夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

香外居設色春日吟行図 松林桂月筆

2013-06-14 05:15:12 | 掛け軸
今年の5月に田舎に帰省してきましたが、6月には亡くなった家内の命日は墓参りしてきます。



5月のブログで紹介した秋田比内の黄金親子丼の味の本物は大館市のお店です。内部や料理は撮影禁止です。



山水画は常に故郷と結びつくものです。どうも都会に人にはこの山水のよさが良くわからないようです。




子供の頃、授業をさぼって登った山々は常に鮮明に覚えているものです。下記の写真は大館市の鳳凰山です。



本日の作品は亡くなった叔父も同じような作品を所蔵していた山水画です。今となってはご子息が売却され、残念ながらそのほとんどを放逐されてしまいました。今になって私がこの画家に興味を持ち購入するようになりました。

香外居設色春日吟行図 松林桂月筆
絹本水墨着色軸装 軸先象牙 共箱
全体サイズ:縦2220*横572 画サイズ:縦1450*横415



箱書の題名は「香外(桂月の別号)居設色(いろどること。彩色すること。また、そのいろどり)春日吟行図 絹本竪幅」とあり、故叔父の所蔵していた作品に「香外居江南春色図 絹本竪幅」という同時期に描かれたと思われる作品が存在します。



賛も全く同じで複数の同様な作品が存在することは興味深いですが、松林桂月にはそのような作品が数多く見受けられます。



賛は「水村山郭牧之詩 緑映紅處多酒□ 行□江南之十里 春風吹□不寒時 丙辰春晩 桂月山人詩画 押印」とあり大正5年(1916年)、松林桂月が40歳の作品と推察されます





押印は「子敬」の白文朱方印と「桂月」の朱文白方印が押印されています。




「春宵花影図」という作品が「なんでも鑑定団」に出品されましたが、昭和15年にニューヨークの万博で好評を博し、松林桂月が得意とした図であり、本作品と同じく賛の後には「詩画」と記されています。




箱書には「自題匣(はこ:木・紙・竹などで作った、物を入れるための器) 押印」と記されております。「匣」は桂月の箱書によく使われます。押印は「篤字?子敬」の朱文白方印が押印されています。





故叔父上が所蔵していた作品は下記の作品です。ずいぶん前に撮影したものなので古いカメラはちょっと画像がピンボケしています。




香外居江南春色図 松林桂月筆
絹本着色軸装共箱 
画サイズ:縦1365*横415

参考作品は賛は全く同じですが、「水村山郭牧之詩 緑映紅處多酒□ 行□江南之十里 春風吹□不寒時 丙辰仲春写□□□製 桂月山人 押印」とあり、若干異なります。


箱書の題は「香外居江南春色図 絹本條幅」とあり標記が若干本作品と異なります。「桂月山人并題匣 押印」とされる部分も標記が若干異なります。

絵の内容から同じ風景を描き、時系列には参考作品が先で、本作品がその後のように推察され、そのことから若干の標記の違いが生じているものと推察しますが、ほぼ同日か日をおかず描かれた作品と思われます。非常に興味深い二作品ですが、今は叔父の実家にはありません。


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