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ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

ルーヴル美術館展

2009-02-28 23:55:08 | 美術[ら]
「ルーヴル美術館 17世紀ヨーロッパ絵画」@国立西洋美術館

 初日開館時刻に行ったら行列が動き出していた。でも館内はけっこうな混み具合。入口からフェルメール辺りまでが混雑のピークだった。午後にはもう行列なんてなかったので、なんでも早く行きゃぁいいってもんでもない。

 《レースを編む女》 ヨハネス・フェルメール : やっぱりこの絵の前は大混雑。フェルメール作品だけガラスの衝立の後ろに飾られている。この特別待遇は有名だからか、高価だからか、ちっこいからか←ちがうやろ。ともかくフェルメール作品の中でいちばんちっこいのが来た。23.9cm×20.5cm。だもんで額の面積のほうがでかくて4倍くらいある。この絵を見るたびに、左にある紺色に白線が3本入ったクッションが、畳んだセーラー服に見えてしまうので《セーラー服を編む女》でもよしとしよう。

 《金色の花瓶に活けられた花束とルイ14世の胸像》 ジャン・ブラン・ド・フォントネイ : 入場して3枚目の作品。色鮮やかな花の描かれたこの作品の飾ってある床に、3cm四方くらいの、かなり大きなホコリの塊が落ちていた。どこかからポトリと落ちたかのような、厚みのあるホコリは、壁際の床の上で微動だにせずに威風堂々と佇んでいる。その上には綺麗な花の絵。この取り合わせがちょっと面白くて、混雑でノロノロと進む間、そればっかりが気になって気になって。もう明日はないだろうなぁ、誇り高き埃。

 《襲撃》 17世紀フランドル派 : 青みがかかった美しい風景、繊細に描かれた風光明媚なこの絵の中、木立の中で通行人が盗賊一味に襲われている。ナイフで刺すぞと脅される人、金袋を捜しあてた盗賊、馬で逃げる人を銃で撃とうとする盗賊(←たぶん)。穏やかで大きな風景の右片隅だけ修羅場になっているとは。オサカサシャマでも気が付くめぇ。「おぅおぅとっとと金出しやがれ」 「うひゃぁ金なんてねぇべさ」 「親ビン、ありましたぜたんまりと」 「そうれみろ嘘つくとただじゃおかねぇぞ」 「あれぇ命だけは助けてくんろ」 「親ビンひとり馬で逃げましたぜ」 「逃がすな、殺ってまえ」 「あいあいさぁ」 てなこと言ったかどうだか知らないが、美しい景色ではある。

 《ジョウビタキの巣》 アブラハム・ミニョン : 鳥の巣のそばに魚の死骸やらヘビやら捕まったウサギやら。片足を縛られてブラ下げられた気の毒なウサギくん、たぶん死んでるのだろうな・・・

 《火》 ヤン・ブリューゲル(父)とその工房 : 錬金術の工房でなにやら人々が作業をしている。手前にはなにやらわけのわからぬ道具やガラクタのたぐいが、あかちゃかごちゃごちゃと無造作に置いてある。すこぶる怪しい。

 《ヨハネス・デ・フォスの哲学論文を呈示する天使と寓意像》 ローデウェイク・デ・デイステル : 哲学論文が書いてあると思われる新聞紙のようなものを天使たちが持ち上げて示している。なんだかよくわからんが、いちばん下でちっこい天使がひとり、顔を赤くしてけっこう重そうに哲学論文ボードを支えているのが健気というか不憫で、おい、そんな空ばっか舞ってないで、誰か手伝ったれや!

 《アンドロメダを救うペルセウス》 ヨアヒム・ウテワール : 怪物にさらわれて鎖に繋がれた王女アンドロメダが美しい。王女の足元には鮮やかに輝く貝殻と不気味なシャレコーベ。怪物が食ったにちまいまい。茶色いペガサスに乗って空から怪物に戦いを挑む英雄ペルセウス。海上からそれを迎え撃つのが、そこはかとなく中華風見でウソ臭いドラゴンチックな怪物。この怪物が王女をさらったってわけだ。この絵けっこう気に入った。

 アメ横で980円の海鮮丼を食べたあと、ルーヴル美術館絵画部キュレイターのブレーズ・デュコス氏の講演会を聴講した。フランス語で「アザヴジュヴァン~」とか喋っているのをイヤホンで同時通訳で聞いた。いやぁためになったねぇ~、ためになったよぉ~
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レオナール・フジタ展

2008-11-16 01:32:39 | 美術[ら]
「没後40年 レオナール・フジタ展」@上野の森美術館

「レオナール・フジタ展スペシャルサイト」

 初日の土曜日昼過ぎ、思いのほか空いていて、のんびり見て回ることができた。
今回の目玉は、縦横3mの群像大作4枚。それほど広くないこの美術館の壁面に4枚並んだ姿は、逆に大きさが引き立って、圧倒的なスケールで迫ってくる。

 《ライオンのいる構図》《犬のいる構図》は画面の中で裸の男女がいろいろなポーズでいろいろなことをしている、構図にこだわった作品。《争闘I》は裸の男たちや犬などがあちこちで戦っている。筋肉の盛り上がりが妙に強調されていて、肉妖怪みたいだ。《争闘II》になると女も戦いに加わっているが、画面の上の方ではアンニュイな午後のひと時をダラダラと過ごしているような男女のくつろいだ姿に変わっている。この作品のリアルサイズの下絵デッサンもいくつか展示されている。パリの倉庫に丸められて置かれていたものを修復した様子のビデオも上映されている。

 猫の絵は2点展示されていたが、ベルナール・ビュフェ美術館蔵の《猫》が面白い。何匹もの猫の間に、さまざまな魚や海老などが描かれている。猫にとってはごちそうの山だ。タコをくわえたネコ、おサカナくわえたドラネコ、そんなのが鳥獣戯画のように黒々と画面を横切っている。描かれた猫たちは、かわいいという姿ではなく、エサに囲まれて牙を剥き出して猫じゃ猫じゃ♪と狂喜乱舞している。

 やたら美人に描かれた《イヴ》の背景にはカバゾウライオンサルキリンヘビその他さまざまな動物が、所狭しと描かれていて、なんかのポスターみたいで面白い。

 《仰臥裸婦》は足の先から手の先まで大きな画面でのびのびと描かれていて、お約束の乳白色を楽しめる。

 《アージュ・メカニック》はいちばん好きな作品だった。1958年頃の作品で、部屋の中でたくさんの子供たちが遊んでいる。みんなニコリともしないで過ごしていて、なんかみんな大してかわいくないんだけど(;´o`)その部屋の床やテーブルの上に置かれた玩具やら道具やらが、当時流行っていたらしいレトロチックな雰囲気がして興味深い。

 音声ガイドを借りると、80歳頃の藤田の肉声を聴くことができる。歌まで歌っていた。まあ、ちょっと高めの、そのへんにいるおじいちゃんの声なんだけどね。
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大琳派展

2008-11-02 01:08:30 | 美術[ら]
「大琳派展」@東京国立博物館

 ぐるりと顔を巡らすと、4つの《風神雷神図》がパノラマのように視野に入ってくる。そのなんとも贅沢な空間の真ん中に佇み、いつまでもキョロキョロ見キョロキョロ、合わせてキョロキョロ夢キョロキョロ。

(1)歴史を感じさせる重厚な風合いの俵屋宗達の《風神雷神図》

(2)デラックスに仕立て直したリニューアルオープンセールのような尾形光琳の《風神雷神図》

(3)さらにアニメチックに笑いを取りに行ったかのような酒井抱一の《風神雷神図》

(4)サイズも彩りも変えて新しい世界に踏み出したような鈴木其一の《風神雷神図》 ふすま8枚に広がった銀地の天空を走るカラフルな神々もなかなかいい感じ。

 8人も風神雷神が集まったら、天気も大荒れになりそうだが、今日はやたらいい天気の3連休初日でもあり、激混みではないが、けっこうな賑やか状態の中、ようやくリンパ戦。

 対決展でも出てきた《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》はやっぱり好き。俵屋宗達の鶴の絵に、本阿弥光悦が書がベストマッチングでまいっちんぐぅ。

 尾形光琳と鈴木其一の《三十六歌仙図屏風》:プライスコレクション展の時は酒井抱一の《三十六歌仙図屏風》が出ていた。どうもひとり足りないと思っていたら「やんごとなき人」は後ろに隠れているんだとか。便所に行ってるわけではなかった。ひとつの部屋でアーダコーダワイワイやっててまるで歌人オフ会みたいだ。

 鈴木其一の《秋草・月に波図屏風》:2枚の絹地に別の絵を描いて重ねてあって、小ぶりながら、裏から光を当てると月と波が浮きだしてくるというビックリアート。

 尾形光琳の《秋草図屏風》:いろいろな草花の咲く中、白い菊の花びらが立体的に盛り上がって和菓子のようで旨そうだ。

 俵屋宗達の《白象図杉戸》:窮屈なくらい扉いっぱいに描かれている白いゾウは迫力満点、しかしゾウのくせに悪辣な目つきをしている。きっと人喰いゾウにチガイナイ!

 鈴木其一の《歳首の図》:掛け軸に絵を描いた紙を貼ってあるのは普通と変わりないが、外側の表具部分に描いた木の枝が、内側の紙上に入り込んでくるという不可思議な内外リミックス作品。あれだね、夢と現実の境界が曖昧になってきて今が夢なのか現実なのか判らなくなって、ってパプリカじゃんか。

 というわけで巨大な図録は買わずに、尾形光琳の扇子を買ってしまった。モノクロームの鳥獣戯画扇子と比べると、派手派手しい扇子であるなぁ。
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ロートレック展

2008-02-27 23:43:13 | 美術[ら]
ロートレック展@サントリー美術館

 大観と卒展でかなり疲れたが、せっかくだからハシゴした。
ロートレックのポスターや油彩、版画などを展示。モデルになった綺麗な踊り子などの写真も展示してあったが、ロートレックの絵では、まるで嫌がらせかのように変な顔つきに描かれている。ちょっとポッチャリ型のモデルなんかもスマートに描くのならまだしも、拒食症みたいにガリガリに描いていたり。それでモデルも逃げちゃったとかいう話も書いてあった。

 アリスティド・ブリュアンのポスター、別の店のポスターを作成するときに、以前の作品を左右逆にして作ったというふてぶてしい行為も笑える。

 「首吊り」 : 小説の場面とはいえ、ベロ~ッと舌を出して首をつっている姿を父親が見つけるシーンを描いている。ほかとは違った雰囲気の作品だった。

 日本が好きだったというロートレックが着物を着て、変な人形を抱えた写真もあった。違和感ありすぎて、とっても胡散臭い奴に見えた。

 サントリー美術館はロッカーが少なすぎる。全部使用中だったので上着を着たまま、カバンも肩にかけたままで見学したので疲労も倍増である。展覧会のハシゴもほどほどにしないと、あれだな。
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六本木クロッシング

2007-12-03 23:30:02 | 美術[ら]
「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展@森美術館

 36組の日本のアーティストの作品を展示する。なんとなく漠然としたテーマだから、なんとなく見て歩くにはちょうどいいかも。日曜日の午後なのにゆったり見られた。音声ガイドは無料で借りることができて、「もっと詳しく知りたい方は赤いボタンを押してください」とかいわれてボタンを押すと、さらに解説が始まって、ずっと耳にあてっぱなしだったりして。なかなか奥が深いガイドである。

◆立石大河亞 : 「ミクロ富士」「壺富士」「車内富士」「FUJI HI-WAY」:この人の富士山シリーズが面白い。富士山がいつのまにかクラインの壺みたいに内外入れ替わったり、車外の景色が車内に入り込んできたり、ハイウエイを走っているクルマの遠近法が逆転していたり、その不思議なイメージに感動。

◆吉村芳生 : 壁に何枚も新聞紙が貼り付けてある。しょーもねぇ、と、通り過ぎてしまいそうだが、ちょっと足を止めて目を近づけてみると、それは全て鉛筆で書いた新聞記事だった。文字だけでなく、写真や広告まで全部を鉛筆で書き写している。なんという暇な、じゃなくて根気だと驚く。

◆田中偉一郎 : 「ハト命名」「刺身魚拓」「子づくり表札」「トーナメント・モービル」「こけしいきいきマリオネット」:芸術というかなんというか、お笑いネタみたいなモノがいろいろとある。これがまた妙にツボにハマる。クラインのツボにハマる。

◆榎忠 : 「RPM-1200」:拾い集めた金属のシャフトみたいなものをギンギラギンに磨いて加工して、並べ立てたら未来都市が出来上がった。薄暗がりのスポットライトにメトロポリスが幻想的に浮かび上がる。そのSFチックなイメージに胸がときめく。

◆冨谷悦子 : 小さなエッチングをよく見ると、細かい動物がいたりする。細かい、コマカイファンタジー。

◆中西信洋 : 「レイヤー・ドローイング」:35mmポジフィルム24枚を束ねた作品。それぞれのフィルムにはさまざまなものが時間差的に撮影されていて、その画像がミルフィーユのように積み重なって、擬似的な立体を作り上げている。これはすごくおもろい。

◆内山英明 : 東京の写真がいくつも飾ってあったが、その中に渋谷のガンダム専門学校(青山製図専門学校)を後ろから写した写真があった。後ろから見るとますますスゴイなぁ。
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国立ロシア美術館展

2007-06-18 00:02:46 | 美術[ら]
サンクトペテルブルク 国立ロシア美術館展@東京都美術館

 「アートで候」のチケット半券を見せれば半額になるので見に行った。意外に凄い。ほとんどが写実的な作品で、アレクセイ・サヴラーソフ「早春」、ピョートル・スホデリスキー「村の昼間」、イヴァン・シーシキン「冬」、アンドレイ・ポポフ「村の朝」、ヴァシーリー・ポレーノフ「モスクワの庭」などが好きな作品で、中でもイヴァン・アイヴァゾフスキーという作家の作品が気に入った。「アイヤ岬の嵐」「穏やかな海岸、凪」もよかったが、「月夜」がいちばん凄かった。なんという夢のようなリアリズムなのだろう。まいったまいった。
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霊験仏

2006-10-30 00:40:19 | 美術[ら]
 仏像シーズンというか、東京国立博物館「仏像展」の余波で、神奈川県立金沢文庫へ、霊験仏「鎌倉人の信仰世界」という特別展を見に行った。横須賀・満願寺の観音菩薩と地蔵菩薩の立像が、どちらも2メートルを超える巨体で静かにそびえ立っていて壮観だった。阿弥陀如来の裸形像というのも興味深かった。元は布の衣服を着せていたらしいが、今は何も着ていない。

 金沢文庫の展示スペースはそれほど広くなく、来客もまばらなので、静かな環境で仏像と対面しながら、まったりとした時を過ごせた。まばらと言っても、時々、集団がどっとやってきたりする。朝はほとんど人のいなかった称名寺の庭園も、仏像を見終わって出てきたら、けっこうな賑わいになっていた。やはり朝一で来るのは気持ちがよい。
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ルーヴル美術館展

2006-08-15 00:13:31 | 美術[ら]
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2006/louvre/louvre_ja.htm

 東京藝大美術館の「ルーヴル美術館展」に土曜日の朝に行ってきた。並びもせずにゆったり見たかったら早起きしよう。展示品は全て立体作品。ミロのヴィーナスの立体解析3Dムービーもやってた。気に入ったのは「アリストテレスの肖像」。隣には「ソクラテス」と「鼻もげらなプラトン」もあった。「ソクラテス」もよかったが、「アリストテレス」の皺とテカリとニヤケた表情がよかった。鼻もげらな作品がいろいろあった。発掘したりすればもげててもしかたないが、やっぱり残念である。「腕」がない、「頭」がない、よりも、「頭」があるのに「鼻」がない、というのが、より残念感が高い。潔くないからだろうか。

 昔ルーヴル美術館を訪れた時には、「腕もげらなミロのヴィーナス」と「首もげらなサモトラケのニケ」を四方八方から見られて感動した。その反面、ガラスケースに守られた「含み笑いなモナリザ」を見たときは、それほど感動しなかった。そこだけはクロヤマノヒトダカリで防御ガラスには反対側の作品が映りこんでいる。「そこにあのモナリザがあるっぽい」という感じ。絵を見たというよりも、絵のある場所を見てた。

 帰りに「ダリ回顧展」の前売り券を買って帰った。死んだり寝たきりにならん限り絶対行くから。

      -----(∵)-----

 ところで、東京で停電というニュースが流れた。時が時だけにテロか? レックス・ルーサーの仕業か? いろいろ思い浮かべてしまう。結局、東京電力の送電線にクレーン船が引っかかったらしいが、その程度の事故で東京が麻痺してしまうのだから、やはり都会は弱いなぁ、と思う。山手線なども、止まっている路線の振り替え輸送で混雑するかと思ったら、お盆休みで電車が空いていたので、そうでもなかった。立ち往生するゆりかもめがテレビに映っていた。幸いそれほど混雑していなかったようだが、真夏日に空調も効かない電車内に監禁されるのはむごい。オール電化ってのは、やっぱ、マズイかも・・・。
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