腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

オプーナ

2008年09月13日 19時28分42秒 | Wiiゲーム感想文
何が原因だったのか……。
・豪華な製作スタッフ
・社長自ら「目標100万本」をデカデカとぶち上げた
・なのに、どう見てもヘボいキャライメージ

この辺りが2ちゃんの琴線に触れたのだろうか?
個人的には「やる夫」ネタブームに上手く乗ったことが原因だったと思っている。
とにかく、「オプーナ」はネットネタとしては大ヒット。
ゲームをやらない人にまで散々弄られるタイトルとなったのであった。

しかしネタ扱いでもある意味は宣伝、ゲームの売り上げに繋がれば
コーエーとしては願ったり叶ったりであろう。
発売前から「ワゴンの王様」というネタにもされていたので、
オプーナの販売本数には大きな注目が集まった。
で。
結局、出荷25000本、初週3000本程度という結果に終わったらしい。
考えるまでもない、惨敗である。ミリオンなんて死んでも無理だ。
出荷の少なさから値崩れはしないものだと個人的には読んでいたが、
しばらくすると値は崩れ始め、今じゃ大体新品1980円くらいが相場か?
王様ではないかもしれんが、期待通りのワゴンタイトルになってしまったわけだ。
先日、中古1000円で売っているのを発見。
「……まぁ、いいか」という変な独り言ともに、購入したのであった。

投売り前提ではあったが、いずれプレーするつもりはあった。
何故なら、俺はある意味オプーナの面白さを信じていたからだ。
単純に、スタッフを見るだけでも、そうそうダメな出来になるとは考えにくい。
ネタにされたし、それが売り上げに繋がらなかったが、
だからと言ってゲームの中身までダメであるという話はあまり聞かない。
そもそもゲームをプレーした人をあまり見ないのだが。
というわけで、俺はオプーナに対して「ネタ扱いされているだけで、
正当に評価されていないゲーム」というプレー前印象を抱いていた。
要するに、ゲーム内容には期待が持てると思い込んでいたのである。
少なくとも、普通に楽しめるレベルにはある、と。


が。
実際にやってみて、クリアーして、間違いなく「オプーナ」を正面から見た
結果、「これ、ダメなんじゃないか」と思うしかなかった。
販売本数の惨敗は不当でも不運でもなく、
実力に見合ったものだったのではないか、と。
ハッキリ言って、期待外れであった。



まず最初に、「キャラのヘボさ」が誰の目にも付くが、
こんなのは大した問題ではない。
ゲームの舞台は俺らと似たような人間が暮らす星で、
主人公オプーナ達はそこを訪れた異星人という設定になっている。
つまり宇宙人なのだから、見た目が変でもある意味当たり前なのだ。
プレーしていれば、全然気にならなくなる。
愛着が持てるとまではいかないかもしれないが。
グラフィックはさして美しくないが、建物の雰囲気などは割とよく出来ている。
近未来的と言うのか、その辺はよう分からんが、自然に感じた。
全体的に、見た目は悪くないのだ。意外と。



まず最初の大問題、マップのややこしさ。
スタート後最初の拠点となる「トキオネ」ドーム。つまりは街だ。
これが、比喩でも何でもなく、ラストダンジョンを含め、
ゲームに登場する全てのマップの中で最も複雑な作りになっているのだ。
いや本当に。決して冗談ではない。
なんせ外に出ることすらままならず、ウロウロし続けることも多々あるのだ。
「そのうち覚えるだろ」という予想も裏切られ、訪れる度に広大な
ダンジョンの作りにうんざりさせられる。唯一の救いは、敵が出ないことか。
繰り返すが、トキオネは最初の街である。ゲームの導入部である。
一体何を考えて、こんな複雑な作りの街を最初に持ってきたのか。
製作者の脳みそを疑って止まない。何を、考えて、いるのか。
もちろん、ただの街を意味なくウロウロさせられ、プレー意欲が上がるはずがない。
最初から、いや最初は、テンションが上がらず大変だった。はぁ。


「最初の大ダンジョン」を更に辛くさせる仕掛けも豊富だ。
まず視点。オプーナ達はかなり背が低いが、カメラ位置もそれに合わせて
非常に低く設定されている。こんな低いカメラ、他のゲームでも見たことない。
よって当然、分かり辛い。特に下り階段等が見辛く、イライラしっ放し。
周囲を見回す機能は一応あるが、それの操作性が悪いのでいちいちやってられない。
せめてカメラ位置の調整くらい出来るようにすべきだったのではないか。
どうして製作者は、わざわざユーザーに無意味な負荷を強いるんだ?
どれだけゲームをやっても、未だに分からない。

もう一つ理解不能なのが、エレベーターだ。
このゲームに登場するエレベーターは、何故か各階停止なのだ。
つまり一階から四階まで移動するとなると、1→2 2→3 3→4 という
糞面倒臭い手間を取らされることになるのである。理解不能。
糞面倒臭いだけでなく、下りと上りのエレベーターを間違えてしまう
という事態も続発する。視点が悪いから確認しにくいし。
なんで製作者は……ああもういい。しんどい。


複雑怪奇なマップ、糞視点、欠陥エレベーター。
序盤から、このゲームが概ね見えてしまった気がした。
もしこのゲームをこれからプレーするという物好きな人がいたら、
トキオネはきちんと紙にマッピングすることを強くオススメする。
面倒かもしれないが、絶対にクリアーに役立つから。本当に。
ちなみに、街の外、フィールドのマップはそれほど複雑でない。
トキオネの後に登場する街は複雑は複雑だが、トキオネほどではない。
トキオネだけが仏血義理(怒り表現)でややこしいのだ。
嗚呼。



それ以外の要素はよく出来ているのか――と言えば、そうでもない。
そうそう、コントローラーについて。
「ヌンチャクだけでプレーできる」はこのゲームの大きな売りだ。
実際ヌンチャクだけでプレーは可能。気楽だ。
だがそれに拘り過ぎたせいで、ボタン数が足りず、
「必要な」機能すら削っていることは間違いない。
個人的に一番イライラしたのが、アイテム選択だ。
膨大な数のアイテムが登場する最近のRPGでは、選択時にページ送りボタンが
ほぼ確実に付いている。Rボタンを押せば次のページに、という具合だ。
それがこのゲームにはない。下の方のアイテムを選びたければ、
素直にカーソルをそこまで落としていくしかない。
面倒臭いこと甚だしい。
おまけにアイテムのソート機能は、あるにはあるが自由には出来ず、
頻繁に使うアイテムが一覧の下の方にあると、毎度毎度そこまで
カーソルを持っていかなくてはならないのだ。
やってられない。
「遊び易さ」を求めてヌンチャクオンリーに拘り、
その結果こうなったのなら、実に本末転倒であると思う。

ちなみに説明書には「利き腕で持つといい」と書かれてあるが、
移動は左手が普通なので、右手でやってもやり難いだけだった。
はぁ。


戦闘。
お馴染みのエナジーボンボンを弾いて戦うというアレだ。
確かに、スティックを倒してパワーを溜め、離してボンボンを放つという
システムはなかなか爽快感があるし、新鮮だと思う。
ボンボンの放ち方はスティックを倒す方向により4種類あり、
例えば正面に盾を構えてる敵なら、カーブで放つと横から当たり、
大きなダメージを与えられるという仕組みになっている。
まぁ、面白い。

だが、どうもそういうテクニックを使うべき敵が少なかったと感じた。
と言うより、殆どいなかった気がする。大半は、力押しで倒した。
また、ボンボンは一体の敵しか攻撃できないので、大量の敵が出現した際は
非常に面倒臭い戦闘を強いられる。
中盤からは複数攻撃可能な装備を手に入れられるのだが、
それを実現するには限界までの「溜め」が要求されるので、使いにくい。
もっと普通に複数攻撃をさせてくれれば、戦闘はもっともっと面白くなったと思う。
それに加えて、敵キャラの弱点や行動のパターンがもっと多彩であれば。
戦闘に関しては発想は悪くないと思うが、調整が足りていないと感じた。
まぁあまりやり込んだとは言えないので、もしかしたら俺が知らない
攻撃パターン等が存在するのかもしれないが。

戦闘にはボンボンだけでなく魔法の要素もあるが、
これもアイテム選択と同じ理由で、かなり使い難い。
しかもこのゲーム、戦闘バランスは温めだと思うが、
魔法やアイテムの選択中も時間が停止せず、
敵が攻撃してくるという厳しい仕様になっている。
だからゆっくり選択している余裕がないのだ。
ついでに言うと、魔法の効果が名前から分かり難い。
どの面から見ても、使い難い。

戦闘中に使用するアイテムは、全体用から個人用に装備しなければ
ならないという、これまた妙に厳しい仕様になっている。
つまり薬草を10個持っていても、3つしか装備していなければ、
戦闘中はそれ以上使えないということだ。
……普通に使わせてくれてもええやん、と思うのだが。
なんでこんな面倒なことさせるんかなぁ。
製作者が、分からない。



物語は、まぁ普通。悪くなかった。
このゲームはジャンルを「ライフスタイルRPG」と名乗っていて、
ゲーム中では様々な「仕事」をこなすことになる。
これに絡んで、労働の意味、価値、また裕福で自堕落な暮らしへの疑問、
などがゲームのテーマとして散りばめられていると感じた。
なかなかいい。子供にも大人にも意義のあるテーマだと思う。
逆に、一般RPGで当たり前のようにある愛や勇気といった
テーマには殆ど触れていなかった。
個人的にはちったぁラブコメ要素でも入れろよ、と思ったが、
異星人じゃ無理か。見た目の違いは、この上なく大きい。



シナリオを進める上で必須の仕事以外にも、サブイベントと呼ぶべき仕事が
このゲームにはたくさん用意されている。
サブイベントなんだからやるもやらないも自由だ。
俺も適当にやりたいものはやり、面倒だと感じたものは飛ばして進めていた。
が。
終盤、最後の戦いの直前。
実はサブイベントがサブではなく、必須だったことが判明する。

このゲームには親しくなった人と「トモダチ」になるというシステムが存在する。
トモダチにはランクがあり、サブイベントを進めることでポイントが上がり、
トモダチ度がアップするわけだ。
どう見てもサブイベント扱いだし、実際やらなくてもシナリオを進めることが出来た。
なのに、最後の最後で、「トモダチ度が5以上のトモダチを7人集めよ」と言われるのだ。
トモダチは全部で20人くらいいるので、人数的には問題ない。
問題はポイントだ。多くの場合、上げるには「サブ」イベントをこなす必要があるのだ。
この時点で全然サブではない、必須イベントになってしまうのである。

こういう作りにする場合、メインシナリオを進めるだけで必然的に
トモダチ度が5以上になるトモダチを7人用意しておくべきだろう。
その上で、サブイベントでポイント上げたトモダチも選べるようにする。
メインだけで5以上なるトモダチだとラスボスがやや強くなるが、
サブイベントをこなして選んだトモダチだと強力な支援を得られる……
そんな作りであるなら、誰もが納得できると思う。
はぁ。

おかげでラスボス直前で延々サブイベントをこなす羽目になった。
あ、もうサブじゃないか。必須イベント、釣り、とかね。はぁ。
やっぱダメだろこのゲーム。中盤以降やや好転した評価は、
最後になってやっぱり落ちてしまったのであった。
ラスボスは弱かった。
エンディングはちょっとあっさりし過ぎと思った。



少し褒めておくか。
音楽は、良かった。FF12を担当したことで有名な崎元氏がいい仕事をしていた。
他の有名スタッフは何をしていたんだ、と思うほど優れた仕事だった。
つっても、ゲーム自体がアレだから、名曲揃いとは感じないんだけどね。
……んー、キッチリ褒められるのはここだけかなぁ。
ダメだから、このゲーム。




はぁ。
細かい不満はまだまだある。
施設の看板が分かり難い、サブイベントの仕事がどれもつまらない、
装備品の意味が分かり難い、キメラの翼を使える場所が少なすぎる、
などなど。キリがないからこの辺にしておこう。

力作であれば、製作者の熱意と誠意を感じられれば、
ネタにされたことなんかどうでも良かった。
ゲーム内容が輝いていれば、「不当な扱いを受けたゲーム」として、
隠れた名作扱いで名を残したかもしれない。
だがこれではダメだ。間島さん、これじゃダメだよ。
俺は評価できないわ、このゲーム。



「なんでこうなっているのか?」
俺はいつも疑問に思うのである。
このゲームのトキオネのマップ。
FE新暗黒竜の外伝出現条件。
NINJA GAIDENⅡのバグパッチ放置。

どれも、価値観の違いを超えて、「普通に考えれば」、誰でもまずいと思う、と思うのだ。
誰がどう考えても、まずいと思う、と思うのだ。
それなのに、何故そんな状態で放置されたのだろう。
それが俺にはどうしても分からず、毎度毎度悩むことになるのだ。

人の間に価値観の違いがあることなど重々承知している。
また、例えばグラフィックが汚ければ、「綺麗にする技術もお金も
なかったんだろうな」と、納得できなくても理解はできる。
しかしトキオネマップの採用理由は理解できない。
どうしても理解できない。
……はぁ。

血の通ったゲームってなかなかないもんだ。
娯楽だし、楽しいが、どっか冷たい。寂しい。
俺と製作者は、割り切ったデジタルな関係ってやつなんだろう。
【こんな げーむに まじになっちゃって どうするの】
誰かがそう呟いた……。









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