剣峠の北側の連続する九十九折れを走り切って,ようやく峠の切り通しへと辿り着いた.峠の切り通しを通過して,南側の南伊勢町側へと入る.この剣峠の切り通しは,冬でも常緑の木々たちがアーチを作っており,雰囲気が中々いい.
周知の通り,峠には剣の形を模した石碑がある.実際に自分の目を通して見ると,石碑は意外と大きくて立派なものだった.剣峠に来た記念として,お決まりのように石碑と一緒にオートバイの写真を撮ってみた.
石碑によると,この道は明治三十二年に伊勢へ通じる近道として出来たそうだ.そして,当時は峠に茶屋もあり,生活道路として徒歩や馬で往来する人々で賑わったという.今は整備された便利な道が他にあるので,この峠道を使うのは地元住民だけかもしれない.
峠の名は,小説家であり阪大教授でもあった足立巻一(1913―1985)が,この地に立った時の感興を剣峠と題して書いたことに由来しているそうだ.元々は椿の純林があったことから,椿峠と言われていたという.
峠からは熊野灘を眺めることができる.きつい坂道を登って来た旅人たちにとって,峠から見える海は何よりのご褒美であったに違いない.時刻はちょうど正午を回ったところで,太陽からの光が海に反射して,白く,そして眩しく輝いていた.
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