夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

大日本魚類画集 NO77 オイカワ 大野麥風画 

2021-07-16 00:01:00 | 浮世絵
最近少なくなってきた閲覧数と訪問者数ですが、当方にとってはなんとなくほっとするようなところもあります。素人の気の赴くままの投稿ですから真実か否かは危ういところのある内容ですので、あまり広まって反響があると困るような気も実はしていますので・・・。

さて本日は大日本魚類画集の作品です。

「鮒」の作品に多様のヤケのあるものの、ほぼ作品自体は完品な状態の作品として大日本魚類画集は第1号12作品のすべての蒐集が完了し、第2号(12作品)に蒐集対象が移りました。発刊当時のタトウなどの説明資料まではすべて揃ってはいません。

別段すべての作品蒐集(全部で第6号まで72種)にこだわるのではありませんが、なんとなくついでに?という感じですかね。

*最近額装が仕上がった作品を展示室に飾っています。



本日はその第2号の第12回頒布の作品「オイカワ」の紹介です。調べていくと発行数については、頒布の栞から第1号から第3号までは500部限定で、第4号からかは、もしくは少なくても第4号は300部限定になっているようです。つまり最初の半数は500部限定で、後半の半数は300部限定ということです。よって部数の少ない第4号以降の作品のほうが蒐集は難しいかもしれませんね。

*額装は世界堂のよる既成品の額、草土舎による創作額がメインになっています。



大日本魚類画集 NO77 オイカワ 大野麥風画 
紙本淡彩額装 版画 1939年8月第12回(第2号の12) タトウ 説明書付
画サイズ:縦400*横280(版木部分:270*391)



なお知らなかったのですが「オイカワ」はアユの移植に伴った人為移植?を発端とする外来種のようです。

「オイカワ」については下記の記事を記述します。

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オイカワ:(追河)は、コイ科に分類される淡水魚の一種。西日本と東アジアの一部に分布し、分布域ではカワムツやウグイなどと並ぶ身近な川魚である。成魚は体長15cmほどで、オスの方がメスより大きい。背中は灰青色、体側から腹側は銀白色で、体側に淡いピンクの横斑が数本入る。三角形の大きな尻びれをもち、特に成体のオスは大きい。背中の背びれの前に黄色の紡錘形の斑点がある。上から見るとカワムツやヌマムツに似るが、各ひれがより大きく広がってみえる。ハスの若魚にもよく似るが、ハスは横から見ると口が大きく、唇が「へ」の字に曲がっているので区別できる。



日本国内では利根川水系と信濃川水系以西の本州各地、四国の吉野川水系、九州に自然分布する。国外では朝鮮半島、中国東部、台湾に分布する。近年改修によって多くの河川は流れがより緩やかになり、河床は平坦にされている。水の汚れや河川改修にも順応するオイカワにとって、近年の河川は生息しやすい環境へと変化している。21世紀初頭の時点では東日本、屋久島、徳之島などでも記録される普通種となっている。日本国内の移動で生態系への影響も比較的少ないとはいえ、外来種であることに変わりはない。

改修への順応が低いウグイやカマツカなどの魚が減少する中、生息数が増えている。琵琶湖産アユやゲンゴロウブナなど有用魚種に紛れて放流されることにより東北地方など各地に広がった。また、従来生息していた河川などにも進入した結果、琵琶湖産オイカワと在来オイカワの混在が確認されている。

台湾に生息する個体のミトコンドリアDNAを解析したところ、遺伝的に琵琶湖産と極めて近い関係にあるとする研究があり、アユの移植に伴った人為移植と考えられる。徳之島では1970年代に鹿児島県天降川からアユの移植を試みた際に、アユ稚魚に混ざっていたオイカワが定着し増殖している。なお、オイカワの増殖により徳之島在来種の陸封型ヨシノボリ類の減少が報告されている。

雑食性で、藻類や水草、水生昆虫や水面に落ちた小昆虫、小型甲殻類、ミミズ、赤虫などを食べる。釣りの対象、または水遊びの相手としてなじみ深い魚である。餌は練り餌、川虫、サシ、ミミズ、毛針、ご飯粒、パスタなど。釣りの他に刺し網や投網、梁漁などでも漁獲される。泳がせ釣り用の活き餌として釣られることもある。近年では、ルアーフィッシングの対象としても有名である。甘露煮、唐揚げ、テンプラ、南蛮漬けなどで食用にされる。滋賀県ではなれずしの一種である「ちんま寿司」に加工される。長期熟成による醗酵臭が強く硬い鮒寿司より、ちんま寿司の方が食べやすいという向きも少なくない。

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発刊当時の資料がそのままあります。この資料がそのままで作品が台紙に張ったままということは、この状態でながらく保管されてきたのでしょう。



栞の題字は谷崎潤一郎ではなく、徳富蘇峰になっています。



栞と摺師が本作品は違います。



本作品は摺師が「今井某氏」となっていますが、詳細は不明です。図集に掲載されている作品も「今井某氏」となっていますので、後摺などではないようです。

 

当時話題となっていた大日本魚類画集ですが、戦時に向かう景気状況と値段が高価であったことから需要と供給のバランスが縮小して頒布部数が減ったのかもしれませんね。図集では最後まで500部限定のような説明ですので、単品で販売(ばら売り)した可能性もあるかもしれませんね。



額装はちょっとお値段が高くなりましたが、本作品には神田の「草土舎」による創作額を誂えました。極力同じ額装にならないように、作品に似合うように「額+マット+面金」のバリエーションを変えています。

蒐集する者は誂えに、分相応にほんの少しだけ見栄をはる必要があるのかもしれません。


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