この冬一番の寒さの中,三国越林道では,ここまでオートバイはおろか,対向車すら見かけなかった.残雪もなく童仙房の山村まで無事に到着した.とても狭い農道を越えていき,今では珍しくなったという茅葺き屋根の社,六所神社を訪れた.鳥居を前にしただけで,気持ちが引き締まってくるような気がした.
鳥居の前で一礼をしてから,100メートルくらいある参道を歩いて行く.鳥居の方を振り返ってみると,整然と並んだ高い木々に囲まれた空間は,独特の雰囲気を醸し出していた.参道にて,暫くの間,立ちすくんでしまうのだった.
気温はおそらく1℃前後だろう.音のしない凍てつく空間,神々しい雰囲気の参道をゆっくりと歩いて行くと,雪をかぶった茅葺き屋根の社が見えてきた.想像をはるかに超えるその存在感に気持ちが昂ってきた.
拝殿の茅葺屋根には,少しだけ雪が積もっていた.手がかじかむ様な寒さの中でも,手水舎で身を清めてから参拝をすることにした.ここにいると,一体自分が何者であるのか,不思議に思えてくるような気がした.
江戸中期に創建されたと言われる本殿や覆屋は、山城地方では稀な形式を持つものであり、京都府の有形文化財に登録されているそうだ.色褪せた本殿の朱色の柵が,侘しい冬景色の中に独特のアクセントを加えていて,とても美しく見えた.
六所神社で長居したため,体がすっかり芯から冷え切ってしまった.これ以上は寒さに耐えきれず,帰路へと向かうことにした.それでも小雪のちらつく中,いつもと違った景色が見れると思って,宇治田原町と和束町をつなぐ舗装林道,鷲峰山線へと寄り道を敢行するのだった.
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