らしき人が歩き去る絵だけど、すごくいい雰囲気。いい雰囲気だけど、雨の街角のなんかやぁな感じのめんどくささもよくわかる作品。

◆服部泰一:「ミッドタウンの見える窓」:レストランかなんかの窓から東京ミッドタウンの夜景が見えている。絵の中に絵があるような不思議な感じがいい。

◆伊砂正幸:「News Paper」:新聞を広げて読んでいるヒト5人。新聞だけが白く浮き上がって、読んでいるヒトの姿は、黒い背景に溶け込んでいてよくわからない。新聞が生き物のように思える。

◆酒井淺子:「高層ビル」:どでかい高層ビルと背景の町並みがまるで写真のようなモノクロームなイメージで描かれている。よく見るとエンピツ画だった。うひょ~

◆中町力:「TOKYO STATION」:東京駅のホームや線路が上から見下ろした構図で描かれている。白と黒のコントラストがいい雰囲気の夜景を作り出している。

◆土長けい:「夜」:自転車に乗ったまま、自販機からドリンクを取り出している少女と、それを待っているもうひとりの自転車の少女。あまりにも日常的な1コマを見たことで笑みがこぼれる。

◆石田育代:「雨やんで」:自転車が何台も停めてある雨上がりの水溜りの脇を猫が一匹どこかへ出かけようとしている図。猫のやたら晴れ晴れしい顔がわざとらしくてちょっと照れるが。

◆遠藤隆稔:「街の灯」:山の上から見下ろした平野の町並み、夜景。街のあかりがドット的にこまごまと描かれている。近くで見ると嘘臭いのに、離れてみると見事な夜景ができあがる。

◆西永昇平:「少年時代・夏」:公園の道を子犬を連れて歩く少年。ただそれだけなのになんかいい感じ。井上陽水の「少年時代」が聞こえてきそう。

◆ジュディ・オング・倩玉:「仙橋抱翠」:お馴染みジュディ・オングの作品もあった。古風な風景に緑が映える。気分が落ち着きそうな作品。
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日展100年

2007-07-29 01:54:30 | 美術[な]
「日展100年」展@国立新美術館

 明治40年に始まって100年を記念した展覧会。有名な作家の作品がたくさん並ぶ。当時は新進気鋭の若手だった画家も、100年経った今では歴史的な大家となっている。そんなアーティストの登竜門のひとつとして、いろいろ姿を変えて100年も続いてきた。ほとんどの人はそんなに長くは生きられないのだから100年は長い。もちろん初めて見た作品のほうが多いし、知らない画家も多いが、あそこで見た、こないだ見た、というような作品も多い。ただ、物故作家に限定し選定ということで、いちばん最近作が1981年。それ以降の作品は入ってない。100年展なのだから去年の作品まで網羅してあってもいいのではないかと思った。「一目でわかる!日本の美術この100年」って書いてあるのに。
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中村宏/図画事件

2007-04-01 23:18:02 | 美術[な]
中村宏/図画事件1953-2007@東京都現代美術館

 今日まで開催していた中村宏展を見てきた。セーラー服の女学生がたくさん列車に乗っている。そいつらの顔は、真ん中にでかい目がひとつだけついている。「円環列車・A」という不気味な作品。列車に乗ったセーラー服の女学生が望遠鏡でこっちを見ている。空飛ぶ列車は大きく弧を描いて小さくなって窓から入ってくる。「円環列車・B」という不思議な作品。なんとなくデフォルメされた人物と、やらたリアルな描写の蒸気機関車や飛行機などとの対比が面白い。全体的にエグい、キモい作風だなぁ。中村宏というひとは、蒸気機関車と女学生が大好きなんだなぁ。きっと。
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ノマディック美術館

2007-03-13 23:59:06 | 美術[な]
 お台場、東京テレポート駅前に、ノマディック美術館を見に行った。ニューヨーク、サンタモニカを廻って東京に出現した仮設移動美術館。グレゴリー・コルベールという作家の個展巡回イベントという感じ。建物は152個の貨物コンテナを組み合わせたもので坂茂(ばんしげる)という建築家の作品。4段に積み重ねて高さ10mの巨大な箱ができあがっている。内部もそのまんま高い天井で、広がりのある空間になっている。建造物だけでも個性的で興味深い。

 グレゴリー・コルベールの作品は象を初めとしたいろいろな動物と人間が一緒にいる情景がセピアトーンで表された写真と映像。人間と動物のふれあい、人間も動物の仲間であることを思い出させるようなやさしさ、静寂感を感じる。中央の大型スクリーンではけっこう長時間のムービーが上映されていて、丸い椅子に座って見ることができる。これがメインだと思うが、薄ら寒いので覚悟しておかないと冷え性の人には辛い鴨新米。4月、5月頃なら大丈夫かな。6月になると逆に暑苦しくなってたりして。

 ミュージアムショップを見ていたら、コレクターズボックス350万円とかいうとんでもない値段のものをみつけて腰を抜かしてしまった。カタログも16800円、絵はがきもまとめて4200円とか。1枚2枚なら買いたかったけど無かったんであきらめた。とりあえず開館直後の平日だからむっちゃ空いていた。あまりに空いていて人の流れが無いから、わけわからず、いきなり出口のほうへ行ってしまった。人間と動物たちが地方巡業、なんかサーカス見に来たような気がした。子供の頃、町の広場にやってきたサーカス団、動物や空中ブランコ、鉄球バイク走行にわくわくして、ブリキの象のバッジをもらって帰った時のような気分である。
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20世紀美術探検

2007-02-20 01:05:21 | 美術[な]
国立新美術館開館記念展
「20世紀美術探検―アーティストたちの三つの冒険物語―」

 先週、ポンピドーを見たので、今週は開館記念展を見に行った。広い展示室6つを使った展覧会だから量的にもすごいのだろうと思っていた。確かにけっこうな距離を歩くので疲れるが、展示スペースを贅沢なもったいないような使い方しているので、思ったよりも楽だったかも。描き終えてないようなセザンヌのラム酒の瓶から始まる静物画の章は充実していた感じで、そのうちに「芸術ってなにさ?え?芸術ってなにだろさ?」と問いたくなるような作品群、そしてデュシャンの便器、有名だから知っているが、別に便器を見て感動はしない。最後は6人の現代作家による展示。細長く仕切られた空間に生け花がひとつ。まさに「芸術ってなに」。技量が凄いとか美しいとかそういう事とは関係ない、見る者がその「作品」の周りを歩いたり、見上げたり、「で、何を言いたいの」と感じる変な気分、やな感じ、いい感じ、そんなものでも芸術の範疇に入れてしまえるのかも。何でも芸術の時代。言ったもん勝ちの時代なのかもしれない。そして「それは芸術ではない」と言うのも「それが芸術だよ」と言うのもひとそれぞれの自由なのかも。んじゃ、どっちでもいいじゃん。

 月曜日が休館の美術館が多い中、ここは火曜日休館で助かる。開館間近のサントリー美術館も火曜日休館、森美術館は年中無休ということで、月曜日に暇なときは六本木がよろしいようで。

小林古径 「白菜図」・・・ガラスの皿に載せられた白菜の絵が、たいそうな掛け軸に飾られている。さりげないギャップにちょっと笑った。

パトリック・コールフィールド 「食堂・台所・居間」・・・記号的なデザインの室内に素焼きの鍋みたいなものだけ写実的に描かれている。これは好き。以前、栃木県立美術館で見た。

ベルトラン・ラヴィエ 「IBERNA」・・・ホンモノの冷蔵庫全面に、ペインティングナイフで塗りたくったような絵の具の痕をつけて模様にしている。これは面白い。このデザインで新型冷蔵庫を販売しても売れるかも。ただほこりが溜まると掃除が大変そうだけど。

ウラジミール・タトリン 「第三インターナショナルのモニュメント」・・・映像作品。実際にはありえないような巨大な螺旋状の建造物が街の中にそびえ立っている様子をCG映像で作ってある。リアルな脅威を感じさせる妙な感覚がいい。
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日本に魅せられた作家たち

2007-02-12 22:36:56 | 美術[な]
2月17日までセシオン杉並展示室という所でやっている「日本に魅せられた作家たち」という美術展に行ってきた。イギリス人アダム・ブースと、アメリカ人スタン・アンダーソン、中国人ヤン・シャオミンの合同展ということだが、1月20日に六本木で見たアダム・ブース作品が気に入ったので、ギャラリートークのある日に行った。自分の作品についての解説などを上手な日本語で語るのを、30人ほどの人たちが集まって聞いていた。俵屋宗達の描いた白い象からインスピレーションを得た「象」が「象のような生き物」になり、「象かもしれない生き物」やら「象だったかもしれない生き物」やら「なんじゃこりゃな生き物」が日本画の中に居て、さらに桃、子供の靴、電球、キーボードなどもさりげなく登場してくる不可解な雰囲気がなかなかオレ好みである。3作家の作品が載っている平成18年度杉並区文化協会美術展の小冊子をもらってきた。
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