大阪発達支援センターぽぽろブログ ぽぽろ番

ぽぽろはNPO大阪障害者センターの子育て・教育支援部門です。
大阪市鶴見区今津北にあります。

クリスマスイヴ

2010年12月24日 | 児童デイサービス
 それはわずか1分のスキをついて起きた出来事でした。
 23日の学童の様子を1時間余かけてブログにして、最後のもう一言を書き残してちょっとした立ち話をしている最中でした。
 事務所に無断侵入した誰かがいたずらでパソコンキーを2~3回叩いただけで、あっと言う間にブログの編集画面が消えてしまったのです。
 ブランコデビューをしたMoくんのこと、赤マントをひるがえして公園散歩に出かけたMaちゃんのこと、Haくんのご近所のちびちゃんたちとの砂山作り競争、人や場面に即したコトバがどんどん出てきたMaくんの話し等々…。

 気を取り直して2つだけKe・Tちゃんのことと、Mo・Kさんのことを書きます。


 今日はクリスマスイブなのでケーキ作りが計画されていました。何故だか公園に行き着く前に引き返して子どもたちはケーキ作りに夢中になりました。
 これが出来上がったケーキ。

 これは製作中の写真。写っていないメンバーが2人います。
 Riちゃんはチョコスティックを立ててくれました。(口で言っただけでは応えてくれないときには具体物を示したり渡して話しかけること!分かったかい?)
 Moちゃんはストレートには輪の中に入りません。出来上がった頃に入ってきてみんなと食べました。
 そして、写真のヤングアルバイトのMaくんにピッタリ寄り添って「命令」しているKeちゃんに注目。このアトでKeちゃんはMaくんに「命令」して相談室にこもります。


 トナカイさんはYuくん。サンタさんはNaくんとSuくんの2人。3人で大いに盛り上がりました。しかし鈴が用意されていませんでした。驚いたのはスタッフのHiさんの大胆な行動。ムッチャ恥ずかしがり屋だと思っていたHiさんが先頭に立って大きな声でジングルベルを歌いながら回りだしました。それで雰囲気も渦も出きてきて、子どもたちもついて回りだしたのです。大人が乗ると子どもたちも乗る。楽しそうだと周辺参加の子らも輪の中に入ってくる。この調子で頑張ってください。
 

 Maくんに「ここにも来てよ」と言われて、KeちゃんとRiちゃんが「避難」している相談室にまで乗り込んで行ったサンタさんたちです。


 Keちゃんのことは何度か書きました。彼はこのバイトのMaくんが大好きで最近は来るなり「Maくんいる?」と大きい声で叫びます。地域の学校では2~3語以外はほとんどしゃべれていないようです。ぽぽろでは最初は蚊の鳴くような声でしたが、最近はこのMaくん相手にビックリするぐらい大きい声でしゃべっています。そして、Maくんを基地にして行動範囲と集団参加、おしゃべりを広げていっています。
 昨日はMaくんはお休みすると彼に伝えていましたが、来るなりスタッフに「Maくん、いないよ」と言われて泣き出しお父さんから離れようとしません。さぁ困った!
 でも大丈夫、ピンチヒッターのUさん(私ではありません。女性スタッフです。)がいます。Maくんの次に心を許しているのがUさんだと分かっていたので、彼女を呼びました。泣くのを止めるなんて出来ないし、「泣いたらいいよ」とUさんと事務所に入るとお父さんから離れ、泣きながらでしたが分かれることが出来ました。この日、彼はMaくんがいなくてもUさんやTaさんなどとまずまず楽しく過ごすことが出来ました。大きな声も出ていました。
 泣きやんでしゃべりだしたきっかけが面白いというか、やはり!と思ったわけです。人差し指と中指の先をものすごい早さで曲げたり伸ばしたりするKeちゃんがいました。真似しようとしてもとうてい無理なので、「そんなん、でけへんわ。どうしたらできんの?」というような声かけをしたそうです。そこで切り替わったということです。以前、バイトのMaくんと彼の関係を「お殿様と家来の関係や」と言ったら、Maくんが「ホントにそうですね」と言ったことがあります。かなり自尊感情が弱まり傷つきやすくなっている彼(他の子どもにも当てはまる)と関係をつくるのには徹底的に受容的な態度を続けながら、力関係を逆転させて主導権を彼がとれるようにすることだと思います。指の動きが「すごい!できない!」という一言で力関係が逆転したのでしょう。Maくんの関わり方も徹頭徹尾従属的です。先ずは彼の「発信」を「受信」して行動に移すという関係でいいと思いますが、従属関係から少しずつ次の段階にすすみ、Maくんが「発信」(要求)する番が来るでしょう。それをKeちゃんが「受信」&「発信」し、キャッチボールが出来るまでには時間が必要でしょう。

 しかし、もうすでに時々Maくんの「発信」に対して「イヤ!」という大きな声が「発信」されてきています。今後が楽しみですが、学生のMaくんは就職を前に来年2月でお別れです。
 ですから、この日のUさんやTさんなどとの関係の広がりはとっても大きな一歩だったと思います。
 Maくんも時々ボランティアでのぞいてくれるそうですから、彼の成長を一緒に見守りましょう。今日はKeちゃんはやって来るなりMaくんの姿が目に留まると恋人のような笑顔を送っていました。そして、事務所をのぞき、「朝ご飯」を食べているMaくんが早く出てこないかと背伸びしながらぞいていました。

 Keちゃんは支援学校への転校を希望しています。今年6月に地域校に申し出ていますが、つい最近まで市教委レベルで止まっていたようす。考えられない対応です。近くやっと市教委と支援校のコーディネーターが来て懇談するようです。そのアトで見学させてもらえるようです。考えた末の止むに止まれぬ思いと行動でしょう。ここまでくると、ねがいが早くかなうことを切望するのみです。


 イブに先だって、サンタのプレゼント用にスタッフが作った靴下にお絵描きをしました。
 大人がすべてお膳立てして作って、ただ渡す物は「教材」とは言い難いです。体裁のいい物を何時間も、場合によっては子どもの来ている時間も使って作り、靴下はそのまま渡すという計画に「これでいいの?」と何度も問題提起してきました。学校ではないからお勉強でお絵描きさせるわけではありません。子どもによっては願いを表現したり、お絵描きを楽しんだりしてくれたらそれだけでもいいのです。

 火曜日に子どもたちがつまらなそうにしているのでお菓子の入っていない靴下をごっそり持ってプレールームに行き、マジックを示して「サンタさんがプレゼントを入れてくれる靴下に絵を描こう!」と言うと、真っ先にやってきたのがMo・KさんとMoちゃん。そして次々とやって来て、みんなが描きました。別室でKeちゃんも○を2つ描いたそうですので、全員が描いたようです。

 その次の日にスタッフで話し合いました。「別に形にこだわったり、やらせでしたわけではないよ。みんな楽しそうに描いていたでしょ?行事をするのなら学校らしくではなく学童保育らしく楽しくやろうよ」と。そしたら「やろうとしたのですけど、見向きもしませんでした。Uさんなら鶴の一声でできるのが不思議です」「Uさんからは学校みたいなことやお勉強みたいなことはぽぽろではやらないと言われました」と返ってきました。
 最近、スタッフとは「あそびを組織する」ということについて話し合っています。「支援」というコトバにこだわると子どもの後追い・単なる見守りになりやすい。「指導」というコトバは一方的に大人が子どもを導くということと誤解されやすい。
 学校のように「指導」しようとすると子どもたちは確かに反発します。学童に期待する子どもたちの要求ではないからです。「第三の世界」にとっての独自の「支援」「指導」とは何か?そこには専門性はあるのか?そのスタッフの資格や「サービス」内容における専門性とは何か?平成24年4月から新制度「放課後等デイサービス事業」がスタートする。ぽぽろでももう一度スタッフの中で熱い議論をしていきたいと思います。


 これはRiちゃんが描きました。その日に持って帰りたかったけど我慢して、今日帰りにお迎えのお母さんに嬉しそうに「見てみて!」と渡していました。

 
 Mo・Kさんはそのものズバリ「嵐」のCDです。このねがいお母さんに、いやサンタさんに届いたかな?ぽぽろからのプレゼントはお菓子だったようです。「嵐」でなくてゴメンね。

 実は昨日、スタッフが中学校の帰り道でぽぽろの前を通るMo・Kさんにばったり出会ったそうです。数日も立っているのに彼女は招待された「ぽぽろソングス」の黄色の歌集を開いて歩いていたそうです。Moちゃんと声をかけるといつものように彼女はチラッと見てそっぽを向いたそうです。常に「表情一つ変えない」ように見える彼女ですが、歌集を持つ姿の中に私たちが想像する以上に楽しかった彼女の思いを読みとることができたのでした。

 久しぶりに見せてくれたFuくんの絵。1年近くこうした絵からは遠ざかっていた彼。2~3秒でくしゃくしゃっと手も足も出ない顔を描いていた彼。今日の絵には鼻に2つの穴があります。メガネもしっかり描いています。
 最初に右側の絵を描きました。私だというので「髪の毛をいっぱい描いておいてな」(最近遊べなかったりすると「うらべ はげ!」と挑発するので…)と頼むと3本だけ描いてくれました。元気のいい髪の毛やないか!サンキュー。
 左が最後に描いたスタッフのTaさんの顔。でっかい顔がいい。(1年半前にはこれよりは大きい楽しそうに手も足もあって踊る私やスタッフのKoの絵をのびのびと描いていた。)そして初めて表現するでっかい口。「特徴」を上手に表現しています…。


 Maくんものぞき込み「フムフム…」という顔をしていたかと思うとペンを取っていきなりすらすらとサインを書くかのように3枚描きあげました。