大関暁夫の“ヒマネタ”日記~70年代大好きオヤジのひとりごと

「日本一“熱い街”熊谷発コンサルタント兼実業家の社長日記」でおなじみ大関暁夫が、ビジネスから離れて趣味や昔話を語ります

私の名盤コレクション21~Leon Russellとスワンプ名盤(8-2)「Lyla /Derek&The Dominos」

2012-03-18 | 洋楽
◆Lyla /Derek&The Dominos
1. I LOOKED AWAY
2. BELL BOTTOM BLUES
3. KEEP ON GROWING
4. NOBODY KNOWS YOU WHEN YOU'RE DOWN AND OUT
5. I AM YOURS
6. ANYDAY
7. KEY TO THE HIGHWAY
8. TELL THE TRUTH
9. WHY DOES LOVE GOT TO BE SO SAD?
10. HAVE YOU EVER LOVED A WOMAN
11. LITTLE WING
12. IT'S TOO LATE
13. LAYLA
14. THORN TREE IN THE GARDEN

さて「レイラ」の続きです。今回は楽曲のお話を。
このアルバムの全14曲にはこの後のクラプトンの基本スタイルがすべて詰まった、クラプトン・プロトタイプとも言えそうなアルバムでもあります。基本スタイルとはすなわち、ギターロック、ロッカバラード、ブルーズ、アメリカンの4タイプ。ここで大雑把にアメリカンと言ったのが、いわゆるスワンプ的ナンバーでもあります。

個別曲に目線を移すとまずは何と言ってもギターロックの名曲、タイトルナンバーの「レイラ」。この圧倒的な存在感は、火の出るようなインプロビゼーションを繰り広げていたクリーム以来の彼のファンを満足させるに十分な力強さでした。しかし、スワンプ・メンバーによるスワンプアルバムというアルバムの制作コンセプトから考えれば、ある意味最も異質なナンバーでもあると言ってもいいでしょう。

このアルバム中での座りの良し悪しはともかく、この曲の成功に味をしめたクラプトンは、この後何度となくこの焼き直し的ナンバーを作ることになります(「フォーエバー・マン」や「バッド・ラブ」はその最たるものでしょう)。「レイラ」によって形作られたこのスタイルはこの後長らく、彼を象徴するスタイルになるのです。このアルバム中ではもう1曲9「恋は悲しきもの」が同じくギターロックにあたると言えます。

よくよく考えると「レイラ」は、ブラインド・フェイス時代の名曲「プレゼンス・オブ・ザ・ロード」を逆パターン化したモデルでもあったのではないでしょうか。静かなメロディラインのナンバーが一転激しいギターナンバーへという「プレゼンス・オブ…」に対して、激しいギターリフとシャウトボーカルのロックが流れるようなピアノナンバーに展開する「レイラ」。実は、ジョージ・ハリスンを思わせる神の存在を歌った前者とそのジョージの妻パティへの恋心を激しく歌った後者、その両者が彼にとって対をなす重要な存在であったということなのではないかと思うのです。

次にロッカバラード。この代表格が2「ベルボトム・ブルース」です。ブルースといっていますが、バラードです。これなんぞは、先の「プレゼンス・オブ…」で開眼したメロディアス路線の発展形と言ってもよさそうなナンバーですが、英国人の集まりであったクリームやブラインドフェイスでは間違いなく生まれえなかった、アメリカ南部の泥臭さやマッタリ感が作風に深みを与えた名曲であります。

ここで新たな息吹を得たクラプトンの作風は、その後の「レット・イット・グロウ」や「ワンダフル・トゥナイト」「ティアーズ・イン・ヘブン」へと引き継がれていくのです。本作中ではオリジナルではありませんが、11「リトル・ウイング」(ジミヘンのカバー)が、イントロの仰々しさはいただけないものの、この路線でいい味を出しています。

さらに次回に続きます。

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