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腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

ダンガンロンパ ~希望の学園と絶望の高校生~(PS4『ダンガンロンパ1・2 reload』版)

2019年12月15日 22時58分15秒 | PS4ゲーム感想文
【ハード】PS4
【メーカー】スパイク・チュンソフト
【発売日】2017年5月18日
【定価】4,104円(DL版)
【購入価格】2,052円
【プレー時間】25時間


読みゲー……俺が勝手に名付けた、テキスト主体のゲーム……は、現代ゲーム界では苦戦しているジャンルである。
テキスト主体なんだから、ゲームの肝は「文字を読む」ことになる。当たり前だ。……そしてそれはとても地味である。
ハード性能が低い頃ならそれでよかった。表現の狭さゆえに文字情報が極めて大事だから、読みゲーの立つ瀬があった。
が、今は最強の絵と音が出し放題だし、容量は青天井。文字も無論大事だが、ゲームの主役を張れる存在ではなくなった。
そしてもう一つ、読みゲーはその性質上、物語やキャラが非常に大事だ。他ジャンル以上にそこでドヤ顔をせねばならない。
だがそういった読みゲーの魅力は、絵や音と違い、技術の進歩にあやかれない。常に人の頭と手で生み出さねばならない。
過去作と同じものの流用はもちろんダメだし、類似品でさえ叩かれる。斬新で、かつ面白いものを、商品として、毎回作る。
まぁ無茶苦茶ハードルの高い話である。そして、これが一番大事なことだが、そんだけ苦労して読みゲーを作っても、売上が。
質の高い読みゲーを作ればファンに賞賛されるが、それで100万本売れることはない。その半分さえも。それが現実だ。
ハード性能に乗っかれず、作るのは大変で、売上はあまり見込めない。ハッキリ言って作るメリットに疑問が残るほどに。
これでは廃れるのも仕方なかろう。他ジャンルと違い、自然なことだから嘆く気にもならない。そら応援はしたいけどさ。

……と、上で書いたのは単なる俺の思い込みで、読みゲーは出る時には出ている。そりゃそうだ。ちゃんと見とけ。はい。
俺が勝手に見限ってただけで、ジャンルの衰退の中で読みゲーの可能性を追求する人達は脈々と活動を続けていたのだ。
今作「ダンガンロンパ」はそのうちの一つである。今から約10年前、PSPで発売された新時代読みゲーだ。……10年前なのに?
今作はその内容の良さからジワ売れを重ね、近年の読みゲーではトップクラスの売上を記録した。……近年? 目を瞑れ。
要するに成功した読みゲーである。「シュタインズゲート」と並び、近代読みゲーの代表作とも言えるのではなかろうか。
当然ながらシリーズ化し、アニメ化もしている。俺ももちろん存在は知っていた。しかし手を出すには至らなかった。
タイトルからして明らかに「逆転裁判」シリーズを意識しているのがまず引っ掛かった。俺は逆裁ファンだからな。多分。
後追い作を出すのは一向に構わんが、読みゲーだとかなり似たものになるのではないかという不安が強かったのである。

んでもう一つ引っ掛かったのが、今作の豪華声優陣、の中でも極めつけに目立つ存在……大山のぶ代御大である。
大山のぶ代。今のガキは誰も知らんが、昭和~平成中期までのガキでこの名を知らん者はいない。非常に知名度が極端な人だ。
有名声優には代表作が付き物だが、彼女のそれはそんな次元ではなく、最早「一体」である。少なくとも俺ら世代にとっては。
終わりのないシリーズで、主役として終始出続け、あの極めて特徴的な声を聞かせてくれた。俺には脳の隅まで染み付いてる。
そんな氏の、かの役降板後の初仕事。それ自体は無論いいことだが……今作での声は、どう頑張ってもかの役に聞こえる。
氏の声質の幅が狭いというのもあるだろうが、そもそも似せることが狙いなのだろう。そこが正直気に入らなかった。
かの役は、俺にとっちゃガキ時代から呆れるほど触れた「魂のキャラ」である。それを汚された気がした。言いすぎか。
やってることは何も悪くない。寧ろセンスがいいと思う。実際ウケたし。けど俺は嫌だ。かの役の思い出は大切な宝石なんだ。
そんなわけで、俺はダンガンロンパに触れなかった。その後シリーズが増え、余計手を出し難くなり、今に至るのであった。

……ンなしょーもない拘りはDL版のセールにより指先一つで爆散した。俺のチンケな信念など安売りの前では塵に等しい。
それが2年前。そろそろやるかと起動。2本セットだが、当然1作目からだ。10年近くを経て、俺のダンガンロンパ、スタート。


さて、今作はそもそもどういうゲームなのか。タイトルに「論破」があることから、逆裁の味が入ってることは分かる。
けどそれ以上は何も知らなかった。キャラや世界設定も、大山モノクマを軽く知っているだけで、他は完全に未知だった。
なのでプレーを始めて、結構驚いた。今作、もちろん推理・読みゲーの要素が濃いが、3D移動やアクション要素もある。
舞台となる学校や各教室はちゃんとポリゴンで作られていて、そこを歩き回って調査してゲームを進める。
ゲームの見せ場になる「学級裁判」では、謎解き要素と同レベルでアクションの腕を求められ、下手だと詰まってしまう。
特徴的なシステムはあれど読みゲーの域は出ていないと想像していたので、この作りは予想外だった。なるほどなぁ。
やはり、作り手は「現代の読みゲー」を生み出すべく、色々考え工夫しているようだ。さすがクリエイター様である。偉い。
まぁ驚きはしたが、別に複雑なものではないし、根本はあくまで読みゲーだ。親しみやすく、入りやすいゲームだった。
ちなみに開始時に難度を3段階から選択出来るが、俺はいつも通り真ん中にした。苗木君らしいよね。はっはっは。

ゲーム性にさほど尖った部分はないが、世界設定は相当ぶっ飛んでいる。寧ろ馴染みにくいのはこちらだろう。
主人公・苗木誠は、超高校流の高校生だけが集められる「希望ヶ峰学園」に入学する。「超高校級の幸運」として。
入学といっても新入生ではないようで、同時に入学する連中は既に高校生として実績を挙げていたりする。
……この時点で早くもわけ分からん。編入生を一気に受け入れるって。全員が受諾するのも。そもそも君ら何歳なの?
超高校級の野球選手を一人招いても、チームはどうするんよ。暴走族やギャンブラーには一体何を教えるんよ。
「一流の人間を一箇所に集めて化学反応を起こす」て方針なのかもしれんが、それじゃ乱暴すぎ、テキトーすぎるだろ。
まぁこの設定は半ばギャグだから突っ込むことではないのかもしれんが……もう少しリアリティに拘ってほしかった。
で。苗木を含め15人の編入生が入学式に臨むのだが、彼らは一様に学園の扉を通った後、気を失ってしまう。
その後目を覚ました彼らは学園内にいたが、そこは窓が全て鉄板で閉じられ、出口もない、外と隔絶された世界だった。
困惑する彼らに突如登場する謎の機械生物モノクマは言う「オマエラは一生ここで暮らす。嫌なら誰かを殺せ」と。
仲間の誰かを殺し、更にそれが他人にバレなければ、その人物のみが「卒業」出来るという。その場合、他者は全員処刑。
ただし「学級裁判」で犯人(クロと呼ぶ)を特定出来れば、そいつのみ処刑して他の人間は学園生活を続けられる。
一生をこの閉鎖空間で暮らすか、殺人を犯して卒業するか、クロとして処刑されるか、クロを特定出来ずその他全員死ぬか。
どうやっても明るい未来……希望が見当たらない、絶望的な「コロシアイ学園生活」が幕を開けるのだった……。

むぅ。色々と問いたいことはあるが、もちろんモノクマは親切に教えてなどくれない。強制的にこの生活が始まる。
さて、最初は何をするか。殺し合いといっても武器を持ってバトロワやるのではない。何より、まず現状を知る必要がある。
なので探索だ。モノクマは監視カメラ等の破壊は禁じているが、学校内の調査に制限は設けていない。やっていいのだ。
だからプレーヤーは学校を探索する。3Dで作られた校舎を歩き、各種教室に入り、気になるオブジェクトをチェックする。
……だが、これが初っ端から失敗していると感じた。面白いとは感じない。わざわざ3Dフィールド制にした意義が薄い。
まず、移動の操作性が悪い。スティック操作の平凡なものだが、妙にアナログっ気が強い。そんなことする必要ないのに。
教室から出ると、暗転後にその扉付近ではなく少し離れた場所から再開することも気になった。迷う。何故こんな仕様に?
読みゲーにしては凝ったフィールドの表現だが、遊びの要素もなく、わざわざ作った割に全然活かせてないと思った。
閉鎖空間の臨場感は少し感じられたから、それでオッケーとすべきだろうか。今作の場合、雰囲気は大事だからな。

部屋内ではオブジェクトを調べることになるのだが、その数が非常に少ない。幾つか指定されるところでボタン押せば完了。
親切設計とも言えるが、これでは調べた気がしない。これなら逆裁の探偵モードの方がまだ雰囲気と実感があったよ。
ほぼ全ての部屋にある監視カメラとモニターを全て調べられるようになってるのも意味不明。コインのためなんだろうけど。
意味のないオブジェクトでも、調べればモノコインというアイテムが出てくる「かも」しれんので、やるしかないのだ。
一度調べれば終わりではなく、章を跨ぐとコインの隠し場所がリニューアルされるのも酷い。ンな面倒なことさせんな!
調査自体は「良質の面倒臭さ」が足りず、無意味オブジェクトの調査は逆に面倒でしかなかった。調整に失敗してると思う。
モノコインの方は無視してもさほど問題ないから、口うるさく言うもんじゃないかもしれんが……テキトー臭かったなぁ。

そして、自由行動。シナリオ自体は一本道だが、今作には登場キャラとの親密度を上げて個別イベントを見る要素がある。
その際プレゼントを渡すと親密度の上がりが大きく、そのプレゼント入手のためにモノコインが必要というわけだ。
……のだが、ダメである。だって、今作はどういうゲームだ? そう、「コロシアイ学園生活」だ。これは比喩ではない。
つまり、人が死ぬのである。さっきまで「こいつと仲良くなろう」と思ってたキャラが、事件が起きると死ぬのである。
クリア後の今は誰がいつ脱落するか把握しているが、初回プレー時にはもちろんそんなこと分からん。それが突然来る。
殺されるキャラがいるんだから、もちろん犯人キャラも対で脱落する。これも「さっきまで仲良くしてたのに」だ。
ハッキリ言って今作のゲーム性に親密度なんて無理があり過ぎる。どう考えてもプレーヤーが納得行く流れには出来ない。
またプレゼントも、渡すアイテムによっては親密度がマイナスにもなる上に、何を渡せばいいのか正解が皆目分からない。
それでいて入手はコインを使ったガチャガチャでランダム。こんなもんどう「攻略」すればいいんだ。全部運任せってか。
上手く親密度を上げると裁判で役立つスキルを会得出来る。そこは噛み合ってるのだが、シナリオの流れとはズレズレだ。
そもそも殺し合い勃発で誰もが大なり小なり疑心暗鬼になってる中で「二人きりで過ごした」て、そんなアホな。
あの環境で十神やセレスと仲良くって、苗木のコミュ力は化け物か。超高校級のコミュ力だよ。でないと説得力ないっての。

はー。そんなわけで、日常(状況的には非常に非日常だが)モードは全然面白くも没入感もない。完全ダメ要素だった。
しかし今作の本質はそこにない。日常モードを終えると事件が発生する。もちろん殺人事件だ。「あいつ」が殺される。
死体が発見されるとモノクマ(監視カメラにて一部始終を知ってる)から「一定時間後に学級裁判を行います」と告げられる。
そこからは調査モードに入る。ここは裁判で詰みにさせないためか、証拠を集めきるまで終了しない。のんびりやっていい。
誰がやっても完全な状態で裁判に臨める。……この点は逆裁でも同じだが、ちょっとだけ面白くないような気もする。
調査で見落としがあれば裁判で苦戦する、逆に見つけ難い証拠を入手すれば有利になる……そんな作りに出来ないものか。
はい、無理です。読みゲーはアクションじゃないんだから、「調整」なんてそうそうやれんのよ。はい。我儘でした。
てことで学級裁判開始。ここからは読みとアクションの混じった読みアクションゲーだ。……自分のセンスに絶望する。

さて学級裁判だが、裁判といっても裁判官も弁護士も被告もいない。参加者全員で行う真相解明のための討論会だ。
モノクマは事件の全貌を知ってるし、刑の執行を担当するが、投票による結論が出るまではほぼ口出しをしてこない。
とにかく討論だ。最初は何も分からないが、事実や証拠を元にした討論により、徐々に事件の真相が明らかになっていく。
最終的にはもちろん「クロ」が判明し、事前説明のルール通りに処刑される。処刑ムービーはギャグだが、死は本当だ。
苗木には逆裁と似た信用ゲージがあり、推理やアクションをミスると減っていき、ゼロになるとゲームオーバーとなる。
その際は全会一致で苗木がクロとされる。……それはさすがに無理があるだろ! 推理ゲーの他人はアホばかりである。
ゲージは正解を選べば回復していくし、やり直しやセーブも可能なので、シビアさはない。ただし裁判自体はかなり長い。
モノクマの裁定による「休廷」が1回くらいあればと思った。そこで公的セーブも入れればいい休憩になったのに。
長い上に陰鬱とした事実が判明していくので、面白いながらも裁判シーンは疲れる。基本的には絶望系の物語だからな。

裁判でのシステムは、多彩に用意されている。メインとなる全員での議論や一対一での説き伏せ等、よく頑張ってると思った。
全員での議論はほぼ逆裁な「矛盾の指摘」だが、その矛盾を弾として撃ち出し、矛盾発言にぶつけるという独自性がある。
別に難しいアクションではないが、発言は動きながら流れ、雑音が邪魔したりもするので、少しは集中する必要がある。
議論が一周するとまた最初から同じ話が始まるのは逆裁と同じ。ここは突っ込んじゃいけない。あくまでゲームなんだ。
周回時に苗木の思考としてヒントを提示してくれるのだが、これが逆裁に比べて非常に分かりやすく、何気にビックリした。
そう、今作、実は難度が低い。アクションといっても簡素なものだし、謎の難度はヒントも相俟ってほぼ詰まることはない。
ノーマルでこれなら、ジャンルからしてハードでもそう変わらんだろう。こんなに簡単だとは、正直意外だった。
謎が高難度だと、アクションとの絡みで難しくなりすぎるという判断だろうか。まぁ意志ある調整だろうから文句はない。
直接の人物指定や振り返り漫画作り(なんじゃそら)等、議論以外の難度も低い。気持ち良く名探偵になれるゲームだ。
唯一、説き伏せ音ゲーだけはやや苦戦した。つーか最初はルールがよう分からずゲームオーバーにもなった。情けない。
あれは寧ろもう少し複雑にし、キッチリ音ゲー化した方がよかったと思う。やってることもあまりピンとこなかったし。

俺が逆裁で非常に不満な「論理性」についてはどうか。謎解きを作る為に出鱈目な論理や常識がまかり通っていないだろうか。
……これは、少なくとも逆裁よりはずっとマシだった。無論強引さを感じる部分はあるが、「まぁこれくらいなら」と思えた。
あれは個人的に没入感を非常に削がれるので、正直ホッとした。まだ1作目で、ネタを考えやすかったというのもあると思う。
事件は5~6回起きて、ゲーム的に徐々に複雑になっていく。……その分ツッコミどころも増えていくが、まぁ言うまい。
ちなみに環境上当然ながら警察が存在しないから、指紋や血液型といった手掛かりは使えない。この点も上手く利用していた。
逆に言うと、この閉鎖環境だから通用する事件と謎だったわけだな。専門知識に長けてるようなキャラもいなかったし。
事件はいいとして、その背後で行われている黒幕の暗躍に関しては、「一人でそんなん無理やろ」と思った。実際無理やろ。
黒幕は最低でも5人くらいの集団でなきゃいかんだろう。一人でどうやって情報収集から後片付けまで全部やっていたのか。
学級裁判にモノクマとして同席しながら、死体処理をやっていたと? そんな超高校級の一人二役が出来るかってんだ。
うーん。やっぱゲームの推理ものって、この程度なのかのう。随所に見られる「それくらい流してやw」な甘え。うーむ。

論理性に関してはギリギリOKとして、物語・世界設定については……ガッカリだった。まーたナゲッパかよしんじまえ。
あ、ここからはバレ上等なので悪しからず。ちゃんと断る俺偉い。ゲーム業界で公然とバレが許されるのは間野康彦氏だけ。
数々の事件を経て学校を調べていくうちに、苗木は謎の写真を発見する。今回集められた面子が、仲良く写っている写真を。
学校に閉じ込められた15人は、中学が同じな苗木と舞園以外は初対面のはず。まして同じ制服を着て仲良さそうな姿って?
その後も同様の写真や、受けたはずもない授業のノート等が発見される。15人は入学式でこの学校に集まったはずなのに。
苗木にはもちろん、他の面子にもそんな記憶は一切ないらしい。一体どういうことだ? 謎が謎を呼び、事態は最終局面へ。
苗木の推理と追求により遂に黒幕の正体が判明し、この絶望的状況の意味が語られるのだった。そ、それは何と!!!!

……記憶喪失、でした。苗木は実はこの学園で既に2年を過ごし、今3年生だった。で、過去2年間をスコーンと忘れていた。
それだけではない。他の面子にも同じことが起きていた。15人全員が2年分だけ記憶を失い、新入生だと思い込んでいた。
そ、そんな超常的な神業を一体どうやって……!? プレーヤーは慄きながら期待し、ゲームを進める。その方法とは!?
……一切説明なし。「15人の記憶を部分的に抜く」なんて最早魔法だが、一切説明なし。機械か呪術かさえ不明のまま。
いやぁ~……ないわ。真相判明前は、俺を含めプレーヤーの多くは「ループ」を想像しただろうが、その方がよかったよ。
更に追撃は止まない。実はこの監禁状態は、苗木らが自ら望んだことだった。そう校長に語る映像が残されていたのだ。
現在、外の世界は謎の勢力の侵略を受け、酷い状態になっているらしい。苗木らは「希望」としてここに隔離されたんだと。
この話は黒幕が語っただけで、真相は不明。だが記憶喪失前の苗木らが自ら監禁を望んだことは映像が証明している。
「絶望の状況から脱出」するために足掻いていたはずが、実は現状は「絶望的世界から隔離するため」のものだった。
全てが引っ繰り返った真相に、苗木もプレーヤーも愕然。あっと驚く大どんでん返し。ライターの腕前に舌を巻くのだった。

ンなわけないーーーだろうが。なんやねんこれは。こんな真相に納得出来る奴おるんか? いやいない。知らんけどさ。
記憶喪失。それはとても便利な手法であり、過去数多の創作で使いまくられてきた。現実には殆どないことなのにさ。
今作は推理が軸にあるゲームだ。それには謎解きだけでなく、事件の真相も当然ある。プレーヤーはあれこれ想像をする。
だのに、「記憶喪失でした」て。完全に反則技やないな。「15人全員、部分的記憶喪失でした」て。客舐めんのも大概にせぇ。
苗木らもだよ。記憶失ってこんな状況に置かれたら、脱出を目論むのが当然だろ? 事前にそれを考えなかったのか?
一人ならともかく、15人全員がそんなことも分からんアホ揃いだとは……お前ら全員超高校級のアホに設定変更しろ。
記憶喪失という真相にも、それを実行した手段(判明せず)にも、それで起きる事態を考えないアホ共にも、心底納得いかん。
謎解き面では比較的いい印象があったのに、物語面で思い切りブチ壊された。ヒデーわこれ。読みゲー界の恥晒しだ。
ああそうだ、「学園で1年前に起きた惨劇」とやらも、謎のまま終わったな。これも物語の絡む非常に大事な話なのに。
特殊部隊による大量殺人? そら大事件だが、その程度で世の中は変わらんだろう。そっちとは別件なの? 分からん!!
大体、2年前に入学、1年前に大事件&世の中大混乱、つい先日に記憶喪失なっての現状……なら、この1年間何してたの?
異変後からゲーム開始までの一年間、苗木らは何をしていたのか、大事なことなのに一切語られなかった。不満が滾る。
物を語り始めたなら、「落とす」責任があるだろう。作るのがメンドイ部分はご想像にお任せ、で通ると思ってんか??
今作は発売時大好評だったようだが、他のお客さんはこれに怒らんかったんか? 俺には分からん。絶望するよ。はぁ。

最終的には黒幕を追い詰めた上で始末し、苗木と生き残り達は学園の脱出に成功する。そこでゲームはEDを迎える。
外の世界が実際に悲惨なことになっているのかは明かされない。出口の扉を開けた時点で終わり。……ま、しゃーないか。
脱出は叶ったものの、犠牲者は多数出たし、外の状況は恐らく地獄。何も希望はない。それでも、苗木らは旅立つ。
真相の無茶苦茶さも絡み、EDとしては非常に後味の悪いものだった。ゲームクリア時に一番絶望を感じるってどうなんよ。
そして、2周目や真のEDといった要素もなし。ちょっと期待していたんだが、死んだ連中を救う術とか、もう一切なし。
まぁ、それは確かに難しいだろうな……残念だが、現実は一つ。誰も逃げられない。今作はそういうゲームだった。

……が! クリア後には別モードが登場した。「本編の殺し合いが起きず、しばらく学園生活を送る」というifものの。
ここではゲーム性も謎解きではなく緩い育成・運営シミュレーションになる。周回要素もあり、能力を持ち越せる。
更にここでは、各キャラの好感度を存分に上げられるのだ。誰も死なないし、毎日自由時間が与えられ、コインもたっぷり。
各キャラのイベントは(時空を無視して)本編と共通のもの+おまけモード独自のもの。全キャラやるとかなり多い。
明らかに「本編ではほぼ不可能だった各キャラとのイチャコラをここで楽しんでね」という方針である。……うーん。
まぁ本編での不満を補ういいおまけと言えなくもないが……これは本編でやらせなきゃいかんだろとも思う。
取り敢えず、やっていく。運営シミュの方は最初はバランスがキツいが、2周目以降に入ると一気に作業レベルに楽になる。
どうせ全キャラのイベントを埋めるには何周もする必要があるので、ゲーム部分はすぐ作業になる。おまけだししゃーない。
となればイベント埋めだ。これ自体は楽しい。本編では分からなかった彼奴らの姿を色々知られて、理解が深まった。
……デートシステムはかなり糞だったが。正解の分かるわけない選択肢で無意味に難度を上げんなよ。センスないなぁ。
ゲーム時間で50日が経過すると、全員一緒に脱出する。多分外には平和な世界が広がっているのだろう。ifものだし。
好感度を最大まで上げたキャラとは個別EDが用意されている。ほんま、本編とは違いすぎててムズムズするものがある。
このモードでは苗木のキャラも妙にコミュ力が高いギャルゲ主人公になり、違和感がある。けどこれはしゃーないか。
4周くらいやって全キャラのEDを見て、ようやく終了。……希望ヶ峰学園。もう二度と来たくない。……のか?

興が乗ったんで、キャラについても書いておこう。どいつも個性的ではあった。魅力的かは……うーん。難しい。

・舞園さやか
超高校級のアイドル。国民的グループのセンターを張っているらしい。現実ならモー娘か。違うか。広末か。違う。
今作は異常な舞台設定であると同時に、集った面子は初対面の人間ばかりという非常に居心地の悪い状態で始まる。
そんな中、彼女のみ苗木と中学が同じで、既知だった。しかも一方通行かと思っていたら、彼女も苗木を覚えていた。
更に更に、彼女の方も旧知の苗木には親しみがあったのか、異常な状況での協力体制を求めてくる。もちろん受諾する。
「助手ですから」「エスパーですから」といった冗談を交えた彼女のとの会話は心地よく、苗木もプレーヤーもデレデレ。
まさに絶望的状況の中の希望。彼女と共に必ずここから脱出しよう。そして2人は……言わせんなもう恥ずかしい///

……なのにぃい!! よりにもよって最初の犠牲者として再起不能に。殺され方もエグく、計り知れないショックがあった。
だが、事態はそこで収まらない。学級裁判で事実を究明していくと、彼女は単なる被害者ではないことが判明する。
寧ろ彼女こそが犯人を殺そうとし、返り討ちに遭ったのさ。しかもその咎を苗木に擦り付けようとしていた。これが現実。
いやー。まぁ、彼女にはそれだけ切羽詰った事情があり、正気を失っていた部分はあるのだろう。でも、酷すぎである。
あのしおらしい態度も言動もただのブラフだった。超高校級の悪女。彼女の想定通りな未来を想像すると震えが止まらん。
ある意味では今作で一番の絶望は彼女の「本心」であろう。皆さん、美少女の笑顔には気をつけましょう。オタは特に。
「チョロイン」なんて言葉があるが、現実には女慣れしてない男の方が遥かにチョロいのです。現実? はぁ。

・桑田怜恩(れおん)
超高校級の野球選手。……なのだが練習は全くせず、才能100%でやってきた上に、実は野球が好きでもなんでもないという。
今ではパンクミュージシャンのような格好をし、その道を目指すんだと。野球好きな俺には受け入れられないキャラだった。
記念すべき最初のクロ。つまり舞園を殺す。……が、かなり情状酌量の余地はあると思う。あの女が一番悪いだろ。
と言ってもシャワー室をドライバーでこじ開けてまで追ったんだから、殺意の強さは相当なもんだ。ゲーム上の都合か。
本編では悔いありまくりで処刑されて終わりの悲惨なキャラ。が、その分おまけモードで割と救われていたと思う。
「離れてみて実は野球が好きなことに気付いた」てのはポイント高いよ。まぁ練習大嫌いという舐め根性は変わってないけど。
是非復帰し、プロでも大活躍してほしい。……だから、そっちはifだっての。現実の彼は死んだの。終わり。はぁ。

・不二咲千尋
超高校級のプログラマー。見た目も性格も可憐な少女だが、実は所謂男の娘。まぁプレーヤー目線ではバレバレだったが。
俺はそっちの気は一切ないんで、何やってんだこいつキモいとしか思えなかった。女になりたいってんなら話は別だけど。
第二の犠牲者として殺される。磔にされて血文字で犯行声明書かれてと、悲惨すぎる。性格的には良い奴だったのだが。
プログラマーとしての腕を生かして作中で疑似人格AIを作り、これが彼の死後も活躍する。寧ろ本人よりも。ごめん。
今作は10年前のゲームだが、当時はだいさんのせーとかそういう風潮は薄かったと思う。今なら別の描かれ方をしたのかな。
現状のままだと、「同じようなことで悩む人達を傷つける!」て騒ぐ馬鹿が出てくると思う。マジでそういう時代やからね。

・大和田紋土
超高校級の暴走族。……無理がない? そもそも今時暴走族やってる高校生がどれだけいるのよ。その中の超高校級て。
まぁこれは漫画だし。見た目も漫画の不良を凝縮したような姿をしている。俺、不良漫画は好きだから割と好印象。
「短気で喧嘩っ早いが悪人ではない」という、これまた不良漫画っぽい性格。現実たぁ違うね。現実のドキュンなど……。
でも、第二のクロとして不二咲を殺害した。彼に「男らしさ」のコンプレックスを擽られたのが原因だとか。
まぁ衝動的殺人はあるとしても、その後の偽装工作やダンマリは男らしさの欠片もないな。所詮は偽りの硬派、か。
おまけ編では「大工になりたい」という夢を語る。今まで壊してばかりだったから、造ることに興味があるという。
……それでお前の過去の所業がチャラになるわけはないが、悪くはないんじゃないの。頑張って社会に貢献しな。
って死んじゃったんか。死んだら終わりだよ。なかなか漫画のようにはいかないよね。

・石丸清多夏
超高校級の風紀委員。その称号通りのクソ真面目キャラで、正直鬱陶しい。この異常事態においては完全に空回りしていた。
が、大和田と揉める→サウナで我慢比べ→友情が芽生える という妙なイベントが発生し、そこからは随分馴染んでいた。
しかし運命は残酷。親友となった大和田の殺人と処刑により石丸は精神の均衡を失い、徐々に危ない奴になっていく。
危ないといっても攻撃性はないからそのままでもよかったのだが、哀れ第三の犠牲者に。物語的に邪魔になったのかな。
なんか気の毒なキャラである。「普通」の生活をしていればよかったのに、こんな学園に編入したのが失敗だったな。
おまけ編では、只管努力の人であることが語られる。それは素晴らしいことではあるが……やっぱ暑苦しいよね、正直。
この異常環境を生き残ることが出来れば彼は大きく成長しただろうが、残念ながらそれも叶わず。努力は無に。切ないね。

・山田一二三
超高校級の同人作家。見た目はデブオタ、言動ももちろんそれっぽいキタコレ。ある意味一番感情移入しやすいキャラである。
能力的に監禁状態で活躍出来る人間じゃないから大人しいものだったが、不二咲のAIに惚れちまったことで暴走が始まる。
アホかお前は目を覚ませと言いたいが、舞園に似たようなことされた苗木君に偉そうなことは言えない。恋は人を狂わせる。
そのままセレスに操られ殺人犯になり、自分も殺されて終了。残念ながら終わり方には同情の余地なし。石丸に謝れ。
あとコイツ、ゲーム的に「死んだ」とハッキリ描かれるのに、一度復活して遺言を残し、もう1回死ぬ。。意味不明。
つまり最初は死んでなかったわけだが、作中その不自然さが一切指摘されない。完全にシナリオの怠慢だ。舐めんな。
おまけ編では、ダメだった時期にアニメ作品に救われ、それの自作同人誌が受け入れられたことで立ち直ったと語る。
そして今後はオリジナル創作も手掛けたいという。自分を救ってくれた作品と同じことを自分も出来れば、と。素晴らしい。
……だから、死んじゃダメなんだよぅ。このゲーム、大分クソかもなぁ。真面目に考えると落ち込むとこがある。

・セレス
超高校級のギャンブラー。西洋人形のような姿だが、れっきとした日本人であり、本名は伏せられている。
誰もが学園からの脱出を願う中、ただ一人「この中で暮らし続けるならそれもよし」という態度を取る異端人物。
それでいて夢は「西洋の城に、大量の若い美男子奴隷と共に暮らす」ことだという。……実に矛盾している。その心は?
結局、本心は「外に出て城を買いたい」であり、モノクマにチラつかされた大金と脱出に目が眩み、殺人を犯す。
このキャラの起こす第3・第4の事件は、色々と無理を感じてプレーしていて首を捻る回数が増えた。連作障害、か。
偶然に頼る要素が多すぎて、「こんなん計画通りいくわけないやろ」と思う。まぁギャンブラーだからそこはええんかな。
ブチ切れると性格が変わるのは面白かったが、二重人格キャラは後に江ノ島によって上書きされてしまったな。残念。
おまけ編では苗木に結構な好意を示すようになるが、ぶっ飛んだ夢や自分勝手な性格のため、萌えは無し。すまぬ。
まぁ例によって、現実には彼女はもういないのだが。ゲームとは言え、人の死ってのは重いもんだね。改めて思う。

・大神さくら
超高校級の格闘家。女ながら豪鬼(多分モデル)のような風格がある。名前はサクラ大戦の二人からかな。超強い。
その上人格面でも極めてまともで、頼りがいがある。とてもいい人だ。色気は皆無だが彼女となら友達になりたい。
しかしその結末は、自害。実は彼女はモノクマの内通者で、一連の事件とは別に「殺人を犯せ」という指示を受けていた。
人質を取られての苦渋の従属だが、仲間達のことを思い「自分を殺す」という形で矛盾せず指示を遂げることになる。
朝日奈を始めとした仲間達の素晴らしさに感銘を受けての判断らしいが……実に安易で、認められない結果だった。
もちろんただの自殺で終わらず、事件扱いとなって犯人探しがある。余計な騒動を起こしてくれたと言えなくもない。はぁ。
おまけ編では「最強の人間を目指している」と漫画のようなことを語り、実際その一歩手前まで来ているらしい。
唯一勝てない男がいるのだが、その男は現在病気療養中で、故に決着が付けられないという。……無論、ホの字でもある。
その辺の悩みを苗木に語って仲良くなっていくが、住む世界が違いすぎるから無理があると思った。まぁおまけだしね。
腐川と大神の2人は、家庭用ゲーム機の2次元少女なのに媚びも萌えも全くなく、そのキャラ作りはある意味新鮮だった。
まぁ今時美少女ってだけじゃ売れるわけないもんね。厳しい時代だ。そして死んじゃった。悲しい話だ。

・朝日奈葵
超高校級のスイマー。作中では一番(唯一?)、現実でも存在しそうな設定である。どれくらい凄いのかは不明だが。
キャラ的にも非常にまともで、お馬鹿・甘いもの好き・運動基地外と分かり易くて嫌味がない。腹の中真っ白子ちゃん。
大神と気が合い、一緒にトレーニング等をしている。この関係も裏に何もなく、ガチ親友。実に美しい。
……それ故に大神の自害にショックを受け、周囲を非難するようになったのはまぁしゃーないか。見逃すよ。
おまけ編ではかなりいい雰囲気になり、本人の好感度も高いし、何より生存者。俺は朝日奈EDこそ真としたい。

・葉隠康比呂
超高校級の占い師。「どんな占いも絶対に20%の確率で当たる」らしい。……それ、凄いのか? まぁ面白い設定だった。
既に3回ダブってるとのことで、割と年上。けど威厳は全くなく、チャラけた兄ちゃん&馬鹿発言を連発する馬鹿キャラ。
最初は擬態かと思っていたが、これが素だった。ハッキリ言ってシナリオ上で殆ど活躍していないが、最終生存人物の一人。
まぁ確かに、こいつが緻密な殺人計画や偽装をやれるわけはないな。その意味じゃ導入部の犯人に向いてたのかもしれんが。
……で、こいつは、クズである。金にだらしない上に他人に責任を擦り付けることを屁とも思わない。サイコパスかも。
おまけ編では何度も笑いながらそういうエピソードが語るが、考え方がクズ過ぎて全然笑えん。お前、怖いわ。
正直、殺されて欲しかった。でもこういう奴こそ生き残るのが世の中か。もちろん脱出後は一切関わりたくない。

・腐川冬子
超高校級の文学少女。恋愛小説で大ヒット連発だという。ただしイメージに反しホモもんは大嫌いらしい。偉い。
しかしながら人格は捻れまくっていて、疑心暗鬼・僻み根性・暴走解釈と殆どまともな会話が成り立たないレベル。
2次元少女キャラなのに、どこまで行っても萌え・媚びがない。ようここまでキャラを貫いたなと感心した。
けど十神には一方的に惚れていて、従順。……ただのイケメン好きなのか? まぁそれならそれでいいけど。
キャラ的に気持ち悪いが、葉隠と違って笑える部分もあるんで、生き残って良かったんじゃないの。今後も頑張ってね。
……でも彼女の別人格・ジェノサイダー翔についてはどうか。この設定、正直要らんかったのではないかと思う。
あんな派手な連続殺人を少女の身空で、しかもくしゃみで入れ替わる副人格でやれるわけない。リアリティがなさすぎる。
閉鎖空間ならではの設定と言えるのかもしれんが、腐川の腐った人格はともかく、人殺しにはやっぱ嫌悪感が湧くよ。
終盤では仲間の一人みたいな扱いを受けていたが、俺には無理。となると腐川も無理。「私じゃない」は通用しないよ。
おまけ編では殆ど恋人同士になってたが、勘弁してくれよ。正気に戻れ苗木。おまけで良かったわ。
つってもこのキャラは間違いなく続編でも出てくるよな。……うーん。そこで報いを受ける展開ならいいんだが。

・十神白夜
超高校級の御曹司。つってもスネ夫タイプじゃなく、イケメン・万能らしい。無論プライドは高く、庶民を見下しまくり。
自らを「選ばれし者」と言うが、きちんと実力により勝ち取った立場であることがおまけ編で語られる。中身ある男だ。
そういう人間だから、この異常事態でも周囲と協力する気は全く無く、常に勝手な行動を取る。まぁ、嫌な奴である。
それで事件において独自に捜査・推理するのはいいのだが……当然、ゲーム的には正解だと困るから、間違えまくる。
自信満々で語る推理を苗木(プレーヤー)に尽く否定される。ハッキリ言って面目丸潰れ。何が選ばれし者だわははは。
一度でいいから、こういうキャラに「お前、前回あんだけ間違えたくせになんでまだ偉そうにしてんの?」と言ってみたい。
実際、ぐうの音も出んだろう。無論優しい苗木君はそんなこと言わないが。結局終始偉そうなのはやっぱ気に食わんね。
まぁそれでも有能なのは事実だろうし、生き残ったんだから混乱した世界で活躍すりゃチャラにしてやるよ。ヘッ。
……「2」は公式サイトだけ見たんだが、驚きの再登場&デブ化!? なんじゃそら何があった白夜ん。
腐川に付き纏われるストレスが原因だろうか。まぁ続編をやる楽しみが増えた。せいぜい指差して笑ってやるとしよう。

・霧切響子
超高校級の探偵。……という設定は随分後で判明する。終盤まではメンバー中唯一謎の存在。無論、非常に怪しい。
怪しいが、美少女だし、推理面で苗木と絡むことが多いので、嫌な気はしない。美少女だし。非常に大事なことだから。
舞園にこっ酷く裏切られたプレーヤーを癒やす真ヒロインという立ち位置なのかもしれない。別に深い仲にはならないが。
ただ「謎の存在」のくせに結局真相を知るわけではなく、彼女も記憶喪失組の一員だった。この時点で一気にパンピー化。
あんだけフカしたなら、事情全部知ってる上で逆転を狙ってたとかであるべきだろう。拍子抜けもいいとこだった。
パン人化したから、結局推理も苗木頼りになっちまったしね。シナリオ展開に殺されたキャラだ。生き残ったけど。
地下に苗木を助けにきたシーンとか見せ場あるんだから、もっとデレさせてガチ恋展開でよかったと思うんだけどね。
まぁ生き残り組なので、続編に期待しよう。ちなみに僕は「めぞん一刻」信者なので、響子さんは大好きです。

・江ノ島盾子
超高校級のギャルにして、黒幕。超高校級の絶望てなんやねん。終盤はゲームに「無理」が立ちまくってガタガタだった。
上にも書いたが、彼女は協力者が、それも複数いないと不可能な暗躍をやっている。そこに只管に納得がいかない。
いっそ彼女は完全にトカゲの尻尾扱いにして、モノクマの中の人は姿を見せない謎の人物にした方がよかったのではないか。
多重人格(演技?)でラスト裁判を盛り上げるが、ちょっとしつこい気がした。却って「危ない奴」感が薄れてたような。
苗木にキッチリ論破されたら潔く散っていく。絶望フェチだから、自身のそれは寧ろ喜びであるらしい。普通に変態やな。
まぁ凄惨な事件の連続だったとは言え、ここで真犯人を残虐に殺しても、プレーヤーがスッキリするわけでもなかろう。
真相自体がどんより曇って鬱々としたものだからな。寧ろコイツは生かして外に連行するくらいがよかったかもしれん。
黒幕故におまけ編では出番なし。この点かなり割りを食っちまったな。彼女の「本当」はどこにあったのか……。

・戦刃むくろ
超高校級の軍人。出落ちならぬ出死にキャラ。いきなり設定が出てきて戦々恐々とさせられるが、実際はとうに死んでた。
実に可哀想な扱いであったが、存命中は妹と一緒に暗躍してたんだから同情の余地はない。貴様それでも軍人か。
ただ、今作にはおまけ編がある。死んだキャラも参加するIF。そして彼女の正体がプレーヤーに分かった上でのやり取り。
妹を演じた状態だからむくろとのやり取りとは言い難いが、まぁ「こんなこといいな、あったらいいな」とは思えた。
2年前の写真では、メンバーと仲良くやっていたようだったが、当人はどう思ってたんだろうね。最早知る由もなかった。

・苗木誠
超高校級の幸運。にして主人公。他の面子と違って特技はないが、運だけで入学を決めた。ということになっている。
主人公だから嫌われない無難なキャラになっているが、その分魅力も薄い。逆裁の成歩堂と違って殆ど立ってない。
成歩堂と言えば、苗木にも裁判で矛盾を指摘する際の決め台詞があるのだが……「それは違うよ!」と実に平凡。
ビシッと決めるシーンが何度もあるが、比類なき「異議あり!」と違ってスカッとはしない。ここは非常に残念だった。
見た目も台詞も行動も、印象に残るものがない。他のキャラが個性的すぎるだけに、この無個性は逆を狙ったのか?
声は緒方恵美氏で、大山モノクマに次いで「目立つ」んだけどな。大人しいキャラには合ってる声だったが。
舞園の真相を知った時は「僕の気持ちを裏切ったんだ!」て激高してほしかった。パロ多い作品だから寧ろやるべきだろ。
続編では主人公継続ではないようだが、無論出番はあるだろう。大人になったら、落ち着いたいい青年になるさ。多分。


グラフィックは……3D建物はそこそこだけど、2Dのキャラ表示が人形まんまで不満。あれで独自性を出してるつもりか?
まぁPSPならあれくらいの表現が順当なのかもしれんが……キャラ絵自体は魅力的なだけに、作り物臭さが残念だった。
音楽は、かなり独自性があったと思う。この世界をならではの妙な曲が揃っていた。Amazonプラミューで聴けて嬉しい。
でも俺は今作は「重い」内容だと思ってるので、オチャラケ曲が多いのは違和感があった。本当にこの空気でいいのか?
深い部分では、世界設定が合わなかったのかな。やりたいことは分かるし、面白いと思わんでもないのだけど。うーん。
曲では平常時の「Beautiful Dead(Morningも)」が一番好き。透明感に浸れる。裁判中の曲もスピード感があって良かった。
でも今作の「音」と言えば、結局モノクマボイスに終始しちまうな。ほんま、えらいことやってくれたよ。製作者の勝ち。
大山氏はこのシリーズに携わった後に認知症を発症した。今は療養中のはずだが、残念ながら、もう復活はあり得ない。
最後にこのシリーズでこれだけ強烈なインパクトを残したことは、よかったと言うべきか。スパチュン、いい仕事したな。
ありがとう大山のぶ代ボイス、ありがとう猫型ロボット。もう未来に帰っちゃったんだね。静かな現実が戻ったよ。はぁ。

トロフィーは、2とセットなので今作だけではプラチナを取れないが、今作の分は全て取っておいた。それなりに面倒だった。
なんと言ってもおまけ編で全キャラEDを求められ、それには周回プレーが必須だからな。もっと甘くしろよかったるい。
「モノクマコイン999枚」「プレンゼント全取得」も面倒なだけのネタだったが、まぁやれる範囲だから文句言わずやった。
逆に本編のトロフィーは真面目にプレーしていれば苦戦せず取れた。基本読みゲーだから、これでいいのだろう。
そのうち2をプレーし、プラチナを取る。ふひひ。取れるトロフィーは取る。そして俺はゲームに認めてもらうのだ……。


はー。舞園について書いた勢いで全キャラについて触れたらべらぼうに時間かかった。後悔している。まいいや。
長年、名前だけは知っていた人気有名シリーズの一作目を、約10年目にしてプレーできた。俺としては上々の成果である。
今後はもちろん2をプレーし、その感触が良ければ外伝、そして3と続けていきたい。……感触が良ければ、ね。
今作は色々新しい試みをやっていたと思うが、ハッとするほど斬新な作品とも思わん。続編での摩耗が心配になる。
こんな異常環境をそうそう用意出来るとも思えんし。2の舞台はリゾート地らしいが、納得の行く理由は存在するのか?
まぁ今はそこまで考えなくていいか。2を既に持ってる、いずれプレーする、それでいい。今作は総合的には面白かったし。
知らないシリーズに触れて、それについて明るくなるのは嬉しいもんだ。俺は未知シリーズが多いからこの経験もまた多い。
昨日まで得体の知れないゲームだったダンガンロンパも、今は立派に好きなゲームの一つ。ええこっちゃ。文句なし。
新たに身内となったゲームシリーズへ抱く楽しみ……絶望の中の希望だね。え、絶望? 絶望って何に対しての?
今の自分のゲーム事情について? そんなに絶望してるの? アホなの? だったらもう止めれば? 誰も強制してないよ?
うるせぇえええーーー!!!! ……はぁはぁ。ふぅ。絶望なんてしてないさ。ゲーム面白いよ。嘘じゃねーよ信じろ。
まぁ絶望してようと希望があろうと、生きてるうちは生きなきゃならん。それは閉鎖空間でもこの自由世界でも同じ。
動植物みたいに淡々と生きて死にゃいいのに、「望」なんてもんを持つから狂う。人間、愚かやなぁ。絶望的だよ。
は~ぁ。









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8 コメント

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Unknown (サク)
2019-12-16 20:46:30
おお、ダンガンロンパですか
ちょうど私もプレイ中でした。と言っても私は再プレイですが

otaさんの言うようにこのゲーム、システム的には失敗してますよね
当時プレイしてた時はそんなに気にならなかったんですが、今やるととにかくめんどくさくてテンポが悪い。その辺りがキツくて、最初の裁判にたどり着く前にちょっと投げ出してしまいました
このゲームを再プレイして、今のゲームって面白いんだなあと実感しました。あと自分が贅沢になってることもw

ストーリーや世界観については…めちゃくちゃですね。ただ、ADVってめちゃくちゃな方がウケるところがあるので、ある程度意図的にやってるんだろうなとは思うんですが
堅実な良作は注目されずに消えていって、こういうめちゃくちゃなゲームの方が売れるっていうのは悲しいところもありますね。逆転裁判だって冷静に考えればめちゃくちゃですもんねえ
あと、ダンガンロンパって当時はそこまで評価高くなかった気がしますね。やっぱり話的にめちゃくちゃなところがあるので
お仕置きシーンとかは話題になってたので、面白いゲームというよりは色モノ的な扱われ方だったのかなと
その後出た2が結構評判良かったのと、アニメ化などで人気が出たので、評価に下駄が履かせられてる感じがしますね
返信する
Unknown (S・R)
2019-12-17 16:21:38
ダンガンロンパ1クリア乙です。
まあ本当ノリだけでガンガン行く悪趣味の塊みたいなシリーズなので、合わない人は合わないでしょうね。のれたら楽しいゲームという。
V3とアニメと外伝アクションもやりましたが、アクションは普通に気力がなくなって止めちゃいました。
ただ、本編は毎回ラスト辺りの勢いが凄いのでやって損はないかなと思います。2は七海ちゃんが可愛いのでぜひ。
アニメはうん、朝日奈さんが動いててよかった
返信する
Unknown (ota)
2019-12-18 23:44:23
>>サクさん
>システム的には失敗してますよね
裁判中は割と頑張ってますが、日常・調査パートは時代を考慮すればもうちょいカッコよく出来なかったのかと思います。
1作目故に続編の「縛り」がないんだから尚更です。まぁ残念ながら、この手のジャンルの限界を感じるとこでもあります。

>ストーリーや世界観については…めちゃくちゃですね。
モノクマの技術とか世界征服(?)とか、そういうのは荒唐無稽で構わんのですが……何でも開き直られると困ります。
今作はかなり拘るべき箇所に手を抜いていたので、そこは不満しかありません。盛り上がるべき終盤だったのに。

>あと、ダンガンロンパって当時はそこまで評価高くなかった気がしますね。
あれ、そうなんですか。「口コミで評判が広がって人気シリーズに~」てイメージがありました。
読みゲーは下手に情報を漁るとバレ食らう恐れがあるので、プレー前は公的情報以外はなるべく避けますからね。
返信する
Unknown (ota)
2019-12-18 23:45:06
>>S・Rさん

>まあ本当ノリだけでガンガン行く悪趣味の塊みたいなシリーズなので、
設定もシナリオも殺し方もそれらをギャグ仕立てにするとこも、確かに悪趣味でした。何気に家庭用機では凄いことかも。
ゲームとしては面白かったんで、あんま深く考えるべきではないですかね。ただし終盤の出鱈目さは擁護不可能ですが。

>V3とアニメと外伝アクションもやりましたが、アクションは普通に気力がなくなって止めちゃいました。
全部やってますか、さすが。全作PS4で出てるので、いずれセール確保はやっちまうと思います。
アニメは是非観てみたいですが、ゲームのシナリオをなぞっても陰鬱なものにしからならない気が。どんなのやろ……
返信する
Unknown (サク)
2019-12-21 12:04:00
口コミで広がっていった面はあると思うんですが、面白さというよりはやはりその奇抜さが話題になって広がっていった印象を個人的には受けましたね
ちなみにクリア後のifモードはオリジナルには存在しませんでした
2で導入されたシステムで、リロード版で1にも搭載されました

>やっぱゲームの推理ものって、この程度なのかのう。
まあやっぱり小説などに比べるとゲームはその辺り甘えがありますよねえ
そのあたりが比較的よく出来てたのはやはりかまいたちの夜でしょうか
少なくともゲームだからという甘えは無いですし
あとはPSPのトリックロジックがその辺りは一番ガチだと思いますが、これはガチすぎてゲーム要素が薄いのが賛否が分かれそうなところですね

ダンガンロンパ、当時楽しんだゲームではあるんですが、どうも好きになりきれないところもあります
方向性としては同じくスパチュンから出ている極限脱出シリーズも同じような感じだと思うんですが、個人的にはこちらの方がよく出来てると思いますね。知名度はダンガンロンパと比べるとゼロに近いですが…
返信する
Unknown (mizz)
2019-12-22 22:00:26
うろ覚えですが
スタッフの方が、アクションの爽快感を優先して
謎の難易度を落としたというコメントがあった記憶があります。

もしかしたら、ストーリーの整合性も
勢いや驚きを優先して後回しにされたのかもと思いました。

2以降は、難易度は上がりました。
ミステリファンとしては楽しめました。


自分もサクさんに同意で、
極限脱出シリーズの方がよくできてると思います。

特に最終作は、洋ゲーチックな作りながら
お話の構成はよくできていると思うので、
機会があったら是非プレイしていただけたら嬉しいです。
返信する
Unknown (ota)
2019-12-24 01:07:41
>>サクさん
>面白さというよりはやはりその奇抜さが話題になって広がっていった印象を個人的には受けましたね
なるほど。確かに相当尖ってますからね。モノクマだけでも存在感ありすぎですし。

>まあやっぱり小説などに比べるとゲームはその辺り甘えがありますよねえ
プレーヤーの介入を許す以上、ギチギチに緻密なものはどうしても作れないでしょうからね。それは分かるんですが……。
もちろん俺にも「ゲームだから」で自然に流せる部分もあります。その辺の感覚が製作者と噛み合ってないんかなぁ。

>極限脱出シリーズも同じような感じだと思うんですが、個人的にはこちらの方がよく出来てると思いますね
ほう、そうですか。こちらもDL版のトリロジーパックをゲッツ済みです。いつになるか分かりませんが、いつか。
返信する
Unknown (ota)
2019-12-24 01:30:06
>>mizzさん
>アクションの爽快感を優先して謎の難易度を落としたというコメントがあった記憶があります。
苗木君の呟きがちょっと露骨すぎるなぁと思いましたが、意図的だったのですね。まぁ調整の結果なので文句はないです。

>もしかしたら、ストーリーの整合性も勢いや驚きを優先して後回しにされたのかもと思いました
こちらは白けるのみで大失敗してると思いました。外の世界は謎のままでも、内はきちんと描かにゃならんでしょう。

>2以降は、難易度は上がりました。
ぬお、そうですか。ちょっと覚悟しておきます。「大幅に」でなければ大丈夫、なはず……。

>機会があったら是非プレイしていただけたら嬉しいです
極限脱出シリーズ3部作(?)は、PS4のDL版を購入済みです。結構思い切って勢いで買いましたw
もちろんプレーもしますが、何分読みゲーだけでも溜まりに溜まってるので、なかなか。面白いゲーム、いっぱいありますね……。
返信する

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