多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

首里花織の作品をみた国展

2008年05月13日 | 博物館など
第82回国展が六本木の国立新美術館で開催された。
国展の歴史は今から90年前の1918年(大正7年)小野竹喬、村上華岳らが始めた国画創作協会、それを継承し1928年に発足した国画会に遡る。伝統ある公募展である。

公募展は何しろ展示作品数が多すぎて圧倒されるので、数十年前に院展や新制作をみて以来行っていなかった。たまたま昨年知人から国展のチケットをいただき行ったところ、工芸部が面白かった。
国展の絵画部は1人2点展示でき、会場も広いので物量の圧迫感はやや少ないが、やはり疲れる。1点1点ていねいにみれば発見することも多いのだろうが、絵画部、彫刻部、版画部はさっと見て歩いただけになった。

ちょっとほっとするのは工芸部である。個人的に富本憲吉の陶器が好きなせいもあるが、大鉢、大壺、瓶など白磁の陶器が美しい。
漆器の黒や朱の深みは見ていてあきない。また今年はガラス器の色の微妙な変化の具合の美しさを発見した。

そして織物である。帯(あるいは反物)と着物の2種類があるが、昨年、人の形になりはじめて現れ出る様式美があることを知り、着物の美しさを知った。
織と染の作品がほぼ交互に並んでいる。染はデザインのパターンが大きい。わたくしが好きなのはパターンが小さい織だ。新緑の季節なので、緑や青の絵柄が清々しい。

今年はとりわけ首里花織に注目した。色としてはサーモンやベージュなど暖色系のものが多い。そこに細かく素朴なパターンが付いている。琉球王朝の古代的な上品さを感じさせる。ネットで調べると首里花織には人間国宝の方もおられる。

その他、写真部も注目だ。紅葉や桜、花などアマチュア展をみる機会はときどきあり、素人離れした作品に出会うことがしばしばある。しかし国展の入選作はレベルが数段階違う。
水辺の光、漣、氷、湿原、滝の清涼感、月光、残雪 残り火、樹の年輪、倒木といった自然を扱った、いわゆる芸術写真が多い。構図もよく、どのようにしてこの一瞬を捉えたのかと驚くような作品がいっぱい並んでいる。

☆会場の国立新美術館は2007年1月オープンした。そのときは1階で「20世紀美術探検」2階で「日本の表現力」(文化庁メディア芸術祭)と、この美術館の設計者、黒川紀章展をやっていた。何しろ広大なのでとても疲れた。しかし村山知義の作品をグラフィック作品も含めてまとめてみることができたことが収穫だった。
あのときは六本木の駅から迷いながら向かった。いまは龍土町美術館通りという近道の道路表示も整備されており、施設が町になじんできたことを実感した。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 憲法9条とメディア | トップ | 歌わせたい男たち »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

博物館など」カテゴリの最新記事