京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の時刻合わせ」

2017-04-30 09:47:36 | 時計修理

4月30日日曜日。
旧暦卯月五日牡丹の華が咲きはじめる頃。
京都は何かと花を見る機会が多い街です。ハナミズキの花を眺めながら工房に入りました。
つつじの花もこの連休は見ごろでしょう。
京都のどこへ行ってもはずれのない観光が楽しめる。そんな日に工房でのんびりした月末です。
連休中に京都へ帰省するついでにエルメス、カルティエの電池交換に来る人が多いので休めない。連休中はまじめにどこへも行かずに営業しますね~。

この期間は業者さんやメーカーさんの仕事が来ない代わりに一般の人がやって来る。つまり説明時間が長くなる。
私は会話が苦手なのだ。
講師時代は講義の内容はすべてあらかじめ会話すべてをレジメを用意しているほど準備は必要でした。
またバイヤー時代の大型連休はひとりだけスーツ姿ではずかしい店舗周り。店舗では現場で直接指導しました。言葉がうまく使えないので実地指導になりました。

「自分が仕入れたものを売る。」売って教える。
そんな中でカルティエが無造作に転がっていることが多い。
「カルティエの取り扱い・品揃え状況を見てそのお店の品格を見る」購入頻度の高いお客様ほどその傾向があります。
90年代当時のカルティエは回転率が悪いのでいつの間にか隅に転がっているので中央に戻す作業をやる。
なぜロレックスよりカルティエを優先しないといけないの?と販売員の女性からの質問を受ける。
メーカーの世界のトップはパティックフィリップ、オーディマ・ピゲ。
宝飾時計の格付けトップはダントツカルティエなのです。
人気のロレックスはバセロン、ぺルゴ、オメガ、ロンジン、ジャガールクルト、IWC,ユリスナルダン、セイコーなどなどより若い企業。
ロレックスは戦後厚木に降りたマッカーサーが着けていたおかげで日本で一躍人気になりました。
そんなことで宝飾時計部門で本場のフランス人が一番信頼しているのがカルティエなのでケースの中央においてくださいね~。とひたすらお願いして回る。
時計店は長い伝統の時間を売るのです。
ロレックスよりオメガのフラッグシップのコンステを優先するのでおやっと一般の皆さんとの時計に対する思い入れの違いがある。ロレはあくまで優秀な実用時計なのです。

ロレックスが私達時計師から尊敬されるのは販売終了後20年も続くアフターサービス期間などその誠実なものつくりの姿勢。利益のほとんどが寄付される会社の精神が時計師に尊敬されているからなのです。
ちなみに「時の記念日」の漏刻祭に全国の時計師が集まる大津の近江神宮があります。その境内にロレックスから寄贈された立派な燃焼時計が展示されています。
寄贈当時のロレックスは現在のように人気がなかった頃だったので相当な出費だったことがうかがえます。
湾岸工事などで活躍する潜水夫の皆さんはロレのシードゥエラー、サブマリーナが御用達です。セイコー、カシオのダイバーウオッチは性能がいいのは解かるが命が掛かっている仕事なので~!と圧倒的な信頼がある。ロレなら水が入ってもしばらく動くそうです。

この冬、雪崩事故で高校生が亡くなりました。引率教員のスマホが作動しなかったという
ニュースを聞いて愕然としました。
クオーツ時計も携帯電話も気温が下がると電圧は下がって止まって使えなくなるのは山登り仲間では当たり前の知識だ。
東北、北海道のスキー場、山へはロレックスかゼニスの機械式時計を連れていきます。G-SHOCKは突然画面が消えたことがあるし、やむを得ずクオーツ時計を使うならインナーに入れて体温で温める。
事故直後、引率者は全員山のベテランと言っていたがなにやらやら怪しい。
やはりかなりのアマチュアだったことがばれましたね~。
犠牲になった生徒が可哀想です。
途中でお腹が痛くなったり足が動かなくなった時のリスクに対しての準備もなかったのでしょうか?悔しくてしょうがない事故でした。

ちなみに掛時計も充電池を使ってはいけません。夜間気温が下がると電圧がさがります。その間時計は止まるのです。故障だと思って工房に持ち込まれることが多いので気を付けましょうね。
今日も朝から一般のお客様用に発声練習をやっておいた。
京都へ御里帰りのついでに電池交換しておきましょうね~。
カルティエ。ブルガリ、エルメス電池交換1000円税込みでやっていますよ~。北山を超えて玄以通りまで登れる体力がある人はお越しくだされ~。











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