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水産資源は乱獲で減少する一方、それどころか枯渇するという!

2017年10月06日 09時50分45秒 | 日記

ダイアモンド・オンラインに近畿大学水産学科で、養殖を手掛けている有路昌彦教授に聞くという話が出ていた。それによると、最新版の国連食糧農業機関(FAO)による資源評価では、生物学的に持続できない乱獲・枯渇状態にある魚が世界全体の約30%。これ以上捕ると資源が減少する魚が全体の60%を占めます。一方で、今後も漁獲量を増やせる可能性がある資源はわずか10%となっています。

海に住む魚の数は減っている。それにも関わらず、世界の漁獲量はここ数年約9000万トン前後と概ね横ばいです。漁船の高性能化や最新漁具の導入などで、魚を捕る能力が向上しているためです。漁獲量はとりあえず維持することができていました。しかし、減っている魚を無理して捕ったら、更に水産資源が減ってしまいますよね。一昨年の後半から明確に海の魚が減ってきて、今年の漁獲は全滅です。

 まずカツオがダメになった。サンマがダメになった。シロザケがダメになった。スルメイカがダメになった。イカ類は全世界的にダメですし、練り物の原料となるイトヨリダイもダメですよ。マゼランアイナメ、タラ……、要するに主要魚種はもう全部ダメ。これが実情です。

魚の資源量が減っているのに、乱獲状態を止められない理由は世界的に魚の需要が拡大しているからです。所得が増加するにつれて、人々は動物性タンパク資源を鶏肉→豚肉→牛肉という順に選ぶようになります。ブリやサーモンなどのグラム当たりの価格は高級な豚肉や豪州産牛肉に並びます。世界の人口増加と所得増加で、魚や豚肉、牛肉を買える人が増えてきたことが需要増につながりました。

急速な需要拡大に応えるために、捕りすぎた状態が続いているがきちんと資源管理のルールを設定して漁獲上限を漁船に守らせればよいだが、現状は資源管理が機能せず資源量が目減りしてしまっている。

資源管理も広い海を回遊する魚は所有権が決まっていない無主物で、先に捕った人に所有権は生まれます。従って、先取り競争が発生します。回遊性資源は最初から乱獲され枯渇する運命を持っているわけです。もうどうしようもない。

資源管理は厳格に実行する必要があるものの、完全に実施するには無塚椎の葉先に述べたとおり。

そうなると養殖しか魚を確保する方法がない。水産養殖は効率が良く、1kgの肉を作るのに何kgの飼料が必要かを表す飼料要求率という指標があり、1kgの肉を作るのに飼料が3kg必要だった場合の飼料要求率は3となります。鶏肉の数値は3~4。豚肉が4~6、牛肉は15程度です。これに対し、養殖魚の飼料要求率は2~3と効率的に生育することが可能です。今後の動物性たんぱく質の供給元は、魚とニワトリが主役になるはずです。

海のない長野県などで、フグ養殖、鱒養殖、チョウザメ養殖がおこなわれており、魚の完全養殖が可能なことはすでに実証済みで、魚の養殖の未来は明るい!

 


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