goo blog サービス終了のお知らせ 

夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

お気に入りの作品 青いガウンの裸婦(仮題) 木下孝則画 1966年作 その6

2022-09-30 00:01:00 | 洋画
今年の9月の連休は天候に恵まれませんでした。日曜日には久方ぶりの青空でしたので、家の換気・・。



本日紹介するのは木下孝則の作品ですが、木下孝則の作品は最近、縁があって立て続けに入手できました。

木下孝則の作品は女性をモチーフとしたものが多いようですが、それもコスチュームの作品が多かったとされています。本日の作品のように裸婦を描いた作品は結構あるようなイメージでしたが、市場では意外にもあまり見受けられません。



当方の男の隠れ家にて母の寝室に飾っていた作品が下記の作品です。この絵は長らく飾っていたので親しみがあって、この作品の印象が強く、木下孝則は裸婦をたくさん描いているのだろうと思い込んでいました。


 
本日紹介する作品は、実はネットオークオークションにておよそ10万円ほどにて落札した作品です。M25号という大きな作品で秀作でありながら、今ではこの程度のお値段なのでしょうか?

お気に入りの作品 青いガウンの裸婦(仮題) 木下孝則画 1966年作 その6
日動画廊シール 油彩額装 左上サイン 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦750*横1000 画サイズ:縦540*横800 M25号




額裏に貼られているシールから1966年(昭和41年 72歳)に描かれた最晩年の作と推定されます。



上記の写真は日動画廊のシールですが、いくつかある日動画廊のどこの画廊かは不明です。当方の実家に所蔵されていた作品は銀座の日動画廊にて購入した作品でしたが、この頃の昭和43年3月には個展開催(銀座の日動サロン)、さらには5月に木下孝則展(名古屋日動画廊)を開いており、滞欧作2点を含めた40点を出品しています。いずれかの時の出品作かもしれません。



市場に出回る木下孝則の作品のサインには制作年を記している作品が少ないので、制作年が解る作品は貴重です。このサインから本ブログにて最近紹介した「窓辺の踊り子」(その5)の作品と制作時期が近いようです。



木下孝則の作品にしてはなかなか色っぽい作品と言えるでしょう。



木下孝則は父が友三郎は明治大学総長。母方の叔父の児島善久雄は西洋美術史家であり、さらに本人は学習院中等科を経て学習院高等科を卒業し、京都帝国大学法科大学政治経済学科および東京帝国大学文科大学哲学科をいずれも中退してます。今日の高い環境であり、本人も中退といえどもなかなかの秀才であったと推測されますね。



一方で、画風は明快な色調と優れた描写力で、踊り子(バレリーナ)を含む洗練された女性像を数多く描いたことで知られます。



また他の記事でも紹介したように女優の岸恵子、野添ひとみらを描いています。



これらの女優を描いた作品は週刊誌の表紙絵となっています。



さらには「なんでも鑑定団」には美輪明宏が出演し、木下孝則が美輪明宏を描いた作品、数点が紹介されました。



このようなインテリジェンス溢れる作品を遺している画家ですが、下記の展覧会以降は個別の出展以外はあまり取り上げられていないようです。

 

当方の洋画の女性を描いた画家としては他に郷里出身の伊勢正義を取り上げていますが、木下孝則との共通点はそのインテリジェンス、品格の高さだと思っています。

少女 その3 伊勢正義画 1960年頃
油彩額装 右下サイン タトウ+黄袋 
画サイズF3号:縦430*横380 全体サイズ:縦273*横220
制作年代は不詳 1960年前後と推定



伊勢正義もまた裸婦を描いた作品は非常に少ないと思われます。当方には下記の2点のみです。

裸婦(小) 伊勢正義画
油彩額装 黄袋タトウ
額サイズ:横255*縦215 画サイズ:横90*縦50



下記の作品とは郷里の伊勢正義のアトリエ(小坂町のアトリエ)を解体し、処分するときに発見された作品です。若い頃の習作と推定されます。

裸婦 伊勢正義画
油彩額装
額サイズ:横*縦 画サイズ:横360*縦690



この作品にはサインはありませんが、同じところから発見された作品には1937年作か?(29歳頃?)と推測されるサインがありました。いずれもとても貴重な作品です。

木下孝則と伊勢正義、当方のお気に入りの画家たちです。

*伊勢正義の作品もまた「週刊朝日」の表紙絵になっています。

現在、当方の展示室に木下孝則の作品を2点飾っています。保存状態はあまりよくなったようですで、左下の写真の作品は額や絵の具の剥落がみられます。右下の作品は額に痛みがあります。



祖父母や両親から伝わってきた当方の感性でのお気に入りの画家とその作品。



大切にされるべく当方に入手されたものと考えています。



神田の草土舎に依頼したところ表側はきれいに補修され、裏側は補強されてきました。



キャンパスが動いていたのも桟で抑えてすっかり固定されています。



父や母の思い出の日動画廊のシールも貼り直されていました。



蒐集する者は前の世代から次世代に伝えていくのが大きな役割のようです。






最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。