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マンネリ解消~「忍道-IMASHIME-」について

2006年02月22日 10時42分52秒 | 批評
忍道 戒

スパイク

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1.はじめに
「忍道-IMASHIME-」(以後、忍道と略す)はプレイステーション2用のアクションゲームです。発売はスパイクですが開発はアクワイアが手がけています。このアクワイアと言う会社は、3D忍者アクションゲームの先駆けとなった「天誅」シリーズを開発したメーカです。
しかしアクワイアという会社は「天誅」の発売元フロム・ソフトウェアと「天誅」シリーズの開発権を巡って揉めてしまい、その結果アクワイアは初代「天誅」を開発したメーカであるにも関わらず「天誅3」以降のシリーズ開発に参加できなくなるという苦い経験を体験しました。「忍道」はそういった苦い経験を持ったアクワイアが意地と名誉を賭けて製作したゲームです。
しかしながらアクワイアが初代「天誅」の開発メーカであることは一部のゲームファンを除いて知るものは少なく、「忍道」は単なる「天誅」を模倣したパクリゲームというイメージを一般のユーザーに与えている面があります。

そこで私は「忍道」が単なる「天誅」シリーズのパクリではなく、「天誅」シリーズのマンネリを解消し、新たな楽しみを追求した意欲作であることを紹介したいと思います。

2.マンネリの問題
「忍道」は「天誅」シリーズのマンネリを解消しようとした意欲作です。確かにマンネリにも良い点はあります。例えば、マンネリによってユーザーは安心して商品を買うことができます。マンネリということは良くもなってないが悪くもなってないということです。前作がユーザーに良いイメージを与えていれば、ユーザーは前作の良いイメージを思い浮かべながら安心して次回作を買うことができます。しかし、シリーズも4作目~5作目となってくるとさすがにユーザーはゲームに飽きてしまいます。「忍道」は「天誅」シリーズがマンネリ化している項目を見直して新たな面白さを見出しています。

3.マンネリ解消のための解決策
「忍道」は「天誅」シリーズでマンネリ化していた以下の項目について解決を図っています。
(1)一本道シナリオのマンネリ解消
「忍道」ではステージの選択に戦略性を持たせることでマンネリを解消しゲームの面白さを深めています。
「天誅」シリーズではエンディングまでのステージは一本道で、プレイヤーにはステージ選択に自由はありませんでした。「天誅」ではプレイヤーは一人の大名に仕え、その大名からの依頼(ステージ)を順番にクリアしていきます。
しかし「忍道」ではプレイヤーはどの大名にも仕えてなく3人の大名からくる依頼(ステージ)がきます。どの依頼を受けるかはプレイヤーの意思によって決めることが可能です。そしてどの大名の依頼を多く受けたかによってシナリオが分岐しエンディングが変わります。
また受けた依頼(ステージ)と依頼の成果によって、敵の強さが変化し依頼(ステージ)の難易度が変化するため、プレイヤーはどの順番でステージを攻略するか考える必要が出てきます。
このステージ選択の順序を考えさせるのが戦略性につながりゲームの面白さを深めています。

(2)暗殺のみの任務目的のマンネリ解消
「忍道」では「暗殺」以外にステージクリアの目的を増やすことでマンネリを解消しゲームの楽しさを深めています。
「天誅」はステージクリアの目的は基本的に「暗殺」のみです。
しかし「忍道」では「暗殺」以外に「誘拐」「泥棒」「護衛」などの様々な目的が用意されています。
目的が増えた結果、ゲームに二つの楽しみが新たに増えました。

一つ目は同じステージでも攻略の仕方を考える楽しみです。
例えば「暗殺」ならば敵に見つからないように目標の敵を抹殺する必要があります。「泥棒」ならば敵に見つからないよう目的の物を盗んでくる必要があります。「護衛」ならば味方を守りつつ、次々に襲い掛かってくる敵をとにかく撃退することが必要となります。
目的によって攻略方法が変わりプレイヤーは攻略の仕方を考えることが必要となり「暗殺」以外の新たな楽しみが増えたのです。

二つ目はステージの目的によって忍具を選択する楽しみです。
例えば「泥棒」なら敵をおびき寄せる忍具を用意し敵に見つからないよう任務を遂行する必要があります。また「護衛」なら爆薬などの強力な武器となる忍具を用意し敵に備える必要があります。
目的にあった忍具を用意することによってステージ攻略の難易度が変化するため、プレイヤーは任務遂行に必要な忍具を選択する楽しみが増えたのです。

4.まとめ
以上より「忍道」は「天誅」シリーズでマンネリとなっていた「一本道シナリオのマンネリ」と「暗殺のみの任務目的のマンネリ」に手を加えることにより解消し、その解消策をゲームの楽しみに昇華させた良作であると言えます。

本記事では「天誅」のマンネリ化にテーマを絞って書きましたが「箱庭作り」や「忍具の調合」など「忍道」ならではの要素も用意されており、単なる「天誅」のパクリではない「天誅」を進化させた意欲作であると私は評価します。
キャラクタのモデルが若干荒いのが気になるもののそれを忘れさせてくれるくらいゲーム性の部分が作りこまれているため、「天誅」シリーズが好きな人やアクションゲームが好きな人に是非おすすめしたい作品です。


【参考リンク】
1.忍道-IMASHIME-公式ホームページ
2.忍道-TAKUMI-公式ホームページ