茫庵

万書きつらね

12音ソネット練習 - 2011年12月22日 日常

2011年12月22日 23時13分47秒 | ソネット

12音の日本語ソネットの練習です。

日常のひとこま。ソネットの表現力を色々試します。

前半と後半の落差が本来の自分らしいところ。

この詩を妻に見せたら

「本屋ばっか寄ってちっとも家路急いどらんやんか」

と言われてしまいました。

 

日常

冬景色 午陽傾く
巷間に 行きかふ人の
暮らしあり 平素通りの
営みは ゆるり 過ぎゆく

平凡な 中に渦巻く
人間模様 宿命の
糸に引かれて ゆく人の
綾をなす 喜怒と哀楽

天籟響く 空を見て
思うは今日の 夕御飯
家路急げや 妻の顔

人籟響く 心見て
思うは明日(あす)の 朝のパン
ジャムは足りるや 妻の顔

 


12音ソネット練習 - 彩雲洞日記 第一回

2011年12月20日 22時34分05秒 | ソネット

12音日本語ソネット練習。ソネットで物語詩を書いていきます。

のつもりだったのですが、なんかギャグっぽくなってしまいました。

タイトルの彩雲洞の彩雲は李白の詩に出てくる彩雲にちなんで。

あとは易学や五術の内容を盛り込んで、壮大なストーリーに仕立てていければ

いいなと思っています。

 

12音ソネット練習 - 彩雲洞日記 1



乾坤開びゃく以来時隔つこと幾星霜

気の真髄をあつめたるあまた精霊繚乱す。
いずれが神か、妖怪か。摩訶不思議な神通力を、
余すところなく発揮して、あるいは人を幻惑せしめ、
あるいは民を驚かす。

人間(じんかん)の世、まさに百鬼夜行の時。
いま、天地万物の理(ことわり)を究め、
乱れし秩序を回復せんとする一群あり。

叡知勇気仁愛の真髄を知らんと欲さば、
すべからく看よ 彩雲降魔(こうま)の譚(たん)。

----

時は未来、処は宇宙。
いつの世にても変わらぬは、
天地星晨の運行と人の性。


第一回

人の歴史のはるか前、
宇宙の真気、集散の、
果てに生まれし精霊の、
魔力満つるや覇気の冴え。

人の歴史の少し前、
力増したる精霊の、
群れを束ねる頭領の、
さても不敵な面構え

あまた星々そこかしこ、
國を造りて栄えしが、
いつしか夢と消えにけり。

伝説の國、今いずこ
残るは遙かなる山河、
主人の帰還を待ちにけり。


これぞ不思議な物語、始めの一節。


12音ソネット練習 - わざわいの後で

2011年12月20日 22時10分35秒 | ソネット

12音、つまり七五調もしくは五七調の日本語ソネット練習を始めます。

ルールは、1行12音で作るほかは10音と同じです。

最近日本児童文学社協会の詩論研で震災の詩を書く事になったので、

そのお題で作ってみました。やはり12音の方がリズミカルになるようです。

 

あの日、私は客先常駐で作業をしていて、電車が止まったので

徒歩で自宅まで帰りました。地元ではそんな事とは比較にならない程の

被害が出ました。しかし、関西まで行くと、話題にすらなりません。

 

逆に、阪神淡路の震災の話題が東京でどれほど上がったでしょうか。

私はあの時は徳島にいてひどい揺れを経験しました。徳島には被災者が来ましたし、

直後は電話も繋がらなくなるなど影響が出ました。

また、鳥取島根の大地震のニュースを私はロンドンのTVで観ましたが、

東京に帰ってくると、「なにそれ?」程度の扱いでした。

 

良くも悪くも人の世とはそうしたもの。関係の薄い所は薄いなりに役目があり、

営営と各自が自分の役目を果たす事で全体のバランスを保っていく、と思います。

無関心を気取るのも、ヒステリックに義人ぶるのもどこかおかしい、そんな気がします。

 

 

12音ソネットの試み - 天地暴れし後

春浅し 午陽傾く
肌を刺す 寒さ厳しき
澄み渡る 故郷の景色
懐かしく 心に描く

禍福の差 感慨深く
なお残りたる 桜の木
命あつめて 華(はな)ひらき
香(か)は到る あの空遠く

知る者は 敢えて語らず
知らぬ者のみ 流言す
教訓は いつか消え去る

災いは 相手選ばず
なれが元へも 到来す
夢夢忘る べからざる

 

 

 


ソネット練習 - 2011年12月10日 四番

2011年12月10日 05時22分52秒 | ソネット

2011年12月10日

日本語ソネット練習です。
一番から描き続けている旅は、早くも
最終目的地に到着します。
ソネットは連詩の形で物語を綴るのに
よく使われたりしています。そこで
自分もそんな様な事をやってみようと思い、
続き物にしてみたのですが、
もともとストーリーを用意していた訳ではないので
この先どうしようか、何番まで続けようか、
まだ決めてはいません。

また、10音が日本語のリズムとしてどうか、
という問題もあり、七五調の12音で脚韻14行の
ソネット形式ではリズム感は大分違うのか、
12音ソネットの試み、として
挑戦してみようとも思います。

そろそろ行番号は卒業します。

四番

たどりつく 目的地
悲しみも 喜びも
苦しみも 幸せも
消え去る安らぎの地

たどりつく抜け殻たち
静けさが 怪しくも
おごそかに迎える でも
そこはすべての終焉の地

生(せい)の穢れを 洗い
清め 記憶をすべて
虚無の中に捨て去る

死の静寂を まとい
着て 本能をすべて
虚無の中に葬る


ソネット練習 - 2011年12月08日 三番

2011年12月09日 01時03分33秒 | ソネット
2011年12月08日

10文字1行を14回も続ける。
脚韻をつける。
脚韻にはパターンがある。
これを同時に満たすのって難しいですね、やっぱり。
でも自由詩に比べたらはるかに作るの楽です。
とはいえ推敲中につき後日編集が入る可能性はまだあります。


三番

01 心に残る傷が
02 悲しみをあふれさせ
03 安らぎを遠のかせ
04 命を追いつめるが

05 最後の生きる意思が
06 いとまごいに来るとき
07 命枯れ果てるとき
08 無へと導く使者が

09 差しのべる 誘いの手
10 苦難からの解放
11 戻る事の無い旅

12 ただ ひとしきり泣いて
13 平安の地へ向かう
14 それは終焉の旅

ソネット練習 - 2011年11月27日 二番

2011年11月27日 20時53分24秒 | ソネット
二〇一一年十一月〇一日

日本語ソネットの試み

一番の続きです。推敲未完につき後日改編する可能性があります。
試行錯誤の道は長いです。

二番

01 光眠れる世界
02 全ての音も途絶え
03 孤独の歓喜にふるえ
04 心目覚める世界

05 言葉溢れる世界
06 真実は息絶え
07 まやかしだけが栄え
08 心欺く世界

09 そんな世界の中で
10 うごめくだけの命
11 生きた意味があるのか

12 懐疑のすぐとなりで
13 それでも生きる命
14 とわの運命なのか

ソネット練習 - 2011年11月27日

2011年11月27日 18時41分57秒 | ソネット
日本語 ソネット練習です。日本語で作るに当たり、以下を基本ルールとして作成します。

10音節14行、4つの聯(各4、4、3、3行)、脚韻。

英語でソネットの作り方を解説したPDFドキュメントがあったので読んでみました。
すると、聯としては最初から、部位としては行末の脚韻を踏む単語選びから
はじめる、と書いてありました。例えば

------ ice cream
------ nice dream

のようになります。この上に、主題に合う様に前半部分を重ねていき、各行を構築して
いくのです。中高生向けの指導要領のようなテキストなので、本当はまた違う
やり方があるのかもしれませんが、七絶を後ろ(結句の下三文字)から作っていくのと似てると思いました。七絶と違うのは、句(行)ごとに作っていくのではなく、
聯の行末の単語をいちどに決めていたことです。第一、二聯なら4行、三、四聯なら3行
になります。

普通の口語日本語でこれをやるのはちとしんどいです。
1行10文字で行末を決めても頭に何を持ってくるか、それで行がつながるか、自分の語学力ではなかなか無理があったので、とりあえず先の一行を書いて、その末尾に合わせて脚韻をとることにしました。

作成の順番は以下のようになりました。

第一聯、第二聯、第三聯、第四聯。の聯単位。但し順番は自由。
各聯は一行ずつ。但し何行目からかは自由。
第三聯、第四聯は先に揃った方に合わせて脚韻をとる
こんな調子で一作、また一作、と作っていきます。

ソネットの各連はそれだけでも七言絶句よりはるかに多い語数になり、七絶屋の自分には広大な詩空間は持て余し気味でした。また、10音、というと、七五調などの馴染みのある調子に比べるとリズムがとりにくく、脚韻を踏むには身近すぎる感があり、目下のところ出来栄えはいまいちなのですが、この点は練習を重ねて改善するとして、ひとつ課題として考えているのは10音以外の音数で作るか否かという事です。日本語のリズムとして丁度良い加減を検討していきたいと考えています。






ソネット練習 - 2011年11月27日 一番

2011年11月27日 11時03分51秒 | ソネット
2011年11月01日

日本語 ソネットの試み

 七絶を作る様になって、西洋の定型詩はどんなものがあるか、ふと気になりだして調べてみると、ソネット、という14行の詩形がある事を知り、らしきものを作ろうと思い立ちました。

 ソネットは、5組の短-長音節と脚韻を持つ14の行から構成される定型詩で、ルネッサンス時代にイタリアで考案され、ヨーロッパ諸言語に普及しました。ゲルマン系言語では短-長は弱-強に置き換わったものの、基本的な形態は同一で、4行、4行、3行、3行(シェイクスピア方式では4、4、4、2)で4つの聯により構成されます。この聯はほぼそのまま絶句の起承転結にあてはまる用い方をしているようです。

 ソネットの主題は愛情ですが、歴史を重ねる間にそれ以外の主題で作られる様になったようです。私も自由主題で作っていこうと思います。

 ソネットの脚韻パターンは色々とバリエーションがありますが、私はPetrarca形式といわれるものを採用することにしました。問題は日本語でこれを採用するか否かです。よく知られている様に、日本語は脚韻をとり難い言語なので、ここに縛りを入れてしまうと表現が単調になり、詩としての体裁を為さないしろものになってしまう可能性が大なのです。このため、日本語のソネットというと、ほとんどは韻は無視してただ14行ある、というだけのもので、若干良心的なものでもせいぜい七五調、四七六調など「律」を定型化して対応しようとした作品群がある位です。

 自分がやろうとしている十音脚韻つきのものはないのか、捜してしましたが、今のところ見つけられていません。で、暗中模索ながら書いてみました。まだまだこれからですが、今後書きためていきます。


一番
Petrarca 形式(II. 2 : abba abba cde cde)

秋の夜は更けゆく
独り心静めて
眠る処求めて
遙かな旅路をゆく

月の光消えゆく
闇に心沈めて
祈る処求めて
険しい旅路をゆく

夜は全てを隠(かく)し
傷をさらさずに済む
優しい世界を見せる

夢は希望を秘(かく)し
安らぎと共に棲む
静かな時間が過ぎる