
先週は木曜日から入院し、両眼の白内障の手術を受けてきました。土曜日には退院しましたが、手術直後から視力も回復し、コロナの影響か個室での入院で思いのほか快適でした。先週はがんの経過観察もほぼ心配なく一年ごとになり、血液検査もほぼ良好、歯の定期的なチェックと病院通いの一週間でしたが、すべて良い方向に向かっていますので安心しています。亡くなった家内のこともあり、当方では日頃の定期的なチェックの必要性、日ごろの健康管理の重要性を痛感しています。
ひさかたぶりに渡辺省亭の作品を紹介します。
本日紹介する作品は「(公家女性)着色美人観月図」と題されていた作品ですが、おそらく「紫式部観月図」と題するのが正しいのだろうと推測しています。

紫式部観月図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1910*横645 画サイズ:縦1255*横507

源氏物語の筆者・紫式部が滋賀県大津市にある石山寺一室でその構想を練ったという伝承があります。

その石山寺は「石山の秋月」と近江八景のひとつに挙げられているように、古くから石山寺あたりの秋月の眺めは格別であることがよく知られています。

夜空に浮かぶ秋の名月、その月が石山寺の眼下を流れる瀬田川の川面に映えていて、源氏物語の構想に思いを巡らす紫式部を描いた作品の一連の作と推定されます。

洋風表現を取り入れた、洒脱な花鳥画を得意とした渡辺省亭でしたので、渡辺省亭の忌日を、親しい人々は花鳥忌と呼んだという。ただ省亭には本妻の「さく」の他にもう一人の妻?がおり、そちらの家は外面上はアトリエとし、没するまでの30年に渡りそれぞれの家に通い続けたそうです。そのせいかどうかは知りませんが、美人画にも数多くの秀作を遺しています。

本作品の落款と印章は下記のとおりですが、白文朱方印は非常に珍しい印章のようです。

同じような題材の作品にて、下記の作品は「月下湖麗望図」として本ブログにて紹介しましたが、湖ではなく瀬田川であり、描いたのはやはり紫式部でしょう。
月下湖麗望図 渡辺省亭筆→石山寺観月図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1995*横607 画サイズ:縦1275*横507

「紫式部観月図」としては下記の作品が有名ですね。
石山寺観月図 土佐光起筆
江戸時代 17c 絹本著色 H-122.3 W-55.6
MIHO MUSEUM所蔵

展示室にこの2作品を並べて展示してみました。

多少の製作時期の違いがあるようです。

加島美術で仕掛けた渡辺省亭の再評価、今は少しは下火になったようですが、当方では延々と再評価し続けています。
健康と骨董は同じで、定期的なチェックと日頃の鑑識眼の向上が重要なようです。
ひさかたぶりに渡辺省亭の作品を紹介します。
本日紹介する作品は「(公家女性)着色美人観月図」と題されていた作品ですが、おそらく「紫式部観月図」と題するのが正しいのだろうと推測しています。

紫式部観月図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1910*横645 画サイズ:縦1255*横507


源氏物語の筆者・紫式部が滋賀県大津市にある石山寺一室でその構想を練ったという伝承があります。

その石山寺は「石山の秋月」と近江八景のひとつに挙げられているように、古くから石山寺あたりの秋月の眺めは格別であることがよく知られています。

夜空に浮かぶ秋の名月、その月が石山寺の眼下を流れる瀬田川の川面に映えていて、源氏物語の構想に思いを巡らす紫式部を描いた作品の一連の作と推定されます。

洋風表現を取り入れた、洒脱な花鳥画を得意とした渡辺省亭でしたので、渡辺省亭の忌日を、親しい人々は花鳥忌と呼んだという。ただ省亭には本妻の「さく」の他にもう一人の妻?がおり、そちらの家は外面上はアトリエとし、没するまでの30年に渡りそれぞれの家に通い続けたそうです。そのせいかどうかは知りませんが、美人画にも数多くの秀作を遺しています。

本作品の落款と印章は下記のとおりですが、白文朱方印は非常に珍しい印章のようです。

同じような題材の作品にて、下記の作品は「月下湖麗望図」として本ブログにて紹介しましたが、湖ではなく瀬田川であり、描いたのはやはり紫式部でしょう。
月下湖麗望図 渡辺省亭筆→石山寺観月図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1995*横607 画サイズ:縦1275*横507

「紫式部観月図」としては下記の作品が有名ですね。
石山寺観月図 土佐光起筆
江戸時代 17c 絹本著色 H-122.3 W-55.6
MIHO MUSEUM所蔵

展示室にこの2作品を並べて展示してみました。

多少の製作時期の違いがあるようです。

加島美術で仕掛けた渡辺省亭の再評価、今は少しは下火になったようですが、当方では延々と再評価し続けています。
健康と骨董は同じで、定期的なチェックと日頃の鑑識眼の向上が重要なようです。
今年の中秋の名月を術後に眺める姿は、まさに「あるじの観月図」ですね。骨董の鑑識眼も益々向上しそう!(笑)
中秋の名月を観る時に今までの人生への迷走、もとい瞑想する小生はいつのまにかいつものように骨董のことを考えている。我が人生は俗なことばかりと反省。