緊急事態宣言が解除されて初めての休日,溜まっていた疲れが一気に出たようで,珍しく午前中は朝寝坊してしまった.緊急事態宣言が解除されたとはいえ,まだまだ予断を許さないが,午後からオートバイで山の空気を吸いに和束町へと向かった.
和束町へと向かう途中の峠にて,いつもの様に茶畑を見ながら一休みした.雲が多かったけれど,久しぶりに好天に恵まれて,スリーシーズンジャケットでは汗ばむ陽気となった.
茶畑を見ながら,どこまで行こうかと考えてみても,答えは出てこなかった.今日は出遅れてしまったし,最近は地図を携帯していないので,気の向くままにオートバイを走らせることにした.
とは言っても,交通量の少ない道を走るには,和束町を南下して,木屋峠手前を東へと進んで,三国越林道に行くより選択肢はなかった.ここはもう交通量がゼロと言ってもいいほどで,茶畑を行き来する軽トラックと時折すれ違う程度だ.
そして,ここ最近は,木陰となっている路肩にスペースがある場所を見つけては,オートバイを停めて,若葉越しに空を仰いだり,写真を撮ったりするのがお決まりになってしまった.特にこの日は暑かったので,木陰はひんやりしていて,とても気持ちがよかった.
ちょこっと走っては,ちょこっと休んでを繰り返しながら,三国越林道を進んで行くと,あっと言う間に童仙房高原,そして,野殿までたどり着いてしまった.この辺りは標高500メートルほどあって,さわやかな風が吹いていた.今が一番に心地のよい時かもしれない.
そして,村の南側の入り口には,弁天池と言う小さな池がある.池の中央には,祠があって,水の神様が祀られている.蛙がひっきりなしに鳴いており,たまに魚が跳ねて水面をたたく音がした.そういえば,少し前に一度だけ,早朝に水鏡となった神秘的な弁天池を見たことがあった.
弁天池で休憩した後は,そのまま南へ山を降りて,国道163号線を経由し,久しぶりに高山ダムまで足を伸ばしてみた.普段は滅多に人がいないダムの天端入口に,オートバイや自動車が止まっていて,景色を見ながら談笑する人達がいた.皆考えることは同じなのかもしれない.天端へは行かずに,ダムの少し南側にある展望のよい所で月ヶ瀬湖を眺めてから,暑さにたまらず家路へと向かうことにした.緊急事態宣言解除後の夏のような一日だった.
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