1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

4月12日・ティンバーゲンの説

2023-04-12 | 科学
4月12日は、ガガーリン宇宙飛行士を乗せた世界初の有人宇宙衛星船が打ち上げられた(1961年)「世界宇宙飛行の日」だが、この日は、経済学者ティンバーゲンの誕生日でもある。

ヤン・ティンバーゲンは、1903年、ネーデルランド(オランダ)のハーグで生まれた。5人きょうだいのいちばん上だった。ノーベル生理学・医学賞を受賞したニコ・ティンバーゲンは実弟で、兄弟で別分野のノーベル賞を受賞している。
地元の高校を卒業後、ヤンはライデン大学に入り、数学と物理学を学んだ。大学在学中、彼は、カメルリン・オネス、ヘンドリック・ローレンツ、ピーター・ゼーマン、アルベルト・アインシュタインといったそうそうたる物理学者たちと討論した(この4人は全員ノーベル物理学賞受賞者である)。
大学を出たティンバーゲンは、政府の統計局に勤めた後、33歳の年から、スイス・ジュネーブにあった国際連盟に勤務しだした。このころ、母国ネーデルランドと米国についての国民経済モデルを発表した。
第二次大戦後は、ネーデルランドの中央計画局局長、世界銀行顧問、途上国各国の政府顧問、国際連合開発計画委員会議長などを歴任。
国連にいた66歳のとき、経済政策の理論の発展につくした功績により、第一回目のノーベル経済学賞を受賞。
70歳のとき、ライデン大学教授に就任し、2年後に退官した。
1994年6月、故郷のハーグで没。91歳だった。

ノーベル経済学賞は、昔はなかったのだけれど、1968年に、スウェーデン国立銀行が設立300周年を記念して、ノーベル財団に働きかけ、設立された賞で、その第一回の受賞者がティンバーゲンとなった。

ティンバーゲンの名は、「ティンバーゲン基準(Tinbergen Norm)」で有名である。これは、ある企業の最低の収益部門と、最高の収益部門の収入の差が1対5より大きいと、それは逆効果として働き、会社に不利益をもたらす、というもの。
ティンバーゲンは、国家、政府のマクロ経済学のモデルをはじめて構築して見せた経済学者で、彼が提唱した学説には、価格、需要量、供給量の関係を示した「くもの巣理論」や、政策目標の数と、それに必要とされる政策手段の数が一致するという「ティンバーゲンの定理」がある。

ティンバーゲンはこう言っている。
「人類の問題は、もはや国家政府によっては解決されない。必要なのは、世界政府である」(Mankind's problems can no longer be solved by national governments. What is needed is world government.)
(2023年4月12日)



●おすすめの電子書籍!

『大人のための世界偉人物語』(金原義明)
世界の偉人たちの人生を描く伝記読み物。エジソン、野口英世、ヘレン・ケラー、キュリー夫人、リンカーン、オードリー・ヘップバーン、ジョン・レノンなど30人の生きざまを紹介。意外な真実、役立つ知恵が満載。人生に迷ったときの道しるべとして、人生の友人として。


●電子書籍は明鏡舎。
https://www.meikyosha.jp


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 4月11日・小林秀雄の構え | トップ | 4月13日・ベケットの空 »

コメントを投稿

科学」カテゴリの最新記事