おぼえがき。

日々思ったり感じたりしたことを失念しないためのもの。

30分のために

2005-11-17 22:40:40 | Weblog
3000円費やした。演奏のために。
2時間演奏すると思ったら1時間で、遅れて行った私に
とっては予想外の出費になった。
昨日の演奏、今日のあの音が、今の私のきっかけに
なったのだ。30分だけ聴いたあの音が。
奏者とは、初めて会って以来、驚くほど仲良くして
もらっている。彼を見ていると、従兄弟のような気が
してくる。
ひとつの才能に秀で、現実や日常にしわ寄せが生じる、
そんなバランスのとり方を、彼も間違いなくしている。
負に引き寄せられやすく、自分のペースと標準のペース
に差異が生じやすい。
それを不器用というのだろう。そしてそんな人々が、
私の周りにはとても多いような気がする。自分がどうか
できるわけではないのに、とても気にかかり、心配して
しまう。彼らの中に自分を見ているのだろうか。彼らの
もつ不器用さと生じてしまう歪みの中に。


だからきっと、30分のために3000円を費やしたのだ。
それもまた、不器用なのかも知れない。

今こうして奏でているのは

2005-11-17 17:00:34 | Weblog
3年前のあの演奏を聴いたからだ。



彼らの演奏を聴いて、初めて彼らと会った時のことを
思い出した。
夏に出かけたあの地では、その音楽はあまりにも自然で
特別でもなんでもなく、観光客としてもの珍しいだけの
ものとしてしかとらえていなかった。
あの地へ行った人は、帰ってきてからもずっと気持ちを
引きずり、心をしばらく置いてきてしまう。
そんな場所で生まれた音楽は、海を渡り形を変えて広がり、
そしてここへも。



同じ曲なのに楽器や奏者によって随分違ったものになることも。
同じジャンルなのに地域によって随分違ったものになることも。
彼らの演奏を基準にして聴き比べて分かったこと。



彼らの演奏が頂点で完璧で、他に類を見ないということではない。
私にとってのきっかけだったということだ。
私にとっては原点だったということだ。



あれからいろんなことが変わり、きっと演奏する彼らも内外で
変化があったに違いないけど。
彼らに会わなかったら、あの演奏を聴いていなかったら、
今の私はない。