



写真:一服剣と付近から見る前剣の岩峰
立山・剱岳「天の記」(13) 「登行 一服剣」
ゾクゾクするようなこの峰、何時まで経っても見飽きることのない山・・!、この感覚はやはり只者ではない山である。 しかし、このようなセンチメンタルな感傷には慕ってはいられない。この山には明日は是が非でもアタックするのだ。
明日の天気を考えると是非晴れてほしい、穏やかであった欲しいとは思う。 だが、相手は気ままな自然である、峰からくる拒否反応もあるだろうし、威圧的に敬遠されるかもしれない。 しかし、われ等は精神一到、多少の悪天候は覚悟で登頂を心に決める。
夜が明けた・・!、
昨夜から今日にかけての県下・立山地方の天気予報は、前線の影響で山沿いは霧又は小雨とあった。 案の定、明け方は濃霧にスッポリと囲まれていて、時折、風を伴って霧雨が吹き付ける。 昨夕、あれだけ鮮明に望めた本峰も、霧に隠れて姿は無かった。
気が入らないまま簡単な朝食を作って6時過ぎ、取り敢えず「剣山荘」へ向けて出立した。 万が一の時は、どちらかの山小屋で沈没するつもりだ・・!。
小屋のすぐ裏の小さな雪渓をトラバースしながら、ほぼ水平の道を歩くと程なくして「剣山荘」へ着いた。 ちょうど剱岳直下の取付き点のところにあり、最終のベースといったところで、新装成ったモダンな山小屋でもある。
一息入れながら本格的に雨具を装着する・・、
小屋より上部から完全にガス(濃霧)の世界であり、風に混じって小雨も吹き付けている。
小屋の主人に伺うと「風はそんなに強いわけでないし、岩場も濡れているが足場はしっかりしているから慎重に登って行けば、登れんことはナカヨ・・」という。
勇気をチョット戴いた気分で、早速登りに掛かる。 雨用のナイロンズボン、ザックまで被せるナイロンポンチョ、ナイロン帽に軍手と一通りの準備をして剣山荘を後にした。
小屋脇から直ちに、直登に入った・・、
本来ならすぐ正面に、否、頭上に一服剣の勇姿が聳え立っていて、それを目標に足跡を辿ればよいのだが、霧に阻まれ、濡れた岩場のザク石は足跡もままならない。 それでも道を外さぬよう慎重に、黙々と、ただ黙々と歩を進める。
雪を被ったようなコバイケソウの花が雨に濡れてそよいでいる。 そして、花の終わりかけたシナノキンバイの黄色い群落も、風にチロチロと揺れている。
花々に励まされながら、こちらもチロチロと歩むのみである。
高度が上がるに従って先刻より雨のほうがやや強くなってきたが、風のほうはさほど変わらず助かる。 下山してきた或るパーティに上の様子を伺ったところ「私たちはアクシデントがあってこの上の一服剣にまでしか行ってませんが、ココと余り変わってはいませんでした、ただ、風がチョット強かったですね・・」と話していた。
一服剣は、ほんの前衛の峰に過ぎない。 その先の前剣、そして本峰が本来の目的地である。 どんなアクシデントかは知らないが、われらはその様な事が無いように、気持ちを更に引き締めて前進する。
次第に傾斜もきつくなり、岩陵地帯になってきて犬猫よろしく四つ脚で・・?グングン高度を稼ぐ。 巨大な岩を傍に見て、ほぼ垂直の壁を乗り越えたところが「一服剣」の頂上であった。 本来なら眼前にそそり立つ壁のような前剣、そして本峰の巨大な山容が現れ、我らを招いてくれるだろうが、今は全く無常無味である。
次回は、前剣へ
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