オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

記憶と写真の中で走り続ける

2023年05月27日 | オートバイ
 オートバイを乗り換えることにはなったものの,昨今の市場の情勢からまだ新しいオートバイは手元になく,一月ばかりが経過した.オートバイがないだけで週末がこれほど寂しいものになるとは思いもしなかった.そんな訳で,5年間の相棒だったオートバイと関西に来てからよく走った場所を記録しておきたいと思う.



荒船海岸
 ここは和歌山県田原の海沿いの道だ.もともとは集落やキャンプ場があってのどかな場所だったが,ロケット発射場が建設されてからは無人地帯となっている.その名前の通り,海岸線の前を荒々しく波が打ち付ける.その目の前をオートバイで走ることができるお気に入りの道だ.

* * *



二木島湾
 三重県南部熊野のリアス式海岸が続く二木島湾と言えば,楯ヶ崎を外すことはできない.陸地からは柱状節理の楯ヶ崎は見えないが,二木島湾東端に突き出た英虞崎が印象的だ.真っ青で穏やかな熊野灘もすばらしい.

* * *



紀伊半島の県道
 紀伊半島のど真ん中を貫く県道も印象が強く残っている.鬱蒼と生い茂る暖地性植物と高い樹木に囲まれた狭い道が南北に続く.途中に1.7メートルほどの極小路や物々しい廃屋が現れたりと,オートバイで走るには冒険心をくすぐられるところだ.国道の方のシニゴー線もよく走ったものだ.

* * *



池原ダム
 ここはツーリングの時にR169を南下して,休憩がてら必ず立ち寄る場所だ.山深い場所にダムがぽっかりと口を開けていて,張り詰めた静けさと相まって,なにか不思議な感じがする.そして,堰堤の先には尾鷲に抜ける開かずの国道,シニゴー線が続く.

* * *



波田須
 三重県は熊野のリアス式海岸の終着地点で,その少し南からは七里御浜海岸が続く.海岸から海まで急斜面になっているが,熊野灘と徐福の宮のクスノキを背景に波田須の民家が建ち並ぶ.ここの風景を見ると,心が洗われる気がして,何度立ち寄ったか分からないくらいだ.

* * *



尾鷲港
 静かな港町の尾鷲は,不思議と引き付けられてしまう魅力がある.Cの字型した尾鷲湾の正面には防波堤が続き,釣り人たちのシルエットが美しい.そして,その背後には何とも言えない形の佐波留島が浮かんでいる.コロナ禍になってからは,この景色を見ながら,係留杭に腰掛けてよく食事をしたものだ.

* * *



和束町
 ツーリングの出発と終わりは,自宅の場所の関係上,いつも和束町だ.四季折々,そして,朝から晩までいろいろな茶畑の風景を5年間もの間見てきたが,いまだに飽きることはない.一年を通して変化する茶畑の色と茶畑の曲線美が織りなすのは,芸術作品といっても過言でないと思う.このオートバイは毎週,この風景の中を駆け抜けることができた最初で最後のライムグリーンで,5年間で8万キロメートルも酷使されたが,とても恵まれていたと思う.

コメントを投稿