1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

8月19日・スプートニクの犬

2016-08-19 | 歴史と人生
8月19日は、ファッションデザイナーのココ・シャネルが生まれた日(1883年)だが、ソビエト連邦の宇宙船、スプートニク5号が打ち上げられた日でもある。

1960年のこの日、スプートニク5号が、バイコヌール宇宙基地より打ち上げられた。そして、地球をぐるとまわった後、翌日には無事地球に帰還した。乗っていた動植物はみな無事だった。彼らははじめて宇宙を旅してきた動植物となった。
スプートニク5号は、動物を乗せて軌道上に打ち上げ、地球への無事生還した初めての宇宙船である。
つまり、宇宙船には生命維持装置のある気密室がちゃんとついていた。それに、大気圏に突入するときのショックに耐え得る構造をもっていた。
でも、はじめから人間を乗せるのは危険だということで、ストレルカ、ベルカという二匹の犬を乗せた。それから、40匹のマウス、2匹のラット、数種類の植物が乗っていた。

帰還から1年後、ストレルカが産んだ子犬のなかの一匹が、米国の大統領夫人だったジャクリーン・ケネディに贈られた。だから、現在の駐日大使のキャロライン・ケネディさんは、おそらく小さいとき、その犬と遊んだ記憶があるだろう。

スプートニクは、1号から25号まである。
1957年に打ち上げられたスプートニク1号は、世界初の人工衛星で、これが「スプートニクショック」を引き起こして、米国が負けてなるものか、向こうが人工衛星なら、こっちは月だとばかり、人を月に送り届けるアポロ計画をぶちあげ、宇宙競争がはじまった。

動物が乗ったロケットとしては、以前、スプートニク2号がライカ犬を乗せて打ち上げられていたが、こちらは回収されず、ライカ犬は宇宙開発の犠牲になった。
これを小説の題名にしたのが村上春樹の『スプートニクの恋人』で、小説中の女性が、「ビートニク」のことを「スプートニク」と言いまちがえて、それをおもしろく思ったヒロインが、彼女のことをひそかに「スプートニクの恋人」と呼ぶという話だった。とても好きな小説で、この本は2度買っている。
(2016年8月19日)



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