夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

染み抜き & 贋作考 「爽涼」 伊東深水筆

2019-07-25 00:01:00 | 日本画
たまには息子と洒落たところ、景色でツーショット。



本日紹介する作品は染み抜きを検討して、見事にきれいに仕上がった作品の紹介です。

爽涼 伝伊東深水筆
絹本着色額装 浜田台児鑑定シール タトウ+誂黄袋
全体サイズ:横830*縦735 画サイズ:横600*縦500



大した値段でなかったので、何気なく購入した作品ですが、このような著名な画家の作品でまず疑うのは複製品。

不鮮明な写真ですが、下記の作品は大塚工藝社で工芸作品として出版している作品で同題、同図の作品があります。

複製作品とは僅かに団扇の文様、印章が違う作品です。本作品は専門家にみてもらったら肉筆に相違なく、そうとすると「爽涼」の原画か、これをもとに注文された作品か、はたまた模写された作品かということになるでしょう。

画面寸法:51×59cm 
工芸品の作品もそれなりのお値段です。(価格:軸 350,000円  額 350,000円)



贋作にもついていることのある浜田台児の鑑定シールがあります。



浜田台児の鑑定シールはあまり信用しないほうがいいでしょう。疑わしいのは意図的な贋作ですが、それにしては出来が良いということです。



タトウ内には「覚書 伊藤(東)深水夏美人 東京松坂屋にてオプションで求む。金六百三拾万円にて 昭和57年十二月吉日」の書付があります。はたして??? どうも胡散臭いが贋作は一般にこういう書付は目につきやすいところにあるものです。入手は売り先も気が付いてないし、当方も気が付かなった書付です。



*師鏑木清方より生地深川の「深」を清方の清から偏の「 水」をとって 「深水」の号を与えられています。
*号は此君亭(比君汀)。『此君』とは「竹」のことで、「此君亭」は文字通り竹林を控え緑に囲まれた閑静なところという意味です。



本作品に押印されている印章は当方の所蔵の他の作品に押印されいるものがあり、比較すると下記のようになります。

  

正直なところ真贋はどうにもわかりませんが、出来は非常に良いものです。



全体にシミがありが、検討の結果、染み抜きは可能とのことです。



水草に桔梗、涼しげな今の季節にもってこいの作品です。



飾って愉しむには問題ありませんが、やはり染み抜きが必要でしょう。



染み抜きにいくらかかるか検討してもらうことにしました。



背景にシミが発生しており、絵の具部分にはシミがほどんどない状態ですので処置はしやすとのことです。



*この原稿作成後に染み抜きを依頼しました。それほど高価ではないようです。



**掛け軸もそうですが、染み抜き後に改装も必要になります。



***染み抜きが一万円強、改装がその倍で三万円程度が目安とのことですが、表具師によっては数十万という方がいますので要注意です。



****特に大家の画家というと値段を高く言う表具師さんが多いので注意してください。



*****むろん一流の表具師は値段も一流なのですが・・・・。



******思文閣さんに上村松園の作品を染みが心配なので相談したら、掛け軸を額装にするとよいと40万円の値段を言われたことがあります。



*******それが高いか安いかはその作品次第という考えがあります。さて本作品の染み抜きが高いか安いかは出来上がり次第・・・・

美人画の生命線の顔にシミがないのは救いです。たまには洒落た作品を背景にして息子か家内とツーショットしたいものです。

実は昨夜、染み抜きした作品が届きました。きれいにシミが落ちています。改めて家内と観ましたが作品に品格があり筋の良い作品と判断しています。





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