紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

『夜のピクニック』恩田陸

2005年09月28日 | あ行の作家
オンライン書店ビーケーワン:夜のピクニック夜のピクニック』恩田陸(新潮社)


第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞受賞作。
帯に、“ノスタルジックでリリカルで、いつまでも読み
続けていたい作品”と、池上冬樹の言葉がありますが、
まさしくその通り。夜通し80キロもの道のりを、ただ
歩き続けるだけ、という高校生活最大のイベント「歩行祭」。
私の記憶に当てはめるならば、修学旅行といったところでしょうか。
厳密にいうと私の学校は「修学旅行」ではなく、箱根の山奥に
篭もる「合宿」だったので、それほど楽しくはなかった(笑)。
でも、「歩行祭」も“しんどい”イベントではあるわけですよね。
しかしながら、“高校生活最後のイベント”“最大のイベント”となると、
“これだけはしておかなくちゃ”という気持ちになるんです。

甲田貴子もそんな1人でした。前半はクラスメイトたちと歩き、
仮眠を取った後の後半は、仲の良い友人と歩こうと決めていた貴子。
彼女はこの「歩行祭」で一つの賭けをしていたのです。

ノスタルジーの神様などといわれている恩田さんですが、それだけ
じゃないですよね(当然ですが)。確かに、高校生活最後の一大行事を
舞台に繰り広げられる青春物語、といった趣なのですが、
たかだか1泊2日を友人たちと過ごすだけの話が(歩いてはいますが)、
こんなに楽しくて切ないものだとは、想像できないでしょう。
高校生活って、高校時代って、こんなに大切なものだったのか、と、
改めて思い知らされました。もっと大事に過ごせば良かった!(笑)。

ネバーランド』のような“閉じた世界”ではあるのですが、
だからこその魅力。その辺に私は激しくそそられるんだなあ。

2 コメント

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映画化作品の撮影に参加したものです^^ (けん)
2005-10-31 19:58:26
夜ピクいいですよね~。映画化作品情報です↓http://blogs.yahoo.co.jp/kyoto_wayfarer/10316004.html
うらやましい! (紫微)
2005-12-11 16:12:56
けんさん、初めまして。

コメントありがとうございました。

映画化ですか。キャストもみな若くて楽しそうですね。

私も、主役の2人はぴったりだと思います(^-^)。