夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

貴重な作品 南京赤絵 陶公賞松図角皿 

2024-06-24 00:01:00 | 陶磁器
当方であまり縁のないのが酒器という作品群・・・。茶事でも重宝され、李朝や黄瀬戸、古唐津といったところが蒐集する者にとっては垂涎の酒器なのでしょうが、当方は普段は酒を嗜まないため、酒器は蒐集の対象とはしていません。それでもたまに入手することもありますが、逆に李朝や黄瀬戸、古唐津といったところはあまりにも当たり前すぎて、無理をしてまでは購入していません。最近入手した下記の作品は阿蘭陀焼風の酒器のようですが、それほど古くはない作品のようです。



ちょっと面白そうなので入手してみました。明治期以降の伊万里で作られたのでしょうか、2000円くらいのお値段で購入した作品です。



さらに印判手のものも・・・。



印判手は通常は下手物なのでしょうが、あまり見かけない作品であったので入手しました。書かれているのは漢詩・・・???



底には見かけたことのない書き銘がありますが、詳細はむろん不明です。





さて本日の作品紹介です。当方の蒐集対象?に中国の明末から清朝にかけて作られた赤絵や五彩の作品群がありますが、その中に南京赤絵という作品群があります。本ブログで真贋含めて幾つかの作品を紹介しています。



*上記写真にて飾ってある額の絵は平野遼の「ミコノスの娘」という作品です。



南京赤絵 陶公賞松図角鉢 
誂:二重箱
縦199~204*横199~202*高さ45~52 高台径140*140



かなりの数が市場に出回っている南京赤絵の作品ですが、その多くは円形の皿で草花が描かれており、古染付同様に日本で注文した作品が多いのではないかと思われます。煎茶や茶道具に用いられる目的から、その多くは茶道具あるいは鉢や小皿中皿などの食器が輸入されたものと思われます。



食器は揃いのものが多く、それゆえその大きさは径が15センチ以下(多くは13センチ程度)の作品がほとんどで、本作品のように鉢の形状となっている20センチを超える作品は稀有とされています。



古染付と同じような鑑賞を意図して作られている作品ですので、作品の完璧さよりも不完全な面白みを重んじています。これは日本独特な価値観なのでしょう。中国にはこの手の作品は全く遺っていないとされています。



不完全ながらもかなり丁寧な造りとなっています。



入手時の黄ばんだ汚れはすぐにきれいになります。口縁の鉄釉がひとつの特徴ですが、時代を経るとないものもあります。



通常の高台はもっと砂が付いているもののようですが、丁寧な作りとなっているのは日本からの注文品であった可能性があるかもしれません。

明朝衰退に伴い、これらの輸入品が激減していく状況で、中国の職人の指導で始まったのが伊万里焼です。そこから初期伊万里、そして古九谷色絵が生まれてきますが、その当時は絵は明らかに中国の赤絵の影響が見られ、古九谷には口縁の鉄釉もそのままの技法として残っています。



洗うときれいになりますね。丸皿に多いのですが、高台内にイッチンの跡あるものは伊万里での作品となります。



同じような作品がなんでも鑑定団の出品作にあります。こちらは草花を描いた作品です。

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参考作品 なんでも鑑定団出品作
南京赤絵花紋角皿
200角 評価金額500万



評:鑑定額500万円。今から350年くらい前の中国明時代末期から清王朝初期に掛けて景徳鎮の民窯で作られた南京赤絵。当時の主要な輸出品で西欧諸国に売ったものは壷や花生けや蓋ものなど大作が多い。ところが日本に輸出したものは茶道具あるいは鉢や小皿中皿など食器が多い。デザインも日本人好みの余白を十分とった絵画的な構成になっているという。縁は鉄釉いわゆる口紅というもので隈取してある。これは南京赤絵の手法。寸法は1辺20センチでこれが1辺12センチの同じような皿だとわずかに30万円になる。

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絵付けの丁寧で出来が良いとはいえ、いくらなんでも500万円という高すぎる評価金額はいかがなものだろうか?と思いますね。

*「なんでも鑑定団」の評価金額はあまりにも実際の価格とかけ離れていますので、評価金額は鵜吞みにはしないほうがいいでしょう。

**本作品においてもインターネットオークションにて約4万円にて落札しています。なんでも鑑定団出品作と同図の佳作の作品はインターネットオークションに出品されましたが、入札金額が50万円ほどにて落札が取り消され、80万円にて再出品されていました。これも高すぎないだろうか?

本ブログでは1辺20センチの南京赤絵の草花を描いた皿は他にも紹介されていますが、この絵の人物をメインに描かれた作品では手頃な価格の1辺13センチ程度の幾つか紹介しています。

そのうちの3作品が下記の写真の作品です。ゆっくりと蒐集して、5客くらいの揃いにしたいと思っていますが、この大きさでも意外に数が少ないようです。ただ角皿や丸い皿には南京赤絵の模倣品も多いので注意を払う必要もあるようです。

南京赤絵 
陶公賞菊図角皿 
柳下漁人物文角皿
樹下酔人図角皿



揃いであったのでしょうが、ひと作品ずつに売られていました。数が限られている南京赤絵の作品はこれからも貴重価値が増していくのでしょう。



上記写真は南京赤絵の大きさの比較です。本日紹介した大きいほうは皿というより鉢といった大きさと形状にように感じますね。参考までに同じような図柄の作品を選んで比較してみました。



なお南京赤絵には後世の写しがたくさんありますので、要注意です。わかりやすい例が下記の作品です。



この作品は中国か日本で作られた写しですが、インターネットオークションなどで、「南京赤絵」として出品されています。



模倣の出来はよくなく、砂付高台や口縁の鉄釉による口紅もありませんし、色釉薬や掛け釉薬の時代感で判別ができますが、写真だけでは騙されることもあります。


出品時の写真はいかにも南京赤絵のように撮られていますが、現物を見るとまったくの現代ものとすぐに解るものです。



この作品は当方では現在、普段使いとして活躍しています。



この例などは一枚ずつ時をあけて出品されているようですので要注意ですが、これよりも古いものでも日本では数多く、出来の良い模倣した南京赤絵の作品が出回ってるいるようです。



ともかく日本のやきものもそうですが、とくに中国や李朝の陶磁器における時代の判別は難しい・・・・。日本と中国とは互いに影響しあっていますので、互いの模倣作品は数限りなくあるようです。
























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