京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の豆時間」

2018-05-14 09:17:25 | 時計修理

5月14日月曜日先勝。明日は旧暦の朔。
明日は葵祭なのだからお天気は晴れに決まっています。時折突風が吹いて馬が驚いて暴れることもある。
平安時代の暴れ馬はこんなものだったのかぁ~と変に感動します。
現在競馬場以外で暴れ馬など見ることもない。

京都は特に上京区を中心に防災訓練に熱心な都市です。
上京区はもともと女性が強い街なので必要上暴妻訓練ではないのであしからず。
いったん暴れ出したら手が付けらない為、男たちは夜な夜な訓練に出かけることになる。
いったん暴れ出したら素直に謝るのが一番なのだ。
豆とヒジキの炊いたものがしみじみと美味しい季節になります。

写真はG-SHOCK。最近、突然画面が消えて持ち込まれることが増えた。保証期間1年なのでそれ以降は有料になる。(送料ユーザー負担。)
特にアナデジだけがこの症状が出ます。
電圧は大丈夫なのでふたを開けてリセットすると回復する。ところが針を合わせるまで20分ほどかかるので工房では厄介者です。
お金を頂くとまた同じ症状が出た場合大きなクレームにつながるので黙ってお返ししたほうが無難だ。
二度目に来たらカシオに送るようお客様にはお願いしています。
BABY-Gの場合、高価なSR726Wを二個も使っているモデルもあるのでユーザーは気を付けて持ち込むことです。
時計を見たとたんお店の人は「また来たか!」と不機嫌な対応になってしまう。
「買ったお店に持って行ってください」とあっさり門前払いされることもあるのはこのへんの事情なのだ。
工房は修理専門なので断るわけにはいかない。トボトボと回復作業をやるしかないのです。
むしろ修理不能でお返しするほうが悔しい。

昨日の例ではロンジン・クオーツが来た。40年ほど前のロンジン製クオーツ。これがあまりに精密過ぎて経年疲労が激しい。
機械は当然入手は困難です。修理費用に2万円ほどかかるがネット通販では3000円程度で出品されている。
また修理してもケース自体が古いので非防水になることで1年くらいで壊れて持ち込まれる。

聞くとおばあちゃんの遺品をお孫さんが使いたいという。
私がお婆ちゃんならそのお金できれいな服か美味しい食事に使って!という。修理を断わる時計師が一番悔しいシーン。
京都の北のはずれまで来てくれたお客さんを門前払いしてしまいました。
修理するより引導を渡すほうが多い日もある。

17時過ぎ修理の仕事も大まかなところは終わりのろのろとチェロの調弦を始めます。
一日の間に通り過ぎた20本程度の時計を思い出して対応は正解だったか迷う。
これを忘れるために弾きはじめる。

昨日は夕食まで思い出を引っ張る。箸休めの豆を箸でつまみながら断わった時計を思い出す。
「自分の働いたお金で修理依頼に来る人と親のお金で来る人では時計師の対応が違う」
多分20歳すぎた女性なら修理を受けていたかも?

明日は葵祭。
ハレの日なので昼3時くらいにはちょっと抜けて葵橋あたりで下膨れの馬乗り女を見物してくる予定です。
G-SHOCKの壊れたんが来たら来年まで見物はお預けじゃ~。
それでもハレの日なのでいいことがある。夜は鯖寿司とエビスビールが楽しみなのだ。
今日も6時30分まで受け付け残りの30分は全力でチェロを弾いていますのでお早めにお越しくだされ~!




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