早朝,暗かった空が太陽の上昇と共に白んできた.朝から強烈な陽射しですでに暑く,真夏日を予感させる一日の始まりだった.大根島を背にしながら,島根半島の東端,地蔵崎を目指してオートバイを走らせた.
島根半島の東端は,岬になっており,美保関(みほのせき)と呼ばれている.東端の地蔵崎には,明治38年に完成した石造りの美保関灯台がある.灯台に隣接している建屋は,元は灯台職員の官舎で,今はレストランになっている.
道路は,灯台の手前で行き止まりとなり,大きな駐車場になっている.自動車が数台止まっているだけだったので,灯台まで歩いてみることにした.地蔵崎からの眺望は抜群で,碧い真夏の日本海が広がっていた.
そして,灯台の下まで行ってみたものの,コロナ禍の影響か,それとも朝早過ぎたせいか,灯台への入り口は,門戸が閉ざされていた.残念ながら,石造りの灯台を間近で見ることはできなかった.灯台は,強い日差しを反射して,眩しいほど真っ白に輝いていた.
灯台を後にして,もう一度,美保関町まで戻ってきた.美保関町は,江戸時代に風待ち港として栄えたと言われている.港町であり,通りには大正・昭和時代を彷彿とさせる旅館や老舗が並んでいる.数々の文豪が訪れた町だそうだ.ゆっくりと散策でもしてみたかったが,暑さがそうはさせてくれなかった.
あまりの暑さに,美保関町から島根半島を海沿いに西へ向かって走り出した.島根半島は,美保関町から出雲市まで東西に65キロメートル続いており,典型的なリアス式海岸となっている.
美保関の日本海側には,小さな入り江が幾つもあって,小さな集落と漁港がある.紀伊半島にも小さな入り江の港町があるけれど,美保関の才浦や軽尾の港町はもっと小さくて静かなところだった.
そして,美保関の海岸線を走っていると,時折,胸が高鳴るような青い海が突然視界に現われる.暑くてたまらないけれど,立ち止まらずにはいられなかった.美保関の真夏の海は,とてもきれいだった.
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