腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

クロバラノワルキューレ

2023年08月20日 23時55分07秒 | PS4ゲーム感想文
【ハード】PS4
【メーカー】コンパイルハート
【発売日】2016年7月21日
【定価】9936円(特別装丁生産限定版)
【購入価格】1080円(新品)
【プレー時間】105時間



御伽ねこむ氏、である。……誰? コスプレイヤーだよ知らん? 知らん。そか。尚漢字は敢えて調べてない。間違ってるかも。
あれは今を去ること7年前、まだツイッタがツイッタだった頃。俺も、少なくとも現在よりは若くて幸福だったかもしれない頃。
割と衝撃的なニュースを目にした。「藤島康介、結婚!」と。もちろんあの「サクラ大戦」「ああっ女神さまっ」の藤島氏である。
俺は氏の名前は知ってたが別に思い入れはなく、「え、まだ未婚だったの!?」とそっちで驚いた。年は結構行ってるはずなのに。
対してねこむ氏の年齢は二十歳(当時、多分)。えらい年の差婚やな……と思ったら、まぁやっぱりというか、ねこむ氏、妊娠中。
要は藤島氏と致したねこむ氏が妊娠、当然結婚を迫ったが藤島氏が煮えきらないからブチ切れて世間に発表したという流れらしい。
そうなればさすがに藤島氏も逃げられないから晴れて結婚した。……あれから7年、今はどうなってるのだろう。敢えて調べない。
で。正直その辺はどうでもいいが、年の離れた二人がどこで出会ったのか? これが実は一本のゲームソフトだったのだ。
「クロバラノワルキューレ」である。今作のキャラデザを藤島氏、登場ヒロイン一人の声優をねこむ氏が担当していたのだ。
ねこむ氏は声優としては素人だったのにこの抜擢……出会いが先か付き合い(コネ)が先か、まぁ色々憶測を呼びそうな話だ。
今作はこの結婚騒動のすぐ後に発売されたが、予想外の宣伝効果はどう出たのだろう。プラスかマイナスか。微妙なとこだな。
俺自身はこの件で取り敢えずタイトルはバッチリ覚えた。……そしたら翌年くらいに限定版が格安で売られているのを発見。
これは縁だなと即刻購入した次第である。まぁ例によってプレーは随分後になってしまったが、それは恒例なのでしゃーない。
またプレー中にPSプラスフリプに登場してしまったりしたが、DL版でやれるから寧ろ快適になった。俺も心が広くなったもんだ。

さて、クロキュー。……で略称はええのか? マイナーなゲームだから誰も略して呼んでないんよな。まぁ俺はこれでいこう。
今作は「美少女5人の戦隊を男の主人公が率いる」というもので、これはもうあからさまにサクラ大戦オマージュである。
藤島氏の起用も当然そこからだろう。ちなみに他に男隊員が二人いるから純ハレイムではない。そこがオリジナリティ、か?
ただオマージュは設定だけで、今作のゲームシステムは純粋なRPGと言っていい。イベント、ダンジョン、戦闘、というものだ。
そして難度面でも、サクラ大戦(俺は1しかやってないがまぁ高難度ではなかろう)を見習う気はまるでなかったと思われる。
今作、ビックリするほど難しかった。いやそれ以前に、ビックリするほど複雑なのである。緩い美少女ゲーじゃないよ、マジで。

まず何より複雑なのが、タイトルにもなっている「ワルキューレ」である。これは今作の主要武器で、未来式変形式銃剣って感じ。
主人公含む全員が各々独自のワルキューレを装備し、敵と戦う。そしてワルキューレには各種カスタマイズが可能。……なのだが。
これがなぁ。カスタマイズ箇所が矢鱈と多い。となるとそこに装着すべきアイテムが多い。それをメンバー8人分やる。超面倒。
またカスタマイズで上下するパラメータも多く、射撃だの打撃だの距離だのと、面倒臭がりなら初手で投げ出したくなるほど。
この手のシステムによくある「自動」装備もなく、キッチリ自分で決めて装着する必要がある。自動があったら大分違ったなぁ。
更に言えばアイテム名や装備箇所の名称がまたややこしく、ちっとも頭に入らない。ハッキリ言って今作は兵器マニア向けである。

次に、ワルキューレの通常攻撃は複数回行動の「コンボ」なのだが、このコンボの構成をまた自分で考えて決めなくてはならない。
斬撃打撃射撃ミサイル等の攻撃属性、短中遠の攻撃レンジ、攻撃力等を眺めながら、3~4段のコンボを3種類! も設定する。
これがまた非常にややこしい。面白いところでもあるんだが、4種のコンボを8キャラで設定やで? 手間かかり過ぎるわ!!
コンボ用の技はレベルアップにて増えていくので、強い技が手に入ったら無視するわけにもいかない。本当に手間がかかる。
繰り返すが、これに関しては面白い部分でもあった。考えて組んだコンボが戦闘で狙い通りに機能すると非常に気持ち良かった。
……でも頻繁に大量にそれを要求されると、ね。戦闘は4人メインサブ4人だから、4人だけ頑張ればまぁ一応形にはなるんだが。

さて、賢明な諸君なら「そこまで煩雑ならテキトーに構成してテキトーに戦闘すればいいんじゃね?」と思うかもしれない。
俺もそう思った。半ギャルゲな今作にそこまでガチらんでも、と。実際序盤はそれで通用した。そのまま歩んで行けると思った。
……しかし、現実は甘くなかった。今作の戦闘難度は、高い。「非常に高い」と言っていいかもしれん。めっちゃ苦戦したからな。
ちなみに難度設定があり、易普難、俺はいつも通り真ん中でやった。トロ云々を考えないなら易でやればまぁ比較的楽であろう。
だが普通難度だと、雑魚もボスも強いったらない。当然ながら事前準備をテキトーにやってたりしたらボコもボコ、嬲り殺しだ。
途中、あまりにキツいバランスに萎えて長期放置(1年以上)に入ってしまったりもした。難度下げはさすがにやりたくないしね。
今作、ハッキリ言って見た目詐欺ゲーである。その意味じゃサクラ大戦オマージュを強く匂わせたことは大失敗だったと思う。
売上が芳しくなかったのもやむを得ない。ここまでガチなら最初からそういう装丁で出してくれよ。ほんまキツかったよ。

そんな今作の戦闘システムは、「グランディア」リスペクツである。……サクラ大戦といい、サターン系で通してるのかな?
要は戦闘の時間軸を表す円の上に、敵味方全員のアイコンが配置され、素早い順に行動していくというやつだ。伝わるかな。
行動を決めても即座に発動するわけじゃなく、通常攻撃なら早く、必殺技なら遅いといったリスクとリターンが設定されている。
通常攻撃は威力こそ低いものの、攻撃中は「敵の時間を止められる」効果があり、威力以上にこの点が非常に重要。
一方で必殺技は威力が高いもののMPを消費し、発動まで時間がかかり、攻撃も一瞬(演出はあるけど戦闘時間軸として)で終わる。
つまり低威力の通常攻撃で敵を拘束しつつ、威力が高く発動時間の長い必殺技をドーンと当てるというのが基本戦略になる。
こちらは4人パーティだが、残りの4人は後衛として控えていて、いつでも入れ替えが可能。HPやMPが減ったら交代するといい。
グランディアの時からよく出来たシステムだったから、今作でも面白い。独自要素もいい感じに機能していてナイスである。

……てな風に戦闘を楽しめるのは、せいぜい中盤まで。そこから今作の難しさは一気に花開く。単純に、敵が超強くなる。
今作の戦闘では、素早さがとにかく重要だ。素早さが高ければ行動順が早くなり、敵に対して先手を打てる。大幅有利を取れる。
逆に敵に先手を取られると悲惨で、基本的に敵は性能が高いので、非常に痛い攻撃を食らわされる。集団戦だと目も当てられない。
その素早さが……なんかもう、冗談みたいに差がつくようになるのね。敵が超速い。こちらを嘲笑うかのように超速行動を取る。
もちろんこちらのキャラもレベルアップにて素早くなっていく(パラメータは任意で振り分け可能)が、そんな次元ではない。
雑魚でさえそうなんだから、ボスだと冗談のようにガンガン行動してくる。被ダメはもちろん、不快感も相当なものになる。
今作は難度が高いのだが、難しいと同じくらい理不尽さを感じた。バランス調整がおかしいとしか思えない。うぬぬぬむ。

そしてもう一つ戦闘で理不尽なのが、敵の「狂暴化」である。これのせいで今作の戦闘時間は累計10時間以上伸びてると思う。
今作の敵は例外なく、HPが一定以下になると「狂暴化状態」となり、パラメータがグンと上がるのである。全ての敵が、だ。
強力な必殺技で一気に大ダメージを与えれば素の状態のまま倒せるが、なかなかそうはいかない。中盤以降は特に、だ。
更にこの狂暴化が発動すると、「こちらのコンボ拘束が強制的に解除」されてしまう。先述の、通常攻撃による敵の拘束だ。
厄介な敵を通常攻撃で抑えつつ、別キャラの必殺技発動を待つ……という状況で、HPが一定以下になると、いきなりドーンと解除。
そうなると必殺技発動前に狂暴化敵に邪魔されたりして、計画が狂いまくる。全ての敵に対してこのリスクが付き纏っている。
素早さの件と同様、敵ばっか有利なバランスにストレスが溜まりまくる。幾らなんでも敵全部に設定するもんじゃないでしょこれ。

加えて終盤に入ると、凄まじいまでの状態異常の波が押し寄せる。言葉通り、毒や麻痺や無気力といったデバフである。
今作にもそういったバフ・デバフは普通にあり、それを回復する魔法やアイテムもある。……しかし、それはやがて無意味になる。
もうほんま、異常。状態異常が異常。終盤の敵が何かする度に、3つも4つも状態異常をかけられる。異常な戦闘バランス。
「だったら回復したり、状態異常無効の装備をすりゃいいんじゃね?」と思うだろう。だから、そういった対処は無意味なんだよ。
少なくとも俺が試行錯誤した範囲では、そんな思いつく対処法をの5段くらい上の状態異常攻撃を敵はしてくる。焼け石に水。
今作は回復魔法(状態異常含)が非常にシミッタレていて、移動中はともかく戦闘中は役に立たない。回復はアイテム頼りになる。
そのアイテムも「複数キャラの状態異常全回復」といった強力なものは非売品なので、あまりガンガン使うわけにもいかない。
ちなみに今作は魔法もアイテムも対複数は「範囲」のみで、全員対象ではない。更にその範囲がこれまた非常にケチくさい。
俺がやった限り、対複数のアイテムは2キャラにしか使えなかった。つまり3キャラ以上を囲める「範囲」アイテムはなかった。
一応陣形も色々変えて調べたから的外れではないと思う。クソ厳しいバランスの上にこの意地悪さ。ええ加減にせぇよほんまに。

で、こんな厳しすぎる戦闘バランスだと、ボス戦はともかく雑魚戦を繰り返すだけで疲弊してしまう。ならどうすればいい?
答えは、戦闘前にある。今作はシンボルエンカ制で、「シンボルと衝突前に自キャラの武器攻撃を当てると先制攻撃」なのだ。
……「ペルソナ」まんまやな。まぁこれは他に元祖があるのかもしれんけど。とにかく、この先制攻撃を取る。これが超重要。
先制攻撃さえ獲得すれば、敵の素早さに関係なくこちらが先に行動出来る。そして拘束や必殺技を駆使し、先手必勝一挙殲滅。
もちろん先手を取ってもノーダメで勝てるってほど甘くはないが、キツさには雲泥の差がある。絶対に取りたいアドバンテージだ。
……しかしいちいち先人をリスペクツしている今作では、敵シンボルのこちらの察知能力は非常に高く、移動スピードも超早い。
更に自キャラが武器を振るモーションは重く、高速で向かってくる敵に正確に当てるのは相当に難しいと言わざるを得ない。
そして先制攻撃があるなら逆も然りで、武器当てに失敗したり後ろから触れられると、敵側の先制攻撃にて戦闘開始となる。
そうなったらもう悲惨で、かなりレベル差のある雑魚相手でさえそれなりのダメージを貰う。似たレベル帯の敵なら言わずもがな。
正面から挑むと失敗必至なので、敵が引っ掛かる障害物を上手く利用して斬りかかるのが得策。クソ強いけど頭は悪いキメラ達。
このシンボルと斬り先制攻撃システムは好きなのだが、今作のバランスならもうちょい緩くしてくれればと思う。ほんまキツい。

フィールドやダンジョンに関しては、最初真っ暗な地図が踏破していくと詳細になっていくあれで、埋めの快感がある。
宝箱もいい感じに配置されており、状況によって後でもう1回来ないと回収できないアイテムがあったりで、なかなか楽しい。
ただ当然ながら敵の脅威に常に晒されるので、あまり探索に耽る余裕はない。マジでキツいからね、今作の戦闘バランス。
ダンジョンはそれでいいとして、地上フィールドはかなり入り組んでいる上にカメラの使い方が悪く、非常に探索しにくかった。
更に、物語の作戦で「〇〇地方に行け」と言われるのに、フィールドマップにその地方名が明記されていないことには参った。
作戦本部まで戻れば一応確認可能だが、何でこんな手間を取らされるんだ。無駄にメモすることが増えてイライラしたよ。
今作の物語は一応世界の危機ながら、動き回るフィールドは東京のごく一部だけ。そういう意味では世界の狭いゲームだ。
ゲーム的には別に問題ないが、世界設定のスケールには見合ってなかったと思う。地球規模で考えるんだ。そうか? うーん。

キャラは戦闘で経験値を得てレベルアップ、ポイントを各パラメータに割り振って強くなる。よくある成長システムである。
今作の特徴として各キャラ得意分野が設定されていて、例えば物理が得意なら力は2Pで上げられるが、苦手なら5必要だったり。
なので効率よく成長させるなら、各キャラの得意分野を伸ばす方がいい。……俺はバランス理論の男なので、それ苦手なんだけど。
ただ何度も言うが今作の戦闘バランスはキツいので、幾ら成長させてもあんまし戦闘でそれを実感できなかった。常に苦戦する。
これも装備同様「おまかせ」があってもいい、いやあるべきだと思うが、なかった。毎度毎度振り分けるのは正直面倒でさえある。
「レベルアップを単純に喜べない」仕様は問題だと思う。振り分けが面倒な上、強くなってはいても実感が湧くほどじゃないから。
ほんま調整面がなぁ……非常に嫌な言い方をすれば、「有名メーカーの大作ならこうはならなかっただろう」と思う。はぁ。

戦闘で経験値以外に得るものといえば、金とドロップアイテム。今作ではアイテムを拠点に持ち帰り、金を使って装備を強化する。
……俺は国のために命かけて戦ってるはずなのだが、何で装備の強化まで自前でやらなきゃならんのだ。どんなブラック公務員だ。
してこの強化だが、ワルキューレのレベルを上げると、キャラのレベルアップと違って大幅にパラメータが上がる。超強化。
ここでやっと「強くなる快感」を味わえるので、とにかくアイテムを持ち帰ってワルキューレ強化に心血を注ぐべきである。
……のだが。またしても、である。まず、強化に必要なアイテムが、あまり手に入らない。どこまでドケチなゲームなんだ。
強化に必要なアイテムは全キャラ共通で、8キャラ分揃えるのはまず無理。1軍4人どころか2人くらいまでしか満足には使えない。
ちなみにそのアイテムは「銅」や「鉄」だったりする。……そんなんドロップに頼らずどっかから調達してこいや! アホか!!
そして、アイテム以外に要求される強化代金が……まぁ最初の方は普通だが、装備のレベルを上げていくと……異常になる。
マジで桁を読むのが面倒になるくらいに上がる。億は行ってたと思う。どんな兵器やねん? いや実際モノとしては兵器なのだが。
無論それに見合う金を戦闘で得られるなら問題ないが、そうではない。今作は最後まで凄まじい金不足に悩まされるバランスだ。
いやほんまに!!! 様々な面で、様々な面で!!! ちゃんとバランス調整やったんかいや!?!?!?! ええ加減腹立つわ。


今作のバトル方面は、非常にシステムが複雑な上にバランスが劣悪である。システムは面白いとも言えるが、バランスは無理だ。
ちゃんと調整されていれば、色々頭捻って対策を考える歯応え抜群RPGになれたと思う。惜しいのう。の~みそこねこね。
……では!! 万人に提示されている今作のもう一つの顔、美少女ゲームとしてはどうなのか!?!?!?! うむ、そこだよね。
結論から言うと、こっちはシステム部分でもサクラ大戦な感じだった。拠点にあるヒロインの部屋を訪れ、会話を楽しむのが基本。
会話には選択肢があり、それ次第で好感度の上下がある。たまにイベントが発生、萌え萌え一枚絵でプレーヤーを喜ばせてくれる。
しかし……戦闘方面と違い、こちらは簡素・古すぎだった。これで日々赤海化が進む現代創作美少女業界に挑むのは無謀だろう。
特に個人イベントたる「デート」が、何と各キャラ1回しかないのは呆れた。それに付随する1枚絵もまた1枚だけ。少なすぎ。
全キャラが絡む固定イベントは挿入が唐突で、シナリオでピリピリしてる状況なのにいきなり海水浴に行ったり。なんじゃそら。
会話はかなり好感触っぽいものであっても、それで好感度が上がるわけではない。実際には上がってるかもしれんが、実感できん。
全体的に会話もイベントもどうプレーしようと固定(多分)で、仲を深めて個別ルートに入るようなものがなかった、と思う。
ハッキリ言ってつまらなかった。5人のヒロインは皆魅力的に描かれていたが、システムがそれを活かせていない。
そもそもここを幾ら頑張っても、ヒロインの個人EDには行けないからね。……そう、それには今作最大の問題システムが絡むのだ。

それが「尋問モード」である。今作は中盤以降、シナリオにおいて「敵組織にこちらの情報が漏れている」という状況が発生する。
つまり裏切り者だ。もちろん素の主人公らはそんな人間ではないが、彼らは「人格分裂」という、別人になる素養を秘めている。
人格分裂中は本来とは真逆の性格になり、またその間の記憶は元に戻っても覚えていない。その間に裏切っている、というわけだ。
……だったら個人の監視をもっと厳密にすりゃいいじゃない? 一応軍だろお前ら? そんな正論は「ゲームだから」で全滅する。
まそんなわけで、この中に裏切り者がいる! 状態が発生するわけよ。そこで今作ではその人物を特定するミニゲームがあるのだ。
この裏切り者はシナリオ上で決まってるわけではなく、恐らくプレーするごとにランダムで決定される。おおお。そら意欲的だ。
そこで主人公は上司から指令を受ける。「尋問により裏切り者を特定せよ」と。そう、唐突に逆転裁判的ミニゲームが始まるのだ。
尋問と言っても正面から問いただすのではなく、テーマを決めて雑談めいた話を5人のヒロインとするだけだ。難しくはない。
そして各人のコメントを照らし合わせ、「Aさんは午後外出していた」「Aは部屋で私といたよ」といった矛盾を導き出す。
矛盾が見つかっても逆裁のように即時指摘するわけじゃなく、該当箇所にチェックをいれて「報告書を提出」する形になる。
プレーヤーの推理が正解かどうかは判然としないが、章クリア後に「素晴らしい報告書だったぞ」と言われれば、一応OKとなる。

……とまぁ概要だけ書くと面白そうではあるが……尋問モードは今作最低の要素だったと断言できる。戦闘よりも交流よりも。
まず理解不能なのが、尋問する回数が非常に限られていること。最初など、5人中3人しか呼び出せなかったりする。なんじゃそら。
更に問いかける質問回数も限られている。ハッキリ言って推理しようにも不可能。だって情報がまるで揃ってないんだから。
となればゲーム的には「尋問回数を使い切ったらリセットしてやり直す」のが正しいわけだが……アホすぎるだろ。破綻してる。
推理ゲームで「人の話をよく聞く」ことに制限を加えてるものなんてあるか? 一人1回の機会さえ与えられないほどの。ねーよ。
加えて矛盾点の精査も非常に難しいというか微細で、こんなオマケ要素でやらせる難度じゃない。もっと明確に指摘させろや!!
ちなみに質問するネタも3つくらいからランダム選択される。リセット記憶戦法さえ成立させるには結構な忍耐力を求められる。
このモードで自力でキッチリ容疑者を挙げられるのはエスパーか答えをしってる制作者だけと断言できる。狂ったバランスである。
ネタは面白いのになんでこんなバランスになってるのか。なんか自棄糞になってない? 御伽氏に横恋慕してたスタッフの仕業か?

この尋問モード、中盤から始まり、そこから章が終わる度に5回ほど発生する。そうして容疑者を徐々に追い詰め……られはしない。
何と、容疑者こと裏切り者は、毎回変わるのである!! それも恐らくランダム。5回やれば5通りの裏切り者が発生するのである。
はい、もう無茶苦茶も無茶苦茶である。5人しかいないのにそのうち複数が敵に内通なんてしてたら、戦争しても勝てるわけがない。
それを許す軍のガバガバ極まる諜報部のヌケサクっぷりにも呆れるしかない。なんで俺ばっかこんな無能の尻拭いをさせられる!?
ま、とにかく無茶苦茶である。後になれば質問回数が増えて少し楽になるが、やることは一緒だし、理不尽さも何も変わらない。
そして詳しくは分からんが、最後の尋問における容疑者が「真・裏切り者」となり、実際にストーリー上で派手に寝返ってくれる。
無論それは人格分裂しているが故だ。本当の彼女は俺たちの仲間だ!! ということで、彼女を倒す&救うことも終盤の目的になる。
……で、どうやらこの「裏切った上で救出されたヒロイン」と、ED後に結ばれるようなのだ。詳しいフラグに関しては無論不明だが。
交流モードでの会話やデート、あまり関係なし。いやあるのかもしれんけど、そこで幾ら好感度を上げても尋問で失敗すりゃ無意味。
しかしその尋問モードは内容もバランスも劣悪。……無茶苦茶でしょ、このゲーム。ほんまこのモードについては擁護の余地がない。
真・裏切り者がそのままEDヒロインになるから、交流部分の好感度で裏切り者が決まるってことか? その辺のフラグも全然わからん。
なんつーかゲームに全く貢献してない最低のモードであった。それでいてEDのためには手抜きは一切許されないんだからもう。はぁ。


物語はどうか。今より100年ほど前、地球に飛来した隕石の影響で、人を含めた生物が「キメラ」と化す怪奇現象が世界各地で発生。
原因は隕石に付着していた「キメラウイルス」だった。キメラ化すると姿は化け物になり、戦闘力が激増するものの思考力は皆無に。
それから現代まで、人類はキメラへの対策を積み重ねてきた。となれば国軍に危険なキメラを討伐する部隊が設立されるのは必然。
主人公は対キメラ特殊部隊の隊長として招聘された。部隊に女が多いのは、女性の方がウイルスの罹患率が低いかららしい。
そうして特殊部隊「ワルキューレ」はキメラと戦っていくのだが、化け物ばかりだった連中の中にある日、女の姿を発見。
そう、「人型」、つまり意思あるキメラが存在したのだ。以後、戦いは散発的な対キメラではなく対敵キメラ組織となっていく。
奴らの目的は? 黒幕は? キメラとは結局何なのか? 様々な謎を孕んだまま、ワルキューレの戦いは続いていく……。

むぅ。まぁ悪くはないと思う。変に規模をデカくしなかった分、最後まで付いていくことが出来る物語だった。ここ、重要よな。
個人的には「敵の拠点はどこよ!?」という疑問がずっと離れなかった。先述のように、敵は知恵ある組織だ。動物軍団じゃない。
となればどこかに拠点があり、そこで作戦を練ったりキメラを作ったりしてるはずなのだ。なのに最後までその存在は明かされない。
一方でこちらの情報は筒抜けも筒抜けな上、物理的に拠点に攻撃されたりもする。なんでこんな一方的な展開になるのよ!?
今作の一番の敵は、キメラどもじゃなく無能極まる軍諜報部(出てこないが)だ。お前らのせいでどんだけ俺が迷惑を被ったことか。
シナリオはとにかく奴らに一方的にやられる展開なので、そこはかなりストレスが溜まる。バランス含め、今作はほんま我慢ゲーだ。
そして終盤に明かされる黒幕・ラスボスの正体は……!! うん、バレバレでした。何って、他にキャラおらんからね。消去法。
今作は立ち絵のあるキャラが非常に少なく、黒幕となるとそれがあって当然だから、となればもうあいつしか残ってないやん、と。
ここはもうちょいキャラを増やし、「一体誰が?」感を演出してほしかった。無茶かな。ヒロインの親族をもっと出せばいいのに。

シナリオにはヒロイン達の事情も色々絡んできて、結果として彼女らが立体的に描かれていた。そこはいい感じだったと思う。
各々の重い事情を(主人公と共に)乗り越えていくってのは単純にいいもんだ。……そしてそうなったら惚れるだろう。世の摂理だ。
なんだけどねぇ。今作には例の尋問モードがあり、そのための裏切り要素がある。だから素直にキャラ萌えしていられない。
ったくアレだけは最低だわ。アレさえなけりゃもっとヒロイン輝いたのに。ちなみに俺は八雲が一番好き。EDは見られなかったが。
御伽氏担当の一ノ宮ルナも好きだよ。柊ユエも悪くない。アマルはちょっと……ボクっ娘は。クーは……必殺技最強だから好き。
葉月はEDがあるんだろうか? 途中参加故に半端な立ち位置だった。そして正直本当に好みだったのは上司キャラのミヤコさん。
ミヤコさんと結婚したかった。ラブコメ皆無で残念。DLCで戦闘使用可能になるが、シナリオに絡んだりはしないらしい。残念。


グラフィックは、2D平面絵はバッチリ美しい。尚藤島氏の原画ではなく、ゲーム絵な。個人的には後者の方が可愛く見える。
立ち絵自体が綺麗だし、ライブ2Dってやつか? 少々のアニメもして、現代的である。この辺はちゃんと仕事してて文句ない。
動かすポリキャラは……PS4としては寂しい。PS3かVITAレベル。実際、何となくVITAとマルチで出す計画だったような気がする。
今作は防具が軍服なのだが、「敵の攻撃を一定以上受けると服が破けていく」という要素がある。更に受け続けると、パンイチに。
で、その姿がしっかりフィールドのキャラに反映されるのである。上下下着のみでダンジョンを行くヒロイン! うおおおお!!
……嬉しい反面、かなり異常者の雰囲気も漂うので、エロっ気はそこそこだが。ちったぁ恥じらえよ。痴女ウイルスに感染したんか。
尚、男キャラも同様に服が破け、パンイチにもなる。あまりにも誰得だった。……少しは腐を狙ってる? まぁ面子はいるしなぁ。

音楽は、良好。フィールド曲、多彩な戦闘曲、各種ダンジョンの曲、どれも良質。限定版にサントラがあったから、重宝している。
戦闘曲はどれも苦戦の色に塗れて記憶に残ってるわ。アホみたいに硬い敵をやっと瀕死にしたと思ったら狂暴化して……嗚呼畜生。
そして、声!!! 特に御伽ねこむ氏の演技はどうだったのか!? 藤島氏のコネでしかなかったのか!?!?!? ……ご安心を。
ハッキリ言って、良好だった。少なくとも素人臭さ爆発なんてことは全くない。俺は知らなきゃ素人の仕事と気付かなかっただろう。
まぁ三森すずこ氏ら他のヒロインの担当に比べたらさすがに劣るかもしれんが、「おっとりお嬢様」らしさはちゃんと感じられた。
正直見直したよ。こんなにちゃんとしてるとはね。台詞は膨大にあるから、収録は大変だっただろう。ご苦労さまである。
今作は絵や声優の要望には十分に応えてくれていると思う。美少女を可愛い声の声優さんが彩る。そしてオタクは死んでいくのだ。


ヒィヒィで一周目をクリアーしても、まだゲームは終わらない。正直気が重いが、トロフィー編の開始である。
まず今作、2周は必須。というか「ベリーハードモードクリアー」が必須なので、ノーマルで始めた俺は必然的に2周目に入った。
一応一周目からベリハをやればそれでトロコンも可能だが、あくまで理論上だ。今作の難度を考えれば、まず不可能と言っていい。
そう、2周目には引き継ぎがあるのである。キャラレベルは1に戻るが、装備ワルキューレの強化レベルは引き継がれるのだ。
ワルキューレは強化すると一気にパラメータが上がるので、これを持ち越せるなら非常に強い。でなきゃベリハなんて無理である。
また、今作は例の尋問モードをキッチリこなし、裏切って離脱したヒロインを取り返した上でクリアーすれば、トゥルーEDとなる。
これもトロに含まれているから、当然目指すことになる。無論自力じゃ無理だから、ここからはネット情報に首っ丈のダメ男。
気は重いが、一周目は1年以上も放置しちまったこともあり、最初からキッチリやり直せるならそれもいい。勝手知ったる、だ。
ではベリハにて2周目開始。マップ埋めやクエスト等は受け継がれず全て最初からなので、やはり割と気は重いのだった。

……そして、ベリハは難しい。最初こそ持ち越し特権で無双できたが、最初だけだ。キャラレベルは1からだし、そんな甘くない。
当然ながら敵のパラメータが跳ね上がっていて、異常な行動速度は「もうお前らだけでゲームしてろよ」と投げ出したくなる有様。
中盤からは悪夢の状態異常が最早モルボルコラボレベルになり、「殺して(HPゼロにして)復活させた方が早くね?」にまでなる。
実際その戦法も結構使ったしな。しかしそうして復活させたキャラが速攻狙われてまた沈むのも常。敵が強い。単純な事実に震える。
ノーマルでも出鱈目だったバランスが、ベリハで改善されてるわけがない。カオス極まる戦場が展開される。必死でボタンを押す。
ある意味キメラ軍との戦争という悲愴さがよく表現できていたよ。わけねーよキツすぎるんだよ!! 担当者許さんぞほんまに。
そして、尋問モード。最初から正解を知って臨むわけだが、それでも微妙に不安になる。もっと正解を明確にしろと言ってるだろ。
これの解答作ってくれた人には感謝だわ。アホなリセットを繰り返してやったに違いない。攻略じゃないですよねこんなの。はぁ。
そんなこんなで、何とか狙い通り裏切りヒロインを再加入させられた。……俺が狙ってたキャラとは違うけど。御伽ルナがよかった。
今作のキャラエンドを狙って見る方法ってあるんだろうか? どうしてここをこんなに厳しくした。ギャルゲーの矜持はないのか?
まぁとにかく2周目ベリハをベストEDでクリアーはした。惜しいなぁ。惜しい。ちゃんとバランス調整さえされていれば……。

その後も「敵10万匹撃破」のために半放置プレー(時々操作が必要)でアホな稼ぎをしたり、トロコンへの道はまだ続いた。
10万匹もそうだが、「ステータスを一つ999にする」は出鱈目だった。あんなん、ポイントを下手に消費したら不可能になるやん。
恐らくトロネタ考案者は戦闘バランス担当者と同一人物だろう。プレーヤーへの悪意が透けて見える。お前ほんまやってくれたな。
なんかもうほんまヘロヘロだったが、何とかトロコンを達成したのだった。尚、取得率は0.1%(※ごめんなさい1.0%の間違いでした)。それも納得だ。誰もやらんよこれ。
今作の希少なトロコンマンになれたことを誇らしくは思うが……理不尽さに翻弄されるばかりで、あまり頑張った気がしない。
ま、トロ道に虚しさは付き物さ。輝くプラチナトロフィーを見て一瞬だけ満足できればそれでいい。その瞬間のために生きている。


ふぅ。値崩れが示すように、今作は結局売れなかったのだろう。御伽騒動がそれに影響したのかは不明だが、まぁどっちにしろ……。
実際プレーしても、非常に複雑なシステムはともかく、バランス調整は明らかにおかしいし、尋問モードは論外の酷さであった。
真っ直ぐギャルゲとして楽しめるのかと言えばそうでもなく、狙ったヒロインを攻略することさえ難しい。どうせぇっちゅうねん。
しかしグダグダ言いつつも100時間以上付き合ったのは事実。戦闘なぁ。先制攻撃を確保して蹂躙したら、快感だったりするんよ。
クソキツいボス戦を必死に戦うのも面白かったと言えんこともないし。まぁ今だから言えることだが。やってる時はムカつき千万よ。
それでもイラムカMAXで100時間付き合うことは不可能。面白かったんだよ。……そういうことにしておけ。嘘ではないんだから。
続編はもちろん、精神的後継作もあんまし望めそうにないが、サントラを聴きつつ今作のことをマイゲーム史に残していこう。
比類なくシステム複雑でバランス無茶苦茶だけどどこか可愛いクロバラノワルキューレをせめて我が心に残すことを誓って終わり。
せっかくプレーしたんだから、その間楽しむのと同じ位、残すことに価値を置きたいね。……今の記憶力だと色々とアレなんだがね。


……そして、藤島氏と御伽氏は今どうしてるんだろう。「今作をクリアーするまで調べない」と決めていたが、もうそれは終わった。
軽くググるだけで現状なりツイッタ垢なりが分かるはずだが……何となくこのまま謎にしておいた方がいい気がする。そうしよう。
最初は年の差もあってギクシャクしていたけど、子がかすがいになって、今や驚きのおしどり夫婦になってるのさ。きっとそうさ。
そしてたまに今作のことを思い出して会話ネタにし、一ノ宮ルナのマネなんかもして楽しんでるのさ。……羨ましいじゃねぇか畜生。
はぁ。








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2 コメント

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Unknown (サク)
2023-08-21 07:15:27
クロバラノワルキューレ、私も購入済みでした
藤島氏の騒動でなんとなく印象に残っていて、中古でかなり安くなっていたのを発見して…という流れなのでotaさんと同じような感じでしょうか

まだ未プレイですが、意外と骨太な出来になってそうで面白そうですね。プレイ時間105時間にびっくりしました

そう言えば「新サクラ大戦」はプレイ済みなんですが、不評なのが納得いかない程度には面白かったです。こちらは有名メーカーの大作?だけあって、ユーザーフレンドリーで遊びやすかったですね
戦闘も無双ライクな爽快感重視の仕上がりで楽しかったですし。ちょっとサクサク倒せすぎるのでハードモードが無いのが残念でしたが
サクラ大戦シリーズは殆ど未プレイなんですが、シリーズ一新で新規でも問題なくプレイ出来るようになっていたのも良かったです
Unknown (ota)
2023-08-22 01:24:11
>まだ未プレイですが、意外と骨太な出来になってそうで面白そうですね。プレイ時間105時間にびっくりしました
システム部分はド硬派でビビりました。バランスが良ければ、あともう少し手間を減らしてくれれば、弄る楽しさが弾けたと思います。惜しい。
プレー時間は、トロにさえ拘らなければこんなにかかりませんよw

>そう言えば「新サクラ大戦」はプレイ済みなんですが、不評なのが納得いかない程度には面白かったです。
リブートを狙ったものの失敗してしまいましたね。新以上にホゲ版が冗談のような短期終了で呆れました。あれはないよセガ。
現代創作美少女業界の厳しさが感じ取れますね。S級のライバルが闊歩し、Vチューバーらとも戦わなきゃならんからなぁ。
新はゲームとしては興味持ってます。中古ワンコインになってるしw 爽快感重視はいいですね。そういうのでいい。
ただ俺の場合まず旧シリーズからになるので……いつ……。

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