紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

『蠱猫 人工憑霊蠱猫01』化野燐

2005年06月20日 | あ行の作家
これはもしかしたら、全部読んでから感想を書いた方が
いいのかもしれません。続きモノなのです。

両親と決別したはずの美袋小夜子は、司書として学園に戻ってくる。
そこでの彼女の仕事は、まるで蔵そのものの書庫の整理。
祖父の遺した蔵書をひも解いていくうち、奇妙な“事件”が起こり…。

化野燐といえば、在野の妖怪研究家(ホントか?)として
有名な方ですが、“満を持して”発表されたこの作品。
私の感触からいいますと、まだまだ、全然本領発揮、とまでは
いきませんね。だから、余計に物語の壮大さを予感させるというもの。
京極夏彦がいろいろと協力しているようで(呪符のようなものを描いたり)、
そっちでも興味がそそられようというもの。

ただね。まだまだなんにも見えてこないのですよ(^^;)。
実は、主人公すらハッキリしてない感じ。たぶん、小夜子なんだろうけど、
後半から視点が変わって、それまでの話とつながりの見えない物語が
始まったりして、結局、何がなんだか分からないまま終わってしまったのです。
なので、2巻目『白澤』に期待…したいのだが、まだまだ続くで
あろうことを考えると、次作で何かが見えてくるかどうかも疑問なのですが。
それでも、妖怪好きにはたまらないお話だと思います。
や。“妖怪好き”とひとくくりにしちゃいましたが(笑)、
ある種ファンタジーですし、冒険小説ですし、なんならハードボイルドにも
できないことはない(無責任)。とりあえず、いろんな可能性を秘めている
作品には違いない。…あとは好みの問題かな(笑)。


蠱猫 人工憑霊蠱猫01』化野燐(講談社ノベルス)