超芸術と摩損

さまざまな社会問題について発言していくブログです。

超一流校の「不祥事」「イジメ」「内紛」学校説明会では質問できない「名門中学校」裏事情ガイド

2011-05-18 01:50:26 | 週刊誌から
 間もなく入試の季節。中学受験戦線の頂点に君臨する名門中学でも不祥事は起き、風説となって受験を考える親の不安を煽っている。そこで、学校説明会では聞きにくい名門校の裏事情について、各校に直撃。各校の説明からも、見えない校風が挟り出された。

 開成168人、灘103人、筑波大附属駒場100人、麻布91人、桜蔭67人、聖光学院65人、駒場東邦61人、栄光学園57人……。
 2010年の東大合格者数を高校別に並べると、上位はすべて中高一貫校である。これら名門中学と、ゆとり教育に汚染された公立中学を天秤にかければ、09年も首都圏だけで約6万人、小学6年生の5人に1人が、国私立(最近は公立も)の中高一貫校を受験する理由が、自ずと推し量られよう。
 年が明けると西日本や千葉、埼玉の中学で入試が始まり、2月1日に東京、神奈川でも解禁になる。不況の影響で11年の受験者は、
「前年に比べ、4~5%減ると思われます」
 森上教育研究所の森上展安所長はそう言いつつ、「しかし」と続ける。
「上位校はむしろ受験者が増加するでしょう。東大合格者数が伸びた学校が人気を集め、今年度は駒場東邦や攻玉社、聖光学院などです。高校募集をやめて完全な中高一貫になる海城も人気。女子校も、東大合格者が増えて学費も安い豊島岡女子学園でしょうね」
 また、受験に詳しい精神科医の和田秀樹氏は、
「いい学校に来る勉強ができる子は、親もしっかりしていて、愛情もきちんと注がれていることが多い。だから、進学校では問題が起きる可能性が低い」
 と言い、それは大学進学と並ぶ、親のもうひとつの期待である。が、むろん、名門校とて、問題がまったく起きないわけはない。「不祥事」を耳にして不安を募らせる受験生の親は多く、さりとて、学校説明会ではネガティブな質問はしにくい。そこで、各学校の知られざる“裏事情”について、学校に直接聞くことにした。
 東京の“男子御三家”から始めよう。09年夏、開成高校3年生が自宅に放火、祖母を焼死させる事件が起きたが、その後、学校はどんなケアをしたのだろうか。しかし開成学園は、根橋敏郎教頭名の書面で、
「個人のプライバシーの問題でもあるので、お答えできません。そのつど適切に対応しております」
 と答えるだけである。
 次に、橋本龍太郎、福田康夫の両元首相や自民党の谷垣禎一総裁など、錚々たる顔ぶれが輩出している麻布中学。校則がほとんどない自由な校風で知られ、不祥事もよく聞こえてくる。
 10年1学期に高校生が窃盗で退学になったとの話が伝えられたので、彦坂昌宏校務主任に聞いた。すると、
「退学者が出たのは7、8年ぶりですので、大きなショックに包まれました」
 と認めて、説明する。
「学内で他の生徒の財布から数千円単位でお金が抜かれることが2、3カ月の間に多発したので注意していました。犯人がわかり、本人も認め、話し合いがもたれ、本人も学校には残れないとのことで自主退学の形を取りました。その後、校長が一学期の始業式で、自由には表裏一体で道徳的観念が必要だと改めて指導しました。本校では問題が起きると、必ず保護者と生徒に事態を説明します」
 昨年5月、文化祭の後夜祭で生徒が投げたマイクが女子高生に当たりケガをさせた、という話もあるが、
「事実です。音楽に合わせのて数名の生徒がおもちゃのマイクを手に踊って最後に投げ、1つが女子生徒の顔に当たったのです。補償は生徒の保護者たちと学校によって済んでいますが、今後も綿密に連絡を取り合って、経過を伺っていきたいと考えております」
 情報は包み隠さないという姿勢らしく、良し悪しはともかく、開成とは対照的な校風のようである。
 
 続いては武蔵。
「在校生の保護者から“休講が非常に多い”と聞いて不安になっています」
 と、ある受験生の母親が言うので、学校に問うと、
「保護者からの意見なども随時聞く姿勢をとっておりますので、取材の必要はないかと存じます」
 残念ながら回答者は名前も名乗らない。森上氏は、
「武蔵はプライドが高い」
 と言うけれど……。
 10年の東大合格実績で武蔵の24人を大きく上回った駒場東邦では、10年夏に水泳部で、中学生に液体を飲ませるなどのイジメがあった、との情報がある。河内輝明教頭に尋ねると、
「うちの学校もイジメはありますし、万引きも起こります。そういうときはどこが悪いかなどを、生徒を集めて言い聞かせ、保護者にも事実を伝えます」
 こう前置きして、言う。
「10年の夏休み、水泳部で集団のイジメがあったと発覚しました。苛められた生徒から9月頃、教員に申告があり、調査して事実と判明、間もなく当該クラブの保護者にのみ事情説明しました。ことさらに事を大きくしたくないという判断です。話に尾ひれがつくのが一番怖いのです。一方、生徒には、やったことがよいことか、悪いことか、それだけを考えさせました」
 ちなみに中学受験塾の四谷大塚の偏差値は、開成71、麻布67、武蔵63、駒場東邦65。パラつきは小さいが、学校の対応には、偏差値では測れない差があるようだ。
 続いては神奈川。同偏差値67の聖光学院は、徹底した受験指導で進学実績を急伸させてきたが、
「受験に直結しない理科の実験が少ないらしい」
 と受験生の保護者は不安顔。ネットにもそんな書き込みが多いので、学校に聞いた。すると理科の教員でもある村山郁男教頭は、
「ネット情報にお答えするつもりはありません。理科の実験が少ないかどうかもお答えしません」
 やはり神奈川で、偏差値63の浅野はどうか。09年10月、高校生が校舎から転落死したが、出井善次教頭と前田渉高校部長は、
「子供たちの気持ちを考えて対応し、お父様、お母様にも嘘偽りなく話すという基本姿勢は崩しません」
 と言って、続ける。
「昨年、悲しいことに高校の生徒が1人、事故で亡くなりました。警察の判断は事故とのことです。早い段階で当該学年の生徒に説明し、続いて、他の学年に起こったことを説明し、3~4日、学校を休業にしました。その間にお父様、お母様方への説明集会を午前1回、夜2回行い、日が経ってからPTAや新入生、受験生の保護者にも説明しました。また、当該学年の全生徒と面談を行い、カウンセラーの数を倍にして心のケアを行いました」
 逗子開成は09年、理事長が校長や教頭を解任、前教頭が理事長を提訴したと報じられた。袴田潤一校長は、
「訴訟があったのは事実ですが、お話しすることはありません。事実関係を申しますと、前理事長は09年末までが任期で、理事会評議会で選任されませんでした。前教頭は復職しています」
 古傷に触れられたくないのは、08年2月に中学生がイジメを苦に自殺した多摩地区の桐朋も同様で、
「具体的な内容についてはコメントを控えたい」
 と、荒井嘉夫高校部長名で返答するに止まった。当時、高校生だったOBは、
「なぜ起きたのか僕らに説明はなく、マスコミにも情報を出さないので、隠蔽だと考える生徒が多かった」
 と話すのだが……。

 女子校はどうか。東京の“女子御三家”筆頭、桜蔭では、成績不振者に他校への転出を奨めると言われている。真偽を質すと、マスコミの取材には、原則として答えないのだそうで、
「知りたい人は保護者会にくればいい」
 豊島岡女子学園では、鬱病を理由に解雇された女性教諭が、裁判で解雇の無効を訴えている。学校は、
「係争中で答えられない」
 と言うので、原告である元教諭の支援者に聞くと、
「03年頃、校内で盗難が多発し、保護者から被害届を出したいと相談されて上司に話すと“被害届は出さないでもらえ”。1人で対応させられているうちに、鬱病と診断され、業務多忙でさらに悪化……」
 10年は、東大に24人が合格して話題になったが、そこに至る過程には、いろいろ苦労もあるようだ。
 関西の中高一貫校で不祥事というと、06年に高校1年生が自宅に放火、義母と弟妹を焼死させた東大寺学園を思い出す。東大と京大を合わせて100人以上の合格者を出している名門だが、櫟原聰教頭は、
「問題が起きれば、責任のある地位のものが応対させていただくつもりです。大きな事件以外では、たとえばイジメを受けたら、担任を中心にカウンセリングの場がもたれます。苛めた側は厳しく処分します」
 関西でトップの灘でも窃盗が起きたという。成田雅英教頭に尋ねると、
「本校は中1から高3まで担任団が替わらず、キメ細かに生活指導を行っています。ご指摘の通り10年、生徒による窃盗はありました。その生徒は本校に在籍中なので、詳しいことは教えられませんが、学年集会を開いて保護者への説明も行ったことは述べておきます」
 兵庫で灘に次ぐ甲陽学院では最近、生徒が生徒を刃物で傷つけた、という。
「9月の文化祭の準備期間、仲間うちで言うことを聞く、聞かないという諍いの中で、その生徒が篆刻刀を相手に向けてしまった。不慮の事故に近いと思っていますが、当事者の親を学校に呼んで説明した上で、加害生徒は自宅謹慎にしました。その間、担任が毎日、自宅を訪問、ケアしました」
 大川貴史教頭がそう答えたが、ここも東大と京大を合わせ、100名近く合格している名門校である。
 それにしても、天下の名門校といえども様々な問題を抱え、日夜解決に腐心しているものである。
「不思議なもので、この取材対応の結果は各校の校風や、私たち専門家の間での評判と見事に符合します」
 と、教育評論家の尾木直樹氏が驚いて言う。
「私が“いいな”と思うのは駒場東邦、麻布、浅野の3校。生徒の主体性を大事にする風通しのいい学校で、教師の質も高い。開成や聖光学院、武蔵はどうでしょう。開成や豊島岡女子、逗子開成の“係争中”や“プライバシー”という文句は、その通りですが、もう一歩踏み込んでほしい。桜蔭も残念。甲陽学院と灘は評価していいでしょう」
 そして、こう続ける。
「情報開示は学校選びにおいて、極めて重要なポイントです。人間的な温かさや度量の広さ、良識レベルの高さなどで学校を選ばなければいけません」
 偏差値万能からそろそろ脱すべき、ということか。

週刊新潮2010年12月30日・2011年1月6日新年特大号
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地方を潰す「イオン不況」の研究 「岡田幹事長」一族がシャッター商店街を量産している!

2011-05-17 01:46:36 | 週刊誌から
ジャーナリスト 鎌倉三次

 イオングループは、岡田克也・民主党幹事長の実兄、元也氏が社長を務める日本最大手の流通企業だ。社是とする「スクラップ&ビルド」の掛け声の下、強引な出店、撤退を繰り返し、地方にシャッター商店街を量産しているという。弱者を挫く「イオン不況」研究。

 イオングループは関連企業約190社を数え、スーパーやショッピングモールにコンビニを含めると全国に2000もの店舗を展開している。その売り上げは連結決算で6兆円に迫る巨大企業だ。現在、民主党の岡田克也幹事長の実兄が社長を務め、社を挙げて岡田氏の選挙をバックアップしていることでも知られる。
 しかし、紛れもない日本のトップ企業であるこの会社、巷での評判は芳しくない。出店や撤退に関して無茶を繰り返しており、非難の声が後を絶たないのだ。
 明治学院大学準教授で都市計画の専門家、服部圭郎氏は言う。
「アメリカのショッピングモールの進出、撤退で街が壊された事例を研究すれば、イオンで同じことが起きると簡単に予見できたことだと思いますけどね。アメリカの場合、ウォルマートが過剰に郊外に展開した結果、ニューメキシコをはじめ多くの都市の中心部が壊滅的状態になりました。日本はなんでもアメリカから20年遅れて同じ結果になる。イオン=ウォルマートで、同じ轍を踏みつつあります」

 和歌山県海南市のJR海南駅から徒歩で約15分のところに、商店街の残骸がある。栄通り商底街だ。かつては八百屋や米屋や床屋だったであろう看板の文字が散見されるが、シャッター街を通り越してもはやゴーストタウンの様相である。
「もう大昔のことになりますが、30、40年前はこの辺りは海南一の繁華街だったんですよ」
 と話すのは、海南中央商業協同組合(以下、協同組合)の伊織正和代表理事である。
 そこへイオングループのスーパー、ジャスコが進出してきたのは、昭和42年のことだ。
「確か、近畿1号店ってことで、土地を買わないイオンさんが土地を買って、『絶対に撤退しない』ちゅうことで進出してきはったんですわ」(同)
 イオンは、また同時期に協同組合と地代や経費などを折半し、ジャスコそばに商業施設『ショッピングタウンココ』(以下、ココ)をオープンさせた。
「その結果、旧商店街の栄通りの買い物客はみな、駅そばにできたジャスコやココに集中しました。栄通りはあっという間にシャッター商店街になりました」(同)
 ところが、平成13年、先の口約束をあっさりと反故にしてジャスコ海南店は撤退。平成19年にはココからも手を引いた。
 ジャスコの跡地は、病院用地として地元が引き受けたが、ココのイオン側の持ち分は、ファンド会社に売却された。協同組合事務局の小池令也氏が説明する。
「イオンさんは、儲からなくなったので、我々に相談もせず地上権を手放したのです。ところが、そのファンド会社は、地代などを2、3カ月払っただけで、後は知らんぷりです。溜まった地代は7000万円以上に膨らみました」
 協同組合は、仕方なくジャスコが撤退した後に半分のスペースで細々と営業していたが、結局ココは22年5月に全店閉店に追い込まれた。今はその一角に宝くじ売り場が残るだけだ。
その後、協同組合とファンド会社は裁判沙汰になった。前出の伊織代表理事によれば、
「最終的に我々が3000万円でジャスコがファンド会社に売った地上権を引き受けることになりました。しかし、ファンド会社は未納分の地代を払おうとせず、未だに話し合いは続いています。いったん閉めた店を再開するちゅうても簡単なことやない。イオンゆうたら大企業やないですか。なんや得体の知れないファンド会社に売ったら、それでお仕舞いってのはあまりにも無責任やないですか」
 海南市の駅周辺には、ジャスコの大きな跡地があるばかりで、これといったスーパーもない。地元の市会議員によれば、
「ジャスコにかき回された典型的な町ですね。お年寄りや交通弱者は買い物できる場所がない。イオングループの出店、撤退は郵政民営化なんかよりもっと身近で重大な問題でした」
 元々、イオングループは「スクラップ&ビルド」や「大黒柱に車をつけよ」を社是としている。従って、海南市のような不可解なことが起きた例は枚挙に遑がない。
 先の服部准教授が話す。
「私が呆れたのは、高松市のケースです。広島に本社を置く『ゆめタウン』というショッピングモールを挟んで、ジャスコとイオン系のスーパーを作った。しかも、スーパーの方は、明らかに倉庫に転用できる建物でした。ゆめタウンを挟撃して潰した後、その地域を独占するつもりでしょう」

 イオングループは、出店に際して、地元行政とタッグを組んで、結果的に地元住民に多大な負担を強いることも少なくない。
 場所は変わって、大阪府の泉南市である。平成16年秋に、ジャスコを中心に170の専門店を合わせ持つショッピングセンター「イオンモールりんくう泉南」をオープンした。面積は甲子園球場が4個も入る日15㌶の広大さだ。
 このオープンに際して、イオン側が大阪府に求めた条件は、すでに3本ものアタセス道路があるにも拘わらず、新たなアプローチ道路となる市道の「信達樽井線」の延長整備だった。別名、「イオン道路」と呼ばれている。その予算は、ざっと65億円にも上る。当然、議会は紛糾したが、
「大阪府からの圧力もあって、大阪府ではなく市の予算で賄うと市長先導で押し切られてしまった」
 とは、地元の市会議員。
「それでなくても泉南市は500億円以上もの借金を抱えていたんです。イオン道路に予算を回すことで、学校など公共施設の改修や市民病院の建設の見通しが立たなくなりました。市民には保育料の引き上げや住民健診の有料化などという形で跳ね返っています」
 なぜ、イオンは強気に出られるのか。実は大阪府の失政につけこんだ節があるのだ。説明してくれるのは別の市会議員。
「元々、りんくう泉南のある場所は大阪府が企業誘致を狙って6000億円かけて埋め立てた土地です。ですが、バブルの崩壊で、まったくといっていいほど誘致ができませんでじた。そこで困った、当時の府知事の太田房江さんがイオンに泣きついた。道路も作る、賃料も安くするから出店してくれいう構図ですわ」
 さらに気になることもある。大阪市の都市整備局にイオン道路の受注業者の情報開示請求をしてみたところ、3億円以上を受注している橋梁会社があった。この会社には太田府知事時代の大阪府の幹部が、後に泉南市の助役を務めたあとに転身しているのだ。
 こういう経緯もあってか、大阪府は埋め立て地を1坪当たり月500円という信じ難い値でイオンと20年間の借地契約を締結した。ほとんどボランティアみたいな価格である。しかし、イオンは元々不動産業と小売業、クレジットなどの金融業の3本を柱とする企業だけに、このタダみたいな借地代で大儲けする。
 ここに、泉南市の有志が作成した『イオングループのあくどい商法を見る』という文書がある。この文書によれば、イオンのテナントに対する営業保証金は坪当たり100万円で、固定営業料が坪当たり月に1万5000円とある。つまり、500円で借りた土地をテナントにはその30倍で貸していることになる。りんくうタウンの場合、4階建てで、売り場は2階までだ。つまり、1坪500円の賃料が60倍の3万円にまでふくらむのだ。市議が続ける。
「イオンの場合は小売業で儲からなくてもこのテナント料で利益が出るシステムになってるんです。で、いよいよダメとなったらさっさと撤退するために、決して土地は買わないで、専門家から見たら安普請としかいえない建物を作っています」
 その上、
「出店する時は地元の活性化というが、テナントは大手のコーヒーショップやレストラン、ブティックばっかり。泉南も地元優先といっとったけど、地元商店は1軒しか入ってないんちゃうかな。しかも、テナントはレジスターまで指定され、売り上げはいったんイオンが一括管理する。これに三重県近辺のグループだったら、テナントの面積に応じて、岡田幹事長の後援会員も集めなきゃならんやろ。イオンは栄えるけど、町は滅んでいく一方ですわ」
 泉南市の商店主もいう。
「イオンができて、町中の商店はほぼ壊滅です。もともと賑やかな商店街ではなかったけど、とどめを刺されたちゅう感じです。生き残りをかけて、喫茶店なんか、慣れない弁当まで作って売ってますわ」

 こういうイオングループに対して、真っ向から異を唱えた町がある。福島県の伊達町(現・伊達市)だ。平成11年、イオングループは福島市の東隣に当たる伊達町に出店の計画を発表した。店舗面積だけでも7万7000平方㍍、駐車場5300台、売り上げ見込みが250億円という東日本で最大の出店計画だった。
 当然、地元の商工業者は危機感を募らせ、各地のイオン出店地の視察に出掛けた。そのうちの一人で、後に『大型店出店とまちづくりを考える会』の代表となる阿部謙一郎さんの話。
「青森県の下田町や山形県の酒田、鶴岡などイオングループがショッピングセンターを出している周辺町村を歩いたんですが唖然としました。その寂れ方は尋常ではなかった」
 また、山形県東田川郡三川町に出店したジャスコの影響調査を元に試算してみると、伊達町にイオングループが進出してきた場合、約2000店の商店の閉鎖と倒産、解雇を含む4000~15000人の失業を生むという数字が出た。
「それと、ジャスコの出店予定地には多くの農家の土地もありました。純粋に農業を続けたいという人も多かった。いろんな意味で、大型店が出店してもいいことなんてないんだなって」(同)
 阿部さんたちの反対運動は地元の大学教授や議員たちの賛同を得て、大きく広がっていく。平成16年には考える会と学者、議員などで構成する『福島県広域まちづくり検討会』が提言をまとめ、翌年、これが、『商業まちづくりの推進に関する条例』として結実。6000平方㍍以上の大型店の出店はまかりならんということになった。阿部さんと同じ『考える会』のメンバーは、振り返ってこう言う。
「実は福島県の県北地域に大型店の出店が相次いだことがあったんです。この時、従業員が4人以下の小規模店は6年の間で、802店舗、17%も減少していました。イオングループの進出はもっと大型店ですから。その影響を考えると、どうしても阻止しないといけなかったんです」

 条例の制定に尽力した元県議の江田清氏も、
「大型店の進出は地域の活性化という名目ですが、現実は逆の結果が多すぎると思います。福島市内でも何度も大型店が進出しては儲からないとすぐに撤退してます。その度に地域住民は翻弄される。だったら、もう結構ですということ」
 ちなみに、岡田元也社長が平成20年4月に発表した3カ年計画によれば、22年度までに総合スーパーを100店舗閉鎖する予定だ。
「国も1万平方㍍以上の大型店の出店は、ダメだという方向に動いています」
 というのは、福島大学名誉教授で都市計画の専門家、鈴木浩氏だ。
「イオングループや大型店は地方に対して悪さをしすぎたっていうことですよ。地方を活性化するといっても、出店するのは地代の安い郊外ばかりでしょ。町の中心部は空洞化するばかりで、本来の都市計画とは逆行します。それでいて足が軽いので、売り上げが悪いとすぐに撤退する。こんなもん、地方のためには何の役にも立っていません」
 さらに、こう指摘する。
「一番の問題は、イオングループのような大型店が出店すると地域のなかでお金が循環しない.ことです。テナントはチェーン店ばかりじゃないですか。つまり、大型店を経由して地方のお金が東京に集中しているだけです。地方の疲弊、不況は大型店の責任でもあることを忘れてはいけません」
「今後は高松市のケースのようにイオンをはじめ大型店同士の潰し合いが始まる。アメリカの『ゴーストモール』や『デッドモール』と呼ばれる町が日本でも出現するかもしれません」(前出・服部准教授)
 我が世の春を謳歌してきたイオングループだが、借金の総額は少なくない。有利子負債にリース負債を加えると2兆円を遥かに超える。かのダイエー倒産と同じ規模である。イオンの広報は、
「表現の自由があるのでイオンの批判記事を書くなとは言いませんが、物事を一面から見て判断しないでほしい。例えば、福島では住民の熱心な誘致活動もあった。坪500円も当時の状況や環境から適正価格です。有利子負債も現在の会計基準ではリース分は含まないので1兆2000億円程。シャッター街問題は、むしろ後継者難が原因でしょう」
 と釈明するが、岡田氏は政権与党の幹事長として「シャッター商店街」が量産されるこの現状を、どう考えているのであろうか。

週刊新潮2010年12月30日・2011年1月6日新年特大号
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総連関係大学の教授だった仙谷、樽床…「6人の民主議員」

2011-05-16 05:21:21 | 週刊誌から
 北朝鮮および朝鮮総連と密接な関係にあることで知られる大阪経済法科大学。かつてこの大学で客員教授の肩書きを持っていた国会議員がいる。小誌はこの事実を「疑惑の大阪経法大『教授』に国会議員が8人いた!」(九九年十一月十一日号)で指摘した。その中には、現政権の中枢を担う仙谷由人官房長官を筆頭に民主党議員も複数含まれていたのだ。

 七一年に開学した大阪経法大の創立者は、関西の在日商工人の間では知られたソープランド経営者だった。
「創立者亡き後に実権を握ったのが、朝鮮総連傘下の『在日本朝鮮人科学技術協会』、通称『科協』に所属していた呉清達氏でした。彼は常務理事兼副学長に就任し、日本の科学技術情報を集めて北に送ったり、大学の関連施設を通じて多数のパソコンなども本国に提供するよう指示していました。大阪経法大は、総連系の教授を多数抱え、日朝韓三国の研究者が一堂に会した国際学術シンポジウムなども開催。公安当局も参加者の顔写真を撮影したり、情報収集をしていました」(事情を知るジャーナリスト)
 そうした活動の一方で、政界やマスコミ界にもネットワークを広げようとしていたフシがある。
「副学長から、あの識者や政治家に教授として来てもらえないかと依頼されたことがある」(当時の大学関係者)
 大阪経法大の客員教授の職にあった仙谷氏は九九年当時、小誌の取材にこう答えている。
「落選中の平成八年十二月頃に、ある協力者を介して、大学の存在を知りました。翌年から客員教授を引き受けましたが、報酬額は確かに月七万円。毎月、私の弁護士活動の報酬を受ける口座に振り込まれ、すべて正規に申告しています。なんらやましいところはな
い。呉副学長にも一度会っただけだ」
 だが当時、仙谷氏は学生ではなく、父母相手に記念講演をしただけだった。
 その他、民主党では中野寛成氏、樽床伸二氏、齋藤勁氏が客員教授に就任しており、今年自民党顧問とて政界復帰した岩國哲人氏も当時は民主党議員として客員教授に名を連ねていた。
 当時の彼らの反応はまちまちで、岩國氏が「認可した文部省が問題」と開き直れば、樽床氏は「正直言って拙いことをした」と反省を口にしていた。
 そのなかでも、「時機を見計らって辞めようと思っています」といち早く決別宣言をしていたのが中野氏だった。十年以上が過ぎ、大学との関係はどうなっているのか。本人の弁。
「その後も客員教授を続けていますが、月給はもらっていません。年に一回くらい講義に行くだけで、そのときは講演料をもらいます。当時は大学と北朝鮮との関係がそれほど密接ならば、という心情を語ったまでで、今も北朝鮮との関連は分かりません」
 だが、その後の取材で、九七年に韓国に亡命した故黄長・元朝鮮労働党書記は、小誌にこんな証言を残している。
「九三年に来日した際に、大阪経法大側から約二千万円の資金提供を受けた」
 その後は次第に北朝鮮との関係も薄まってきたようだが、民主党には過去の疑惑に無警戒のまま大阪経法大の客員教授についている新人議員もいる。
 熊谷貞俊議員その人だ。
 十一月四日、国会の拉致問題特別委員会――。朝鮮学校の授業料「無償化」の適用などについて、参考人である拉致被害者家族の横田滋氏ら関係者五名への質疑が終わり、散会した直後のことだった。昨年の衆院選で初当選した熊谷議員がツカツカと彼らの前に歩み寄り、こう言い放ったという。
「朝鮮人を差別してはいけない。そんなことを言っているから拉致被害者は帰って来ないんだ」
 現場にいた「救う会」の西岡力会長が振り返る。
「『日本人の民族感情を煽るな』とも言われました。参考人として話を聞きたいと招いておいて、議事録が残らないところで反論してくるなんておかしい」
 一方の熊谷氏は大阪経法大との関係について、「私が大阪府知事選に立候補した際、手伝ってもらった方から紹介を受けた」という。その上で家族会との一件は、「『就学支援金』の問題を政治外交問題と絡めて考えることは好ましくなく、その点家族会の方に意見を申し上げた」と回答。
 謀略国家を相手に、くれぐれもつけこまれないようご注意いただきたい。

週刊文春2010年12月9日号
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告発レポート 帝京大で9人死亡「恐怖の院内感染」多罪耐性菌 東京都は知っていた!

2010-09-29 00:47:49 | 週刊誌から
医療ジャーナリスト 伊藤隼也と本誌取材班

死者まで出ていながら数力月も事実が伏せられていたのはなぜなのか。「病棟を閉鎖せよ」という内部からの警告を無視した病院の保身、立ち入り謂査で得られた「報告」を見落とした東京都、アメリカの抗菌薬を承認しない厚労省……これはまぎれもなく“人災”だ。

「命を守る病院でこのようなことをして申し訳ない。感染させなくてもいい患者を感染させてしまった」
 帝京大学医学部附属病院の森田茂穂院長はそう言って頭を下げた。帝京大病院は九月三日、抗菌剤に耐性を持つ「多剤耐性菌アシネトパクター・バウマニ(以下、MRAB)」に、一日までに患者四十六人が院内感染し、二十七人が死亡したと発表した。うち九人は感染と死亡との因果関係が否定できないという。
 帝京大病院は昨年五月、総工費数百億円をかけて新築工事を行ったばかり。都内有数の大学病院がなぜ、院内感染の拡大を防ぐことができなかったのか……。
 病院側の説明によれば、今年四月から五月に、内科系病棟で十名程度の患者から菌が検出されたことが発端だった。五月の連休明けに、院長を含むスタッフで構成する「感染制御委員会」がようやく事態を把握。本格的に院内感染対策に乗り出すことになる。そこで、同委員会が過去に遡って調査したところ、次々と感染例が浮かび上がったのだ。
 二月にはすでに、院内では異なるフロアの患者から散発的にMRABが検出されていた。院内感染の対策にあたる感染制御部は各科に警告文書を出したが、菌検出の報告は上がらず、「院内感染の疑い有り」という情報が病院全体で共有されることはなかった。
 昨年十月にも、MRABとの因果関係が否定できない最初の死亡者が出ていたが、一部の抗菌剤が効いたため、主治医はやはり報告を上げなかったという。
 神戸大学感染症内科の岩田健太郎教授はこう語る。
「基本的にMRABが一例見つかった時点で、非常事態です。その段階で、組織的な対応を迅速にすべきだった」
 感染制御部の人員不足を指摘する声も多い。ベッド数千百五十四床と国内最大規模を誇る同病院だが、院内感染対策に従事する専任職員は看護師一人、医師一人だけだった。

「帝京の感染制御部は他大学に比べて、組織として不十分で人数も明らかに少なかった。(感染管理の資格を持った)認定看護師もいない。都心のあの規模の病院なら、二、三人は確保しているのが常識です」(山形大学医学部・森兼啓太准教授)
 結局、最新鋭の設備に大金を投じても、院内感染に対する職員の危機意識は薄いままだったのだ。
 しかも、同病院には、院内感染の“前科”まであった。
 九九年六月、肺結核を発病した医師が前年夏から半年間もの問、感染に気付かず勤務していたことが発覚。医療関係者や看護師が集団感染する事態に陥った。
 帝京大病院の元医師は、同大学の伝統的な隠蔽体質に問題があると振り返る。
「当時から情報公開に後ろ向きだった。結局、職員の検診を厳しくした程度で、問題点改善の議論はなかった。誰もが二年前に死去した帝京大学の創設者、沖永荘一前理事長の顔色をうかがっていて、真面目にモノ
を言う人間はパージされてしまったからです」
 その後、理事長職を継いだのは、次男の沖永佳史氏だ。妻・寛子氏は医学部教授で、副学長も務めている。
「代は替わっても病院のディシジョンメイカーは院長ではなく、理事長のまま。佳史氏と教授陣との距離感もまだ微妙で、一層意思決定に時間がかかるようになってしまった」(同前)
 さらに、MRABに感染した患者を担当する医局の力量不足も囁かれでいる。
 帝京大病院の内情をよく知る医師が明かす。
「外科や泌尿器科などは次の東大教授クラスが揃っていると噂されますが、それに比べ、感染症科と血液内科の教授は能力が見劣ると言われています。実は今回、他科の複数の教授は『早く一部病棟を閉鎖せよ』と声を上げていたのですが、両科の教授は耳を傾けようとしませんでした」
 確かに同病院が位置する都の城北部には、他に日本大学医学部附属板橋病院しか「特定機能病院」が存在しないため、患者への影響を考えると簡単には病棟閉鎖には踏み切れないだろう。とはいえ、病院内での円滑なコミュニケーションが著しく欠如していたことは間違いない。「ニュースで死者がいたことを知った」という医師さえもいるのだ。
 だが、ここまでの院内感染の拡大を引き起こした原因は、帝京大学だけにあるわけではない。実は杜撰な対応という意味では、国や東京都も同罪なのである。

「報告の遅れは大変遺憾だ。八月四日に国と合同で立ち入り検査を行ったが、病院側からは院内感染の発生に関する話はなかった。九月二日午前十一時頃、病院側から受けた連絡で初めて院内感染の発生を知った」
 東京都医療安全課の田中敦子課長は記者会見でそう述べ、病院の不手際に不満を露わにした。
 八月四日の検査とは、都と国が特定機能病院に対して年に一度行う定例の検査のこと。都医療安全課係長以下、六人の医療監視員は、院内の視察を進めた。各科から多くの書類が提出される中、感染制御委員会の議事録も例年の検査と同じく、医療監視員に提出された。
 病院は五月の連休明けから感染制御委員会を招集し、対策を協議していた。議事録には、多剤耐性菌の院内感染への言及があった。
 当然、医療の専門家が議事録を精査すれば、この時点で院内感染の可能性を疑うことができたはずだ。ところが、東京都は一カ月もの間、この議事録を放置し続けた。その間にも、帝京大病院では、五十三歳の男性患者が死亡。着々と院内感染は広がっていたのだ。
 東京都に一方的に病院を非難する資格はあるのか。以下、前出・医療安全課の田中課長との一問一答だ。
――病院に「感染症対策の専任スタッフが少ない」と指摘しているが、これまでの立ち入り検査では改善を求めなかったのか?
「去年以前は明確に指摘はしていないんじゃないかと」
――放置していたのか?
「専任が一人いればいいと決まっているので、違反ではないわけです」
――議事録に院内感染への言及があったのでは?
「あったかもしれませんが、膨大な資料の一部ですので、それをその日に全部見るというのはちょっと……。少なくとも重大なことだという認識があれば、当然、病院から報告されるだろうと」
――議事録を都に持ち帰って、精査しないのか?
「本当に膨大なので、隅から隅まで精査するのは現実的には厳しいところです」
――帝京を過信したのか?
「帝京に限らず、ですね」
――病院の申告次第だと?
「それでウソつかれたらどうしようもないですけど」
――では結局、院内感染を知ったのはいつなのか?
「うちが認識したのは九月ニ日。国も同じです」
 語るに落ちるとはこのことである。東京都は行政機関として、十分な医療監視任務を遂行していなかったのだ。今後は院内感染の有無を確認項目に加えることを検討しているというが、形骸化している立ち入り検査の抜本的な改善を口にすることは最後までなかった。
 不都合な情報を隠蔽する医療機関は後を絶たない。それを明らかにしていくことも医療監視の役割だろう。不作為を続ける東京都に人材とカネを垂れ流すくらいなら、その分を病院に投入した方がまだ有意義だ。
 しかし、残念ながら東京都だけではなく、今回のような院内感染問題において、公衆衛生行政は何の手立ても打てていないのが現実だ。
 専ら「アリバイ作り」に躍起なのが、厚生労働省である。〇九年一月、福岡大学病院で患者二十三人がMRABに感染。この直後、厚労省はA4二枚の「通知」を、地方自治体を通じて各医療機関に送っている。新聞各紙はこの通知をもとに帝京大病院の「報告遅れ」を批判するが、MRABには感染症法上の報告義務はなく、この通知はあくまで「お願いベース」でしかなかった。
 実際、現場の医師はこう口を揃える。
「大学の教科書のようなおざなりな対策方法と、『院内感染を疑う場合は速やかに報告せよ』という内容を書いているだけ。一方的に送られてきたそんな通知は読んだこともなかった」

 仮に、保健所に報告したところで、「院内感染について的確な見識を持ち合わせていない。しかも行政は監督責任を関われたくないから、新型インフルエンザのときのように、患者への影響を無視して、必要以上に『病棟閉鎖』を乱発する危険もあります」(前出・岩田教授)
 その一方で、唯一の治療薬と言われるMRABの抗菌薬「コリスチン(注射剤形)」の導入は遅々として進んでいなかった。今年四月、「医療上必要性の高い未承認薬」の検討会議に取り上げられ、ようやく承認に向けて動き出したばかりだ。ここでも、厚労省の腰の重さに批判が上がっている。
「五年くらい前から『日本でも認めてくれ』と言っているのに、役所は全然動いてくれなかった。神戸大学ではアメリカから輸入しています。治療薬が供給されないのに、『何とかしろ』と言うのは、矛盾した話です」(同前)
 医療現場の声に対し、同省医薬食品局審査管理課は、
「製薬会社から承認の申請が上がっていないから未承認でした。申請がないと審査管理課は動けない」
 とお馴染みのお役所仕事の回答だ。まさに「患者不在」'行政の典型例である。
 ここまで挙げたような、多くの「人災」が重なって、帝京大病院院内感染は拡大してしまったと言えよう。
 現在、警視庁は業務上過失致死の疑いもあるとみて、医師からの任意での事情聴取を始めた。感染ルートなどについて捜査を進めるというが、自治医科大学附属病院感染制御部長の森澤雄司氏は、こう見る。
「専門性の高い第三者機関ではない警察が適切な判断をするかは疑問だ。国民の懲罰感情に阿るような捜査をすると、真実が明らかにならないだけではなく、医療現場を防護的にしてしまう可能性も孕んでいる」
 誤解してはならないのは、院内感染そのものは、細菌の巣窟である医療現場の宿痾だという事実だ。実際、九月四日には、愛知県の藤田保健衛生大学病院で患者二十四人からMRABが検出されたことが発覚。栃木県の独協医科大学病院では六日、インド帰りの入院患者からほとんどの抗菌剤が効かないスーパー耐性菌が国内で初めて検出されていたことが分かった。
 問題は、その中でどれだけ感染拡大を最小限に抑えることができるかである。
 医療機関は院内感染が発覚次第、内外での周知徹底を図り、情報をオープンにすべきだ。行政には現場の声に真撃に耳を傾け、積極的にバックアップしていく姿勢が求められる。
 帝京大病院は今後、残された遺族に対し、改めて死因と院内感染との関係を説明し、謝罪をするという。
「森田院長は『ここまで事態が大きくなると思っていなかった』と漏らしていました」(医療関係者)
 感染を拡大させた原因の徹底究明が行われ、その反省に立ち再発防止への道筋が示されなければ、帝京大病院が失われた信頼を取り戻すことはできない。

週刊文春2010年9月16日号
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日本人は知らない「中国語新聞」のとんでもない中身

2010-09-28 00:48:04 | 週刊誌から
「不法滞在マニュアル」から「生活保護受給ガイド」「風俗嬢募集」まで

 わがニッポンはもはや、あらゆる階層の中国人の坩堝と化しているようだ。外国人登録を済ませた数だけで約70万人、彼らが読むための中国語新聞の種類も、雨後の筍がごとく増えている。だが、もっと驚くのは、日本人が知らない、そのとんでもない中身である。

 景気も長らく低迷し、右肩上がりの成長とはすっかり疎遠になったわがニッポンにも、今なお“右肩上がり”が続く奇特な分野がある。中国人の外国人登録者数がそれで、1999年に29万人強だったのが、以後、例外なく毎年増え、07年に韓国・朝鮮を抜き去り、昨年は68万518人。国別でダントツである。
 加えて、数万人の不法滞在者がいるといわれるし、観光客を含めた入国者に至っては、昨年の124万人で十分に多いのに、今年はビザ発給要件が緩和され、さらに激増しているという。いやはや、石を投げれば中国人に当たるのが、今の日本列島であるらしい。
 むろん、これほど多くの生活が営まれれば、さまざまなニーズが生ずるのは人の世の常――ではあるけれど、それにしても……。彼らが読む新聞には、<不法入国者の結婚、出産および在留の特別許可について>(9月1日付「中華新聞)なんていう見出しも見つかるのである。何が書かれているか、若干抜粋すると、
<不法入国者も日本で日本人との結婚の手続きができる。……未婚公証書、カラー写真添付の出生公証書、国籍公証書、親族関係公証書とこれらの訳文、および相手の日本人の戸籍謄本を居住地の役所に提出すればよい。……結婚申請と同時に外国人登録をする必要がある>
 これでは、不法入国しても日本人と結婚してしまえば勝ち、と促しているようなものではないか。
 また、別の新聞を繰ると目に付いたのは、<華人も生活保護の申請が可能>という見出し(7月8日付「東方時報」)。今年6月、来日直後の中国人48人が、大阪市に生活保護の受給を申請したと報じられたのを、ご記憶の方も少なくあるまい。この件について法務省入国管理局に聞くと、
「あの48人は非常に問題があり、入国審査をきちっとしていれば、生活保護申請以前に入国できなかったものと考えます」
 と、自らの甘い審査をあっさりと認める一方で、
「生活保護申請になると厚労省の問題なので」
 そこで厚労省社会・援護局保護課に尋ねると、
「生活保護法は日本国民が対象ですが、1954年の厚生省社会局長通知で、外国人にも準用されています。在留資格は法務省入管が判断することで、厚労省は福祉の立場から外国人も日本人同様、生活保護の対象としています」
 縦割り行政の盲点が鮮明に浮かび上がるが、そこを突いたのが「東方時報」の記事なのだろう。生活保護受給が在日中国人の<ホットな話題>とし、
<生活保護を受給した場合、在留資格を更新できるのか、永住資格や帰化の申請に影響はないのか等につき、本紙記者が厚労省、入国管理局に取材し、権威ある回答を得た>
 と自慢したうえで、その受給資格について、細かく書き連ねるのである。
 こうした中国語新聞は俗に「華字紙」と呼ばれ、
「現在、新聞が50紙くらい、雑誌形式のものが4~5誌あります」
 と、仰天すべき数字を挙げるのは、拓殖大客員教授の宮崎正弘氏である。
「5年前はせいぜい10紙でしたが、急に増えた。各紙とも輪転機で最低でも1万部ずつは刷っていて、全部で50万部は超える計算になります。急増する在日中国人の特色は、日本人社会に溶け込もうという意識が低く、自分たちで固まって暮らすこと。そこで、中国人同士のコミュニケーションツールとして、こういう新聞が必要なんですね」

 むろん、50を超える新聞があれば、読者の階層も編集方針もさまざまだ。試みに何紙かに尋ねると、
「日本の出来事を報じた記事の大半は、記者が取材をして書いています」
 と答えるのは、毎週刊行される「中文導報」。
「92年創刊と、日本で2、3番目に古い中国語新聞で、公称10万部。定期購読者が多く、日本で永住権を取るまでの流れや、留学生の就職の仕方、家の買い方などの記事は喜ばれます」
 とのこと。続いて、さらに古いのが、先に<不法入国者の……>という記事を引用した「中華新聞」で、
「89年に『外国学生新聞』という名で創刊され、以来月2回欠かさず発行し、今も留学生を中心に支持されている。定期購読者もいますが、多くは中国物産店などで無料配布しています」
 華字紙には、それぞれ250円から300円ほどの定価が付いているが、このように無料で配られるものが多く、事実上のフリーペーパーである。となると頼るべきは広告収入で、
「広告掲載料は名刺サイズで5000円、カラー全面で20万円。日本で活躍する中国の旅行社や華人向け不動産などの広告が多い」
 と話すのは、月3回刊の「二十一世紀新聞」(98年創刊)。一方、02年創刊で週刊の「陽光導報」は、
「最大で72㌻になることもある弊紙は、広告も1回につき480社からの出稿があります。多いのは観光業で、求人広告もそれなりにあり、風俗関係のものも入りますが、それはどの新聞も一緒ですね。掲載料は2万円から60万円です」
 今年3月に創刊された月2回刊の「聞聲報」は、
「1回の発行で300から400くらいの広告が入りますが、一番多いのは求人広告で、クラブやエステのものが多いですね」
 こうした広告の“意味”については、追い追い触れるとして、記事はどうだろう。同じ「聞聲報」は、
「日本の新聞と中国の新聞から得た情報をもとに、日本での生活や政治について記述しています」
 先の「陽光導報」も、
「テレビやネットで情報を集めていて、経済は日経新聞、娯楽は東スポを参考にすることが多いですね」
 それでは“パクリ”なのではないか、と問うと、
「あくまでも弊紙の意見を載せて出している」
 とのたまうのだ。
 この9月1日に創刊されたばかりの華字紙もある。
「中国人と日本人の富裕層に向けて発行を開始した」
 という「新天地」で、
「今までの中国語新聞は庶民派の記事が多く、富裕層にとっての価値ある情報がフォローされていなかったので、うちで新たな価値観を提供していきたい」
 そこで差別化を図り、
「デザインに自信を持っていで、レイアウトも見やすいように工夫している」
 と主張するが、「○○エクスプレス」という日本の新聞に瓜二つではないか。
 もっとも、中国人の“パクリ文化”に、今さら驚くのも野暮だろう。また“切実な事情”を語るのは、「聯合週報」の関係者で、
「同じような新聞が次々とできたうえ、不景気で広告費も、ダンピングしているので、広告収入は月に200万円程度。印刷代が同じくらいかかるので、経営は大変です。独自の取材記事を載せる余裕はとても」
 そんな嘆きはともかくとして、これら華字紙の特徴を、前出の宮崎氏にまとめてもらうと、
「格安航空券や弁護士、保育園など、生活に密着した情報が多く、最近増えているのが美容院と風俗。それも客向けではなく、求人情報です。保育園は、高級なものがある一方、24時間保育もあり、風俗で働く女性の需要が主でしょうね。また、生活保護受給ノウハウが象徴するように、日本で生きるための知恵や法律の抜け道を載せているのが問題です。法律事務所の広告が多いし、振り込め詐欺やニセ薬などの犯罪のせいか、保釈の法的手続きのための広告も目立ちます」

 たとえば、華字紙に広告を出している新宿国際法務事務所に聞くと、
「うちは15年ほど前から中国人の入国手続きをやっていますが、競争が激しくて、新しい事務所に持っていかれることが多い」
 ある行政書士が、その競争の実情を明かして言う。
「中国人にとって仕事に次いで大事なのが入管手続きで、認められるかどうかは申請理由書の書き方にかかっていますが、広告を出している多くの行政書士事務所は、事実上のオーナーが中国人で、理由書も書かずに入管に提出している。また、日本人の配偶者になって仕事を得るための“偽装結婚”に加担している悪徳行政書士もいます」
 ヤミ医者の広告も掲載されているそうで、
「中絶などの手術をもぐりの病院で受ける在日中国人が話題になったことがありますが、今も中国語新聞には、その手の“ヤミ医者”の広告が出ていますよ」(中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聴氏)
 さて、このあたりで、風俗について述べるとしよう。華字紙には、たとえば<日本人経営 日本人店長 日本人小姐>などと書かれた広告も載っている。これは客向けのもので、
「中国の男は日本の女を相手にしたい。そこで日本人の店が、華字紙にも広告を出しているんでしょう」
 とは宮崎氏の弁だが、圧倒的に多いのは、女性向けの求人広告である。ノンフィクションライターの小野登志郎氏によれば、
「中国語新聞の求人広告を見るのは、日本に来たばかりの、しかもツテがない子が中心ですね。パソコンもなく、中国食材店でもらった新聞で職を探すのです」
 だが、目を疑うのは、<急募小姐><月保150萬~200萬><250萬>などと書かれた広告である。月収200万円とか250万円の風俗嬢募集のようだが、いったいどうやって、そんなべらぼうな月収を保証するというのか。試しに本誌記者が、こうして採用された中国人女性が働く店に“遊びに”行ってみた。
 それは新宿歌舞伎町の雑居ビル5階にある“デートクラブ”。入店時に飲み代1万円を支払うと、若くてかわいい中国人女性が付いて、「私も飲んでいい?」と聞く。そこで3000円が追加となるが、5分も話すと「外に行こう」と急き立てられる。了解すると、3万円を要求された。それから、彼女に導かれて安普請のレンタルルームに入るが、そんな部屋代に1万円も支払わされる。この時点ですでに5万3000円を投じていたが、それからわずか15分で内線電話が鳴って、逢瀬は終了。有り体に言えば彼女は、ムードの欠片もない、忙しい売春に勤しんでいるのである。
 ハルビンから来たという彼女は、メイクの学校に通いながら、将来の独立資金を稼ぐためにこの仕事をしている、と語ったが、その真偽はともかく、歌舞伎町の事情通によれば、
「デートクラブは、お店から連れ出したら全部女の子の取り分です。今、不景気で客は多くないけど、一晩に2、3人の客が付けば月に200万円程度は稼げるんです。ただし、若く、かわいく、日本語が喋れるという3条件を満たしていないと無理ですが」
 では、条件を満たさない場合はどうか。ある裏社会の事情通が打ち明ける。
「“月収200万”というのは、人を集める“釣り広告”であることが多い。もちろん客を集められる女性には、歩合制でギャラが支払われ
ますが、そうでない場合は、クレジットカード詐欺や昏睡強盗をさせるケースもあります。破格の月収は、より多くの中国人を集めるためのもので、面接して、若くてきれいな子には売春を、頭の回転が速い人には詐欺を。覚醒剤の運び屋とか、盗品をさばく役にすることもあります。彼女たちは滞在期限が切れても、強制送還されるまで日本にいることが多い。東南アジア系の女性と違い、顔が日本人とそっくりで職務質問されないからです」
 華字紙は、傍若無人な中国人が日本を蹂躙する温床にもなっているようだ。

 それにしても、記事やデザインを無断で借用されても、文句ひとつ言わないニッポン側は太っ腹だが、恩を仇で返されるのが関の山である。それが、かの国の方々の常套手段だから。
「メガネの生産が盛んな福井県鯖江市では、かつて中国の浙江省温州でメガネの作り方を教えてあげた。そうしたら、その中国人たちが独立して、日本の半額のメガネを作って、鯖江側はマーケットをすっかり奪われてしまった。そういう日本人の善意が、生活保護の受給についてまで利用されてしまっている」
 と言うのは、前出の宮崎氏だが、以下に紹介するいくつかの記事も、“思を仇で返された”例に挙げられるのではないだろうか。
 まず、9月2日付「聯合週報」の<90歳の老戦士が涙を浮かべて抗日戦歌を合唱>という記事には、こんなことが書かれている。
<渡辺登は日本海軍の元兵士で、……靖国神社の話になると、日本が発動したのは侵略戦争で、“自分が死んでもそこには祀ってもらいたくない。中国を、アジアを侵略したので”、……老兵士の高橋哲郎は……“日本人は老若男女、日本が中国を侵略したこと、2000万人の中国人を殺したこと、中国に対して極めて卑劣なことをしたこと、このようなことを二度と起こしてはならないことを、知っておくべきだ”と言った>
 ちなみに、この記事の脇にある連載小説のタイトルは<日本軍が4万人の米人捕虜を虐殺>である。
 また、大半の華字紙には独自取材を行う余裕がない、というわりには、ある分野に限って、日本でほとんど報じられない小さなニュースを拾っていて、9月2日付「聞聲報」には、<島内少数民族、日本に謝罪要求>という記事が載った。台湾の少数民族の話で、
<今回の反靖国行動で彼は「日本政府は韓国にだけでなく、台湾にも謝罪すべきである。台湾の少数民族は祖先の魂を靖国神社から迎え入れ、日本政府に過ちを認めさせ、謝罪、賠償を求めるべきだ」と述べた>
 同じ新聞を遡ると、8月16日付には、<朝鮮の“原子爆弾”の被害者、日本に謝罪と賠償を請求>という記事が。また、9月3日付の「網博週報」には、<日本初、韓国人強制労働者の死亡記録を提供>……。
 まるで、今なお戦争が続いているか、あるいは終ったばかりであるかのように、日本の戦争責任を告発する記事が並ぶのである。
「華字紙は、日本に永住することを狙っている人たちに向けて発行されています。彼らは永住するつもりはあるのですが、自分たちの生活や言語は崩す気がないから、こういう新聞を読むのです」(宮崎氏)
 郷に入っても郷に従う気などさらさらない中国人が、日本を勝手気ままに食い荒らすばかりか、反日意識をも昂らせる――。その“手引き”が日々、何十万部もばら撒かれているとは、げに恐ろしいではないか。

週刊新潮2010年9月16日号
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麺つゆにつけるだけでは芸がない 秋でも美味しい 余りそうめん活用レシピ

2010-09-27 01:35:31 | 週刊誌から
今年の酷暑では、そうめんにお世話になった人も多かったはず。暑さが過ぎると余りがちな“夏バテの友”を、少しの工夫で秋でも楽しめるひと品に!
レシピ製作 なかしましほ 撮影 本社 釜谷洋史

そうめんは、1束=50gのものを使用。表示どおりにゆでて水でよく冷やします。

すりおろしトマトめん
トマトはおろし金でおろすと簡単にピュレ状になり、麺つゆとよくなじみます。ナスとオイルでコクをプラスしました。ペースト状のナスを麺にからませるようにして食べてみてください。麺つゆは入れすぎず、トマトの爽やかな風味を楽しんで。

材料(2人前)
そうめん3束
トマト中2個
ナス2本
麺つゆ(3倍濃縮のもの)適宜
オリーブオイル適宜
チャービル(あれば)適宜

作り方
①焼きナスを作る。フライパンか魚焼き器でナスの表面が真っ黒になるまで焼き、皮をむいて身を包丁で叩いて冷やしておく。
②トマトをすりおろして麺つゆと合わせて好みの濃さに調整する。
③焼きナスをトマトのつゆにのせ、オリーブオイルを適量回しかけ、チャービルを飾る。そうめんを茹でて水気を切る。


きのこの温めん
きのこの旨みが出たやさしい味はお酒の後にもぴったり。みじん切りはフードプロセッサーがあると簡単です。そのときあるきのこでもできますが、火を通すとトロみがでるえのき、独特の風味のまいたけはぜひ用意してください。梅干しをつぶしながら食べるので、スープはちょっと塩が薄いくらいで大丈夫。

材料(2人前)
そうめん2束
きのこ(しいたけ、えのき、まいたけ)各1パック
A(酒大さじ2、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2)
水500mℓ
水溶き片栗粉(片栗粉大さじ1+水大さじ1)
梅干し2個
三つ葉適宜

作り方
①きのこはできるだけ細かくみじん切りに。
②みじん切りにしたきのことAをなべに入れて中火でいりつけ、きのこがしんなりして沸騰したら水を注ぐ。
③再沸騰したらあくをとって1分ほど煮てから、水溶き片栗粉を加えトロみをつける。茹でて水気を切ったそうめんをスープに入れてあたため、ざく切りにした三つ葉と梅干しを添える。


ベトナムそぼろ麺
全体をよく混ぜて、たっぷりの薬味とともにさっぱりしたナンプラーのタレでいただくエスニック風の麺です。鶏肉は胸肉でも、もも肉でもお好みで。ひき肉ではなく、包丁で叩いたものを使うとさらに旨みが増します。鶏肉を茹でたお湯にはダシが出ているので、冷蔵保存して他の料理に再利用しても。

材料(2人前)
そうめん2束
タレ(ナンプラー大さじ2、砂糖大さじ1.5、赤唐辛子1/2本輪切り、熱湯100mℓ)
レモン汁大さじ2
鶏ひき肉150g
酒少々
香菜1束
万能ねぎ5本
大葉5枚
フライドオニオン(あれば)適宜

作り方
①タレの材料をよく混ぜ、冷めたらレモン汁を加える。鶏ひき肉は酒少々を加えたお湯で茹で、タレに漬けて冷ましておく。
②香菜はざく切り、万能ねぎは小口切り、大葉は千切りにする。
③茹でたそうめんの水気を切り、皿に盛ってタレを鶏肉ごとかけて、香菜、万能ねぎ、大葉、フライドオニオンをのせる。


みょうがのそうめんチャンプルー
炒めるときに麺がくっつきやすいチャンプルーも、麺を前もって油で和えておけば失敗しません。みょうがは火を入れると独特のクセがなくなり、香りが苦手な方でもシャキシャキとした歯ざわりが楽しめます。にんにくと一緒に赤唐辛子を炒めれば大人の味に。麺は太めの半田そうめんなどがおすすめです。

材料(2人前)
そうめん2束
みょうが6個(2パック)
油小さじ3
白だし(もしくは3倍濃縮の麺つゆ)小さじ1
にんにく1/2片
塩、黒こしょう少々
白ごま適宜

作り方
①みょうがは縦半分にして薄くスライスする。フライパンに油小さじ2とつぶしたにんにくを入れて弱火にかけ、香りが出たら中火にしてみょうがを入れてしんなりするまで1分ほど炒め、塩少々をふって取り出す。
②茹でて水気を切ったそうめん、炒めたみょうが、白だし、油小さじ1をボウルに入れ、黒こしょうをしっかり目にふって和える。味が薄ければ塩で整える。
③フライパンにもどし入れ、中火で全体が温まるまでさっと炒める。白ごまをひねって散らす。

週刊文春2010年9月9日号
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茨城空港・上海往復4000円ポッキリ 初登場!中国「スーパー激安航空」に乗ってみた

2010-08-05 00:34:49 | 週刊誌から
7時間遅れでもカップ麺ひとつ、機内で車、不動産販売…

 唯一の国内定期路線(スカイマーク神戸便)がわずか四カ月で撤退する茨城空港に、七月二十八日に新たなエアライン「春秋航空」が就航する。
 超格安が売り物という春秋航空だが、実は、中国国内でも苦情頻出の曰くつきの会社だというのだ。

 このたび、就航する上海―茨城便は、同社にとって初めての国際便。予定では上海との間を月・水・土の週三便運航。当面は二カ月間のチャーター便で、上海からの団体ツアー客を運ぶが、一~二割は日本向けにチケットが売られる予定。
 王正華社長は、最も安いチケットで往復四千円程度(座席・時期などによる)から販売するという構想を語っている。
 これまでも春秋航空は、たとえば上海―青島問で、他社の二百七十元から六百六十元(約三千五百円~八千六百円)に対し、九十九元(約千二百九十円)の激安チケットを発売してきたが、問題なのは、その運航状況。「すぐ遅れる」「サービスがひどい」とのトラブルが続出しているのだ。
 そこで、茨城進出を前に、中国で実際に搭乗してみた。乗り込んだのは上海―昆明便。エアチケットはスーパーのレシート並みの紙質、出発ロビーも上海虹橋空港に新築された新ターミナルではなく、古めかしい「旧ターミナル」と、早くも格安感満点である。
 そもそも、この春秋航空の場合、飛び立つまで気が抜けない。過去には夜九時台の便が七時間も遅れ、乗客は翌朝四時まで空港に取り残されるも、チケットの返金もなく、与えられたのはカップ麺ひとつだけ、という「事件」も起きている。
 早朝便に乗るべく無料送迎パスをネット予約したものの、指定された乗り場にとうとうパスすら来なかった、という前例も。
 また別のケースでは、払い戻し拒否に怒った乗客八十人が抗議のため空港に居座るも、無視して飛行機は出発、警察トラブルに発展した。それでも春秋航空スタッフは「安いのにはわけがある」と反省の色はまるでない。
 遅延の主な要因は、同社が運航スケジュールに対して充分な機体数を保有していないこと。少ない機体をフルに使いまわすので、上海と目的地をその日のうちに往復するために、着陸後一時間以内に、お客を乗せて再び離陸というタッチ・アンド・ゴーのような強行スケジュールも組まれている。機材メンテは大丈夫なのだろうか。
 今回はわずか四十分の遅延に留まり、胸をなで下ろすが、乗け込んだエアパスA320の機内を見まわすと、新たな不安が。

 どうやらこの機体、相当な「ベテラン」らしく、一部の座席ポケットが破れ、シートは客の落書きだらけ。イヤフォンジャックとボタン類は動かず、テレビも消えたまま。トイレの便器は塗装が剥がれていた。全席エコノミーで座席間隔は狭く、メタボな客なら腹にテーブルが食い込む。
 離陸し安定飛行に入ると、今度は機内販売の嵐だ。CAが大音量のハンドマイク(しかも音が割れている)で「ジャパネットたかた」風にまくし立てるため、眠れない、休めない。いわば“空飛ぶ監禁商法”状態で、乗客が「休ませろ」と抗議文を連名で突きつけたこともあるという。
 最前列には機内販売時に一時的に商品を置くため、乗客が席に座ろうとすると、「座るな」とCAに注意されていた。乗客よりも商品が大事? 「販売時間終了まで残り三十分!」「残り二十分!」と畳みかける売り声は、まるで「競り市」だ。気流が乱れてシートベルトサインが点灯しても、CAは販売を続行する。
 しかも売られている商品がまた問題。中国メーカー「POVOS」のシェーバー(百九十九元)は「日本直輸入」と紹介され、ディズニーの水筒(三十元)については、「偽物かどうか心配な方、ご安心ください。中のステンレスは韓国製です」とCA。いや、そういう問題では……。後日、メーカーサイトで確認してみたが、この製品は見つからなかった。マッサージ枕の宣伝文句は「(飛行機が)五時間、十時間遅れたときに大活躍!」って、もはや開き直りか。おまけに「二百元が百元に!」と強調するが、ネットでは二十八元で売っていた。
「皆さんの向かう昆明は暑いので水筒が活躍します」(この時期、昆明は涼しい)
 等々、微妙な嘘も交えて売りまくる一方で、食事や飲み物のサービスはゼロ。全て有料で「午後の紅茶」六元、「味つきゆで卵」二元と市価の二倍。インスタントのお茶は四十元で、市価の四倍もする。
「飛行機を飛ばすだけでは儲からないから、販売をしている。売上高の七%を販売が占める」という同社は、今年中には、不動産や自動車の機内販売も始めるという。
 さらには仰天の計画もあった。昨年六月、低価格および乗客数増を図るため、なんと「立ち乗り便」をブチ上げたのだ。座席をなくし乗客を詰め込むことで、四〇%以上の乗客増が見込めるというが、今年七月、さすがに中国当局、航空機メーカーの反対に遭い、計画は頓挫した。
 茨城空港は、遅延トラブルなどの「悪評」について、「特段、詳細な情報を得ていないが、ローコストキャリアになれていない人にはとまどいもあるかもしれない。コストを切り込んでやっていると思うので、細かなサービスまでは行き渡らないのでしょう」とコメントするが、安全面の確認だけはくれぐれも慎重にしてほしい。

週刊文春2010年7月29日号
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ベテラン捜査員が警告 窃盗団、運び屋…ビザ緩和で10倍増!「中国人観光客」を信じるな

2010-08-04 00:43:13 | 週刊誌から
ノンフィクションライター 小野登志郎

今月一日実施された、中国人観光客へのビザ発給要件の大幅緩和。政府や観光業界は経済効果を期待しているが、一方で「とんでもない!」と憤っている人々もいるのだ。誰あろう、国際犯罪を取り締まる現場の捜査員たちである。彼らは一体何を危惧しているのか?

「私たち刑事は公務員ですから、表立って今の政権や政策の文句を言う人間はいません。でも、たとえ口には出さなくても、中国人ビザの緩和を歓迎する現場の刑事なんて、いるわけありませんよ」
 そう吐き捨てるのは警視庁ベテラン捜査員のA氏。彼は、過去に多くの中国人犯罪者を摘発してきた実績がある。数年前に部署が変わり、直接中国人犯罪に携わっているわけではないが、今も多くの都内在住の中国人協力者(S、スパイ)を抱え、独自に情報を集めている。
「中国人観光客のビザ緩和で何が増えるのか? 旅行者に化けた覚せい剤の運び屋、偽装結婚の相手探しツアー、そしてスリや窃盗団、強盗団の大量流入ですよ」
 A氏の危惧する背景には、新たなビザ発給要件の現実離れした緩さがある。新要件は、中国国内で犯罪歴がないこと、官公庁や大企業の課長級以上、大手クレジット会社が発行するゴールドカードを所有していることなどが条件だが、これによると年収が六万元、日本円でおよそ八十五万円程度の層も、個人で日本を旅行できるようになる。ビザの対象は、これまでの十倍の一千六百万世帯に拡大され、政府は、中国人観光客を二〇一六年までに今の六倍の年間六百万人に増やすことを見込んでいる。
「年収が八十五万円で『中間層』などと呼んでいますが、たったこれだけの年収で、日本に来て普通に観光する中国人がいるわけがないでしょう。過去の中国人犯罪のデータから、当たり前の想像力を働かせれば誰でも分かることですが、五年後の日本の治安は大変なことになりますよ」(前出・.警視庁捜査員A氏)
 そもそも今までのビザ発給要件にも多くの抜け穴が存在していた。日本の警察は、捕まえた中国人の旅券やビザは、必ず中国の実家にその真偽の確認を求める。中国には顔写真を貼った「居民身分証」と、日本の戸籍に当たる「戸口簿」があるが、それを元に件の人物の認定を図るのだ。しかし、これがまたかなり杜撰な代物であるという。
「ある中国人窃盗犯を逮捕し、中国側に確認を求めたところ『その名前は本物だ』と回答してきた。ところが、そのすぐ後に同一人物が入国し、また窃盗を犯したので逮捕したところ、今度は違う名前になっていた。そして今度も中国側は『本物だ』と言う。どちらが本物の名前なのか、こちらとしては確認する術がありません」(県警捜査員B氏)
 過去に日本で逮捕された中国人が、五年の入国禁止措置の聞に、平然と日本に入国している例は少なくない。受け入れ側の暴力団関係者も、「どうやっているのか、分からない。不思議だ」と首を捻るほどだ。
「戸籍の真偽すら定かでない国民の犯罪歴なんて、いくらでも抹消できますし、旅券さえ正規なら、身分証が偽造であろうとなかろうと、こちらは手も足も出ません。結局、密入国なんてリスクが高く金のかかることなんかしなくても、脱法的に日本に入国させ易くした、というのがこの中国人ビザ緩和の偽らざる側面なのです」(前出の警視庁捜査員A氏)
 ピザ緩和実施日である今月一日、「東武百貨店池袋店」で腕時計など七十一点(一千六百五十万円相当)が盗まれる事件が発生している。外壁を壊して侵入するという荒っぽい手口から、中国人窃盗グループ「爆窃団」による窃盗事件の可能性が高いと見られる。この種のプロの犯罪グループは、異常なほど警戒心が強く、その摘発は極めて困難である。複数の捜査員から聞いた彼らの特徴を列記すれば以下のようになる。

・日本の各所にアジトがあり、メンバーの出入りは別々にする。
・常にアジト周辺の点検を怠らず、要所に見張りを置き、アジトに入る場合はいったん入り口を通りすぎて、Uターンして入室する。
・車両を使う場合、捜査員の尾行を巻くため、高速道路を何度も周回し、超低速走行をしたり急カーブを切ったりする。
・アジトの近くではなく相当離れたところに駐車し、駐車場以外では見通しのよい所に駐車する。

「中国人犯罪グループの摘発で最も難しいのが、国外に逃げられたらお終いというところ。一人だけ捕まえても、他の連中は逃げてしまう。そうなるとICPO(国際刑事警察機構)経由で中国公安当局に国際共助を依頼するが、実際のところ殺人や巨額の強盗などでない限り、あちらは本気で動いてくれない」(県警捜査員C氏)
 たとえある国際指名手配犯の居場所が分かったとしても、日本の警察は手の出しようがなく、結局、無為に逮捕状を再提出し続けるくらいしか、やることはない。
 さらには、よしんば国内で逮捕できたとしても、全面自供いわゆる「完落ち」にいたる中国人犯罪者は皆無に近いという。

「余罪を喋らせることが刑事冥利に尽きると個人的に考えているが、ただでさえ煙草やお茶などの供与の禁止などで、犯罪者の心を打ち解けさせることが難しくなっている。さらには、取り調べの可視化だ。これではホシの心を受け止めることができない。ましてや独自の論理、規範で動く中国人ならなおさらで日本人の情緒に訴えても何の効果もない」(元警視庁組織犯罪対策第二課D氏)
 とはいえ発生件数だけを見れば、近年の日本国内での申国人犯罪の数は減っている。ぞれをもって、今回の中国大ビザの緩和措置による犯罪の増加を、「単なる杞憂に過ぎない」と見る向きもある。
「八〇年代後半から二〇〇〇年代初頭まで活動していたいわゆる『五大グループ』、香港、台湾、上海、福建、東北の黒社会の主だったメンバーは、ほとんど全て日本から追い出した。今残っているのは、帰化した中国人や中国残留孤児の不良子弟たちのグループであり、彼らは殺人や強盗などはあまりやらず、日本各地の街に根付いている」(同前)
 日本語がうまく喋れず、満足な教育を受けられなかった残留孤児の子弟の一部が不良化し、西葛西や府中、赤羽などで結成した暴走族を「怒羅権」というが、今は暴走族の域を超えマフィア化している。日本各地の街の中国人風俗店やクラブ、飲食庖からみかじめ料を取るなど、「土地によっては、日本の暴力団よりも勢力が強い」(同前)ものとなっている。
 都内に拠点を持つ、ある残留孤児の不良子弟グループの幹部(三十歳代後半)は言う。
「子供の頃に中国から日本に来てこの街で育ったから、ここは俺たちの街という意識が強い。よそ者がデカイ顔をしたら、日本人だろうが中国人だろうが徹底的に痛めつけて追い出す」
 これら日本に根付いた不良中国系グループは、指定暴力団とは認定されていない。言語、境遇、習慣を共にした彼らの結束は極めて固く、そして銃や刀などを多数所持しており、D氏の言う通り極めて凶暴である。また)残留孤児の不良子弟や帰化して日本に根付いた中国人の中には、日本の暴力団と兄弟盃を交わしたものや、正式な組員となっている人間も少なくない。
「シャブ(覚せい剤)の運び屋や、喧嘩の時の先頭には、故郷が同じ東北部の中国人を使う。俺たちも苦労したけど、中国の地方はいまだに信じられないくらい貧しい。家族の為だったら、彼らは何だってするし、俺たちも助け合う」(前出・.不良子弟グループ幹部)
 現在、彼らは頻繁に日中を行き来し、闇のビジネスにいそしんでいる。この日中の闇の最前線は、今後さらに大陸の奥深くを挟り続ける。
 このような現状に対して、国際犯罪捜査の現場の捜査員は警鐘を鳴らす。
「今後最も恐れるのが、このような日本に根付いた不良中国人グループと、中国の黒社会のグループが日本においてさらに結び付きを深くしていくことだ。中国内の犯罪組織は、経済成長に応じて、どんどん膨張している。また、日本と中国のグループの連携と同時に、二者間の抗争の発生も懸念される。観光客に混じって入国してくる中国黒社会の動向は、日本の警察は、まったくと言っていいほど摑めていない」(前出・捜査員C氏)
 中国人観光ビザの大幅緩和に先立つ今年二月、警察庁は多国籍化した犯罪集団に対応するため、「犯罪のグローバル化対策室」の設置や犯罪人引き渡し条約の整備など、戦略プランをまとめ、全国の警察本部に通達した。
「言葉は勇ましいけれど、専門家を育てる組織になっていない以上、中身は無い。警察庁のキャリアは、たった一、二年現場にいたくらいで何も知らないまま出世していき、国際犯罪に詳しい官僚は、今は主流になれない」(全国紙社会部記者)
 中国人窃盗、強盗グループは、例えば関西にアジトを置いて、関東で犯罪を行う。各都道府県警単位では対処できず、だからこそ国際捜査には合同捜査が多い。

 「日本の広域捜査の場合、各都道府県警の刑事の個人間の信頼関係がモノをいいます。顔を合わせたこともないのに、いきなりメールを寄こしたりできませんからね。築いてきた横の繋がりで国際犯罪組織に対処します。もう既に広域化、グローバル化している犯罪組織に対して、国際的な情報を持っている各都道府県警の捜査員が連携する会議、機関を作って欲しい」(前出捜査員B氏)
 相次ぐ不祥事や情報漏洩を極端に恐れる警察の人事により、腐敗防止のために長い期間同じ部署での勤務をさせない「刑事に専門家はいらない」という秩序が形成され、国際犯罪捜査の最前線に立ち続けるベテラン捜査員もまた、少なくなっているという。
「日本の各所に根付いた不良中国人に対して、私たち刑事は個人単位でSを育成します。中国人と中国人社会に精通し、長い時間を掛けて信頼関係を醸成するのです。問題となるのは、Sの引き継ぎが不可能ということです。中国人のことを何も知らない新任の刑事のことなんか、日本在住の中国人が信頼するわけがない。部署、担当者が代われば、ゼロからやり直しです」(前出・捜査員B氏)
 ある国際犯罪のベテラン捜査官と、日本に根付いた不良中国人グループのメンバーが、いみじくもまったく共通の言葉を述べた。
「これからは、弾数、頭数が増えるということです」
 この言葉が意味するところは明白だ。目的は違えど、日本のベテラン刑事と不良中国人が現状認識だけは共有しているのだ。
「もう既に、日本で逮捕歴のある中国人が、数十人の団体を引き連れて観光客として入国したことを確認しています。結局、事件が発生しないと動かないのが、警察組織。中国人犯罪対策のための警察組織の改編などは、今は時期尚早ということなのでしょうね」(前出警視庁捜査員A氏)
 したたかさを増す中国人犯罪と対峙する捜査員の声は虚しく響きつつも、彼らは日々現場に立ち続けている。

週刊文春2010年7月29日号
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[特別読物]潔癖原理主義「岡田克也」外相の選挙は灰色「イオン丸抱え」 ジャーナリスト 鎌倉三次

2010-08-03 01:43:24 | 週刊誌から
 菅内閣が退陣すれば、民主党では次の総理に岡田克也外相(57)を担ぐという声は多い。良きにつけ悪しきにつけ潔癖で原理主義を貫く人柄は、この人の特徴である。ところが、意外にも彼の地元では旧態依然とした「イオン」グループ丸抱えの企業選挙が行われているのだ。

 民主党が金科玉条の如く喧伝するマニフェスト。中でも、先の衆議院選と今回の参議院選では「企業団体の献金及びパーティ券購入の禁止」という項目を目玉として掲げている。
 確かに菅直人総理への法人献金は、わずか4社で総額約90万円(平成20年)という微々たる金額だ。しかし、政権与党・民主党のなかで自民党の道路族もかくやと思われるほど多額の企業献金を集めている閣僚がいる。岡田克也外相その人である。
 岡田が代表を務める民主党三重県第3区総支部の平成17年から19年の3年間の政治資金収支報告書を見ると、なぜかどの年も判で押したように収入総額は6200万円台で揃っている。そのうちの個人の寄付額も毎年、560万円台とほぼ同じ。いずれにしろ個人寄付、政党交付金も含めて6000万円以上もの収入は、民主党では群を抜いている。
 さらに政治資金収支報告書を精査した者は、面白いことに気づくかもしれない。地元の新聞記者によれば、
「岡田さんに献金している企業の多くは、実兄の岡田元也さんが社長を務めるイオングループの出入り業者です。本人は否定するでしょうが、要はイオンという一企業におんぶにだっこで、民主党のマニフェストに最もそぐわない政治家の1人と言えます」
 そこで、岡田の地元有権者に知恵を借り、政治資金収支報告書に寄付者として記されている企業をひとつずつチェックしてみた。その結果、平成19年度分の合計135社のうち、確認できただけでも、70社はイオングループの店舗に商品を並べたり、テナントとして入っている、あるいは店舗建設に関わっている企業であることが判明した。紙数の許す範囲で幾つか紹介しよう。
「例えば、ハウス食品や日糧製パン、丸大食品、春日井製菓などはいうまでもないやろ。イオンやらグループのジャスコ、マックスバリュに商品を卸しているメーカーや」(飲食業者)
「N建設はいわばイオングループ専門の建設会社だな」(土建業者)
 地元の商工会幹部も言う。
「カネハツ食品はジャスコにようけ入ってる地元の豆腐屋で、福井は同じく仏壇屋、スエヒロは饅頭屋でフンドーキンは醤油屋、貝新は佃煮屋だわ。おっ、宮崎本店もきっちり献金しとるやないか。ここはバリバリの岡田後援会の酒屋やな。イオンに世話になっている企業やら店舗が見事なほど勢揃いしとるわ」
 驚くのは、年によっては同じイオングループのマックスバリュ中部や九州、イオン北海道やポスフールといった三重県外のイオングループからも献金を受けていることだ。
 岡田のイオングループとの密着ぷりはこれだけではない。岡田後援会青年部の元幹部が証言する。
「岡田さんの秘書が、イオンやらジャスコに出店している店から後援会員を集めさせるんですわ」
 テナントの大きさに応じ、10人から20人の会員を集めるよう指示されたという。
「そもそも親分の岡田さんの性格を反映したのか秘書たちのチェックが細かいんですわ(笑)。後援会の入会申し込み書が同じような筆跡だと『お前が代筆したんやろ』とやり直しさせられるんです。また集会をやる時も時間通りに人数が集まらないと叱られる。遅れて来る人がいたりしたら岡田さんはいったん話をやめてしまう。遅れて来た人はいたたまれないですよ。親父の代から岡田さんを応援してきたんですが、こういうことが重なって、後援会をやめさせてもらいました」(同)

 選挙期間中になると、イオンの関連企業は後援会員集めだけでなく、“事務所詰め”も強いられる。
「泗水会」はイオンに出入りする運送・運輸会社80社以上で構成されるグループだ。実はこの組織は選挙の度に、集票活動の「手伝い」をしているのだ。
 前々回の総選挙時(05年)に泗水会の会員に送られたペーパー(ローテーション表)には、<会員各位のご都合をお聞きせず作成致しましたので、ご容赦お願い致します>とある。
 主な幹事社は、池畑運送、阿倉川運送、伸栄冷蔵、末広運輸などで、それぞれ社長名で民主党三重県第3区総支部へ毎年、献金している。午前(9時~13時)と午後(13時から17時)の部に分かれるシフト制で、どちらの部にも幹事社が1社か2社、他の会員会社は4~9社、詰めることになっている。
 地元記者が呆れた口調で解説する。
「所詮、岡田には自民党のDNAが残ってるってことなんですよ。自民党の道路族が道路工事や橋工事と引き換えに票を集めてるのと構図は同じなんです。イオンで仕事をさせてやるから、票をくれ、選挙の時は事務所を手伝えってことなんです。そもそも故・竹下登元首相が岡田さんに声を掛けたのもイオンの後ろ盾があってのこと。じゃないと、贈り物の伊勢えびを送り返して腐らしたり、ミカン業者の集まりで、お礼のミカンを突き返したりするような変人を推したりしないでしょうが……」
 岡田の選挙を手伝っているのは、テナント企業や運送会社だけではない。信じ難いことだが、イオングループのパートのおばさんまで駆り出されているのだ。
 証言してくれたのは前回の衆議院選挙期間中にジャスコの衣料品売り場でパートをしていた30代の女性と40代の女性である。
「まさか、岡田さんの選挙の手伝いをさせられるなんて予想だにしませんでした」
と証言するのは、30代の女性。
「選挙期間になると、主任に呼び出されて、ローテーション表と後援会員の名前と住所と電話番号が書かれた名簿を渡されました。そして“あんたは、午後2時から3時までね。名簿のここからここまで電話して”と命じられました」
 売り場のバックヤードに机と電話が用意され、壁にはローテーション表も張ってあったという。
 主任はパート従業員に対し「あくまでも、岡田事務所の人間だと強調してください。ジャスコから電話しているとは言わないこと」「余計なことは言わないでいい」などと指示。電話マニュアルには、『岡田事務所の○○です。次の衆議院選挙ではぜひとも岡田をよろしくお願いします』『お世話になります』などという文言が並んでいたそうだ。
 イオングループでは主任以上は正社員だが、
「正社員に逆らうなんてことは絶対にできません。いまどき、パートなんていくらでも補充できますから。でも私は服の販売をしたくてパートに出たわけで、岡田さんの選挙応援に来たわけではないんですけどね。電話してたのも就業時間中だったので、あれは選挙違反じゃなかったのかって、今でも納得のいかない思いがしてます」(同)
 一方、40代の女性は、
「主任から指示があると、“ああ、また選挙の時期なのか”って思うだけでとくに抵抗もなくなってました。内部では『電話作戦タイム』って呼んでましたけど、私たちは接客業なんで、人当たりも柔らかいでしょ。使い勝手がよかったんじゃないでしょうか」
 と割り切っている様子。選挙期間中、地元イオングループのバックヤードは、岡田事務所の出張所の様相を呈するとか。これでは、道路族の議員が自分の事務所ヘゼネコンから社員を出向させるのと全く同じ構図である。

 以上の疑問を岡田事務所に問い合わせた。
 献金については、
「イオングループとは関わらない個人、企業、団体からも幅広く頂いており、『その多くはイオングループに関わっています』と断定する根拠が全く無く、事実ではありません」
 という。これが「事実」であることは前述した通りだが、ならばあえて続けようか。
 献金リストにある、イシガキはイオンの製品を預かっている倉庫会社で、清水製菓はイオンに卸している饅頭屋、岩田食品はイオンに食品を卸している問屋、ヤマモリや山忠食品も同じく食品問屋ではないか。枚挙にいとまがないとはこのことだ。
 また、平成19年の個人献金を見ても総額566万円のうち、岡田卓也、岡田元也、岡田保子など身内が限度額の150万円を献金しておりこれを差っ引くと、残りはたった116万円でしかない。これのどこが「幅広く頂いて」いるなのか。
 運送、運輸会社の選挙協力については、
「たしかに運送業に関わる人たちにも選挙事務所にお立ち寄りいただくことはありましたが、あくまでも地域の運送業者の有志がつくる岡田克也の後援会企業であって、『イオンに出入りしている運輸、運送会社がある会を結成して』という指摘も事実ではありません」(同)
 女性パートの選挙協力に関しても、岡田事務所側は全面否定である。
「『パートの女性に……電話をかけさせたり』という事実もありません。選挙事務所での電話かけには男女を問わず、幅広い世代の方々にボランティアで御参加いただきました」(同)
 しかし、地元商工会の幹部(前出)が語るには、
「その女性たちの証言はウソじゃありません。この辺りのイオンやらジャスコにパートで出ている女性の一部がやらされていることなんです。これまでなかなか表に出て来なかったのは、ここが“岡田王国”だからなんです」
 もともと三重県の呉服屋を始祖とするイオングループは、三重県だけでもスーパーマーケットのマックスパリュだけで50店舗以上を数える。
「これに加えて、イオンやジャスコもいたるところにある。岡田さんの選挙区のイオン、ジャスコだけでも10店舗近くあるんじゃないんですか。つまり、家族とか友人知人をたどっていくと必ず、イオングループに関係があるわけです。そんな地域で岡田さんの選挙のやり方に疑問を持っても口にはできないでしょ。田舎ですからね、それこそ“村八分”みたいな状況になってしまいますよ。岡田のいわば恐怖政治には誰も逆らえない状況なんです」(同)
 
 イオンをバックにした岡田の政治力を表す、ちょっとしたエピソードも紹介しておく。ある地元商店主の証言だ。
「いくら岡田王国といっても、この地域でも地場のスーパーマーケットがあります。サンシグループというんですがね。ところが本来なら、イオングループに負けるもんかと敵対するはずが、完全にイオンの軍門に降ったんです。隣にジャスコやらマックスバリュを作られたら、あっという間に潰されますからね。今じゃサンシグループも岡田に献金してますよ」
 調べてみると、確かに献金の記録はあった。このサンシグループには、自民党関係者が献金のお願いに出向いたことがあったが、「勘弁してくれ。あそこは怖いから」と幹部が両手を合わせて拝むようなポーズで断ったという。
 因みに、「スクラップ&ビルド」が社是のイオングループは業界では、儲からない店舗はさっさと畳んでしまうことで知られる。ところが、岡田の選挙区のグループ企業はその対象にはほとんどなったことがない。平日など「お客より店員が多くて採算は取れているのか」と不思議がられているイオングループのマイカル桑名も未だに健在だ。この店は最寄りのバス停に「猿に注意」という看板が立てられているほど辺鄙な場所にある。
 かくして、岡田は選挙期間中にろくに選挙区に入らなくても、楽々と当選を重ねることができるというわけである。おまけに、地元秘書の優雅な姿も目撃されている。
「岡田事務所の並びに大きなジャスコ(四日市北店)があって、その斜向かいに漫画喫茶があります。その駐車場では選挙期間中だというのに、エアコンかけたままの車で、岡田さんの秘書が居眠りしてるんですわ。漫画喫茶に出入りしているとこも何回も見てます。余裕やなあって、笑って見てましたわ」(地元の自民党関係者)
 普段は、四角四面でクリーンなイメージの岡田。だが、地元で「イオン」丸抱えの企業選挙を行なっているのも紛れもない事実だ。その落差に有権者は、相当な違和感を覚えるはずである。(敬称略)

週刊新潮2010年7月29日号
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まさる&りえこの週刊鳥頭ニュース 今週の御題…消費税10%

2010-07-21 19:57:45 | 週刊誌から
佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
西原理恵子(漫画家)

国家という泥棒が脱衣婆のよにテラ銭をもぎに来るよ。
納税と書いて自衛と読む。
消費税10%
国会議員がダメなんじゃなくてそもそも優秀な人間は国会議員になんかならない。
あの議員の不動産顔 もーダサダサ 何とかして
日本人の誇る真面目で優秀な人間はどこにいるかって 会社にいる。
あっちこっちでそらもう働いてる
高額納税企業経営者を国会議員にしろ。
理由 本当にえらいから。
貴族院復活
もちろんみんなちょぼい議員の給料なんかいるわけない
はした金なので
もちろんみーんなイヤがる
誰がやるかタコ 仕事命
天皇陛下に任命してもらいましょう。
勲章付き
みんな出てくる出てくる。
トヨタ さっさとすませましょう 仕方ないなー 松下
ソニー えーボクも? ニトリ
お前も個人でごっつい国税追徴金払ったろうがーイヤーイヤー
ジャパネットタカタも入れちゃえ(個人的に)
さすれば消費税どころか全ての日本の問題がソッコー解決。
借金と税金に良いものなし
西頭火

 税金を使うのが官僚の仕事だ。1997年に筆者は、当時、橋本龍太郎首相の秘書官をつとめていた江田憲司さん(現衆議院議員、「みんなの党」幹事長)から、白い封筒に入った30万円の機密費(内閣官房報償費)をもらった。30万円は大金だ。モスクワでの情報工作にこの機密費を使った。誰にいくら渡し、どこで飲み食いしたかも正確に記憶している。ところが筆者に機密費を渡したことについて、江田さんは「30万円については、まったく記憶にありません」(6月22日発売の『週刊朝日』)とコメントしている。
 現在、サラリーマンの昼食はワンコイン(500円)以下だ。30万円は、280円の牛丼1071食分に相当する。税金を原資とする30万円もの機密費を渡しても、「まったく記憶にありません」というのが、エリート通産官僚だった江田さんの金銭感覚なのだと思う。そういえば、外務省には「夜の幹部会」という会合があったが、あそこでの支出もすべて税金で賄われていた。そこで飲み食いした金額を元外務官僚は覚えていないと思う。
 自民党が消費税10%と言ったのを、菅直人首相は逆手にとって、消費税アップに踏み切ろうとしているが、とんでもない話だ。消費税アップに反対している「みんなの党」幹事長をつとめている過去官僚ですら、この程度の金銭感覚だ。官僚の金銭感覚が国民の標準的感覚に近づくまで、絶対に消費税を上げてはならないと筆者は考える。

週刊新潮2010年7月15日号
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