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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

4月2日・忌野清志郎、頌

2021-04-02 | 音楽
4月2日は、歌手レオン・ラッセルが生まれた日(1942年)だが、ロックバンド「RCサクセション」のボーカリスト、忌野清志郎(いまわのきよしろう)の誕生日でもある。

「キヨシロー」こと忌野清志郎は、1951年、東京で生まれた。本名は栗原清志。中野区生まれの、国分寺市育ちである。
絵を描くのが得意だったキヨシローは、漫画家志望から、中学時代にミュージシャン志望に転向し、高校生のときバンド活動を開始した。高校時代の同級生に、後に俳優になった三浦友和がいて、彼によると、高校生当時キヨシローたちのバンドはすでに学校で絶大な人気を誇っていて、オリジナル曲を演奏する別格の存在で、学園祭のコンサートでも、会場に客が入りきらないほどの人気だったという。そのころは、三浦友和もドラマーとして、いっしょに演奏したりしていた。
キヨシローが19歳の年に、RCサクセションはレコード・デビュー。はじめはフォーク・バンドとしてのスタートだった。ただし、RCのフォークソングは、後のロックナンバーよりもむしろヘヴィーである。
29歳のとき、名作「ラプソディー」を発表、続いて発売されたシングル曲「トランジスタ・ラジオ」がヒット。以後もRCサクセションはライブ、レコーディングと活動を続け、日本を代表するロックバンドとなった。
キヨシローは、RCサクセションとしての活動のほかに、ソロとして、また、坂本龍一や、篠原涼子と組んだコンビ・ユニットとしても活躍した。
55歳のとき、喉頭ガンで入院。いったんは退院して復活ライブをおこなったが、ガンが再発し、2009年5月に没。58歳だった。

はじめてRCサクセションの名を聞いたのは、1980年、ラジオ番組でだった。FM放送の、甲斐よしひろがDJを務める番組で、甲斐がこう紹介した。
「聞いてくれ。最近すごい曲を聴いた。すごいバンドがいる」
かけられた曲は、RCの代表作「雨あがりの夜空に」だった。聴いて、ぶっとんだ。

「トランジスタ・ラジオ」の発売前、まだあまり一般に知られていない時代のRCのライブを観た。ステージの袖から、派手なメイクをした、細身の、高くジャンプし、雄叫びを挙げながら飛びだしてきたキヨシローは「雨あがりの夜空に」ほか、いろいろな曲を演奏した。キヨシローのいいところは、はじめて聴く歌でも歌詞がちゃんと聞き取れる発声の良さである。いちばん強く印象に残った曲は、キヨシローがこんな風に紹介して演奏をはじめた楽曲だった。
「ウーッ、イェーッ。つぎの曲は、おいらがものすごーく尊敬してる、ブルース・ミュージシャンたちに捧げて書いた曲です。聴いてください。イェーッ。『スローバラード』」

キヨシローはかつてテレビ番組で若者たちへのアドバイスを求められ、こう答えた。
「大人になると、若いころに思っていたようなことが、なかなかできにくくなる、と、言う人がいますが、あれはうそですから。若いときより、大人になった後のほうが、自分の好きなことを、思い切りできますから。そして、自分の夢に向かって努力しているときが、いちばん楽しいんです」
テレビ等でありきたりを言ってお茶を濁している大学教授等エセ文化人たちとちがい、キヨシローは身をもって知った真実を告げてくれる貴重な人だった。
(2021年4月2日)



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