チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「我らがために鐘は鳴る/チャイコフスキー『1812年』ソナータ部の鐘の音」

2009年08月30日 01時42分51秒 | 戦勝&大聖堂奉献式祝いに(イワイニ)1812年

チャイコフスキー 1812年


今週末も遊び呆けてしまい、また
煎餅焼きを怠ってしまった。今日はもう
やる気がまったく起こらない。朝から……。
浅田真央選手は今度、フリー演技の曲を
ラフマーニナフのピアノ曲「前奏曲嬰ハ短調」(op3-2)、いわゆる
「鐘」にするんだそうである。おそらくは、
ストコフスキ編曲のオーケストラ版なんだろうけれど、その出だしは、
♪ファ>ミ>ラー♪
という嘆息音型である。偽作といわれてる
バッハの「トッカータとフーガ(ニ短調)」ふうな、
ヴィヴァルディの「春」3楽章に出てくる、それを
シューマンが「子供の情景」第1曲に引いてしまった音型、
♪ミ<ファ、>レ<ミ、>ド<レ、>シ♪
も現れる。ところで、先月末に執り行われた
故川村カオリ女史の埋葬式で鳴らされた
お茶の水のニコライ堂の弔いの鐘は、
人の心をえぐるような音だった。ときに、
"For whom the Bell tolls(誰がために鐘は鳴る)"
というヘミングウェイの小説のタイトルは、
英国詩人ジョン・ダンの文の一節を引いたものらしい。
"and therefore never send to know
for whom the bell tolls; it tolls for thee."
♪きみは覚えてーっ、イルーカしらーーっ、
 あのー、ひどいー、フランコーーっ♪
これはべつにロバート・冗談ではない……汝がため。
太平洋戦争では家族を守るため、
国土を護るために、大勢の日本人が死んだ。
死ぬもの貧乏、という言葉がある。が、
生き残った人のために代わって死んだ人たちは
65乃至70年間、なんとか無駄死にではなかった、
かもしれない。が、今日、
故杉村春子女史とダウンタウン浜田雅功の顔を
なかなかに区別できない拙脳な私には、
それらがすべて水泡に帰してしまう、と思えてならない。

「1812年」は最後の部分でCampane
(鐘=イタリア語Campanaの複数形)が用いられてる。が、
それよりも前に、「鐘」は鳴らされるのである。
「1812年」のソナータ部の第2主題部は、
[(アッレーグロ・ジュストの)リステッソ・テンポ、4/4、6♯]
が、冒頭は実質ニ長調で開始される。
***♪ドー・<ミー・・<ドー・>ソー│<ミー・>♯ラー・・<ソー♪
という音列が、低弦(ド)
→2番ファゴット+4番ホルン(ミ)→1番ファゴット+3番ホルン(ド)
→2番クラリネット+2番ホルン(ソ)→1番クラリネット+1番ホルン(ミ)
→2番オーボエ+コーラングレ(♯ラ)→2番フルート+1番オーボエ(ソ)
のユニゾンによって重ねられる。まるで、
教会の鐘が鳴らされるかのように。そして、
♪「ドー」・<「ミー・・<ドー」・>「ソー│<ミー」・>「♯ラー」・・<「ソー」♪
と、7つの音が5段階の混合音色グラデイションとして
あざやかに示されてくのである。とくに、
6番めのオーボエとコーラングレの音が聞こえたとき、ヒトは
「安らぎ」を感じるはずである。ともあれ、
この音列はニ長調の1の七の和音であるから、つまり、
ト長調の属7になるのである。
第2主題の後半がト長調になることを考えれば、
それを導いた、ということになる。が、
チャイコフスキーの音楽はそれほど単純ではない。その前に、
嬰ヘ長調が置かれるのである。すなわち、
ト長調の属7から突如、嬰ヘ長調の主題が歌われる、
という流れ、である。ここで、
上記の各音への楽器配置に注目すると、
1番クラリネットと1番ホルンが配されてるのは
ges=fisである。つまり、
第2主題の裏で♪ドーーー・・>シーーー♪という
遠吠えを吹く楽器が、すでに
鐘の音列のひとつとして
嬰ヘ長調の主音を鳴らしてる、のである。そして、
嬰ヘ長調で現れる節は、
破棄したオペラ「地方長官」の中で
ト長調で始まってた女声デュエット
……マーリヤとアリョーナの心優しい友どうしの出会い、
友愛を謳った……をリサイクルしたものである。小説
「誰がために鐘は鳴る」では、
スペイン内戦に我がために加わった"ロベルト"だが、
過酷な体験をしてきた娘
マリアのために命を落とすことができたのである。
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「チャイコフスキー『1812年』のソナータ部第1主題確保」

2009年08月09日 20時43分52秒 | 戦勝&大聖堂奉献式祝いに(イワイニ)1812年

チャイコフスキー 1812年


夕方以降に車で皇居前の内堀通りを走ることが
ときどきある。ここ2年くらいで、
皇居の周りをジョギングする人の数が
格段に増えたと感じる。ジョギングというのは……
米国のおデブ男性であったジム・フィックスが、
200パウンドを超えた体重の減量を
ランニングによって成功させ、それを本にしたところ、
「すばらしいダイエット法」としてベストセラーになった。
1977年のことである……それが、
一般に広がったものである。が、その
フィックス氏もそれから7年後の1984年に
ジョギング中に心筋梗塞を起こして死亡した。
享年52歳。が、
金がかからない「健康法」だから、
未だに走るものが絶えない。心臓に悪いだけでない。
足腰への負担もきつい。だから、つまりは、
ジョギング健康法を実践できるような人は、
もともと体が頑丈にできてる、
というだけのことである。私は昨今の
「市民マラソン」なるものにもまったく興味がないし、
わざわざジムやトレイニングルームに通う酔狂な趣味もない。
私のような一般人の体には悪いゴルフやテニスのような
運動の類は、ただひとつの「エクササイズ」を除いてやめた。
この、ベータ・エンドルフィンが分泌されまくるエクササイズだけは
どんなに体に悪くてもどうしてもやめれない。
テヌキのテキトーオヤジな私でも、これだけは精進してる。
野球のバット(たまに居合い刀)での素振りである。
エクスタスィもクエン酸汁出ナフィルも不要であるが、この
エクササイズがなければにっちもサッチモいかない。ちなみに、
1812は2でも3でも割り切れる。

B管のコルネット2本のユニゾンが
変ロ長調で「ラ・マルセイエーズ」を吹き、
ついでその4度下で、
Es管という長い管のトランペット2本のユニソゾンが
ヘ長調の「ラ・マルセイエーズ」を吹く。
この「色分け」「音高分け」なども、
"本物の大砲を使った録音か"とか、
"どれが爆演か"などにやっきになってるむきには、
どうでもいいことなようである。世の中には、
コルネットの音とホルンの音の違いも判らない
プロの作曲講師もいたり、「白鳥の湖」の
ナーポリの踊りをコルネットが吹くことも知らない
(コルネットという楽器の存在自体知らない)
チャイコフスキー好きもいるらしいが、
お笑いトリオ「ネプチューン」の原田泰造と
作詞家の松本隆の顔の区別がつかない
私のような拙脳もいる。ともあれ、
この「1812年」における
トランペットのEs管という指定は、ただただ、
再現ラールゴ部での変ホ長調のfffでの
聖歌吹奏のためである。つまり、
「英雄の調である変ホ長調」は
「ラ・マルセイエーズ」にはなじまさせず、
ロシア正教聖歌「主よ、汝の民を救い給え」
のために配されてる、ということである。さて、
「ラ・マルセイエーズ」の吹奏が、
[c(<)es(<)ges(<)a](減7)
という極大値を築くと、
コルネットを除く金管群と低弦による
ア=[c(<)ges(<)a(<)es](減7)

イ=[ces(<)ges(<)a(<)es](ホ短調の属7)

ウ=[b(<)ges(<)b(<)es](変ホ短調の主和音)

エ=[a(<)ges(<)ces(<)es](ホ短調の属7)
が、
***♪アー●●・●●アー・・イー●●・●●イー│
   ウーウー・ーーウー・・ーーウー・エー○○♪
というチャイコフスキー独特の、
不安が歩んでくるがごときスィンコペ律動が、
第1主題の確保を導く。
***♪ラー(主題確保のここでは「ファ」ではなくなってる)│
 <ファーーー・ー>ミ>レ<ミ・・>レ>ド>シ>ラ・♯ソー、<シー│
 >ファー、<ラー・>レー、<ファー・・>シー、<レー・>ミ、ミ<♯ファ<♯ソ│
 <ラーーー・ー>♯ソ<ラ<シ・・<(ここから初提示より2度上がる)
             レ>ド、●●・●>ラ<シ<♯ド│
 <レーーー・ー>♯ド<レ<ミ・・<ソ>ファ●●・●>ミ<ファ<♯ソ│
 <シ>ラ●●・●>♯ソ<ラ<シ・・<レ>ド●●・●>シ<ド<レ│
 <(※)♯レーーー・ーーーー・・ーーーー・ーーーー│ーー♪
(※)シンバルが打ち鳴らされる(2拍)。
ここで、上記♯レ=aを、
ピッコロ、フルート2管、コーラングレ、クラリネット2管、チェロ以上の弦が
全音と8分の1鳴らす中、
オーボエ2管、ファゴット2管、金管群、コントラバスが、
[c(<)a(<)es(<)ges](減7)

[cis(<)a(<)des(<)ges](ニ長調のミソシ)

[d(<)a(<)h(<)ges](ニ長調のラドミソ)

[dis(<)a(<)c(<)ges](減7)

[e(<)a(<)cis(<)g](ニ長調の属7)
というスィンコペな和声を連ねる。
私はこの箇所に強く惹かれ、
拙脳の中がベータ・エンドルフィンに満ちるのである。
このように「ニ長調」が確定され、「ラ・マルセイエーズ」が、
オーボエ2管、ファゴット2管、ホルン4管、コルネット2管、トランペット2管
のfffによって、
***♪ソソ・ソーソー│<ドーーー・ドーーー・・<『レーーー・レーーー』│
 ソソ・ソーソー│>ミーーー・ミーーー・・<『ソーーー・ソーーー』│

  <ソーーー・ーー>ミー・>ドー♪
  <ミーーー・ーー>ドー・>ミー♪
と、ホルン5度を交えて吹かれるのである。それは
楽器編成を替えてさらに2度、奏される。そして、
***♪ソーーー・ーー>ミー・・>ドーーー・ーーーー♪の部分だけが、
低弦による♪ド>シ>ラ>♭ラ・>ソ<♭ラ<Nラ<シ♪
のトレモロを下敷きにして、ffのホルン4管で吹かれる。それが、
音価を倍にして、クラリネット2管とファゴット2管で
再びfffで吹かれると、
[ミ(<)ド]があと6度吹かれる。この後、
「1812年」の中のソナータ部の、
「展開されない」第2主題と第3主題が提示される。
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「チャイコフスキー『1812年』のソナータ部第1主題提示」

2009年07月20日 21時18分18秒 | 戦勝&大聖堂奉献式祝いに(イワイニ)1812年

チャイコフスキー 1812年


先週、大雪山への登山ツアーで、
低体温症によって8人が命を落としたらしい。
天気予報では晴れになると言ってたので強行した、
とか言ってた。私は登山にまったく興味がないし、
山頂で御来光を拝む趣味もないので、
山登りをする人の気がしれないが、
趣味とはそういうもの、人も好きずきである。
トキソプラズマに脳を犯されるなんてことはものともせず、
猫を撫で口づけする人もいる。人の勝手だし
カッツェでもあるが、私はまっぴら御免である。
「出会い系」なんとかというのをやったことがない。
メシトモにしろセフレにしろ、おねえさんと知り合うのは、
もっぱら、身元の知れたルートでである。
「出会い系」なんていうのに手を出す
無鉄砲向う見ずな勇気など
チキン野郎の私にあるはずもない。ちなみに、
鉄砲を持たずに立ち向かうことを無鉄砲と言うが、
核兵器所有国に対して「軍隊ももたない国」が
何を言ったって無意味であることなど、
故川喜田二郎と高島ちさ子女史の顔の区別がつかない、
カードにエスペラント語などという
くだらないものの単語を書いて覚える、
なんて面倒くさいこともししたことがない
拙脳な私や、小学校低学年児童にだって解る。
Je comprends ces choses.

チャイコフスキーの「1812年」はざっくりいえば、
[A-B-C-A'-B']という構成である。
そのB部の終いは、vnによって
ces(変ハ音)が執拗に引きずられる。これは、
つづくC部(ソナータ部)の変ホ短調の主要主題が、
階名「ファ」つまりces(変ハ)から始まる嘆息動機、
だからである。その下地を固めたのである。
→[アッレーグロ・ジュスト(四分音符=138)、4/4、6♭]
ソナータのC部(あるいは、アッレーグロ・ジュスト部)が始まる。
このC部はその終いのA'部への橋渡し箇所以外は、
[アッレーグロ・ジュスト(四分音符=138)]のテンポを
かたくなに守りとおす。
第2主題で減速するようなむきには、どだい
チャイコフスキーは無理である。それはともかく、
第1主題は最初、vnプリーモによって奏され、
→チェロ→ヴィオーラ→vnセコンド→vnプリーモ、
と、オーディアンスにサラウンドな聴覚刺激を体験させる。
***♪ファー│<ファーーー・ー>ミ>レ<ミ・・>レ>ド>シ>ラ・♯ソー、<シー│
 >ファー、<ラー・>レー、<ファー・・>シー、<レー・>ミ、ミ<♯ファ<♯ソ│
 <ラーーー・ー>♯ソ<ラ<シ・・<ド>ラ、●●・●>♯ソ<ラ<シ│
 <ドーーー・ー>シ<ド<♯レ・・<ミ>ド●●・●ド<レ<ミ│
 <♯ファ>ミ<♯ファ<♯ソ・<ラ>♯ソ<ラ<シ・・<ドーー>シ・>ラ、>ミ<♯ファ<♯ソ│
 <ラ>♯ソ<ラ<シ・<ド>シ<ド<レ・・<ミーー>レ・>ド、>ラ<シ<ド│
 <レ>ド<レ<ミ・<♯ファ>ミ<♯ファ<♯ソ・・<ラーーー・ーー、<ドー│
 >♯ソー、<ラー・>ミー、<ファー・・>シー、<ドー・>♯ソー♪
チャイコフスキーの音楽に多い、「ファ」で始まる主題である。
この間、伴奏部は、
♪●●ター・ターター・・●●ター・ターター♪
♪●●ター・ター●●♪
など、戦乱の不安感を聴く者に煽る切分律動を刻む。
第1主題はクラリネットを加えて確保され、そして、推移される。
そして極大部分が形成され、再び変ホ短調が確保されると、
3番4番ホルンのユニゾンによるfのマルカートで、
***♪ミミ・ミーミー│<ラーーー・ラーーー・・<シーーー・シーーー│
  <ドーーー・ーーーー・ーー♪
次いで、1番2番ホルンのユニゾンで同様に、
***♪(>)ソソ・ソーソー│<ドーーー・ドーーー・・<♯レーーー・♯レーーー│
  <ミーーー・ーーーー・ーー♪
と、その断片で「ラ・マルセイエーズ」が予告されると、その
ホルンの「ミ」が「ド」に置き換えられ変ロ長調が準備さる。
ppからfそしてfからppへと色づけされる小太鼓に乗って、
2管のコルネットのユニゾンがfのマルカートで、
***♪(>)ソソ・ソーソー│<ドーーー・ドーーー・・<レーーー・レーーー│
  <ソーーー・ーー>ミー・>ドードー・<ミー>ドー│
  >ラーーー・<ファーーー・・>ミーーー・>レーーー│>ドー♪
と「ラ・マルセイエーズ」を吹奏する。すると、また、
3番4番ホルンのユニゾンによるfのマルカートで、
***♪(>)ソソ・ソーソー│<ドーーー・ドーーー・・<♯レーーー・♯レーーー│
  <ミーーー・ーーーー・ーー♪
が吹かれる。今度はこの「ミ」が「ラ」に置き換えられ、
ニ短調に転じられる。すると、1番2番ホルンのユニゾンで同様に、
***♪(>)ミミ・ミーミー│<ラーーー・ラーーー・・<シーーー・シーーー│
  <ドーーー・ーーーー・ーー♪
と「ラ・マルセイエーズ」の断片が奏される。階名的には
先ほどとは順番が逆になってるのである。そして、
ニ短調の平行調ヘ長調になり、今度は
2管のトランペットのユニゾンが前のコルネットと同様に小太鼓を敷き、
***♪(>)ソソ・ソーソー│<ドーーー・ドーーー・・<レーーー・レーーー│
  <ソーーー・ーー>ミー・>ドードー・<ミー>ドー│
  >ラーーー・<ファーーー・・>ミーーー・>レーーー│>ドーーー・ーーーー♪
と「ラ・マルセイエーズ」を吹奏するのである。
こういう簡単な転調を、しかし、違和感なく成し遂げ、
かつ、感動を与えるチャイコフスキーのテクニックには畏れ入る。
「ラ・マルセイエーズ」が何かありがたいもののようにさえ聞こえ、
涙までうるんできてしまうのである。が、
チャイコフスキーのおそろしさはこれだけで済まない。
これからが真骨頂なのである。が、
それはまた次回に置いといて、このあと、
f→[a→c→es→gis→a]という減7から、
変ホ短調に引き戻す。そして、
第1主題がfffで再奏されるのである。
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「チャイコフスキー『1812年』B部のソドレミ音型」

2009年06月25日 01時50分30秒 | 戦勝&大聖堂奉献式祝いに(イワイニ)1812年

チャイコフスキー 1812年


メシトモの物理のおねえさんは実に愉快である。
これまでもウスウスとは感じてたが、昨日、
シモネタもオヤジギャグもまったくok、
という言質が取れた。そこで早速、
馬鹿のひとつおぼえな自作オヤジギャグのひとつ、
「リョウシリキガク(量子力学)」を披露してみた。
チューソツ程度の頭の私にとっての認識の量子力学は、
以下のようなものである。
プチM変態ながら相手がいない私は、いつもは
しかたなく、床に両膝をついて頭を垂れて
片手を床に置いて体を支えた姿勢で
自分でスパンキングしようとする。が、それだと
片手で片方の尻タブしか叩けない。対して、
女性にスパンキングをされる至上の時があるとすれば、
その両方の尻タブを叩かれれることができる。そして、
ピシャーン・パシーンという音が出て、我が尻はれっきとした
打楽器となるのである。が、
手があたるごとに尻の皮膚・肉などの細胞、
その細胞の中の分子、さらに、原子核・電子などが
揺れ、振動する。すると、それらミクロな世界の運動は、
ニュートンの古典力学では説明できない。それを
「両尻器楽」と言うんでしょう? これで
「我が事象に不可能はない」ほど大笑いしてくれるのだから、
この物理おねえさんはまぎれもない善人である。ちなみに、
この物理おねえさんは絶対音感の持ち主だそうである。
ねえねえ、物理なら打つ理論も実験しないとだめだよ、
などとつまらない屁理屈をこねながら、今度、
私の両尻を叩いてその音を言い当ててくれる、
という約束を、彼女が酒に酔ったいきおいでした。仮に、
私の尻が彼女の平手で叩かれる音が、
変ロ音→変ホ音→ヘ音→ト音、だったら、
「完全なるSドァ~~(エスドゥアー、Es dur)」、
と叫んでみることにする。

A部最後の低弦のb音「ミ」が「ソ」と置き換えられて、
変ホ長調。4/4、アンダーンテ。
低弦のb音(属音)が通奏される中、小太鼓が、
****♪●●●●●●●●・(ソソソ)ソーーー●●●●・・(ソソソ)ソー●●ソー●●・ソーーー●●●●♪
というリズムをpで打ち出す。ここにも、チャイコフスキーの
打楽器使い名人ぶりが発揮されてる。この中には
「運命の動機律動」もが含有されてるのである。
この小太鼓の打ち出しに導かれて、
オーボエ2管+クラリネット2管+ホルン4管がmfで、
****♪●●ソソ<ドー<レー・<ミー>レー>ドー<レー・・<ミーーーッ>ドーーーッ・ドーーーーーーー│
  >●●ソソ<ドー<レー・<ミー>レー>ドー<レー・・<ミーーーッ>ドーーーッ・ドーーーーーーー│
  >●●ララ<レー<ミー・<レー>ラー>ファー<ラー・・<レー>ラー>ファー<ラー・<レーーーーーーー│
  >●●ソソ<ドー<レー・>ドー>ソー>ミー<ソー・・<ドー>ソー>ミー<ソー・<ドーーーーーーー♪
という主題を吹奏する。この
♪【ソソ<ド<レ<ミ】>レ>ド<レ<ミ>ドド♪の♪【ソソ<ド<レ<ミ】は、
チャイコフスキーにとってはおそらく「進軍ラッパ」だったのだろう。
♪このぉ~き、なんのき? きになるきっ♪
などとは発想しなかったことだろう。それはともかく、
「神曲」たる幻想曲「フランチェースカ・ダ・リーミニ」においても、
あま~いアン「ダンテ」・カンタービレの、
名残惜しい愛撫もしくはバーチョのような「愛の主題」が
なかなか終わらない中、4管のホルンが吹く「進軍ラッパ」、
****♪・・●●ソソ<ドー<レー・<ミー、>ソソ<ドー<レー│<ミーーー●●●●・●●●●●●●●♪
に促され、せきたてられるようにアッレーグロ・ヴィーヴォの煉獄へ引き戻されるのである。
この2曲への使用にはチャイコフスキーの共通意図が存在すると私は考えてる。ただし、
麻生太郎総理と反町隆史と田中勝春騎手の顔の区別がときどきつかなくなる程度の
拙脳なる私の考えである。断定もダンテいもできないことは言うまでもない。ときに、
「ソ<ド<レ<ミ」といえば、あまたの曲に採り入れられてる
定番中の定番動機・基本音型である。が、
「ソ<ド<レ<ミ」の大家、といえば、
クラ音における感傷音楽の大家でもあるリヒャルト・シュトラオスである。
「ティル」「ドン・フアン」「死と変容」……。また、シュトラオスといえば、
ヨーハン・シュトラオス2世の「春の声」の第2ヴァルツァー。
***♪【ソー・ー●・<ドー│ー●・<レー・ー<ミ】│>ミー・ー<ファ・<ソー│ーー♪
このワルツの声楽付き版の歌詞は、リヒャルト・ジュネが書いた。
「こうもり」の台本を手直ししたひとりである。ちなみに、
「こうもり」の原台本はメイヤクとアレヴィによるものである。このふたりは、
「カルメン」の台本を書いた人物である。さて、
チャイコフスキーは(現行暦換算)1876年1月に、パリで
「カルメン」を感激をもって観たのであるが、チャイコフスキーは、
同年夏以降に「リーミニのフランチェースカ」を作曲した。これは、
その「ハバネラ」の中の動機、
♪ソ<ドッ<レッ<ミッ♪
がチャイコフスキーの脳を支配してたことを如実に
物語る(tell)ものである。もっとも、
Prends garde a toi!(プロン・ガルド・ア・トゥワ)(気をつけなさいな!)を
「信じるな!」とアンリ・名訳(メイヤック)したロシア語屋亀山郁夫大先生の
大頭脳の足元にもチャイコフスキーごときは及ばないかもしれないが。
いずれにせよ、チャイコフスキーは「カルメン」を聴いた年の
「リーミニのフランチェースカ」と、その4年後に作曲した「1812年」に、この
"Zion hoert die Waechter singen(ツィオン・ヘルト・ディ・ヴェヒター・ズィンゲン"
(ユダヤの民は物見らが歌うのを聞く)という
"the time has come"な「進軍ラッパ」を起用したのである。
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「チャイコフスキー『1812年』A部からB部へ」

2009年06月18日 00時55分51秒 | 戦勝&大聖堂奉献式祝いに(イワイニ)1812年

チャイコフスキー 1812年


ミッドタウンの江戸切庵に昼飯を食いにいった。
三箇月ぶりだった。が、
蕎麦の小麦粉の割合が増えて、
麺も細くなって、不味くなってた。
がっかりである。

チャイコフスキーの『1812年』のA部は、途中、
「嘆息音型」を含む動機が現れる。そして、
それが少しずつ形を変え、繰り返されて、
転調を重ねる。さらに、
「ポーコ・ストリンジェンド」→「ポーコ・ピウ・モッソ」
と2段階にテンポを速められ、
第71小節で、全奏のfffで、
「b(<)es(<)ges」→「a(<)c(<)es(<)ges」
と、減7を叩きだす。それに導かれて実質変ホ短調、
ファゴットと低減が、やはりfffで、
**♪ドー・ー>シ・>ラ>ファ│>ミ>♯レ>ド・>ラー・>ソー│>ファ、
 <ファ・ー>ド・>ラ>ファ│>ドー・ーー・<レー│ーー・<ラー・>♯レー│
 <『ミ』……♪
ここで、極端に減速する不届きな"指揮者"がいるが、
真っ当なクラ音ファンはそんなまやかしにだまされるべくもないが、
そんなあざとい小細工にも、
まんまとひっかかるむきが多いのが現実である。
がっかりである。が、まぁ、
上村愛子女史と吉澤ひとみ女史の顔を区別できない
拙脳な私ごときが失望する程度のことである。それはともあれ、
この最後の『ミ』(b)をソと置換して、
ふたたび変ホ長調がお膳立てされ、
「アンダーンテ」のB部に相成るのである。
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