二十八日 ダイビング 三日目
船止めが解かれて本日は那覇よりボートダイビング。
スタッフを含めて二十三人が泊港に到着した。
講習組二班とファンダイブ班とに分かれてセッティング。
ファンダイブの学生五人も流石に三日目である。鈍くささは消えていた。
船に乗り込むまでにはまだ時間がある。港を散策。
釣り具、釣り餌を売っている小屋。人間様の食糧もついでに売っていた。
朝飯を控えめにしたので、もう少々胃に詰めておくことにした。フーディングのために魚肉ソーセージも二本購入。
出航。乗船名簿が廻って来た。
住所、氏名、年齢を書き込む。MGのそれを視たら三十代半ば。見かけよりもだいぶ若い。
港を出ると流石にまだ波は高かった。スプレーが容赦なく襲い掛かる。
ピッチング、ローリングもかなりのものである。
コクピットには船長とSHIMAがいた。スプレーを避けて私も狭いコクピットに非難する。
「どう?。潜れそう?」
「大丈夫です。ポイントは限定されますが」
「私の方には気を遣わなくてもいいがら講習を基準に考えて選択してください」
「まず上陸して、そこでブリーフィングをします。船酔いをする者が出るかもしれませんから」
チービシが見えて来た。神山の埠頭に打ち寄せる波が白く砕けている。
ボートが埠頭に接近した。・・・が接岸は諦めた。
「どうする?」
「慶良間迄行きます。あっちの方が静かですから」
再び波を切り裂いてボートは走り出した。前方に小島が三つ見えて来た。
その中のひとつに接近。接岸。上陸。
前島。無人島である。空き缶が山になっていた。
「ここの隣の島の前のポイントを潜ろうと思うのですが」
「楽なところ?」
「はい。あんまりおもしろく無いかもしれませんが」
「こういう天気に当たっちゃったのだから無理は言わないよ。それより講習が苦労しないようにそっちを考えてくれ」
「だい丈夫です」
三班に分かれてブリーフィング。
「私はカメラを持ってスクールの方に行きますから」
慶良間 中島ビーチ前
前島から五分でポイントに着いた。アンカーリング
五人を送り出してからエントリー。ボート下で別れを告げて講習の方へ。
直径十五メートル。高さ三メートルほどの根。コーラルフィッシュが群れている。
透明度はやはりよくない。十五メートル有るか無いか?。
まずはSHIMA組。生徒が揃っていない。見上げると小橋が潜行ロープに掴まっている。昨夜、耳抜きに苦労したと言っていた。それが理由だろう。
ゆっくり浮上して小橋の傍に行く。
「時間が掛かってもいいから、あせらずに確実に耳抜きをしろ」と、言う心算だった。
だが、何を勘違いしたのか ピースサインをしている。
『無様な姿を写真に撮られて末代まで残したいのか』
漸く小橋が海底に到着。しかしまだ人数が足りない。
一人一人を確認。ヒナプー・小橋、直子、エリー。K谷がいない?。
船酔いでエントリーを諦めたのか?
まずは実習風景をスナップ。順次一人ずつを撮影。
最年長、女性。心配していた直子は水中でポーズをとる余裕があった。
この分なら大丈夫だ。
KO組は全員揃っていた。SC、N野、オザ、アズサ、美友紀、マッキー。男同士、女同士でツーショット撮影。とりあえずノルマ終了。
みんなよく健闘している。この組も問題は無さそうである。
ファンダイブ組が見当たらないので根に取り付いてウオの撮影。
定番のクマノミ、チョウチョウウオ、スズメダイ。
五分ほど撮影していたらKAZUを先頭にファンダイブ一行が姿を現した。
片手をあげて、聞こえはしないが「やあ」と挨拶。
大型の海鼠を拾い上げてT村に投げた。お気に召さないらしい。手に取ろうともしない。
再び拾い上げて『講習組の真中に上から落としてやろうか』
パニックを起こされてもと思い取りやめた。
講習組が浮上を始めた。私の残圧はまだ充分に余裕があった。が、撮るべきものは?。
透明度もを芳しくない。ゆっくりと浮上。水深五メートル。潜行ロープを掴み減圧停止。
上から五人を眺めていた。全員かなりなれたようだ。最後の一本は私が手を煩わせなくても良さそうだ。
次々に浮上してきた。
「先に上がれ」と拇指で合図。
今回は浅い水深であったがエアに余裕のある限り減圧停止を自分に義務付けていたのだ。
ボートはすぐに走り始めた。前島に接岸するものと思っていたら全く減速をせずに島の前を通過した。
「どうするの?」
「チービシに行きましょう」と、SHIMA。
「大丈夫かい?」
「潮が落ちて来ましたから」
「一人居なかったね。彼女はどうしたの?」
「船酔いがひどくて・・・エントリーはさせたのだが・・・『やっぱりだめだ』と言うから上がらせた」
「そうか」
波の勢いは衰えを見せなかった。ローリングとピッチングは往路と何ら変わりはない。
船酔いをする者が増えそうだ。
チービシ・神山島に到着。昼前と同様に接岸を試みるが断念。数百メートル沖出しをした。
うねりはあるが問題になるほどでは無い。他にダイビングボートが二隻アンカーリングをしている。
海中の状況を調べるためにスタッフが飛び込んだ。
「腹が減りましたよね」とM山。
そういわれると胃痛が気になりだした。
※ 神山島 撮影は2003年 参考資料として掲載
「昼食を摂らずに二本目を潜ります」とSHIMA。
「エッー!」
「船酔いで吐く者が出ると思うのですよ。港に着いてからの方がいいでしょう」
『さて、空腹を どう治めるか?』空腹はどうにか我慢できるが胃痛の方はそうはいかない。
!。ソーセージ。フーディング用に購入したそれがあった。
防水バッグから取り出した。
「それ、魚の餌じゃなかったのですか?」
「欲しけりゃ売るぞ。五百円でどうだ。買ったときは百円だったがな」
千円でも売る気はなかったが。
今の私にとって、それは食料ではなく痛み止めの薬だった。
N野がダウンしてます」
「船酔いか?」
「そうです」
バウ甲板に移動。
「大丈夫か?」
「はい。大丈夫・・・だと思うんですが?」
「泳げ。それで結構楽になる」
「左舷百メートル。溺者発見!イケーッ!」
N野は起き上がらなかった。
「自分は行きます」ヒナプも軽度の船酔いだったのだろう。飛び込んだ。
SCも立ち上がった。
「マスクとフィンは着けて行け」
「はい」SCに続いて何人かが飛び込んだ。
※この三日目のネガが見つかりません。
水中での講習組の画は無しです。
もっともモザイクを掛けることになるので視ても誰かは判らないでしょうが。
つ づ く
※掲載順位がランダムなのでダイビング記事の目次を作りました。
年代順となってます。
ダイビング編目次