夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

唐美人図(仮題 楚蓮香) 伝寺崎廣業筆 その34

2015-04-09 05:07:57 | 掛け軸
美人画はちょっといいものになるとお値段が格段に高くなるので、当方では入手に食指を動かさないことにしていますが、郷里の画家の作品と思われるものとなると購入意欲が湧いてきます。

美人画を蒐集する御仁の蒐集したくなる理由は私にはちょっと理解ができませんが、浮世絵ファンなどには多いようです。マニアックな変人が多い「美人は見るだけ・・、近づくと碌なことにならない。」は世の常で、私の経験則でもあります。

唐美人図(仮題:楚蓮香) 伝寺崎廣業筆
絹本水墨着色軸装 軸先塗 極箱入 
全体サイズ:横520*縦2008 画サイズ:横389*縦1212



落款は「二本廣業」の後期のもので明治年頃の作と推察されます。印章は小型の「廣業」の白文朱長方印でよく見かけます。印章は資料と一致します。落款は「二本廣業」の後期のもので勢いがないこともこの頃の特徴です。明治末年頃か? ただし寺崎廣業の美人画には贋作が多いので「伝」とします。



箱書については詳細は不明です。

 

保存状態はいいほうですが、白の絵の具(胡粉)が剥落しつつあります。



一度表具を改装しているようですが、今のうちに太巻きにして保存する必要がありそうです。美人はお金がかかる。



美人に近づいて幸せになった人物を見たことがありません。だいたい美人という人は性格が悪く、他人を幸せにする相がありません。美人には絶対に近づかないこと かの吉田松陰もそう申し述べております。



前にも記述しましたが、寺崎廣業の作品に対する評価は落款の「三本廣業」が一番高いと言われていますが、それゆえ「三本廣業」に贋作が多くなっています。また人気が出た最初が美人画であったこともあり、本来「二本廣業」であるべき時代の美人画に「三本廣業」の落款を記する変な贋作があります。



現在では逆に「三本廣業」以外の「二本廣業」の作品が良い出来の作品が多いと評価してよいように思われます。つまり初期の作品のほうに良い作品があるということです。



「三本廣業」の時代の寺崎廣業は流行画家となり、作品をかなり描いており、酒席でも依頼されるとよく描き、濫作になっているためです。



掛け軸全体の評価が低い現在の状況では寺崎廣業の作品はきちんと描いた作品でないと価値を見出すことすら難しいようです。掛け軸は蒐集する絶好のチャンスです。



このような美人画を寺崎廣業が描いたか? さてこの絵の題名は・・。とりあえず「唐美人図」としておきますが、「楚蓮香」という唐の玄宗皇帝の時代に長安一の美女と言われた人物と思えます。その美しさは、彼女が外に出ると香りに胡蝶が誘われ、付き添いながら周りを翔び遊ぶほどであったという故事があります。ただ画中に必ず蝶が描かれるはずですが、本作品には蝶が描かれていません。

上村松園の作品が名作として知られていますが、円山応挙ら多くの画家が描いています。寺崎廣業の作品は知られていません。真作なら大発見?? ほっそり描かれることが多いのですが、このふくよかさは家内にそっくり・・・。



ともかく美人画ゆえに真贋は保証できません。美人は人間も絵も小生は信用しない・・。



女性に愛想がいい一歳の我が息子は電車で「赤ちゃん学」を読書中・・「おいおい、本が逆さまだぞ~」



美人には近づくなよ・・、先が思いやられる・・・・



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