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想い事 家族の記録

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僕を憐れむ声がいちばんきれいに聞こえた。だからもっと、哀しませたくなるんだよ。

2025-04-15 15:06:33 | 日記
羅生門リターンズ~正気が迷子になった日


むかしむかし、娘の学校で出された課題に「羅生門の続きを書け」ってのがあった。
その時の日記を読み返して、笑った話。
ふたりで、知恵を絞ったあの日のこと。

私が書いたのは、わりと真面目なやつ。
下人、罪の重みに苦しんで、老婆が死んでるの見てショックで自◯。
生まれ変わって門の一部になって、
人の罪とはなにか、天に問うとか何とか。
今思えば、心がまだ清かった時代。
キレイな涙も流せた、そんな時代。

で、娘の回答。
うん、アレだよ。地獄の住民の思考回路。
簡単に要約するとこうなる。

老婆の死体を見ても、罪悪感ゼロ。
ニヤリと笑って「ま、いっか」と立ち去り、
そのまま元気にふてぶてしく生存ルート突入。

「天罰? 因果応報? それって食えるの? お腹いっぱいになるの?」

とでも云いたげな顔で、全スルー。

人間なんて所詮そんなもんだろ?


……って、そりゃもう真っ黒な心をぶちまけてた。

でも、なんだかんだで、その冷めた視点が私は好きだった。
正しさより、リアル。模範より、毒。
…やるじゃねぇか、娘よ。


だが現在。
私は、かつての清らかな模範回答を、
どの口が吐いたのかと疑うレベルで、腐っている。

今ならこう書く。

老婆、死亡済。あったかい。
鮮度は良好。
サクッと肉を切り取って、火に放り込む下人。
焼ける匂いに鼻をくすぐられ、思わず笑みが漏れる。
「いただきます」って手を合わせる律儀さが怖い。

餓死? 盗人? いやいや、今日は焼肉だ。

数日後、猫を追ってる。次に犬。
その次? そりゃ人間だろ。
食欲にブレーキなどない。
倫理なんてスパイスにすぎない。
誰も止められない。
そう、一度火がついた狂気は、止まらない。

壊れた人間なんて、そんなもの。

その炎は今、羅生門だけじゃなく、この国のスーパーのプライスカードにも燃え移っている。
私は思う。
みんな物価高が悪いんだ。全部、あいつのせい。

最近、心の中の羅生門がぐらぐらしてる気がする。
朽ち果てる寸前。罪の闇が、沸騰してる。
…もう少しで何かが吹きこぼれそう。

コメント
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