京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「豆腐の時間」

2015-06-25 10:19:04 | 時計修理

6月25日木曜日でござる。
今日は北野神社で天神市が開催されます。お天気は最高!
西陣に住む私は西へ向かう人の流れを見ながら北へ北へと向かいます。

昨日の水曜日は予測通り一般のお客さんが大勢来てくれました。定休日にもかかわらずお客さんが来るので休日出勤冥利に尽きます。
写真はフランクミューラー・クオーツも昨日のお客様。
「保証書を紛失して百貨店では受け付けてもらえない。」
この時計はコピーが多く修理業界では恐ろしくて触れないモデルの一つ。
「購入したところで修理を依頼してください!」といわれても海外で買ったのでどこにも持っていけないそうだ。結果、修理迷子の時計がやってくる。

迷子と言うと先日開催された「全国豆腐品評会」で松本市の「伍郎のきぬ」が選ばれたそうだ。
私は豆腐が大好き!
国内の出張先で朝食は和食にきめています。そこで私なりに順位を決めていました。
1位は盛岡の豆腐。2位は金沢、3位京都、4位岡山県津山、5位島原雲仙と優勝した松本市の豆腐は圏外でした。
やはり良質な水の産地が味を決めているのでしょう。
絶対一位になると思っていた盛岡の豆腐や金沢の豆腐に勝ってしまった松本の豆腐を食べてみたくなりました。
今度松本に行くときには蕎麦だけでなくしっかり豆腐を味わおうかと思います。
松本の豆腐を知らなかった私だ。人生の深い部分を損したような気分でした。

さて「フランクミューラー」に話を戻しましょう。彼は昭和33年生まれで私の3歳年下。彼はジュネーブ時計学校首席卒業者です。
首席で卒業した人は就職先を選びたい放題になる、各社のスカウトが集まるのです。
ところがお金に苦労する独立時計師の道を選んだので周囲の人はびっくり。

独立時計師になるのなら一応メーカーに入ってころあいを見て独立するのが恒例、挙句設備のない潰れた小さなパン屋さんを改装して始めた時計工房。天才にありがちな無謀なミスだと誰でも思う。
そんな若いときから苦労をしていただけに今の成功に拍手喝采を送るのです。

彼が作った時計の文字盤は手描きなので歩留まり60%弱と半分が捨てられる。
ロゴにたっぷりと限界まで塗料を塗る作業に私まで心が潰れる思いです。
裏ブタのネジまでも高価な材料が使われているのでドライバーを差し込んだだけでコピー品との区別が付く。
貧乏なのに妥協しない姿勢。素材は最高なものを選んでいるそれだけでも脱帽するのです。

こんなことでコピー品絶滅にご協力ください。
コピー品の場合お客様にわかるように一度蓋を開けてお粗末な日本製の機械を見てもらいます。
自分が騙されてコピー品を買ったことを認めたがらない人が多いのが普通。決定的な証明をした上で捨ててもらうようにお願いする。

一般の人は時計の保証書は保証期間をすぎたら捨てられる運命にある。捨てないでください!
特にロレックス、ブライトリング、フランクミューラーの3大コピー被害ブランドの保証書は必ず捨てないで保管しましょう。
本物と偽物の区別をつけるのが面倒なので保証書で判断するお店も多い。
昨日のお客様のように本物なのに迷子時計になってしまうこともあるのです。

最近水曜日になるとちょっと気合を入れて工房にやってくるようになりましたね~。





コメント (1)
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