夜遅くから明け方まで,しとしと降り続いていた雨もあがったようなので,どこ行く当てもなくオートバイを走らせた.市街から深い霧が発生しており,幻想的な白い世界が広がっていた.
和束町へと抜ける峠の途中に,和束町を一望できるコーナーがあるのだけれど,町には真っ白な雲海が下りていた.和束町のシンボルでもある茶畑に囲まれた古墳,安積親王陵墓(あさかしんのうりょうぼ)も雲海の下に隠れてしまっていた.
雲海の下にある和束町へと入り,お決まりのように交通量の少ない三国越林道へと向かった.いつもオートバイを停めて休憩する桜の木の下で,ヘルメットを脱いで朝の空気を堪能していると,急に霧が晴れてきた.同時に,太陽が山の下から顔を出してきた.
山深い三国越林道を進んで行くと,木々の間からスポットライトのような陽射しが差していた.霧は晴れたように見えても,まだ目に見えない雨滴が漂っていて,それらが太陽からの光を白く散乱させているようだった.
雨上がりの朝,高い木立に囲まれた道を走るのはとても気持ちがいい.冷え込みも弱くて,霧が晴れ,太陽が昇ると,季節外れの暖かさになった.三国越林道を駆け抜けて,多羅尾を経由し,再度,和束町へと向かった.
和束町へと向かいながら,雨上がりの奥山田射場線の茶畑は,きっと素晴らしい雰囲気だろうと急に思い浮かんだ.目的の場所へやって来ると,朝日の優しい光が茶畑に差し込んでおり,濡れた杉の枝葉はきらきらと輝いていた.
雨上がりの茶畑は,とても幻想的な雰囲気だった.ここでオートバイを停めて,しばらくの間,カメラを手にして,色々な角度で景色を切り取ってみた.しかし,結果はあまり芳しくなかった.
奥山田射場線を北上し,鷲峰山線を経由して,自宅に戻ることにした.鷲峰山はスギやヒノキが多く,ほとんど紅葉は見込めないけれど,落葉樹林が少しだけ色付いていた.結局,今年も紅葉とは縁がなく終わりそうである.
鷲峰山線の鬱蒼とした山の中を走り抜けると,朝の幻想的な景色が嘘のように,空は青く晴れ渡っていた.
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