織内将男の山旅の記録

若かりし頃よりの山旅の記録です・・!!

立山・剱岳「天の記」(17) 「剱岳山頂と標高」

2009年07月22日 | 立山・剣岳




写真:剱岳山頂と祠・2枚(昭和46年8月現在、 当時の古い写真をデジカメで再撮影したもの)
写真:剱岳山頂と祠(左・平成20年遷座、右・平成10年頃の祠)
写真:剱岳山頂の三角点(点標高・2997m)


立山・剱岳「天の記」(17) 「剱岳山頂と標高」

剣岳の標高と三角点の経緯・・、
ところで、小生が登頂した当時(昭和46年)の剱岳山頂の標高指標には、写真のように「3003m」と刻してあった。
明治期の測量で、測量隊が山頂には立ったものの岩場の険しさから重い三角点標石を運び上げることができず三等三角点の設置を断念し、標石のない四等三角点としたという。 そのため三角点の設置場所を記載、作成されなかった。 だがこの時、測量隊が周辺の山々からの観測によって山頂の独立標高点を2998mと計算し、記録しているという。
その後、大正時代の航空測量では、剣岳3003mであったらしい。 これ以降、山頂表記には3003mとしてあり、物の本やお土産用のペナントには3003mとして表示していた。 
その後、昭和の測量では再び2998mとなったらしい。
新田次郎著「剣岳・点の記」の文春文庫版・巻末解説で瓜生卓造氏(作家・登山、探検をテーマとする作品多数)は次のように述べてい・、
『剱岳の標高は長く3003mメ-トルとされていた。2998メ-トルと正確な数字が割り出されたのは、昭和四十年代になってからである・・』 としている。
因みに、立山(雄山)の標高も3003mであり、偶然にも暫くの間は立山と剣は同じ標高であった。

国土地理院は、「剱岳測量100 周年記念事業」の一環として、ごく近年の平成(2004年)になって山頂付近に漸く正式な三等三角点が設置され、「点の記」が付された。 最新測量法のGPS測量(GPS人工衛星の電波を受信しながら高精度の測量を行う)により剱岳の「三等三角点」の標高を2997.07mとし、「剱岳」の最高点の標高が2999m(2998.6mを四捨五入)であることが決められた。
この折、国土地理院により作成された三等三角点・剱岳の「点の記」には、選点日時として「明治40年7月13日」の日付が記され、選点者として明治の測量技師・柴崎芳太郎の名が記載されたという。
それにしても、当時の原始的な・・?三角測量で計測した結果が、GPS等の近代的な機器を駆使しての結果とほぼ同じ数値であった事は驚きである・・!!。 
ところで、3,000mという真の整数でなく、1m満たない2,999mというのが何かを暗示させているようで「剣岳」によく似合って良い。 
『 2つとないぐらい3散(ざん)9労する山 』であろう。 

本年(2009年)映画にもなった新田次郎の小説「剱岳・点の記」は、測量官・柴崎芳太郎一行が1908年7月(明治40年)、当時未踏峰と考えられていた剣岳に登頂する話である。 
大変な苦労をして登頂を果たしてみると、しかし、そこには錫杖の頭や剣の先があり、既に大昔、誰かが登っていた証拠が残されていた。 これは1,000年も前の奈良期のものと推定されているが・・?、 だが、一方では信頼できる確証は無いともされている。 尚、この錫杖の頭と剣の先は、昭和34年に重要文化財に指定されている。
この時、ガイドとして同行したのが、かの「宇治長治郎」であり本峰南東部に横たわる最大の谷筋である雪渓ルートから登頂に成功している。 この時の彼の登頂を記念して、登行ルートの谷を「長次郎谷」と名付けられた。 彼はその後、剣岳や黒部峡谷の全域も踏破し、名ガイドとして尊敬された。

次回は、「点の記」


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