発売時期、売り上げ、値崩れ、どれも「オプーナ」と
よく似ているタイトルだと思う。
だが「宝島Z」には、オプーナとは決定的に違う点がある。
評価だ。
絶賛。
まぁ多少低く見積もっても、大好評だったことは間違いない。
プレーヤーはもちろん、発売前にカプコンからサンプルを受け取った
任天堂が絶賛し、販売面においてバックアップしたという逸話を
忍大先生のブログで読んだ。
曰く、「Wiiリモコンをフル活用した、新時代の謎解きアドベンチャー」。
謎解きアドベンチャーは、個人的に好きなジャンルである。
それをWiiリモコンを活用して作り上げたのだ。
実に面白そうである。
都合良くと言っていいのか値崩れしたこともあり、1999円で購入。
さて。
クリアーまで辿り着いた結論は……
半分は期待通り、半分は期待外れ、かな。
このゲームは、俺も素直に絶賛したかったんだけどね……。
まず、期待通りの面白さだった所について。
これは「謎解きアドベンチャー」部分だ。
要するに「ゼルダの伝説」における謎解き部分だけを抽出したジャンルだ。
「ゲームで謎解き」は古くから存在する由緒ある遊びである。
ゼルダのようなゲームだけでなく、アクセント的に謎解き要素が存在する
ゲームは数限りなくある。テレビゲームの一つの基幹と言える要素だと思う。
一見するだけではわけの分からない謎を、必死に頭を捻り、
また試行錯誤を繰り返した末に解けた時の快感は何物にも変え難い。
このゲームは謎解きゲームとしては質・量ともに十分な出来栄えであった。
「よくこれだけのことを考えつくもんだ」と感心させられたものだ。
謎解きという要素には、「解けなければハマりになってしまう」
という欠点がある。
アクションなら何度も挑戦するうちに上手くなることもあるが、
謎は解けなければどうしようもないという側面がある。
そこで人に訊くとか、今ならネットで調べれば大体間に合うだろうが、
それは少し道が外れていると思う。
そこで、このゲームでは「ヒント機能」というハマリ回避手段を用意していた。
名の通り謎解きのヒントを貰えるというものだが、無制限ではない。
ヒントを貰うには、それ用のアイテムを購入する必要があるのだ。
アイテムはいつでも買えるが、そこそこ高い。
しかも買えば買うほど値段が高くなるので、
そうそう気軽に使いまくるわけにもいかない。
ただし、お金はクリア済みのステージに何度も挑めば、無限に入手できる。
よって面倒臭さを我慢すれば、ヒントは幾らでも貰えることになるのだ。
単純ながら良い調整だと思う。
もちろん、ヒントなんか要らないという人は、自力で進めればいいのだ。
無理に使う必要はない。使っても、ゲーム中に用意された手段だから、
別に後ろめたさを感じる必要はない。
謎解きの難度は非常に硬派(特に後半)だが、ガチガチのゲームにはせず、
きちんと誰もが楽しめるよう、そして納得できるよう救済手段を用意した。
謎解きゲームとしては最高、絶賛していいレベルだと思う。
そしてもう半分、期待外れだった部分。
これは「Wiiリモコンをフル活用した、新時代の~」だ。
Wiiを発売日に購入した俺だが、このハードが日本はおろか世界的にも
No.1の座を揺るぎなくしている現在においても、未だに「?」という
疑念が頭から離れない。
「Wiiリモコンって、そんなにいいものなのか?」。
今までプレーしたゲームには概ね満足している。
よってハードに不満があるわけではない。
しかし「FE暁の女神」「ゼルダの伝説トワプリ」「マリギャラ」
これらWiiで楽しめたタイトルは、だからと言ってWiiリモコンの良さを
俺に理解させてくれたものではなかった。
それどころか「旧来のコントローラーでいいんじゃないの?」という
疑念すら抱かせてしまったのだ。
この疑念は宝島Zにおいてもバッチリ当て嵌まってしまった。
確かにWiiを活用してはいるが、全然、新鮮だとも楽しいとも思えない。
「Wiiリモコンの使い方が謎解きの鍵だ!」と、データのロード中に
表示される。それだけ重要ということだ。
しかし実際は、リモコンの使い方で迷うことなど殆どない。
多くの場合、テキトーにやっていれば何とかなってしまうのだ。
例えば、ノコギリを使って木を切るという状況がある。
この場合、正解はWiiリモコンを縦に寝かせて持ち、前後に動かすというものだ。
だが実際は、テキトーにブラブラ動かしても反応する。
寧ろそっちの方が早く切ることができたほどだ。
こういった事態はリモコンを使う場面の殆どで発生する。
使い方が分からなければ出鱈目に回していればそのうち反応するし、
使い方が分かっていれば、本来の動きより楽で効率の良い動かし方を模索する。
ものすごくゲームのコンセプトから外れているが、
それで通用してしまうんだから仕方ない。
それと、話が矛盾するようだが、正しい使用法に則って動かしても
画面が反応せず、イライラさせられることも何度もあった。
もうこうなると、何が正解なのかさっぱり分からない。
確かに、調整が難しいとは思う。
あまりに認識がシビアだと、「正しい操作をしているつもりなのに反応しない!」
というプレーヤーが続出することになってしまうだろう(実際あった)。
従来のコントローラーなら誰がどんな状況で動かしても同じ信号がハードに届くが、
Wiiリモコンはそうではない。だからこんな事態になってしまうのだ。
本当に、このコントローラーは素晴らしいものなのだろうか?
残念ながら、この出来ではとても「Wiiリモコンをフル活用した~」
などとは謳えないだろう。
謎解きで悩むことは何度も何度もあったが、Wiiリモコンの使用法で
悩むことは一度もなかった。感度にイライラすることは非常に多かったが。
謎解きゲームとしての質は最高だが、Wiiリモコンを使用した
新世代のアドベンチャーだなんて全く言えないと思う。
実に期待通り半分、期待外れ半分であった。
これ、PS2で出てれば良かったのに。
そこまで思わせるWiiリモコンとは何なんだろう。
良いとこ悪いとこ半々と言いながら、もう少し悪いとこが続く。
操作性。これは相当に悪いと言えるのではないかと思う。
何が悪い? そう、Wiiリモコンだ。
最近DSのゲームでよく目にする、ポインタを使った移動を
このゲームでは採用している。
画面上の行きたい場所をポインタで指定すれば、
キャラがそこに移動するというものだ。
だがこれは、ペンやマウスという制御しやすいデバイスで指定できる、
DSタッチスクリーンやパソコンゲー向きの移動システムだと思う。
Wiiリモコンだと、どうしてもフラフラしてしまい、思った通りに動かせない。
それをゲーム性にしているならともかく、このゲームの場合はただの移動だ。
何故、ヌンチャクや十字キーを使わせてくれないのか。全く理解できない。
移動システムについては最悪であった。
復活手段について。
謎解きゲームなんだから、一発でステージをクリアーできることなどそうそうない。
何度も失敗し、やり直しては謎を解いていくのだ。
これが何度も挑戦できるタイプの謎ならいいんだが、このゲームには
失敗すると死んでしまう、いわゆるデストラップも数多く存在する。
そんな「一発で見抜けるわけのないデストラップ」に引っかかっても
ミスはミス、ゲームはやり直しとなる。
その際に、ミスの直前から再挑戦できるアイテムが存在するのだが……
困ったことに、これもヒントアイテムと同じく、店で買う必要があり、
しかも買う度に高くなっていくのだ。
ヒントに関しては、その程度の負担はあって当然だと思う。
しかし復活までこんな仕様になっているのはおかしいだろう。
変な言い方だが、このゲームのゲーム性においては、
ミスは失敗扱いすべきではないのだ。
寧ろミスからの復活はより潤滑にできるようにしておくべきだと思う。
このゲームで、初挑戦のステージを(序盤はともかく)、ノーミスで
クリアーしようと意気込む人はいないだろう。不可能だし。
ノーヒントで、なら大勢いるだろうが。
何故こういう仕様になったのだろうか。分からない。
理不尽なデストラップであっても、このゲームでは
引っかかっちゃいけないことになっている。
となれば挑戦前に復活アイテムを潤沢に用意するか、
若しくはミスの度にステージの最初からやり直すしかない。
いずれにしても、実に面倒臭い。
例えば。中盤くらいで復活を無限に出来るアイテムを用意するとか、
そういう配慮はできなかったのか。
この、製作者の「ミス」の捉え方については、疑問を抱かざるを得なかった。
そして、これは一概には言えないんだが……謎そのものについて。
概ね良い。頭を柔らかくし、ステージの状態をよく見れば、
正解がきちんと導き出せる作りになっている。見事なもんだと思う。
だが、終盤に入り、謎の難度が上がり、ステージが大きくなると……
やっぱり少し「理不尽だ」と感じる謎が出てきた。
謎の解法に納得がいかないのである。
同じカプコンの謎解きゲーで言うと、「逆転裁判」シリーズに近いものを感じた。
あのシリーズも好きで全作やっているが、理不尽な謎に不快感を
覚えることは毎度2~3回くらいはある。
謎解きゲーは謎がどんなに難しくても、答えが論理的に導き出せるように
していなければならない。そうでないと、ゲームの根底が成り立たない。
その根底に納得がいかないことがあるのだ。
逆転裁判で、証拠となるアイテムを提示した。
しかしサイバンチョは受け入れてくれず、ミス扱いされてしまう。
だが、俺は、俺がその場にいれば、そのアイテムを使い、論理的に
証拠であることを説明することが出来るのだ。自信があるのだ。
「なんでこれが間違いなんだよ!」と憤ってしまう。
その後、「正解」を知った時、俺は実感する。
「ああ、必要とされているのは、あくまでゲーム内での正解なんだな」と。
ゲーム中で謎を解いてるのは俺ではなく、ナルホドでありオドロキなのだ。
「プログラムされた」彼らの答えられる正解で
なければ、どんなに論理的だろうと、厳然と不正解なのである。
同じ理不尽さは、やはりこのゲームでも存在した。
例えば、手が届かない位置にあるレバーを引きたいとする。
ゲーム中での正解は、マジックハンドを使って引くことだ。
だが俺だったら、他に手に入るアイテムを使って幾らでも
他の手段を考えることが出来る。
例えば、壷を足場にして高さを得る、とか。
そんな俺の「柔軟な思考」を、ゲームは一切求めない。
求めているのは製作者が決めた正解だけなのである。
まぁこれは、不満ではあるが仕方ない所だとも思う。
ゲームはゲームなんだから。リモコン感度やらの不満とは違う。
実際、ステージが小さければ、謎が難しくてもこういう
ことは考えなかった。
問題は、規模がかなり大きい高難度ステージだ。
この理不尽さを避ける為にも、終盤においても、
ステージの規模にはもう少し気を配ってもらいたかった。
ステージが大きいと、余計なことに思考と目が行ってしまうのだ。
んー、まぁ、んー。
自分で言っておいてなんだが、これは調整が難しいよなぁ……。
キャラについて。
意外と、このゲームが売れなかった理由はここにあるのかもしれない。
正直、良くないと思う。何より主人公ザックが。
「大海賊を夢見る、海賊団の下っ端少年」。非常にありがちである。
それはいいんだが、デザインが良くない。
好感が持てないし、派手なよう地味。
いっそカプコンの既存キャラを使用した方がよかったのではないか。
そう思いたくなるほど地味である。印象に残らない。
メチャクチャだが、オプーナがこのゲームの主人公だったら、
結構良かったかもなぁ、なんて妄想をした。
まぁザックは主人公だから、敢えて地味にしてあるんだろうけどね……。
サブキャラも、ザックと同じく「ありがち」なキャラで固めてある。
だがザックよりはまだキャラが立っていて、ステージ感のデモでは
賑やかなやり取りが楽しめる。
お調子者の協力者ジョニー、タカビーお嬢様にしてライバル海賊のローズ、
どちらも楽しいキャラだった。
欲を言えば、ローズにデレが欲しかったかな?
ゲーム中にボイスはあるが、フルボイスではない。
最近たまに見かける「一言ボイス制」とでも呼べばいいのかな?
例えば「ザック! 待ちなさいよ!」というメッセージが表示されると、
「ザック!」だけを喋るのだ。
この手法もあっていいと思うが、このゲームに関しては素直にフルボイス
にした方が良かったと思う。容量が足りないわけでもないだろうし。
まぁこれは好き好きだな。
物語は、キャラが王道だけに、王道。
そこに主眼はないから、正直どうでもいい。
ゲームの雰囲気、世界設定は、ありがちながらよく出来ていると思う。
グラフィック、音楽、その他が綺麗に噛み合っていた。
謎解きの仕掛けを絡めながらそういう雰囲気を出すのは大変だったことだろう。
製作者のセンスが良い。
ンなとこか。
半々と言いながら随分不満が多くなってしまった。
力作であることは間違いない。普通に売れていいタイトルだ。
このゲームが売れなかったことで、いわゆる「Wiiサードタイトル問題
(勝手に命名)」が相当深刻であることがよく分かる。
DSでもそうだった「任天堂ソフトしか売れない」状況が、
Wiiでは更に顕著なのである。最早洒落になっていないと思う。
単純に売れるソフトを作らないサードが悪いというのもあるだろう。
任天堂の、市場作りに対する配慮が足りないという事情もあると思う。
何にしても、そろそろ何とかなってもらいたいもんである。
つっても、個人的には、リモコンへの疑念があるからなぁ……。
DSに関してはサードソフトも普通に買えるけどなぁ。
あ、そうそう、物議を醸したアンケート葉書を見たが、
確かに「所有ハードに○をつけて下さい」の項目に、PS3はなかったわ。
これはさすがにどうかと思うぞ、カプコン。
単純ミスであると思いたい。
クリア後は隠し宝箱のフラグが開放され、まだまだ楽しむことができる。
また、ステージ中の色んな箇所にアイテムが隠してあり、
それを集める要素もある。
謎解きゲーは一回クリアすれば終わりというものが多いが、
このゲームはやり込み要素の充実にかなり気を配っている。
ここは大きく評価していいと思う。
でも個人的にはちょっと疲れたんで、ここで終える。
ヒントは使わないつもりだったが、結局2回だけ負けてしまった。
まぁ誤差の範囲と言っておこう。ごめんなさい。
不満はあったが、1週間みっちり楽しませてもらったよ。
続編の余地は大いにあると思うが、
売り上げを考慮すれば、あまり期待は持てそうにない。
でもここは宣言しておこう。
続編出たら、発売後すぐに買います。
投売りや中古で買ったゲームを楽しめたなら、
その次回作にはキッチリ金を落とす。なるべく。
でなきゃ、製作者に対して余りにも不誠実だ。
と、取って付けたようなオタ倫理を見せておく。
まぁとにかく、頑張って作って下さい。
移動システムだけは、絶対に改良して下さい。
そして何より、俺のWiiリモコン観を覆して下さい。
投げちゃいけないとしつこく注意されるのに、
投げたくなることばっかしだなんて悲しすぎるよ。
はぁ……。
拍手を送る
よく似ているタイトルだと思う。
だが「宝島Z」には、オプーナとは決定的に違う点がある。
評価だ。
絶賛。
まぁ多少低く見積もっても、大好評だったことは間違いない。
プレーヤーはもちろん、発売前にカプコンからサンプルを受け取った
任天堂が絶賛し、販売面においてバックアップしたという逸話を
忍大先生のブログで読んだ。
曰く、「Wiiリモコンをフル活用した、新時代の謎解きアドベンチャー」。
謎解きアドベンチャーは、個人的に好きなジャンルである。
それをWiiリモコンを活用して作り上げたのだ。
実に面白そうである。
都合良くと言っていいのか値崩れしたこともあり、1999円で購入。
さて。
クリアーまで辿り着いた結論は……
半分は期待通り、半分は期待外れ、かな。
このゲームは、俺も素直に絶賛したかったんだけどね……。
まず、期待通りの面白さだった所について。
これは「謎解きアドベンチャー」部分だ。
要するに「ゼルダの伝説」における謎解き部分だけを抽出したジャンルだ。
「ゲームで謎解き」は古くから存在する由緒ある遊びである。
ゼルダのようなゲームだけでなく、アクセント的に謎解き要素が存在する
ゲームは数限りなくある。テレビゲームの一つの基幹と言える要素だと思う。
一見するだけではわけの分からない謎を、必死に頭を捻り、
また試行錯誤を繰り返した末に解けた時の快感は何物にも変え難い。
このゲームは謎解きゲームとしては質・量ともに十分な出来栄えであった。
「よくこれだけのことを考えつくもんだ」と感心させられたものだ。
謎解きという要素には、「解けなければハマりになってしまう」
という欠点がある。
アクションなら何度も挑戦するうちに上手くなることもあるが、
謎は解けなければどうしようもないという側面がある。
そこで人に訊くとか、今ならネットで調べれば大体間に合うだろうが、
それは少し道が外れていると思う。
そこで、このゲームでは「ヒント機能」というハマリ回避手段を用意していた。
名の通り謎解きのヒントを貰えるというものだが、無制限ではない。
ヒントを貰うには、それ用のアイテムを購入する必要があるのだ。
アイテムはいつでも買えるが、そこそこ高い。
しかも買えば買うほど値段が高くなるので、
そうそう気軽に使いまくるわけにもいかない。
ただし、お金はクリア済みのステージに何度も挑めば、無限に入手できる。
よって面倒臭さを我慢すれば、ヒントは幾らでも貰えることになるのだ。
単純ながら良い調整だと思う。
もちろん、ヒントなんか要らないという人は、自力で進めればいいのだ。
無理に使う必要はない。使っても、ゲーム中に用意された手段だから、
別に後ろめたさを感じる必要はない。
謎解きの難度は非常に硬派(特に後半)だが、ガチガチのゲームにはせず、
きちんと誰もが楽しめるよう、そして納得できるよう救済手段を用意した。
謎解きゲームとしては最高、絶賛していいレベルだと思う。
そしてもう半分、期待外れだった部分。
これは「Wiiリモコンをフル活用した、新時代の~」だ。
Wiiを発売日に購入した俺だが、このハードが日本はおろか世界的にも
No.1の座を揺るぎなくしている現在においても、未だに「?」という
疑念が頭から離れない。
「Wiiリモコンって、そんなにいいものなのか?」。
今までプレーしたゲームには概ね満足している。
よってハードに不満があるわけではない。
しかし「FE暁の女神」「ゼルダの伝説トワプリ」「マリギャラ」
これらWiiで楽しめたタイトルは、だからと言ってWiiリモコンの良さを
俺に理解させてくれたものではなかった。
それどころか「旧来のコントローラーでいいんじゃないの?」という
疑念すら抱かせてしまったのだ。
この疑念は宝島Zにおいてもバッチリ当て嵌まってしまった。
確かにWiiを活用してはいるが、全然、新鮮だとも楽しいとも思えない。
「Wiiリモコンの使い方が謎解きの鍵だ!」と、データのロード中に
表示される。それだけ重要ということだ。
しかし実際は、リモコンの使い方で迷うことなど殆どない。
多くの場合、テキトーにやっていれば何とかなってしまうのだ。
例えば、ノコギリを使って木を切るという状況がある。
この場合、正解はWiiリモコンを縦に寝かせて持ち、前後に動かすというものだ。
だが実際は、テキトーにブラブラ動かしても反応する。
寧ろそっちの方が早く切ることができたほどだ。
こういった事態はリモコンを使う場面の殆どで発生する。
使い方が分からなければ出鱈目に回していればそのうち反応するし、
使い方が分かっていれば、本来の動きより楽で効率の良い動かし方を模索する。
ものすごくゲームのコンセプトから外れているが、
それで通用してしまうんだから仕方ない。
それと、話が矛盾するようだが、正しい使用法に則って動かしても
画面が反応せず、イライラさせられることも何度もあった。
もうこうなると、何が正解なのかさっぱり分からない。
確かに、調整が難しいとは思う。
あまりに認識がシビアだと、「正しい操作をしているつもりなのに反応しない!」
というプレーヤーが続出することになってしまうだろう(実際あった)。
従来のコントローラーなら誰がどんな状況で動かしても同じ信号がハードに届くが、
Wiiリモコンはそうではない。だからこんな事態になってしまうのだ。
本当に、このコントローラーは素晴らしいものなのだろうか?
残念ながら、この出来ではとても「Wiiリモコンをフル活用した~」
などとは謳えないだろう。
謎解きで悩むことは何度も何度もあったが、Wiiリモコンの使用法で
悩むことは一度もなかった。感度にイライラすることは非常に多かったが。
謎解きゲームとしての質は最高だが、Wiiリモコンを使用した
新世代のアドベンチャーだなんて全く言えないと思う。
実に期待通り半分、期待外れ半分であった。
これ、PS2で出てれば良かったのに。
そこまで思わせるWiiリモコンとは何なんだろう。
良いとこ悪いとこ半々と言いながら、もう少し悪いとこが続く。
操作性。これは相当に悪いと言えるのではないかと思う。
何が悪い? そう、Wiiリモコンだ。
最近DSのゲームでよく目にする、ポインタを使った移動を
このゲームでは採用している。
画面上の行きたい場所をポインタで指定すれば、
キャラがそこに移動するというものだ。
だがこれは、ペンやマウスという制御しやすいデバイスで指定できる、
DSタッチスクリーンやパソコンゲー向きの移動システムだと思う。
Wiiリモコンだと、どうしてもフラフラしてしまい、思った通りに動かせない。
それをゲーム性にしているならともかく、このゲームの場合はただの移動だ。
何故、ヌンチャクや十字キーを使わせてくれないのか。全く理解できない。
移動システムについては最悪であった。
復活手段について。
謎解きゲームなんだから、一発でステージをクリアーできることなどそうそうない。
何度も失敗し、やり直しては謎を解いていくのだ。
これが何度も挑戦できるタイプの謎ならいいんだが、このゲームには
失敗すると死んでしまう、いわゆるデストラップも数多く存在する。
そんな「一発で見抜けるわけのないデストラップ」に引っかかっても
ミスはミス、ゲームはやり直しとなる。
その際に、ミスの直前から再挑戦できるアイテムが存在するのだが……
困ったことに、これもヒントアイテムと同じく、店で買う必要があり、
しかも買う度に高くなっていくのだ。
ヒントに関しては、その程度の負担はあって当然だと思う。
しかし復活までこんな仕様になっているのはおかしいだろう。
変な言い方だが、このゲームのゲーム性においては、
ミスは失敗扱いすべきではないのだ。
寧ろミスからの復活はより潤滑にできるようにしておくべきだと思う。
このゲームで、初挑戦のステージを(序盤はともかく)、ノーミスで
クリアーしようと意気込む人はいないだろう。不可能だし。
ノーヒントで、なら大勢いるだろうが。
何故こういう仕様になったのだろうか。分からない。
理不尽なデストラップであっても、このゲームでは
引っかかっちゃいけないことになっている。
となれば挑戦前に復活アイテムを潤沢に用意するか、
若しくはミスの度にステージの最初からやり直すしかない。
いずれにしても、実に面倒臭い。
例えば。中盤くらいで復活を無限に出来るアイテムを用意するとか、
そういう配慮はできなかったのか。
この、製作者の「ミス」の捉え方については、疑問を抱かざるを得なかった。
そして、これは一概には言えないんだが……謎そのものについて。
概ね良い。頭を柔らかくし、ステージの状態をよく見れば、
正解がきちんと導き出せる作りになっている。見事なもんだと思う。
だが、終盤に入り、謎の難度が上がり、ステージが大きくなると……
やっぱり少し「理不尽だ」と感じる謎が出てきた。
謎の解法に納得がいかないのである。
同じカプコンの謎解きゲーで言うと、「逆転裁判」シリーズに近いものを感じた。
あのシリーズも好きで全作やっているが、理不尽な謎に不快感を
覚えることは毎度2~3回くらいはある。
謎解きゲーは謎がどんなに難しくても、答えが論理的に導き出せるように
していなければならない。そうでないと、ゲームの根底が成り立たない。
その根底に納得がいかないことがあるのだ。
逆転裁判で、証拠となるアイテムを提示した。
しかしサイバンチョは受け入れてくれず、ミス扱いされてしまう。
だが、俺は、俺がその場にいれば、そのアイテムを使い、論理的に
証拠であることを説明することが出来るのだ。自信があるのだ。
「なんでこれが間違いなんだよ!」と憤ってしまう。
その後、「正解」を知った時、俺は実感する。
「ああ、必要とされているのは、あくまでゲーム内での正解なんだな」と。
ゲーム中で謎を解いてるのは俺ではなく、ナルホドでありオドロキなのだ。
「プログラムされた」彼らの答えられる正解で
なければ、どんなに論理的だろうと、厳然と不正解なのである。
同じ理不尽さは、やはりこのゲームでも存在した。
例えば、手が届かない位置にあるレバーを引きたいとする。
ゲーム中での正解は、マジックハンドを使って引くことだ。
だが俺だったら、他に手に入るアイテムを使って幾らでも
他の手段を考えることが出来る。
例えば、壷を足場にして高さを得る、とか。
そんな俺の「柔軟な思考」を、ゲームは一切求めない。
求めているのは製作者が決めた正解だけなのである。
まぁこれは、不満ではあるが仕方ない所だとも思う。
ゲームはゲームなんだから。リモコン感度やらの不満とは違う。
実際、ステージが小さければ、謎が難しくてもこういう
ことは考えなかった。
問題は、規模がかなり大きい高難度ステージだ。
この理不尽さを避ける為にも、終盤においても、
ステージの規模にはもう少し気を配ってもらいたかった。
ステージが大きいと、余計なことに思考と目が行ってしまうのだ。
んー、まぁ、んー。
自分で言っておいてなんだが、これは調整が難しいよなぁ……。
キャラについて。
意外と、このゲームが売れなかった理由はここにあるのかもしれない。
正直、良くないと思う。何より主人公ザックが。
「大海賊を夢見る、海賊団の下っ端少年」。非常にありがちである。
それはいいんだが、デザインが良くない。
好感が持てないし、派手なよう地味。
いっそカプコンの既存キャラを使用した方がよかったのではないか。
そう思いたくなるほど地味である。印象に残らない。
メチャクチャだが、オプーナがこのゲームの主人公だったら、
結構良かったかもなぁ、なんて妄想をした。
まぁザックは主人公だから、敢えて地味にしてあるんだろうけどね……。
サブキャラも、ザックと同じく「ありがち」なキャラで固めてある。
だがザックよりはまだキャラが立っていて、ステージ感のデモでは
賑やかなやり取りが楽しめる。
お調子者の協力者ジョニー、タカビーお嬢様にしてライバル海賊のローズ、
どちらも楽しいキャラだった。
欲を言えば、ローズにデレが欲しかったかな?
ゲーム中にボイスはあるが、フルボイスではない。
最近たまに見かける「一言ボイス制」とでも呼べばいいのかな?
例えば「ザック! 待ちなさいよ!」というメッセージが表示されると、
「ザック!」だけを喋るのだ。
この手法もあっていいと思うが、このゲームに関しては素直にフルボイス
にした方が良かったと思う。容量が足りないわけでもないだろうし。
まぁこれは好き好きだな。
物語は、キャラが王道だけに、王道。
そこに主眼はないから、正直どうでもいい。
ゲームの雰囲気、世界設定は、ありがちながらよく出来ていると思う。
グラフィック、音楽、その他が綺麗に噛み合っていた。
謎解きの仕掛けを絡めながらそういう雰囲気を出すのは大変だったことだろう。
製作者のセンスが良い。
ンなとこか。
半々と言いながら随分不満が多くなってしまった。
力作であることは間違いない。普通に売れていいタイトルだ。
このゲームが売れなかったことで、いわゆる「Wiiサードタイトル問題
(勝手に命名)」が相当深刻であることがよく分かる。
DSでもそうだった「任天堂ソフトしか売れない」状況が、
Wiiでは更に顕著なのである。最早洒落になっていないと思う。
単純に売れるソフトを作らないサードが悪いというのもあるだろう。
任天堂の、市場作りに対する配慮が足りないという事情もあると思う。
何にしても、そろそろ何とかなってもらいたいもんである。
つっても、個人的には、リモコンへの疑念があるからなぁ……。
DSに関してはサードソフトも普通に買えるけどなぁ。
あ、そうそう、物議を醸したアンケート葉書を見たが、
確かに「所有ハードに○をつけて下さい」の項目に、PS3はなかったわ。
これはさすがにどうかと思うぞ、カプコン。
単純ミスであると思いたい。
クリア後は隠し宝箱のフラグが開放され、まだまだ楽しむことができる。
また、ステージ中の色んな箇所にアイテムが隠してあり、
それを集める要素もある。
謎解きゲーは一回クリアすれば終わりというものが多いが、
このゲームはやり込み要素の充実にかなり気を配っている。
ここは大きく評価していいと思う。
でも個人的にはちょっと疲れたんで、ここで終える。
ヒントは使わないつもりだったが、結局2回だけ負けてしまった。
まぁ誤差の範囲と言っておこう。ごめんなさい。
不満はあったが、1週間みっちり楽しませてもらったよ。
続編の余地は大いにあると思うが、
売り上げを考慮すれば、あまり期待は持てそうにない。
でもここは宣言しておこう。
続編出たら、発売後すぐに買います。
投売りや中古で買ったゲームを楽しめたなら、
その次回作にはキッチリ金を落とす。なるべく。
でなきゃ、製作者に対して余りにも不誠実だ。
と、取って付けたようなオタ倫理を見せておく。
まぁとにかく、頑張って作って下さい。
移動システムだけは、絶対に改良して下さい。
そして何より、俺のWiiリモコン観を覆して下さい。
投げちゃいけないとしつこく注意されるのに、
投げたくなることばっかしだなんて悲しすぎるよ。
はぁ……。
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