夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

気になる作品 牛童子之図 平福百穂筆 

2021-07-14 00:01:00 | 掛け軸
義父が亡くなり畑を売却予定につき、本当の今年で最後のブルーベリーの収穫となりそうです。義母が毎日収穫したブルーベリーを職場でシェアしました。



郊外からいろんな理由で農村風景が消えていきますが、牛に乗った童子が帰村するような風景を描いた作品は古来より数多くあります。禅的な教えもあるようですが、本日は同じような作品が平福百穂の作品に複数あるという話題です。

*「禅的な教え」については投稿済みの作品「早春 平福百穂筆 大正10年(1921年)頃」の記事などにて説明済みですので、そちらの記事を参考にしてください。



本日のこの作品は昭和になってからの、平福百穂の晩年の秀作といっていいでしょう。門人であった八幡白帆の鑑定箱書きがある作品です。

*作品手前は室町期の信楽の壺です。



牛童子之図 平福百穂筆 
絹本水墨着色軸装 八幡白帆鑑定箱
全体サイズ:横520*縦1070 画サイズ:横330*縦310



筋の良さそうな作品で表具の状態はいいのですが、作品本体にシミが多数あります。「染み抜き+改装」が必要ですね。



作品中に押印されている印章はとても珍しく、当方で所蔵している鳥谷幡山鑑定箱の「木蓮ニ小禽図」という作品に押印されている印章(下記写真右)と同一印章のようです。

 

箱裏には八幡白帆による書付がありますが、当方ではまことに残念ながら判読不能です。

 

平福一郎の鑑定している方々は子息の平福一郎、舟越三郎、平福百合、門人の島田柏樹、八幡白帆、そして鳥谷幡山らがいるようです。

八幡白帆の来歴は下記のとおりです。

*****************************************

八幡白帆:(やわた しらほ)1893年~1957年。大正から昭和にかけての日本画家、口絵画家。平福百穂及び伊東深水の門人。本名は憲一。東京の生まれ。文展や帝展に作品を出品した他、大正期に入ってから雑誌『新小説』の木版口絵や江見水蔭の単行本の木版口絵を描いており人物を大きく描く点が特徴であった。

*****************************************

箱の表は下記の写真のとおりです。

 

少し小さい作品ですが、詳細部分の書き込みまでよくできています。



平福百穂の牛の描き方は独特ですね。



季節は春・・、作品自体からのイメージは晩秋なのですが・・。



冒頭にて本作品と並んで撮影された作品は、最近紹介された下記の作品です。

早春 伝平福百穂筆 大正10年(1921年)頃
絹本水墨淡彩軸装 軸先欠損 共箱 
全体サイズ:縦1350*横655 画サイズ:縦390*横510
軸先欠損・表具剥離など改装の必要あり



本日の作品よりも10年ほど前の作品と推定しています。



描き方は本日の作品が数段上ですね。こちらの作品はまだ下手・・。



平福百穂のこの構図の作品には色紙も含めて工芸品が数多くあるので、話がややこしくなりますね。後学の結果、この作品(二つ目の作品)がいいものであれば、こちらも改装の必要があります。

先祖伝来の土地、税金対策やらで断腸の思いでの売り払われ、我が家だけでなくどんどん宅地化されています。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。