世Forbesが、英コンサルティング企業、スカイトラックス(Skytrax)の世界の航空会社と空港のランキング「2018ワールド・エアライン・アワード」を先月末を発表した。同社は1999年から同アワードを発表しており、今年は顧客からの評価2440万票を基にランキングが作成された。2440万人のユーザー評価なので重みが高いかもしれないが、安全で、安くて、世界中あちこち行ければ良いものにとっては、評価の高い航空会社のサービスは懇切丁寧すぎてわずらわしいと思うこともある。アメリカの航空会社評価は最低であるが、サービスが悪いと感じたことはなく、食事もファーストフードと比べれば、はるかにましだし、不便を感じたことはない。
 
以下、Forbesの記事:::::::


今年1位に選ばれたのはシンガポール航空で、その後にはカタール航空、全日空(ANA)、エミレーツ航空、エバー航空が続いた。

シンガポールの受賞説明には次のようにある。「保有航空機の若さが世界トップクラスで、6大陸にわたるネットワークの各地に運航。『シンガポール・ガール(同航空客室乗務員の愛称)』は世界で認知される象徴的存在として高水準のケアとサービスを提供しており、顧客もそれをシンガポール航空に期待するようになった」

トップ10社のうち、9社は昨年と同じ顔触れだ。昨年1位のカタール航空は今年、シンガポール航空にトップの座を明け渡した。2016年に1位だったエミレーツ航空のティム・クラーク社長は「こうした賞は、卓越性を示す業界指標として広く認識されている」と述べた。

一方、米航空会社の今年の成績は、これまで通りひどいものだった。これは米航空会社の現実を反映しているの? それとも米企業が不当に低評価されているのだろうか?

旅行業界ニュースサイト「スキフト(Skift)」の航空会社ビジネス記者、ブライアン・スマーズは「米国の航空会社は、これらの航空会社ほど良くはなくとも、多くの人が考えるほど悪くないと思う」と述べている。

「これらの航空会社は多くの場合、政府の支援を受けていて、5つ星になる既得権益がある。国家としてのプライドをかけているのだ。カタールには他に有名なものがあるだろうか? また、こうした航空会社の多くが利益を出しているかどうかは、知ることは難しい」

多くの国にとって、高評価の航空会社を持つことは旅行先としての宣伝にもなる。目的地への旅路も観光の一部だからだ。スマーズは「シンガポールは現在人気の観光地。シンガポールへの旅を考えるとき、頭に浮かぶのはこの素晴らしい航空会社のことだ」と指摘した。
 
米航空会社の成績についてはほとんど紹介されなかった。それはおそらく、結果があまりにもパッとしなかったからだろう。

例えば米紙USAトゥデーは上位20社のスライドショーを作成したが、その中に米国の企業が含まれていなかったことには言及していない。米企業で最も順位が高かったのは37位のデルタ航空だが、その評価はアエロフロート・ロシア航空(23位)、ノルウェジアン・エア・シャトル(32位)にも及んでいない。さらには、過去5年間で2機の航空機が墜落し、うち1機はまだ行方不明のままであるマレーシア航空(34位)に対してさえも後塵を拝した。

デルタ航空は昨年の32位から順位を5つ下げた。世界最大の航空機数と売り上げを誇るアメリカン航空は、そのはるか下の71位だったが、前年の74位からはわずかに改善したのみだ。

おそらく最悪の成績だった米航空会社は、88位のユナイテッド航空だ。2017年の78位から順位を10落とし、座席スペースが窮屈な格安航空会社(LCC)のライアンエアー(64位)や知名度の低い上海吉祥航空(81位)、エア・ドロミティ(83位)、ビスタラ(86位)よりも低い順位となった。「ユナイテッド航空についてはもちろん、大きな注目を集めた顧客サービス上の問題がある」とスマーズは述べている。

米航空会社は顧客の称賛を得るよりも、自分たちが“いくらかまし”になっていることをアピールしたいようだ。例えばアメリカン航空は先日、ベーシックエコノミークラスの乗客も9月5日からは、身の回り品に加えて手荷物1個を無料で機内に持ち込めるようにすると発表した。

実は、米国内線のみを評価する米航空会社クオリティー調査(AQR)などの調査では、過去3年間(2015~17年)での品質評価は毎年改善している。米航空企業はこの期間中、4つの重要分野のうち3つ(荷物の不適切な取り扱い、過剰予約による搭乗拒否、顧客からの苦情)で改善を見せた。唯一評価が下がったのは定刻到着率で、2016年の81.4%が2017年には80.2%に低下した。

<iframe class="teads-resize" style="height: 0px !important; width: 100% !important; margin: 0px; min-height: 0px !important; display: block !important; border-image: none; padding: 0px !important;"></iframe>スマーズは、「米国内線は10年前に比べて著しく改善した。現在はWi-Fiもあるし、チケットの変更もインターネット上でできる。また、飛行機の定刻到着率も上がっている。航空各社が資金不足だった2008年には、壊れている席があったり、Wi-Fiがなかったり、操縦士が解雇されたりしていた」と述べ、米航空会社は必要以上の批判を受けているとの見方を示している。

「米航空会社はおそらく、三つ星の航空会社だろうが、だからといって悪いことはない。正直言って、トップ10入りは目指すべきではない。トップ10入りするためには、献身や、高い料金設定、顧客体験を管理するための小型化が必要だ。米航空会社は、人々から好かれ、利用したがるような、堅実な航空会社になるべきだ」