ぽせいどんの今日の一枚 +

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グアム 1994 APRIL その5

2021-11-02 12:44:41 | 写真 海

              四本目 ウェスタンショールス

  ウェイトベルトを今一度確認した。
 いつもはハウジングをスタッフに一時預け、エントリー後に艇の上から渡して貰っていた。
 この回もジュニアに預けた。
 ジャイアントストライドでエントリー。一歩踏み出そうとしたら掌を広げて制された。
 「!!・・・・・・?」
 ジュニアは私のハウジングを高く掲げてジャイアントストライドで飛び込んだ。
 ハウジングは水面にまで達することは無かったがブラケット等に瞬間的にかかる荷重は相当なものである。
 カメラを大事にする者には考えられない所業である。
 私の方を向いてジュニアは得意げな顔。分かっていない。
 エントリー。ジュニアからハウジングを受け取った。
 湾内の所為か透明度は思わしくない。
 魚影はだいぶ豊富であるがヌケの悪い画となりそうだ。

 

 まず目についたのがキイロハギ。名前の通り鮮やかな黄色の魚である。
 ヘラヤガラが一メートルほどまで近寄って来た。沖縄ではここまで近づくことは無い。



 やや大型の魚。まだ瘤は未発達だがナポレオンである。撮影。
 バディを手招きして教えてやろうとしたがナポレオンはすぐに姿を消した。
 ・・・・・・
 「あの鯉みたいな魚は何?」とバディが『センセイ』に記す。
 見回したがそんな魚はいない。・・・先ほどのナポレオンの幼魚のことか?。
 そう思っていたらまた姿を現した。


 ※ナポレオンの幼魚です。

 『センセイ』を受け取ってナポレオンの子供と書いて指さした。
 OKサイン。分かったようだ。

  
 ※ 『センセイ』

 パーティは浅場に移動。推進三メートル。多少のうねりがある。
 枝珊瑚の群落だ。珊瑚らしい珊瑚を視たのはグアムではここが初めてだ。
 トロピカルフィッシュは多数いるが水のヌケがやはり悪い。撮影結果は期待できそうもない。





 ふと横を視ると飛び込みに挑戦した女の子。ショーヘアの方だ。
 中性浮力をとっている姿はキレイに決まっている。かなりの本数を潜っているのか?。
 グアムはビギナーが殆どかと思っていたがそうでもなさそうである。
 残圧はまだ百以上を残していたがエキジット時間となった。
 ジュニアに続いてバディは早々とアンカーロープを掴んでいる。
 水深が浅いので減圧停止は不要だ。頭上が空くまで海底に留まることにした。
 ショートヘアも余裕たっぷりである。珊瑚の隙間を覗き込むようにウォッチングに余念がない。
  頭上が空いた。ゆっくり浮上。ショーヘア、まだ顔を上げない。
 『声を掛けるべきか?』と思ったらイカリが寄って行った。
 エキジット。

 ※ やたらとなつかれたお調子者のジュニア と バディ

 「あれ本当ですか?」とイカリ。
 「何でしょう」
 「ナポレオンの子供」首を傾げていた。
 「違いますか?。どうみてもベラ科の魚ですし、鱗の紋様も目尻の筋も一緒ですよ」
 「ベラ科には違いないと思うけど・・・?」イカリは疑わしそうだった。

 数か月前にダイビング雑誌にナポレオンの幼魚の写真が掲載されていた。
 私の記憶に間違いがなければ紛れもなくそれである。
 まあ写真も撮ったことである。帰宅してからじっくり検証すればよい。

 ※帰宅してから数十冊のダイビング雑誌をチェック。間違いなくナポレオンの幼魚であった。
  ベラ科では世界最大、成長すると2メートルを越え、鱗も大人の手の平くらいの大きさになるらしいです。
  和名は『メガネモチノウオ』、目のまわりの模様がメガネをかけているように見えるからきている。
  生まれたときはすべてメスで、メスとして成熟した後にオスに性転換をする。
  そして、性転換した『ナポレオン』は、体色が青くなえい、頭のコブが発達する。
  それがナポレオンの軍帽のように見えることが命名の由来である。
  たぶんイカリはこの知識がなかったのであろう。

 「オクトパス、使うことあります?」
 「ハー?」
 「たまには使ってみてくださいよ」
 私はそれと、ゲージを曳き擦るのが嫌う。それゆえに二つともBCのポケットに収納している。
 ゲージの方は残圧チェックのたびに取り出すがオクトの方は収納したままである。
 バックアシストをしているときに気づいたのであろう。
 しかし、イカリは私のウォッチングをしているのか?。
 注目度一番のような気がする。ビギナーに気を配った方が良いと思うが。
 それとも何か張り合いたいのか?。

 「結構あるんですよ動かないことが。いざ必要な時に使えないと困りますから、時々交換して使うといいですよ」
 「家を出る前に必ず稼働チェックしてますよ」
 「・・・・・・?」
 「タンクがあるんですよ。それにつないで」
 「タンクを持っている人は珍しい」
 「六本ありますよ」
 「チャージもレンタルも値段は変わらないでしょう」
 「いや、エアを詰めるのに金はかかりませんから」
 「懇意にしているショップがあるのですか?」
 「家は田舎でして近くにダイビングショップは皆無です。消防署へ行くんですよ」
 「消防署・・・・・・?」
 「ええ、レスキュー部隊がありますからね。火災の時などもタンクを背負って突入したりもするかと」
 「・・・・・・?」
 「仕事柄、そこそこの付き合いがありまして」
 「・・・・・・?」

 またまた潜水艦だ。だが今度のは観光用のそれでブリッジを海上に残して沈む半潜水艦。
 船腹に窓があり海中風景を鑑賞できるようになっている。大がかりなグラスボートのようなものかと。
 船名は『NEPTUNE』 男がデッキに立っている。

 パラオから私の外国でのダイビングはファブリックスーツを使用している。
 ウェットスーツよりも軽量で嵩張らなく荷にならないことが選択理由だ。
 しかしその反面保温力はやはり劣った。それ故に今回は『シ・カーボニウム』と言うインナースーツをプラスした。
 これはショートジョンである。下半身は膝上。上半身は女性用のワンピースの水着と何ら変わらない。
 エキジット後、私はファブリックスーツを脱ぎ捨ててそのインナーのみで寛いでいた。
 本日のダイビングボートは大型艇故に右舷に個室が設えてあった。
 尿意を催し中に入った。採光のために大きなアクリルの窓があった。そこから『NEPTUNE』が視えた。
 当然、デッキに立っている男からもこちらが視えるはずだ。注目しているようだ。
 シ・カーボニウムを脱ぎ始めるとデッキの男が姿を消した。そしてまたすぐに表れた。
 手には双眼鏡。こちらにそれを向けた。遠目から私を女性と見誤ったのだろう。
 男のスケベ心は何処の国も変わらない。
 「御生憎様」
 クルーが一人増えた。男と何か話している。
 バツが悪かったのだろう。双眼鏡をしまわずにそのまま周囲を眺めている。

 マリーナ。スタッフが固まってはしゃいでいる。
 ジュニアがスピードフラッシュを着けたままのニコノスを高く掲げた。
 『何をする心算?』・・・傍目。
 掲げたままのニコノスの裏蓋を開いてフィルムをドロップ。左手でキャッチ。
 恰好をつけている心算だろうが視るに堪えない。
 やはりこいつにはカメラは預けられない。

 つ づ く
 

 ※ グアムのネガが見つかりました。リバーサルはまだ見つからない。
   今まで掲載した写真はWin95の時代にNikonのCoolScanで何齣かを取り込んだもの。
   これからスキャンしてレタッチいたします。
   今日の記事を含めて掲載写真を入れ替えたり追加したりする心算です。

     


 

 


 

 



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