腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

Bard's Gold(VITA版)

2020年07月29日 01時13分19秒 | PS VITAゲーム感想文
【ハード】PS VITA
【メーカー】Eastasiasoft
【発売日】2016年12月15日
【定価】998円(DL専売 PS4版も同時に手に入る)
【購入価格】99円
【プレー時間】10時間

「Bard's Gold」である。読みはバードスゴールド、直訳すると「吟遊詩人の黄金」だ。吟遊詩人は英語でバードと言うのだな。
……いきなり余談に入るが、俺は比類なき「ファイアーエムブレム聖戦の系譜」の職業にて、吟遊詩人=バードは知っていた。
レヴィン……いや遙なる異国の戦士、風のフォルセティよ……それはいい。だが綴りまでは知らず、「bird」だと思っていた。
今作をプレーして、それが20年に渡る誤りだったと気付かされたわけだ。……けどさ!! これ、非常に誤解を招くよね!?
吟遊詩人つったら、あちこちを旅して詩や歌を民衆に聞かせる職業だ。つっても2次元でしか知らんが。実在したんかね。
その行動は、見事に鳥と一致してないか? 美声の自由業だから鳥。少なくともイメージ的にかなり合ってるだろう。
だからこの誤解は已む無きことであり、俺に一切の咎はなく、故に恥でもない。誰が悪いのかと言うなら世間が悪いのだ。
うーん、死ぬほどどうでもいい。ちなみに今作の主人公は吟遊詩人らしいことは何もしない。全てはファンタジーだった。はぁ。

さてBard's Gold、何気に近年大流行している(儲かってるかは不明)、「レトロ画風高難度2Dアクション」である。
いやホント、最近この手のゲームがマジで多くない? 特に海の向こうでは、撃ちゲーレベルで流行ってる気さえする。
2Dドット絵の懐かし需要も当然あるんだろうが、こんだけ流行ってるんだからそれだけでもあるまい。よう分からん話だ。
とてつもなく凄いが「重い」現代弩級タイトルに対抗して、難しくもテンポよくやれるこの手の作品に需要が生まれたのかな。
俺としても嫌いではないが、どうも全体的には極端な死にゲー思想が蔓延ってる気がして、プレー意欲があまり湧かない。
つってもこの手のゲームは基本的に安価であり、セール対象にもよくなる。その縁でいずれ俺が手を伸ばすことはあるだろう。
……つーか、今作はまさにそれで手に入れたのだ。セール99円、はいポチ。ジャンル? 知らん。タイトルも読めんかった。
買った記憶さえ曖昧なまま、つい先日「VITAでアクションやりたいな」と思って購入リストを眺めて、今作が目に留まった。
俺はこういう縁を重視する質である。即座にDLし、プレーを開始したのだった。……タイトルはこの時初めて読めた。やれやれ。


うーむ。まず今作、確かに2Dドット絵アクションであり、死にまくりでやり直ししまくりの、まぁ近年の定石通りな作りだ。
だが実際にプレーしてみると、アクション要素はさほど高くない。どちらかというと重要なのは「探索」だった。
ステージを探検し、アイテムを集める。敵も出てくるが「おじゃま虫」な方向性で、戦闘は武器を投げつけるだけの単純なもの。
舞台が洞窟で、探索メインの2Dアクション……「スペランカー」だな!! うん。我ながら、この例えは的を射ていると思う。
絵的にも似てるし、ライフじゃなく1ダメージですぐ死ぬ仕様だ。マジで今作はスペリスペクツが根底にあるのかもしれん。
と言っても、高所落下では死なない。現代人の主人公はマリオ仕様でどんな高さから落ちても平気。スペ見下し仕様。
では何でそんなに死ぬのか。「罠」である。今作は罠ゲーで、死因の6割は罠死だ。残りが敵死だが、それも罠が遠因になる。

今作の罠、それは「トゲ」である。ゲームにおける危険の永遠の代名詞が、今作では何よりの驚異となって襲いかかってくる。
横から飛んでくるトゲ、頭上から落ちてくるトゲ、下から突き出てくるトゲ、この3つだ。シンプルかつ強力な死の記号である。
元からあるトゲはどうでもいいが、厄介なのは動くタイプだ。主人公がスイッチを踏むことで、空間に恐怖のトゲが飛ぶ。
つっても、実はこのトゲ、見ていれば十分避けられる。別に超高速で来るわけじゃない。見てからジャンプや移動で余裕だ。
頭上トゲは落ちる前の予備動作があるし、足元のトゲも、出てくる場所には少しだけ事前に刃が出ている。分かるのだ。
それでも、食らう。そう、今作の罠は「分かってても食らう」のだ。要するに配置が非常に巧み。それが特徴になっている。

いやホント、やってて割と驚くと思うよ。ゲーム自体の傾向というか癖は、しばらくプレーしていれば大体理解できる。
「このゲームはこういう形で殺しに来るのだな」というのが、肌感覚で分かるのだ。ちなみに、そこに理不尽さは一切なかった。
まぁ画面が暗めなので視覚的に判りにくいというのはあるが、それも程度問題で、ちゃんと見ていれば罠はちゃんと分かる。
上述のように速度は十分避けられる次元だし、シチュエーションでも「これ無理だろ」と感じる箇所は一切なかった。と思う。
……それでも、食らう。死にまくる。実に巧み。匠? それは言い過ぎにしても、罠の配置が上手いなぁと何度も思った。
もちろんこれは嫌味込みである。要するに今作の製作者は、プレーヤーの心の隙を突くのが非常に上手いのである。

冷静に見ていればかかる要素のない罠。それにかけるには? 相手の意識を散らし、「うっかり」を誘導するのである。
ほんま見事だよ。こちとらもう「分かっている」のである。ちゃんと注意を払えば負ける要素は無い。もう攻略済みである。
なのに積み上がる死体の山。……人間の、凡人の注意力や集中力なんてこんなもの。そこを製作者はよく分かっている。
かくして、決して難しいとは思わないが、死にまくりやり直しまくりのゲームが生まれたのであった。嗚呼テレビゲーム。
ちなみに今作はステージ構成が一定ではなく、例えば1-2には2~3タイプのステージが用意されている。数えたわけじゃないが。
そのため、暗記もし難い。何度プレーしても「知ってるけどハッキリ覚えてない」ステージに当たる感じだ。既知な未知。
俺はよく自分のゲーム下手を嘆くが、「単に真面目にやってないからじゃね?」という耳の痛い理由が脳にチラつくこともある。
もちろん真面目にやってる「つもり」ではあるのだが……今作はそういう「深いところの怠慢」を実に巧妙に突いてくる。
ある意味非常に「嫌な」ゲームである。今作を華麗にクリアー出来る人は、油断も隙もない真のゲーム上手男だよ。はぁ。

さて、罠ばかりを強調したが、敵ももちろん死因になる。相応に厄介だ。今作の敵は、動きはさておき耐久力が全体的に高い。
こちらの武器は投げナイフで、無限に撃てるが射程が短く、何より威力が低い。最弱のスライム相手でも数発を要する。
だから倒すために連射が必要があり、それが死因に繋がってしまう。尚倒さずにいると後の死因になりがちなのでそれも不可。
そこで武器の強化ですよ。今作には買い物の要素がある。探索や敵のドロップで金を集め、ステージにある店で武器を買うのだ。
さほど高価ではなく、地道に金を貯めれば十分買える。他、一発だけトゲを防いでくれるバリアー等も金さえあれば買える。
購入武器の効果は抜群で、敵を倒すのが物凄く楽になる。さすればより金が貯まり、当然ゲーム進行もスムーズになる。
今作の強化は永続で制限がない。だから一旦強くすれば、もう殆ど無敵でガンガン進められる。難度は一気に下がりまくる。

……で、そんな心の隙を、トゲが突いてくれる。強化がどんなに強くても、死ねば露と化し、また最弱状態からやり直し。
そして往々にしてそれが起きるのである。要は「一旦強化状態にして注意深くプレー」をすれば攻略完了なのだが、出来ない。
強化状態にしたことの高揚感から来る油断まで計算済みなのだろう。今作は平凡な人間の欠点を熟知した上で作られている。
ゲームが上手い人というか、「ちゃんとやれる人」なら、何の苦もなく終えられるだろう。でもそれは普通ではないのだ。
決して難しいとは感じないのに、心の隙……いや「弱さ」を突かれ死にまくり、進行に難儀する。こういう難しさもあるのか。
何気に新機軸を見せられた気分だ。単なる安価高難度ゲーではない、己と向き合わされるゲーム。……言い過ぎか。はぁ。


で、そんなゲームだから、何度も何度もゲームオーバーになる。残機3デフォで一撃死だから当然のことだな。すぐ終わる。
だが、今作はそれで終わらない。実は周回要素があり、探検中に貯めた金を使って次周に向けての強化が可能なのだ。
金そのものを持ち越せるわけではなく、終了後のメニューで「強化要素に金を注入する」のである。理屈は……知らん。
例えば「残機を増やす」や「武器の射程を伸ばす」等があり、それらに一定の金を投げれば、次周以降その状態を保てるのだ。
これは完全にデフォ状態の強化であり、武器購入と違って死んでも消えない。次の次の周以降でももちろん残っている。
残機はそんなに意味がないが、武器の射程や連射の強化は大きな効果がある。数段階も強化すれば、もう別人状態になれる。
……そう、今作は非常にストイックかつ意地悪(50%は褒め)なゲームだが、何故かこんな甘いシステムも用意してあるのだ。
この強化に回数制限等はなく、死ねば死んだだけやれる。つまり難しいと感じれば、金貯めに徹してテキトーに死ねばいい。
さすれば次回はもっと強くなって挑めるのだ。しつこいくらいにやれば、恐らく誰でもクリアー可能にまでなるだろう。

とは言っても、今作の難しさの肝はトゲであり、自身の不注意である。そこの強化は不可能なので、自力はやっぱ必要。
仮に限界まで死に強化をしても、鼻歌ゲームになるわけではない。難度は下がるが、慎重プレーが求められることは変わらない。
甘いシステムだとは思ったが、実際はちゃんとバランスが考えられ、取られている。上手くやっているなぁと感心した。
また、この死に強化には金が必要だから、プレー中の武器購入に手持ちを注ぎ込むと、死んでも端金しか残らなくなる。
つまり「武器強化をしてプレーを楽にするか、貯金を重視して次回プレーを意識するか」が綺麗に相対しているわけだ。
死に強化は強力だが、あまりにそれだけを頑張っても本編がまるで進まず、つまらない。手段と目的を履き違えてはいけない。
そもそも死に強化には「スキルブック」というアイテムが必要で、それを得るには本編で強敵を倒す等の結果が必要となる。
死に強化ばかりに着目していればスキルブックが集まらない。結局は武器強化に投資することも同時に行わねばならないのだ。
「このゲームを攻略するために、どこに金を使うか?」を常に考えさせられ、それが楽しい。ある意味金ゲーだな。はは。

ゲームは全4エリアで、1エリアは6ステージ+ボス戦という構成だ。だがハッキリ言って1~2エリア突破が最大の難関である。
ゲームに慣れること、自身の不注意にまで慣れること、そしてある程度の死に強化がなければ2エリアの突破はまず無理だろう。
が、逆にここを抜ければ完全にゲームを掴めるので、以降は殆ど問題なく進めると思う。俺はエリア3と4はほぼ一発突破だった、
今作はとにかく注意不足が最大の敵なので、エリア毎の難度差は小さい。ボスもどれも弱く、どのエリアも平均的な感じだ。
そして非常に強力な武器強化状態を保てれば、進行が驚くほどスムーズになる。それが大体2エリア突破後くらいからだと思う。
大袈裟に言えば「殻を破った」状態になれるのかな。見える、見えるぞトゲが! ……最初から見えてたっちゅうねん。ったく。
ちなみにエリアを突破すれば、死んでもその次のエリアから再開が可能になる。エリア1を突破すればエリア2から開始可能。
ただいきなり先のエリアから初期状態で始めると却ってしんどいので、全面クリアーを目指すなら最初からやる方がいいと思う。
ちゃっちゃと進めば1エリア10分もかからんし、経験と装備が充実すればそれが十分可能なのだ。もう、俺は大丈夫だ。
エリア1と2を手慣れた感じで突破すれば、エリア3からは苦戦らしい苦戦をしないままクリアー出来たのだった。うむ。
今作の仕様上、段階的に難度を上げるのは難しいのだろうな。ボス戦も、変に強くするのはコンセプトから外れるのだろう。
終盤のあっさり加減はちょっと残念だったが、まぁ安価ゲームだし多くは言うまい。その分、殻破りの快感を味わえたしね。


物語は……あるのか? タイトル画面で、吟遊詩人が黄金を持ったゴブリンを追いかけ、二人とも穴に入っていくシーンが入る。
なんかトムとジェリーみたいな感じだが、要はゴブリンに黄金を盗まれたのだろう。そいつを追って吟遊詩人の探索が始まる。
……で、その後は特に語られることはなく、ラスボスは化け物になったゴブリンで、倒して黄金を取り戻せばめでたしめでたし。
「父さん……取り戻したよ」とかボソッと言ってたが、唐突過ぎて笑ってしまった。形見やったんかい。どうでもええけど。
一応タイトルにまでなってるのに、全くやる気のない内容だった。ゲームはゲーム性が全て!! ……そですね。まぁ。うん。
で、それはいいとしても、今作は日本語化が酷い。一応やってあるが、本当に一応だ。担当者は片言しか喋れんはず。
先述の通り、死に強化のためにスキルブックが必要だ。なのに、それを入手すると「スキルブックが必要です」と表示される。
いや、意味が分からんだろう。スキルブックを入手したのにスキルブックが必要て。文字がデカいからアホさも際立ってた。
そして、これは英語の時点でもそうだろうけど、店置きアイテムの説明不足が酷い。武器以外はどんな効果か全然分からん。
え? 説明書? クレジットと注意書き2ページのみよ。そんなもんまで丁寧に作ってられっか、安価ゲーを舐めんなよ。
なーんかなー。ゲーム自体は楽しめたものの、「愛」が抜けてるゲームだった。今時そんなの求めるのが間違ってますねはい。
音楽は全然聞こえんから知らんレベル。近年のゲームはほんま音楽が残らんのう。これは多分俺が悪いんだろうけどな。

ゲームはクリアーした。それではいつものお楽しみ、トロフィータイム。……今作にはプラチナがない。安価ゲー差別許すまじ。
取り敢えず普通にプレーしてクリアーすれば大半は取れる。残るは「スキルブック全取得」「1エリアをノーミスで突破」か。
スキルブックはヒントがあるわけではないので少し大変だが、まぁ概ね分かる範囲だと思う。極端な意地悪隠しはない。
1エリアノーミスはそのエリア突破まで、文字通り死んじゃだめ。開始当初なら極悪ネタだが、ゲームに慣れれば難しくはない。
尚今作にはハード、そして「ローグライク」モードがある。ハードは難しく、ローグライクはダメージ性の残機無しシステムだ。
ただどちらもトロフィーには絡んでないし、俺はノーマルだけで十分なので触れてない。これ以上の高難度は蛇足とさえ思う。
ダメージ性なら難度は下がるのか? いやその分敵の挙動とかを苛烈にしてるのかな。まぁ知らん。見ない方がよかろう。
ハードは少しやってみたが、トゲの速度が上がってて「これは違う」と思った。反射神経を問うゲームじゃないでしょ……。

で、トロコンもしたし、これで完了と思っていたが……獲得したトロ欄をニヤニヤしながら見ていて、ふと違和感に気付いた。
「PS VITA」としか表示されていないのである。今作はPS4とのクロスバイタイトル、ならPS4も並んで表示されるはずなのだ。
そんで調べたら、何と両機種で別トロフィー扱いだった。内容は完全に同じと言っていいのに、これは珍しいタイプだと思う。
……つまり、だ。VITA版を完トロした俺の前に、PS4版のトロが未だ真っ白、未踏の状態で残っていたわけである。うぬぬぬ。
はい。この時点で完全に吟遊詩人脳になっていた俺、迷いなくPS4版もトロることを決定、プレーを開始致しましたのでした。
まぁ完全に馴染んだ状態で最初からやったらどれくらい順調に進められるか試してみたかってのもある。短時間で終わるはず。
開始。……うおお、早い、早いぞ、スイスイ進む!!! ……のは確かだけど、やはりある程度の死に強化は必要なわけで。
トロのためにはスキルブックも必要だしね。VITA版よりは遥かに順調だったが、結局はあれこれ苦戦しつつのトロ道になった。
ともあれ完了。2機種同内容のトロを両方コンプって、なかなかでしょ。なかなかの阿呆というか。自己満道に果てはない。
吟遊詩人を操ってこんなに探検と戦闘をするのは、多分空前絶後だろう。貴重な経験でした。何言ってるのかさっぱり分からん。


ふぅ。タイトルを読みさえせず、内容はもちろん知らず、ただ99円だというだけでカートに放り込み、後日どっぷり楽しめた。
全く、テレビゲームとは「面白い」ものである。……俺の接し方がこれでいいのかという疑念は残るけどね。あまりよくない。
短時間みっちり遊んだし、キッチリ作られたゲームではあったけど、これが「心に残るゲーム体験だったか?」というと、ね。
……ゼータク言うなっての。そしてカッコつけんなっての。何を常に一本一本を大事に遊んでる誠実ゲーマーを気取ってんだ。
気まぐれに安価ゲーを買い、プレーし、短期集中で遊べた。十分な成果やないか。これ以上何を望む? ったく意識ばっか高い。
はい、これでいい。比類な……いかは不明だが、値段相応に、購入価格以上には十二分に遊べたBard's Goldを肯定して終わり。
こういう「セールで摘んだ謎の洋安価作」は、今後俺にとって重要になる気がする。軽く触れつつ、軽視しないようにしよう。
娯楽の溢れる昨今、「ゲームボリューム」は悩ましい問題だからね。大小様々、色々なタイプにバランス良く触れないとね。
……なんかめっちゃ小賢しいね。そんな下らん計算をしながらゲーム見んなよ。お前は一体何を目的にゲームで遊んでるんだよ。
ごめんなさい。はぁ。








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