夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

氏素性の解らぬ作品 炻器黄釉幾何文型押壺 その2 バーナード・リーチ作? 1955年頃

2021-12-08 00:01:00 | 陶磁器
土曜日には息子のプログラミングの塾の帰りに、家内が要望していた「スノードーム」を息子と物色・・。駅の百貨店で店員さんに二人で聞きながら、一時間も探し廻った結果、残っていたのがお店が違うところに5種類ほど・・・。結構売れてしまっているらしい。「どれにする?」、「オルゴール付きがいい!」などと選んだのは息子、買ったのは小生。しかしプレゼントの主はいつの間にか息子にすり替わってしまっていました。



白一色の品の良いもの?を選んで、クリスマスカードには自分でなにやら書いていました。帰宅して車から降りるなり「これプレゼント!」、「はや!!」   要は自分が気に入っているらしい・・。



さて本日紹介する作品と同型の作品は以前にも「氏素性の解らぬ作品」として紹介しています。「氏素性の解らぬ作品」には懲りぬ当方・・。

氏素性の解らぬ作品 炻器黄釉幾何文型押壺 その1 伝バーナード・リーチ作 1955年頃
口径83*最大胴幅232*底径120*高さ302

今回の作品と比べたのが下記の写真です。「その1」が右側の大きめの作品で、本日紹介する作品「その2」は左側の作品です。



氏素性の解らぬ作品 炻器黄釉幾何文型押壺 その2 伝バーナード・リーチ作 1955年頃
口径98*最大胴幅180*底径100*高さ275



この作品は当方ではラグビーボールと称していますが、図集では「炻器黄釉幾何文型押壺」として紹介されています。「炻器」というのは胎土そのものを示しているのでしょう。



炻器はご存知のように「半磁器、焼締めとも呼ばれている陶器と磁器の中間的な性質を持つ焼き物」で、1100~1250℃で焼成されます。本来英語の"Stone ware"の訳語とされています。世界各地にあり、普通施釉せず、また絵付けも行なわれないことが多いかわりに、地肌の風合いが賞玩される焼き物群です。浮彫り、貼花(レリーフ)等の装飾が施されることも多いとされます。



イギリス炻器​というのが存在し、ジョン・ドワイトのほか、18世紀末にはイギリスでも何カ所かで塩釉炻器が作られ始め、一時は盛んに作られたそうです。その後日用品としては陶器のクリームウェアに次第に圧されて下火になりましたが、装飾品としてダルトン等のメーカーにより20世紀初頭まで作られていたとされます。

一方、ジョサイア・ウェッジウッドが炻器の研究に取り組み、いくつかの優れたウェアを生み出した。それには先に挙げたロッソ・アンティコをはじめ、スタッフォードシャー地方の黒色炻器を改良したブラック・バサルト、ウェッジウッド社の主力製品であるジャスパーウェア、黄色が主体のケーンウェア、泥色のドラッブウェア、マーブル模様のアゲイトウェア等があり、特にジャスパーウェアは非常に好評を博し、洗練された新古典主義的デザインも相まって、ヨーロッパ中を風靡しました。

ちなみに英語の「stoneware」の訳語として明治40年頃より日本で炻器という用語が用いられました。stonewareは1950年にアメリカ窯業協会が「釉薬の有無を問わず1150~1300℃で焼成して、素地はかたく溶化し、吸水量は0~10%のもの」と規定していますが、この規定は東洋の焼き物の分類にはそぐわない面があり、日本語の「炻器」の示す範囲とは、必ずしも一致しないとされます。また、日本では、これほど厳密に定義されていません。釉薬は、施すものと施さないものがあり、日本では備前焼、信楽焼などの中に、炻器に分類されるものがあります。

この作品はイギリスで作られたとすると上記のどれに属する炻器から不明ですが、胎土自体は欧米風に統一された地肌の風合いが均一ですが、黄釉の釉薬で日本風に変化を持たせています。詳しくは知りませんが、この黄釉は日本から持ち込んだのかもしれませんね。

*日本では近年に外壁の大型のタイル張りなどに多く使用されましたが、やはり吸水率の問題から凍害による割れや剥離が懸念され、今では高所の外壁には使用されなくなっています。



「その2」の作品では高台内に押印があります。

*真作の同型の参考作品は胴の下部分に押印されていますが、胴の下、高台内や脇などバーナードリーチの作品では印の位置は統一されていないようです。

 

「その1」と「その2」は共に「BL」・「fに似た印」が押されていますが、下写真左の「その1」は胴の下部分に、下写真右の「その2」は高台内に押されています。ともに「fに似た印」があることから真作なら「セントアイヴィス」で作られた証です。「BL」印は同一印の可能性があるようですが、「fに似た印」は各々が別印の可能性が高いかもしれません。

 

図集などでよく取り上げている同型の作品は下記の写真の作品ですが、黄釉が変化に富んでいる秀作です。

 

この作品の押印の写真は下記の左ですが、図集からでは横長に写ってしまうようで、明確に「その2」の印とはできませんでした。当方の幾つかの所蔵作品と比較しても幾種かの印があるように思われます。

 

ま~、印などの細かいことなど気にせず、氏素性の解らぬ作品としてバーナードリーチのスケッチと一緒に飾って愉しんでいます。



兎のスケッチを福田豊四郎の作品と並べたりしています。



庭に咲いていた百日紅の花を活けてみています。



重いま~るいボールが3つ・・、スノーボール、もといスノードームにラグビーボールがふたつ??  遠いラグビー発祥の異国の胎土を思い浮かべながら、そして20代の若い頃に大きな庁舎の外壁に炻器質の大きなタイルを数万枚、コンクリートに打ち込んだ悪戦苦闘の仕事をしたことを懐かしんでいます。












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