6月9日火曜日!明日は「時の記念日」です。
写真はM・ジェイコブス。デザインがいい!こんな楽しい時計もいい時代を感じます。
千年の都京都。
栄えた平安時代から眠りに入って時折目を覚まして、またひっそりうつらうつらと眠りに入るような街。
今日も雨の中を紫式部、織田信長親子、秀吉、家康が歩いた牛若通りや堀川の道をたどって工房へ来た。
「京都に雨が降ると写真家が喜ぶ!」そうです。雨の京都は緑が映える。
紫陽花の紫色が今は盛りだ。平家物語を読みたくなる雰囲気です。
昨日NHKで瀬戸内海「新光時計店」時計師松浦さんのドキュメント番組を偶然見ました。
時の記念日が近いからか?
今日は電話の問い合わせが大変でしょうね~?
3年前の「よ~いドン」隣の人間国宝の番組にでた。
放送後の3日間は電話が鳴りっぱなし。そのつど仕事が止まるのには困った!
天下のNHKです。今日はやさしそうな奥さんが電話の受付で大変でしょう。
いい時計店では総じて奥さんが偉い!
岡山市の「服部時計店」など地域の名店にはしっかりした奥さんがいる。セイコーの服部金太郎氏の奥さんも伝説になっています。
工場に住み込んでこまごまとした従業員の世話を続けた。今でもこの会社はやさしい家族の香りがする。
昨日は時折、涙がでそうになるのをこらえて見るのがつらかったね~。
クオーツ時計の影響で技術がむだになる。また、時計の故障率が下がりお客が来なくなりました。
この10年はソーラー時計の使い捨て時代でさらに苦しくなる。
新聞報道「アベノミクス効果で高級時計が売れています!」といっても地方の金持ちは東京で買って来た時計を見せびらかしに来るだけだ。
地方に住む時計師は私たちの世代が最後でしょう。この現実に涙が出てくるのです。
さらに涙が出た!
高齢の松浦さんがテンプの調整をやっているシーン。修理しているのがオメガの普及品。
通販イーベイ、ヤフーで2万円台のクラスの時計です。
厳しく難しい仕事後に彼はお風呂で疲れた目を暖めていました。
「花王から出ている「蒸気でアイマスク」がいいよ!」とテレビに向かってつぶやくのです。
私の場合修理後お客さんに費用を請求するとがっくり。「本当に3万円かかんのか?ネット通販のほうが安いやん!」
最近嫌なことばっかりや~!電話恐怖症になる。
それでも松浦さんの顔が見えないお客様の修理を引き受ける姿勢に感激します。
私は彼のように心が広くないので宅急便での受付はお断りしています。
必ずお客様と打ち合わせをして内容を確認して修理を進めます。心は瀬戸内海の海の広さとオチョコの差があるか?
「少なくなってきた命の時間を大切な時計の修理に当てるのだからやっぱりお客さんから喜んでもらいたいね!」が本音でしょう。
そんな快心の時計が仕上がった時、眠り込んでいる「京都時間」が一瞬だけ覚める気がする。
これが仕事を続けられる極意か?
まもなく10時。明日はブログはお休みの日。
近江神宮から戻り次第工房は開ける予定です。
この不況なのか水曜日だけがお休みの人が多い。午後からは確実に開いていますのでご利用ください。