不条理み○きー

当面、きまぐれ一言法師です

「あたま山」を観る

2004年11月03日 23時52分52秒 | Anime
 このタイトルを見て、落語に詳しい方は「あれっ」と思われたかもしれない。

 「あたま山」といえば、シュールな落語の名作である。
 文化年間から小話やまくら程度に演じられていた物を、八代目林家正蔵(晩年 林家彦六)が膨らまして一席にまとめたモノだそうだ。
 もちろん、江戸前の落語なので、タイトルは「愛宕山」とかけてある。

 「シュール」というのは、強引に言えば「ふぇち」と少し似ていて、物事のある一面を捉えて誇張して表現している、と思うとわかる気がする。
 それゆえに、作者の「捉え方」と自分の「感性」の方向性が合わないと、全く理解不能に陥る。
 「シュールレアリズム」の「絵画」等は良い例かもしれない。

 ここで、話を戻そう。

 今日観たのは、NHK BS2で放送されていた「ヤマムラアニメーション」作製の「頭山」である。

 舞台が現代に置き換えられているほかは、ほぼ、忠実に「落語 あたまやま」の世界が再現されている。
 最後の「オチ」を映像で、どう表現しているのか、とても期待してみていたのだが、まあ、60点くらいの出来であった。

 で、困ったのは、家族が見終わって、
 「どういう意味?」
と聞かれた時である。
 もちろん、説明は出来る。
 が、それを「なるほど」と納得してもらえるかと言えば、そうではないのである。

 元々、「落語」と言うのは、小道具も無く衣装も無く、「口演」のみで客のイメージのかなに様々なものを思い起こさせる「演芸」である。
 実は、これに類する物は、日本以外には無く、昔、桂 枝雀が、海外公演のときに苦労したと言う話がある位だ。
 その中でも、この「あたまやま」は、観客のイマジネーションへの挑戦とも言える作品である。

 「あたま」の上に、花見客が来て、船が出る。
 そして、最後は「あの」オチなのだ。
 結構、シュールで上級の笑いである。

 で、案の定、うちの家族は「頭の上に花見客が出る」辺りから、ついてこれて居ない。
 この作品が「面白くするために強調したい」方向に、感性があっていないのである。
 なので、説明しても「???」なのである。

 それを責めても意味が無い。 
 先に書いたとおり、「シュール」にも、合う、合わないがあるのである。
 なので・・・。
 
 もうカンベンして。お父さんは、これ以上は説明できないの

 参考:PHP文庫 千字寄席

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
シュール (すしバー)
2004-11-04 09:28:29
こんだけ、シュールな落語も他にありませんし、この世界は図案化不可能と言われてますから、それに挑んだだけでもすごいことかもしれません。

それだけに、頭山を演じることの出来る落語家ってのもなかなかいませんし(あくまで面白く演じることのできる人)怪作ですよね。

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演者の技量 (ぷよぱぱ)
2004-11-04 10:11:13
★すしバーさん

 それって、これに限らず落語全般で大事な話しですよね。

 最近は、寄席の放送って少なくなっているので、「落語」に接する機会自体が減って今すけど、たまに飛行機の「JAL寄席」とかで「ああ、このネタ、掛かっている」と思って聞いたときに、技量が無くてがっかりする事もあります。

 落語って、今後、どうなるんでしょうねぇ。
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こんにちは。 (Ken)
2004-11-04 12:57:52
落語は話芸ですからねえ。

他の表現方法に置き換えると、筋書きだけになってしまい、

面白さが消えてしまいそうです。



シュールな落語といえば、僕は「粗忽長屋」が好きなんですよ。

あれって、P.K.ディックだと思いません?
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ディック! (ぷよぱぱ)
2004-11-04 19:23:51
★kenさん

 そうなんですね。

 「話芸」なので、知っているからと言って、素人が話しても面白くないし。^^



>シュールな落語といえば、僕は「粗忽長屋」が好きなんですよ。

>あれって、P.K.ディックだと思いません?



 「粗忽者」って、結構シュールな行動に描かれがちですよね。

 でも、「ディック」と来ましたか。

 思いも付きませんでしたが、なるほど、と言う感じです。

 ぢゃ、「粗忽長屋」を、ハリソン・フォードとシュワちゃんで
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そこが、あたしの寝床なんです (DDT)
2004-11-04 23:35:31
大衆娯楽であったはずの落語が、いつの間にやら古典芸能のようになってしまった。

原因のひとつとして、聞く側の感性の鈍化があると思います。

今は、何でも具現化、いいかえれば映像化、ビジュアライズされてないと、受け手側が理解できなくなってるような気がします。

落語のように、観客のイマジネーションに訴えかけるような芸は、はっきり「こういうもんだ」と見せ付けないと理解できない現代人の多くには、受け入れにくい芸となっている、そんな気がします。

もっとも、落語に出てくる言葉、言い回し、道具、場所などが、現代では馴染みの薄いものが多いことも、落語が沈みかけてる原因だとは思いますが。

いずれにせよ、一平まで真打になれるようじゃ、落語界の未来も明るいとはいえないでしょう(毒)
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真打! (ぷよぱぱ)
2004-11-05 00:10:10
★DDTさん

 落語協会(?)のやっている「真打制度」は、年功序列ですからね。

 一度も「落語」をやっているところを見たこともない人が、「真打」なのは、どうなんでしょう??

 「観に来ないほうが悪い!」とも言ってはいられないと思うのですけど。
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自分で思うに (すしバー)
2004-11-05 21:17:41
私のオチのある文章は、かなり落語的だと思ってます。

落語のシュールさって、「考え落ち」なんですよね。それがすごく好きで。

落語の中では「芝浜」みたいな人情噺が好きだったりします。
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人情話 (ぷよぱぱ)
2004-11-05 23:23:32
★すしバーさん

 いいっすよねぇ。人情話。

 芝浜、渋いです。

 「子はカスガイ」とかも好きで、小学生から

 嵌っていました。
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Unknown (take)
2004-11-06 11:16:34
はじめまして。

落語につられてやってまいりました。

私は、談志師匠が大好きなだけで、落語好きとはいえないのですが。

師匠の「芝浜」は絶品ですね。涙なしには観れません。



>聞く側の感性の鈍化

なるほど、聞きなれないとホント疲れますよね、落語って。口承文芸って身近にありませんものね、今。
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感性の問題 (ぷよぱぱ)
2004-11-06 21:22:57
★takeさん

 いらっしゃいませ。

 談志師匠も良いですよねぇ。

 何より「浜芝」の奥さんの度量に驚きますよね。

 元来、日本は「賢母」の国と言う言葉もあるようで

上手に泳がされている身にとっては、あらためて

かみさんに頭が下がります。



>>聞く側の感性の鈍化

>なるほど、聞きなれないとホント疲れますよね、落語って。口承文芸って身近にありませんものね、今。

 そうですねぇ。

 感性ももちろん、環境も無いですよね。現在。





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