夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

清潭香魚図 川合玉堂筆 その4

2016-11-02 00:01:00 | 掛け軸
休日はず~っと小生と一緒の息子。さすがに日曜日の夕方から疲れたようで熟睡、それからが小生の本当の休日



「お~い、ベットを占領するなよ!」

さて本日は川合玉堂の作品の紹介です。

川合玉堂の掛け軸の作品はコレクターにとっては垂涎の的です。まともなお値段では高値の華、もとい高嶺の華。横山大観、上村松園と並んで近代画家の最高峰です。

さてその川合玉堂の作品入手への無謀なる挑戦です。狩野芳崖、橋本雅邦らの真作はいくつか紹介しましたし、川合玉堂の作品も何点か紹介しましたが、これらの画家の最盛期の作品はやはりそれなりのお値段で入手すべきものです。ただ、初期の頃の作品は意外に他人が知らずして放置されていることがあります。

本日はそのような作品の紹介です。

清潭香魚図 川合玉堂筆 その4
絹本水墨淡彩軸装 軸先塗 共箱 旧作題
全体サイズ:縦2030*横535 画サイズ:縦1140*横408



明治33年頃(27歳)の作で、箱書は大正年間と推察されます。滅多に資料には掲載されないこの印章が記憶にあるかどうかが購入するかしないかの判断に大きく影響します。ただし・・・。



書体と印章の使用時期が一致しなくてはいけませんが、まず心惹かれるのが作品の出来でなくてはなりません。落款や印章は記憶力が影響しとても数多くある印章はすべて覚えられるものではありませんから・・・。



しかも印章や書体はある程度真似ることは可能です。ただ、感性は真作を見続けないと解らないものかもしれません。私は出来に惹かれて購入しました。資料はその後の確認事項です。購入時にそのような資料を手元に置いて見極めるなどというのは許されませんので・・。



箱書も同じく後日の確認です。「旧作」というのは贋作にもよく使いますので一概に信用してはいけないようです。



巻止には「庚子(かのえね、こうし)六月為諭吉 欸冬鮎図 玉堂筆 小湖誌」とあります。明治33年に描いたことでしょうか?

さらには明治34年に亡くなった福沢諭吉に縁のある作品というロマンが・・、そこまでは「まさか」ですね。「小湖誌」の詳細は不明です。



箱書きにある「欸冬」とは「フキ キク科の多年草、園芸植物、薬用植物」のことです。このようなマイナーなことも判断基準になりますかね?



とかく落款や印章、筆致ばかり真贋の話題のする御仁には間違いが多いと思います。



たとえ贋作でもビジネスではない当方はダメージは少ないものです。



まずは購入するか否かは第一印象の勝負ですが、きちんとその後は調査します。「自分のお金で買え、そして売れ、売買は休んで調べろ」という骨董の鉄則を小生は死ぬまで続けるのでしょう。



ただ休日は調べ物から片付け、飾りつけまで寸暇を惜しんで忙しいのですが、息子が思うようにはさせてくれません。



むろん仕事も忙しいのですが、このような趣味の世界をなにかしら持つのは愉しいと思います。



趣味といえども真贋のみならず、資金も現実は厳しいものがあります。資金に余裕があれば氏素性のしっかりしたもっといい作品が入手できますが・・・。

ただ「資金が潤沢なものほど贋作ばかりを入手する。」というのが世の常とか。資金を投入して信頼できるところから入手するというのは相場の倍での購入となり、これは売る側の論理。かなりの無駄遣いでもありますが、骨董好きのかなりの高い割合の人が贋作揃いというのも現実であり、贋作ばかりよりはましなら、高い骨董商への目利き料金の支払いをするしかありません。骨董の世界は自分が目利きになるのがもっとも効率的で遠い道のり・・・・

高望みによって初めてその距離がつまりますし、高望みしないとまたその望みは一生叶いません。ただ高望みばかりでは贋作揃いになります。美女への高望みは人生の大いなる時間と金の無駄、骨董への高望みは人生の肥やしです。




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