5月2日は、『青い花』を書いたノヴァーリスが生まれた日(1772年)だが、作詞家、秋元康(あきもとやすし)の誕生日でもある。AKB48の仕掛け人である。
秋元康は、1958年、東京で生まれた。父親は会社員で、康は2人兄弟の長男だった。
高校生時代、ラジオの深夜番組にパロディの脚本を送りつけたのをきっかけに、大学時代から放送作家のアルバイトをはじめ、しだいに作詞の仕事も受けるようになった。
テレビ番組「夕やけニャンニャン」の構成をし、27歳のころからアイドルグループ「おニャン子クラブ」の楽曲の歌詞を書き、プロデュースも担当し、名を馳せた。
47歳のとき、東京の秋葉原で、街の劇場で毎日会えるアイドルをコンセプトにしたアイドルグループ「AKB48」を立ち上げ、AKBの楽曲の歌詞を書いた。AKBは苦境の時期をへて、絶大な人気を誇るグループに成長。秋元は関連アイドルグループの全国展開、世界展開を進めつつ、乃木坂46、欅坂46など別グループのプロデュース、映画の企画、監督、大学教授職など多才な分野で活躍している。
秋元康が書いた歌詞に、好きなものがたくさんある。
稲垣潤一の「ドラマティック・レイン」「1ダースの言い訳」、
小泉今日子の「なんてったってアイドル」、
国生さゆりの「バレンタイン・キッス」、
AKB48の「ヘビーローテーション」「恋するフォーチュンクッキー」などなど。
女のコのアイドルが男の立場に立って歌うというAKB48のスタンスは、はじめて聴いたときは新鮮だった。聴いた人の人生を変えるとか、聴いた人の心に突き刺さるとかいうのとはちがうけれど、秋元康の詞には、おや、と思わせるものがある。時代の空気を軽やかにとらえたキャッチーなひねりがきいている。
秋元康のすごいところは、テレビ局やレコード会社、広告会社が利権を争って陣地取りをし、すでに産業化された業界に、個人として割って入って、周囲をうまく利用して、ちゃんと自分の居場所を確保した点である。彼は、すっかり組織化されてしまった現代社会における反逆者、新しい英雄とも言える。
ずっと以前、大手出版社の編集者がこんなことを言っていた。
「いやあ、このあいだ、週刊誌のグラビアを担当している社員と話していたら、若い娘の水着のグラビア写真に付けるキャプションで、ものすごく苦労しているって言うんですよ。あれはあれで、けっこう難しくて、若いモデルの水着写真の横にある文字は、あんまり意味があっちゃいけないんですよ。邪魔だから。そうかといって、あればいちおう読みますから、あんまりバカなことを書いてもまた写真の邪魔になってしまう。そういう、意味のない、邪魔にならない文句を並べるのに、日々四苦八苦しているって言っていました。自分のやっていることと同じだなあ、と」
秋元康がやってきたことが、グラビアページのキャプションと同じだとは言わないけれど、一脈通じる。彼は或る的をねらい、抜群の命中度を誇る実績をあげてきた。目から鼻に抜ける人は、いるものだ。
(2018年5月2日)
●おすすめの電子書籍!
『ねずみ年生まれの本』~『いのしし年生まれの本』(天野たかし)
「十二支占い」シリーズ。十二支の起源から、各干支年生まれの性格、対人・恋愛運、成功のヒント、人生、開運法まで。
●電子書籍は明鏡舎。
http://www.meikyosha.com
秋元康は、1958年、東京で生まれた。父親は会社員で、康は2人兄弟の長男だった。
高校生時代、ラジオの深夜番組にパロディの脚本を送りつけたのをきっかけに、大学時代から放送作家のアルバイトをはじめ、しだいに作詞の仕事も受けるようになった。
テレビ番組「夕やけニャンニャン」の構成をし、27歳のころからアイドルグループ「おニャン子クラブ」の楽曲の歌詞を書き、プロデュースも担当し、名を馳せた。
47歳のとき、東京の秋葉原で、街の劇場で毎日会えるアイドルをコンセプトにしたアイドルグループ「AKB48」を立ち上げ、AKBの楽曲の歌詞を書いた。AKBは苦境の時期をへて、絶大な人気を誇るグループに成長。秋元は関連アイドルグループの全国展開、世界展開を進めつつ、乃木坂46、欅坂46など別グループのプロデュース、映画の企画、監督、大学教授職など多才な分野で活躍している。
秋元康が書いた歌詞に、好きなものがたくさんある。
稲垣潤一の「ドラマティック・レイン」「1ダースの言い訳」、
小泉今日子の「なんてったってアイドル」、
国生さゆりの「バレンタイン・キッス」、
AKB48の「ヘビーローテーション」「恋するフォーチュンクッキー」などなど。
女のコのアイドルが男の立場に立って歌うというAKB48のスタンスは、はじめて聴いたときは新鮮だった。聴いた人の人生を変えるとか、聴いた人の心に突き刺さるとかいうのとはちがうけれど、秋元康の詞には、おや、と思わせるものがある。時代の空気を軽やかにとらえたキャッチーなひねりがきいている。
秋元康のすごいところは、テレビ局やレコード会社、広告会社が利権を争って陣地取りをし、すでに産業化された業界に、個人として割って入って、周囲をうまく利用して、ちゃんと自分の居場所を確保した点である。彼は、すっかり組織化されてしまった現代社会における反逆者、新しい英雄とも言える。
ずっと以前、大手出版社の編集者がこんなことを言っていた。
「いやあ、このあいだ、週刊誌のグラビアを担当している社員と話していたら、若い娘の水着のグラビア写真に付けるキャプションで、ものすごく苦労しているって言うんですよ。あれはあれで、けっこう難しくて、若いモデルの水着写真の横にある文字は、あんまり意味があっちゃいけないんですよ。邪魔だから。そうかといって、あればいちおう読みますから、あんまりバカなことを書いてもまた写真の邪魔になってしまう。そういう、意味のない、邪魔にならない文句を並べるのに、日々四苦八苦しているって言っていました。自分のやっていることと同じだなあ、と」
秋元康がやってきたことが、グラビアページのキャプションと同じだとは言わないけれど、一脈通じる。彼は或る的をねらい、抜群の命中度を誇る実績をあげてきた。目から鼻に抜ける人は、いるものだ。
(2018年5月2日)
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